最強位決定戦 準決勝 :みれう vs. ◆ドラ焼き
ライター:金子 幹(鐘子)
撮影者:後長 京介
カバレージライター達はひそかに湧いていた。
今大会の台風の目は間違いなく《絶望神サガ》を用いたアンフェアデッキ【サガループ】。
それに追随していたのは【水闇自然オービーメイカー】や【4c邪王門】といった前環境から獅子奮迅の活躍を見せるトップtier達。
多くの選手がそういった強度や安定感のあるデッキを選択する上で、それでもなお現環境の代表する速攻【火単我我我】を選択する決断力は並大抵のことではない。
あの手この手で処理しようにも結局のところ、速攻は不用意に相手のシールドを攻撃する戦術。
試合を続けていけば、シールド・トリガーはいつか踏んでしまうのだ。
実際、直近の全国大会、グランプリといった公式大会においては、火単速攻の系譜【火単ミッツァイル】が王座をつかみかけたDMGP9th決勝でさえ、最終戦にて《知識と流転と時空の決断》2枚の壁に阻まれて敗北を喫している。
そして、みれうが用いるのは【水闇自然サイクルペディア】。
直近で開発されたコンボデッキながらもトリガー次第では相手ターンにループする可能性すら秘めており、まさしく【火単我我我】にとって大きな壁として立ちはだかる。
◆ドラ焼きが走り抜けるのか、それともみれうが受けきるのか?
この熱き戦いの一部始終をお届けしよう。
Game 1
先攻:◆ドラ焼き 先攻は、予選順位の高い◆ドラ焼き。1ターン目のマナチャージは……《“罰怒“ブランド》。
とたんに緊張が走るみれう。
火単速攻のフィニッシャーは、主に《我我我ガイアール・ブランド》、《“罰怒“ブランド》の2種。当然ではあるが、どちらかのブランドをマナに埋めたことは、別のブランドが手札にあることに他ならない。 そして手札からは21年来変わらぬ1コストの尖兵、《凶戦士ブレイズ・クロー》が登場だ。
しかし、みれうの返しのターンも持っていた。
しっかりと自然マナを置いてからの…《とこしえの超人》。メタ範囲こそ◆ドラ焼きの【火単我我我】には刺さらないものの、殴り返しとしての運用であれば、「必ず攻撃しなければならない《凶戦士ブレイズ・クロー》の返し」としてはほぼ最適解と言えるだろう。
続く◆ドラ焼きのターン。
《凶戦士ブレイズ・クロー》を出した以上は打点を貯めるプランは取れない。
《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》をマナに埋めると、バトルゾーンに出したのは《斬斬人形コダマンマ GS》。
後攻2ターン目のみれうの動きは2体目の《とこしえの超人》出すのみ。
先に出した《とこしえの超人》で《凶戦士ブレイズ・クロー》を討ち取るにとどまる。
そして運命の3ターン目。 予定調和の《クミタテ・チュリス》からの《我我我ガイアール・ブランド》! そこにまさかの殿堂カード《“轟轟轟”ブランド》までも発射された。
思わぬ追加打点。これにはさすがのみれうも頭を抱えてうなだれる。
とはいえここから実質みれうのターン。
デッキに搭載されている数多のトリガーとガード・ストライクで◆ドラ焼きの攻撃をいなせるか?
逡巡して《“轟轟轟”ブランド》の2点からいった◆ドラ焼き
果たして結果は…? 《とこしえの超人》、《地龍神の魔陣》によるWガード・ストライク!
これにより◆ドラ焼きの残りの打点である《我我我ガイアール・ブランド》と《斬斬人形コダマンマ GS》の動きを止め、この場を凌いだ!
ここから逆転なるか…?といったところではあったが、やはり後手である以上、みれうのマナはいまだ3マナ、返しの動きは《天災 デドダム》を出すにとどまった。
そして、ここぞとばかりに攻め込む◆ドラ焼き。
ダメ押しとばかりに《斬斬人形コダマンマ GS》をプレイし、シールドから捲れたのは……2体目の《我我我ガイアール・ブランド》。
2体の《我我我ガイアール・ブランド》がみれうに襲い掛かり、残された2枚のシールドに全てを託す。
そしてブレイクされたシールドを確認するやいなや
みれう「…次に行きましょう」
圧倒的な速さでの決着。これぞ【火単我我我】の真骨頂。
みれう 0-1 ◆ドラ焼き
Game 2
先攻:みれう 先攻はGame1で敗北したみれうから。とはいえ最初に動いたのは無論◆ドラ焼きだ。 Game1の初動《凶戦士ブレイズ・クロー》が20年選手であるならこちらは若手の新鋭といったところか。《クミタテ・チュリス》を場に送り出しターンエンド。
2ターン目のみれうは《地龍神の魔陣》で次につなげるか、《とこしえの超人》でgame1同様に牽制したいところではあるが…手札を確認すると《地龍神の魔陣》をマナに置きそのままターンエンド。手札にはあったものの《地龍神の魔陣》はプレイできずに終わる。どうやら手札との噛み合いが悪かったようだ。
返す刀で◆ドラ焼きは《斬斬人形コダマンマ GS》を出すと、いくばくかの逡巡の後《クミタテ・チュリス》で1点を通す。
《クミタテ・チュリス》の攻撃時能力で、先ほど増やしたリソースを消費することになるものの みれうの【水闇自然サイクルペディア】のコンボ初動は概ね《ブレイン・スラッシュ》であるため、墓地と場にクリーチャーがいない今、1枚でも多くシールドを取る意味は大きいと判断したようだ。
続くみれうのターンは《天災 デドダム》でリソースを伸ばし、そのまま増えたマナで《とこしえの超人》をプレイ。
そして続く3ターン目、みれうのコンボの準備が整いつつある今◆ドラ焼きはここを勝負のターンと決めたようだ。 《グレイト“S-駆”》からの《我我我ガイアール・ブランド》!
