超CSⅥ群馬 決勝戦:ラーマ vs. きや
ライター:秋山 大空
撮影者:瀬尾 亜沙子
ラーマ「え? ん?」
席に着いた瞬間、きやの一言にラーマは混乱した。
きやは既にDMPランキング枠での全国大会出場権利を所持しており、もしきやがこの試合に勝利したとしても、今大会の全国大会出場権利はラーマに繰り下がる。
ラーマ「もう何が何だかわからないんですけど」
それもそのはずである。
今期の全国大会のラストチャンスである大型大会で、大会出場が確定した選手が決勝戦に来るケースなんてそうない話だ。
過熱する近年のDMPランキングだからこそ見られるレアケースだろう。
つまり、これは全国大会の出場を賭けた戦いではない。
超CSⅥ群馬大会の優勝と言う栄誉を賭けた戦い。
それと、豪華な賞品も。
Game 1
きや「予選順位って何位ですか?」ラーマ「34位です」
きや「譲ります」
先攻:ラーマ ラーマは3ターン目の《八頭竜 ACE-Yamata / 神秘の宝剣》から《完全水中要塞 アカシック3》をマナに置く、『フィオナアカシック』の一般的スタート。
対するきやは2ターン目の《サーイ=サイクル》に、3ターン目に《邪侵入》から《アビスベル=ジャシン帝》と好調。
きや「手札3枚ですよね?」
ラーマ「3枚ですね」
最速4ターン目のループ突入が『フィオナアカシック』の強みの一つだが、2ターン目の《巨大設計図》がなければ手札が足りず、ループ突入は困難である。
《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》から《森夢龍 フィオナ・フォレスト》で《完全水中要塞 アカシック3》を出すが、《魔刻の斬将オルゼキア / 訪れる魔の時刻》で墓地を回収した時点で手札の限界が来る。
≪神秘の宝剣≫で5マナに戻しターン終了。手札は墓地から回収した《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》1枚。
そしてきやの後攻4ターン目。
そこは、もう邪神の世界。
1マナで墓地から《邪龍 ジャブラッド》を召喚。
続けて《ブルーム=プルーフ》2体、《深淵の文暴具 ケシカス=カース》を召喚。
《アビスベル=ジャシン帝》の下に、アビスラッシュを得たしもべ達が蘇る。
《ブルーム=プルーフ》、《アビスベル=ジャシン帝》でシールドをブレイク&ブレイク。
しかし、≪神秘の宝剣≫で山札を確認した時からラーマは知っている。
先ほど墓地から回収した1枚は、この時のためにあるのだと。 シールド・トリガー≪ナウ・オア・ネバー≫。
≪天命龍装 ホーリーエンド≫がアビス達の進軍を阻む。
アビスラッシュが終わり、《ブルーム=プルーフ》と《深淵の文暴具 ケシカス=カース》は山札の下へ。タマシードに戻った《邪龍 ジャブラッド》は場にとどまる。
とは言え、場には《完全水中要塞 アカシック3》。
1枚目でトリガーすればまだ良かったが、『フィオナアカシック』に3枚もブレイクしたタイミングで攻撃を凌がれてしまった場合、どうなるかは想像に難くない。
ラーマは手札にあるツインパクト呪文を唱えられるだけ唱え、2枚目の≪訪れる魔の時刻≫で全て回収。
《黒豆だんしゃく / 白米男しゃく》を拾い、《レレディ・バ・グーバ / ツインパクト・マップ》と《デビル・ドレーン》で山札の下とシールドを確認したら、後は《ラルド・ワースピーダ/H.D.2.》を探して唱えるだけ。
ラーマ 1-0 きや
超CSⅥ群馬もいよいよ大詰め。
今までフィーチャーテーブルはバナーで区切られていたが、レイアウトの変更によってバナーは取り払われ、友人達が観戦できるようになる。 ラーマ「恥ずかしいですよね」
きや「まあ、(あの中に)デッキリスト作ったやつがいるんで」
「おお」と声を漏らすラーマ。
きやのデッキを作成したオチャッピィが見守る中、次のゲームが始まる。
Game 2
先攻のきやは2ターン目に《ブルーム=プルーフ》召喚。《アビスベル=ジャシン帝》が墓地へ行き、3ターン目の《邪侵入》でそれを蘇生。墓地には《漆黒の深淵 ジャシン帝》、《邪龍 ジャブラッド》、《忍蛇の聖沌 c0br4》、《アビスベル=ジャシン帝》と、4ターン目ワンショットの構え。
ラーマも2ターン目の《巨大設計図》で《森夢龍 フィオナ・フォレスト》を含めた4枚を手札に加え、≪神秘の宝剣≫で≪ナウ・オア・ネバー≫へ向かう理想展開。
ラーマ「またちょっと時間貰いますね」
念入りに山札を確認し、マナに置いたのは《卍月 ガ・リュザーク 卍 / 「すべて見えているぞ!」》。 きや「《卍月 ガ・リュザーク 卍 / 「すべて見えているぞ!」》?」
違和感を覚えたきや。
≪神秘の宝剣≫でマナに置くカードは、基本的に足りない文明か《完全水中要塞 アカシック3》が安牌のはず。
ましてや、マナに《完全水中要塞 アカシック3》がないこの状況で《卍月 ガ・リュザーク 卍 / 「すべて見えているぞ!」》をマナに置くなんてことはないはずだ。
