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超CSV大阪 Round 6:けm vs. Vのもれ

ライター:齋藤 陽(あーくん)
撮影者:出端 敏夫

 ラウンド6。ここまでを1敗で抑えることができれば、ひとまず予選の完走が確定となる。
 大会経験が少ない選手も、逆に何度も大会に参加している選手でも、せっかく来たのだから負けて帰ることは避けたい。
 せめて最後までやりたい。大型大会に来ているのだから、予選くらい最後まで楽しみたい。
 そう思ってしまうのが人情だろう。
 さて、そんな気持ちが雰囲気が伝わるのか、会場全体の緊張感が一層強くなるこのラウンド。
 今回フィーチャーマッチに呼ばれたのは、この男だ。


 ミスター俺フィーチャー。いや、今は「ミスターフィーチャーme」と呼ぶ方が正しいのだろうか。
 デュエル・マスターズを代表するエンターテイナーが、今回もこの席に呼ばれた。

 対するはけm。Vのもれと同じく関西のプレイヤーだ。

 会場アナウンスによりフィーチャーマッチテーブルが発表されると、ジャッジが選手を連れてくる。
 しかしその様子は、普段のフィーチャーマッチより大分賑やかなものだった。

けm「いやマジ、まさか当たれるなんて思ってもいませんでした!いつも動画見てます!」
Vのもれ「えー、やっぱそういうの聞くと嬉しいわ!ありがとう!」

けm「しかもカバレージって……本当に最高すぎる!こんなんなるんだったらちゃんと顔ケアしとけばよかった」
Vのもれ「スキンケアやね」

けm「実は僕、前にのもれさんに当たったことがあるんですよ。あの時も楽しかったです!」
Vのもれ「え、そうなん?ごめんちゃんと覚えてないわ。CS?」

けm「CSですね!(覚えてなくても)大丈夫ですよ!今回のを楽しい思い出にしましょう!」
Vのもれ「せやね!……ちなみに、そん時の俺何使ってた?頑張って思い出したいわ」

けm「【カリヤドネ】でしたね」
Vのもれ「ごめん!!【カリヤドネ】は結構長く使ってたからホンマに思い出せん!」  途中で写真撮影を挟んだりしたが、フィーチャーエリアに来るときからシャッフルをする間も二人の会話は楽しそうに会話を続けている。
 どうやらこの二人、波長が合うようだ。
 楽しそうに話しているが、お互いここまで全勝。
 トークだけでなく構築やプレイングも仕上がっているのだろう。

 今回Vのもれが使用するデッキは【光水闇ヘブンズ・ゲート】。
 大感謝祭 ビクトリーBESTの発売前から練り続けた、秘蔵のデッキだ。 Vのもれ「元々結構使ってたんだけど、新しく入った《飛翔龍 5000VT》が環境的に強くて。今まで不利だった対面に有利がつくようになった感じかな。ちゃんと勝ててるし、結構自信あるよ」

 あまり競技シーンでは見慣れないデッキだが、本人の言う通りその強さは本物なのだろう。
 ここまで来ていることが何よりの証明だ。

けm「やばい。だんだん緊張してきた。勝ちたい~~」
Vのもれ「わかる。ここ勝ちたいよな~。俺去年この席で負けたんよ。払拭したい~」

 シールドの展開まで終え、ジャッジの合図を待つ時間も楽しそうに会話を続ける。
 しかし、途中で思い出したかのように「ちょっと待って。ジャンケンパワーを溜めるわ」と宣言するVのもれ。
 「よーし」と気合を入れながら右腕を大きく回す。
 恐らくだが、回した回数に応じてパワーが溜まるのだろう。

 やがてジャッジが対戦開始の合図を行うと二人の試合が始まる。
 Vのもれの顔を見るに、ジャンケンパワーは溜まりきってそうだ。

「「よろしくお願いします!最初はグー!ジャンケンポン!!」」

先攻:けm  《邪招待》《飛翔龍 5000VT》と続けてチャージするけm。
 2ターン目にカードのプレイはなく、素早くターンを返す。

 このマナチャージを見たVのもれは、後にこう語った。

 「正直、あの時の内心はニコニコでしたね。【サガ】だと思ったし、こっちは《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》引けてたし。ルーターも撃たれてないですからね」

 この言葉の通り、Vのもれは《護天!銀河MAX》《蒼狼の大王 イザナギテラス》とおよそ【サガループ】相手に使わないであろうカードをセットし、《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》をプレイする