全ての攻撃が通れば、そのまま勝利し準決勝が終わってしまうという緊張の一瞬。
◆ドラ焼きの《斬斬人形コダマンマ GS》が攻撃を仕掛けると、みれうのシールドから飛び出たのは 《九番目の旧王》だ。
みれうは冷静に打点を計算し、全体にパワー-3000の修正をかけるモードを選択。
これにより一気に◆ドラ焼きの盤面が崩壊。
とはいえ、◆ドラ焼きの攻撃はまだ終われない。
生き残った《我我我ガイアール・ブランド》の2点がみれうを襲うも…… 2枚の《ブレイン・スラッシュ》がトリガー!?
これにより勝利を確信したみれうは、2つのモードを選択できる2枚の《ブレイン・スラッシュ》によりそのまま《龍素記号wD サイクルペディア》と《クイーン・アマテラス》を場に着地させる。
こうなれば後はお手の物だ。以下簡潔ではあるがループの説明をしよう。 《クイーン・アマテラス》から《フォース・アゲイン》を唱え、《クイーン・アマテラス》の効果ストックを増やし、そのまま《龍素記号wD サイクルペディア》が《フォース・アゲイン》をコピー。
それにより《フォース・アゲイン》の対象を《龍素記号wD サイクルペディア》にすることで、墓地から呪文を唱える効果のストックを増やし、呪文のコピー能力をリセット。《フォース・アゲイン》は山札に戻り、《クイーン・アマテラス》の効果で山札に戻った《フォース・アゲイン》を唱える。
最終的にこの手順を行い続けると《クイーン・アマテラス》と《龍素記号wD サイクルペディア》のストックが無限に増え続けることになり、山札の6以下の呪文が無限に撃つことが可能になる。
見守ることしかできない◆ドラ焼きはみれうの手慣れたループ説明を聞き入れ、証明後の状況を把握。
そして、続く最後のみれうの一言で、このゲームは◆ドラ焼きの投了により幕を閉じる。 「《マナ・クライシス》を唱えます」
みれう 1-1 ◆ドラ焼き
「水、飲んでいいですか?」
みれうはジャッジに了承を取ると◆ドラ焼きもみれうに合わせて喉を潤す。
2人がそうなるのも無理はない。フィーチャーテーブル選手達は照明により常時ジリジリと照らされているのだ。
しかし今彼らが真に渇望しているのはこの試合の勝利のみ。
両者は己の渇きを満たさんがため、準決勝最後のゲームを始める。
Game 3
先攻:◆ドラ焼き先攻は◆ドラ焼き。ゲームの根幹ともいえるこの手番の差は、火単我我我にとって最高のアドバンテージと言えるだろう。 そして1ターン目に◆ドラ焼きの手から繰り出されるのは、デュエル・マスターズの速攻の歴史の体現者にして、21年変わらぬ切り込み隊長、《凶戦士ブレイズ・クロー》だ。
ここでもしっかり持ってるか、と言いたげに頭を抱えるみれう。
続く2ターン目に◆ドラ焼きは《カンゴク入道》をプレイし、《凶戦士ブレイズ・クロー》がみれうのシールドに襲い掛かる。ここでのトリガーはない。
返しのみれうのターンは、《地龍神の魔陣》でなんとかマナを伸ばし、Game1と異なりマナを伸ばすことには成功。
だが、運命の3ターン目。
◆ドラ焼きは《グレイト“S-駆”》から《我我我ガイアール・ブランド》をプレイすることで、この試合最後の総攻撃を仕掛ける。 残されたシールドは4枚。
みれうは祈り、◆ドラ焼きはただ走る。
《カンゴク入道》による1点目は《ブレイン・スラッシュ》。
しかしGame2と違い、バトルゾーンに《天災 デドダム》がいないため、墓地に《龍素記号wD サイクルペディア》を落とすにとどまる。
続く《我我我ガイアール・ブランド》によるW・ブレイク!
2枚目の《ブレイン・スラッシュ》により、墓地から《龍素記号wD サイクルペディア》を蘇生し、《地龍神の魔陣》を唱える。
無論《龍素記号wD サイクルペディア》はブロッカーではあるが、《グレイト“S-駆”》がスピード・アタッカーを得ているため打点の数はいまだにみれうの首まで届いている。
残るシールドは1枚。
みれうは天を仰ぎ、◆ドラ焼きは最後のシールドをブレイクする!
トリガーは…無い!!
こうして◆ドラ焼きは見事この準決勝を走り抜いた。
みれう 1-2 ◆ドラ焼き
Winner:◆ドラ焼き
息もつかせぬ緩まぬ攻め手と、シールド・トリガーによる受けの攻防。
3ゲーム合計しても10ターン弱のこのマッチにおいて、ここまでデュエル・マスターズの奥深さが味わえる劇的な試合展開も珍しい。
だが、この試合をそんな圧倒的速度でぶっちぎった◆ドラ焼きはの戦いはここで終わりではない。
最強位という名のゴールテープまで彼が走り抜けられるのかどうか、しかと見届けたい。
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