だが、ラーマはそうせざるを得ない理由があった。
山札をいくら探しても、《完全水中要塞 アカシック3》が見つからない。
《完全水中要塞 アカシック3》3枚は全てシールドにある。
きやのターン。いずれにしてもラーマの準備が整っておらず、こちらにワンショットの準備ができているなら行動あるのみ。
墓地から《邪龍 ジャブラッド》、《漆黒の深淵 ジャシン帝》、《アビスベル=ジャシン帝》がアビスラッシュ。
《漆黒の深淵 ジャシン帝》の効果で《忍蛇の聖沌 c0br4》を挟み蘇生した《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》が、ラーマの《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》を墓地へ送りアビスラッシュを止めるものはなくなった。
トリガーした≪レレディ・バ・グーバ≫と《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》も、《邪龍 ジャブラッド》と《アビスベル=ジャシン帝》の前には意味を為さない。
ラーマ 1-1 きや
Game 3
先攻のラーマは、2ターン目の《巨大設計図》で《森夢龍 フィオナ・フォレスト》と《八頭竜 ACE-Yamata / 神秘の宝剣》が見える2ヒット。勿論3ターン目には≪神秘の宝剣≫から《完全水中要塞 アカシック3》を持ってくる。
きやは《サーイ=サイクル》スタートに、当然のように《邪侵入》。
山札から1枚ずつ墓地へ送る。
《秩序の意志》、《ブルーム=プルーフ》、《ブルーム=プルーフ》、《アビスベル=ジャシン帝》!
3戦連続で3ターン目の《邪侵入》から《アビスベル=ジャシン帝》が登場すると言う、凄まじい動きを見せたきや。
一方ラーマ。
「青含む5コストで」
こちらの動きも凄まじい。
≪ナウ・オア・ネバー≫から《森夢龍 フィオナ・フォレスト》、効果で《完全水中要塞 アカシック3》、手札から≪神秘の宝剣≫と《巨大設計図》。
身を乗り出して確認するきや。 表向きになったのは《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》、《魔刻の斬将オルゼキア / 訪れる魔の時刻》、≪ドアノッカ=ノアドッカ≫、《巨大設計図》。
ひとまず≪「…開けるか?」≫から《魔刻の斬将オルゼキア / 訪れる魔の時刻》、更に回収した≪「…開けるか?」≫で《アビスベル=ジャシン帝》を除去。
きやは置換効果を使用せず、そのまま《アビスベル=ジャシン帝》を墓地へ。
≪神秘の宝剣≫を2連打し、≪ナウ・オア・ネバー≫から≪天命龍装 ホーリーエンド≫でドローを見て残り手札は3枚。 続けて《超七極 Gio / 巨大設計図》。
きや「まだあるのか…」
思わず笑いが漏れるきや。
≪巨大設計図≫効果。捲れたのは《巨大設計図》、《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》、《森夢龍 フィオナ・フォレスト》×2。
≪ナウ・オア・ネバー≫≪天命龍装 ホーリーエンド≫でドローし、更に《巨大設計図》。
《魔刻の斬将オルゼキア / 訪れる魔の時刻》、《森夢龍 フィオナ・フォレスト》、《黒豆だんしゃく / 白米男しゃく》、《ドアノッカ=ノアドッカ / 「…開けるか?」》。 きや「負けました!ありがとうございました!」
<b>ラーマ 2-1 きやb>
《超七極 Gio / 巨大設計図》を唱える直前、手札は《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》が2枚と《森夢龍 フィオナ・フォレスト》だけだった。
つまり最後の《巨大設計図》2枚は、どちらも≪天命龍装 ホーリーエンド≫の1ドローから引いてきた札だ。
トップデックが繋いだループ。
お互いに最高の引きをぶつけ合った末、最後に立っていたのはラーマだった。
きや「しゃあないっすね!」
Winner:ラーマ
きや「もし全国出場が確定してなくて、出場権を賭けた戦いだったら手がブルッブルに震えてたと思います」
全国大会が確定していることで、緊張せずにプレイ出来たと言うきや。
しかし
きや「それ(優勝賞品)、中身めっちゃ高いっすよ」
ラーマ「え!?」
きや「いやー!それが欲しかったんだよなー!」
栄誉と賞品を逃すというのは、やはり悔しいものである。
賞品の確認も終わり、友人達の下へ駆け寄る両者。
そこには観戦していたきやのデッキ作成者が。
オチャッピィ「なんか言うことあるよね?」
きや「ありがとうございましたー!」
全力の土下座。
一方、友人と抱き合い涙するラーマ。
そこにあるのは、手にした栄誉と、自分の勝利に涙してくれる友人達。
超CSⅥ群馬優勝おめでとう!ラーマ! そして二人とも!2か月後、全国大会で!
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