 これを見たけmは、試合後にこのターンのことを振り返っていた。
けm「最初は《護天!銀河MAX》埋めだったから、【光水ライオネル】かなーって思ってました。でも、次の《蒼狼の大王 イザナギテラス》で理解しました」

 一見、あまり馴染みのない組み合わせだ。
 そんな中でけmがVのもれのデッキを予想できた理由は、次にけmがマナに置いたカードに集約される。 けmああ、ミラーだ。って」

 会話だけでなく、デッキ選択すら波長が一致した。
 しかし、こちらの一致はあまり嬉しいことではないだろう。

 それを示すようにこのマナチャージを見ると、Vのもれの笑顔は一転、苦い表情に変わってしまった。
 本日のVのもれのデッキ選択は、メタゲームを読み込んできた末に出てきたものだ。
 その結果が5-0。
 だからこそ、このタイミングでのミラーマッチの想定はしていなかっただろう。 「マジで?そんな事ある?」と、Vのもれは受け入れがたい事実を咀嚼するように首をひねる。
「いや、そうなんですよ」と笑うけmは《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》を唱え、手札を整えてからターンエンド。

 ターンが回ってきてからもゲームプランを考えるVのもれ。
 一通り唸った後にたどり着いた結論が、口から一言漏れ出した。
 
Vのもれ「それめちゃめちゃ先攻ゲーやん……!」

 Vのもれも同じように《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》を唱えてエンド。

 続く4ターン目にけmは《デモンズ・ライト》
 Vのもれは《蒼狼の大王 イザナギテラス》から再度《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》
 お互いに、最善の手札を作るため真っ直ぐ走る。

 そして迎えた、けmの5ターン目。
 先んじてブロッカーを踏み倒せる権利を得ているため、ミスがないよう深呼吸を重ねる。
 しっかり確認を終えると、マナチャージから《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》の呪文面を唱える。
 出てくるのは現代【ヘブンズ・ゲート】における展開の起点とも言えるカード、《闘門の精霊ウェルキウス》だ。  《闘門の精霊ウェルキウス》の効果で更に《闘門の精霊ウェルキウス》を呼び出す。
 そして2体目の《闘門の精霊ウェルキウス》の効果で《∞大龍 ゲンムエンペラー》を降臨させてターンを渡す。  これを食らったVのもれは、このターンマナチャージしかできることがない。
 「先攻ゲー」とは、このタイミングでロッククリーチャーが出てきてしまうため、一方的に展開される未来を想像したことから漏れた一言だった。

 しかし、《∞龍 ゲンムエンペラー》が縛るのはVのもれだけではない。
 《ヘブンズ・ゲート》を引いていないけmも、このターンにプレイできるカードはなかった。

 このゲームは【ヘブンズ・ゲート】のミラーマッチ。
 ターンを返してしまうと、手札からの《ヘブンズ・ゲート》でこの優位性が保てなくなるかもしれない。
 もちろんシールドからの展開も想像できる。
 しかし、ここで待つのであれば、次はいつ行けるのだろうか?
 攻めるのか待つのか。
 悩み抜いた末に覚悟を決めたけmは、無限の力を持つ龍をゆっくりと動かす。

けm「≪ゲンム≫アタック!5点で!」

 まだ逆転の芽があるVのもれ。
 慎重にシールドの中身を確認すると……

Vのもれ「もう嫌や!ここ(フィーチャーテーブル)座ると勝てへん!!」

 悲痛な断末魔とともにそのまま崩れ落ちてしまった。

Winner:けm

Vのもれ「いや〜、まさか同型とはね」
けm「まじで驚きましたねw」

 現在の競技シーンではあまりメジャーとは言えないデッキを持ち込んだ者同士、対戦前のように話が弾む。
 二人は全く違うコミュニティでデュエル・マスターズに取り組んでいるが《蒼狼の大王 イザナギテラス》《冥界を統べる新月のハーデス》といった細かいカードの採択すら似通っていた。
 それは間違いなく、二人共がこのデッキに対して真剣に向き合った証なのだろう。

けm「ありがとうございました!今までの対戦で一番楽しかったです!」
Vのもれ「それは良かった!楽しいの、大事ですからね。」

 勝敗も大事だが、Vのもれはなにより楽しむことを大事にしている。
 それは自分だけではなく相手に対してもだ。
 この精神が、彼の人気の理由なのだろう。

Vのもれ「いや~~でも勝てなかったのはやっぱ悔しいわ!次!」

 全勝と一敗。二人の超CSはまだまだ続く。

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