最強位決定戦 準々決勝 :がらがらどん vs. ◆ドラ焼き
ライター:山口 海斗(ジャイロ)
撮影者:後長 京介
向かいに座るのはがらがらどん。普段は【火単我我我】などの攻撃的なデッキを好むが、今日は【水闇自然ジャオウガ】で前のめりなデッキを狩りながら勝ち上がってきた。【水火アポロヌス】での活躍を覚えている読者の方も多いはずだ。
お互いにDMGP2022のベスト8という顔ぶれ。本大会のレベルの高さを肌で感じつつ、勝負の幕が上がった。
Game 1
先攻:◆ドラ焼き本大会では、予選順位の高い方が先攻となる。火単という先攻の利を十全に活かせるドラ焼きは、1ターン目に《クミタテ・チュリス》、2ターン目に《斬斬人形コダマンマ GS》とかなり良い滑り出しだ。
しかしがらがらどんはこれ以上の自由を許さない。【火単我我我】にとって致命的とも言える《キャディ・ビートル》を召喚して、ドラ焼きの派手な動きを防いだ。
《キャディ・ビートル》がある状態では、ドラ焼きは《我我我ガイアール・ブランド》や《“罰怒“ブランド》といった大型のクリーチャーを使って攻めることができない。小型のクリーチャーで1枚ずつシールドを割ることを強要されてしまった。
実際がらがらどんの狙い通り、ドラ焼きの3ターン目は《カンゴク入道》、《グレイト“S-駆”》と小型を並べるに徹した。前述の通り、ドラ焼きは派手に攻められない。攻め方を考えているのだろうか。しばらく手札とバトルゾーンのにらめっこを続ける。 ドラ焼きが動いた。先ずは《クミタテ・チュリス》でシールドをブレイク。
トリガーは……ない。
続く《グレイト“S-駆”》の攻撃、トリガーは……ない!
《キャディ・ビートル》で致命傷を防げているが、このまま小型のビートダウンを受け続けるのは美味しくない。それは火単系をよく使うがらがらどんも知っているはずだ。
裏を返せば、がらがらどんは”何をされたら嫌なのか”も熟知している!
《極楽鳥》と2体目の《キャディ・ビートル》をバトルゾーンに送り込み、前のターンに出た《キャディ・ビートル》で《クミタテ・チュリス》を打ち取る。ドラ焼きの打点を削りつつ、1マナ加速のおまけもついた。
ドラ焼きの4ターン目、《クミタテ・チュリス》を召喚。がらがらどんのシールドを詰めにいくが、そもそもの打点が足りていない。先ほどの《キャディ・ビートル》での相打ちがボディブローのようにドラ焼きを襲う。
とはいえだ。がらがらどんのバトルゾーンには《キャディ・ビートル》と《極楽鳥》しかおらず、5マナしかないため《CRYMAX ジャオウガ》にはまだ遠い。このターンに何かしらの動きが無ければドラ焼きが小型ビートでゲームを決めるだろう。
がらがらどんの採った行動は… 《キユリのASMラジオ》であった。
5枚の中に何かあれば。いや、あったとしても3コスト以下のクリーチャーでこの状況は打開できるのか?がらがらどんは《天災 デドダム》を2体送り出し、そのどちらもアンタップマナを作る。
マナゾーンは7枚、
そのうちアンタップマナが3枚、
そしてマナゾーンには《CRYMAX ジャオウガ》が!
古来より、3コストで進化クリーチャーを踏み倒す方法はこのカードだろう。 《幻緑の双月/母なる星域》!!
わずか3コストで《CRYMAX ジャオウガ》を呼び出すと、ドラ焼きのシールドを、バトルゾーンを、全てを奪い去った!
飛行を持つ《極楽鳥》はブロックされない!
がらがらどん 1-0 ◆ドラ焼き
先の一戦を紐解けば、如何に《キャディ・ビートル》で《クミタテ・チュリス》を破壊したあのプレイが勝負を決定したのかが分かる。ドラ焼きは1打点足りない、がらがらどんは1マナ足りた。この一手が勝負を分けたといっても過言ではないだろう。
先攻の【火単我我我】を捌ききったがらがらどん、このまま調子に乗れるか?
Game 2
先攻:◆ドラ焼きドラ焼きの手は速い。1ターン目に《クミタテ・チュリス》、2ターン目に《カンゴク入道》と1本目を想起させる順調な展開だ。
しかし順調なのはがらがらどんも同じ。最速の《キャディ・ビートル》でまたもや地上戦を要望する。
ドラ焼きは小型を展開し、それをがらがらどんが除去する。1本目と同じように《CRYMAX ジャオウガ》で勝負が決するのか。
否、苦汁を舐め続けるドラ焼きではない。《キャディ・ビートル》で地上戦を強いられているのであれば、ドラ焼きは《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》で徹底的にやり合おうと意思を示す。≪母なる星域≫による抜け駆けを咎められ、タップ状態の《キャディ・ビートル》は《クミタテ・チュリス》で相打ちをとられる。がらがらどんのプランは完全に崩壊した。
ドラ焼きにとって目の上のたんこぶであった《キャディ・ビートル》はもういない。
つまり、今のドラ焼きを止める者は……何もない!
《グレイト“S-駆”》に《“罰怒“ブランド》、トドメの《“轟轟轟”ブランド》!!
ドラ焼きの火力は申し分ない。がらがらどんのシールドを割り切り、勝負は3本目にもつれ込んだ!
がらがらどん 1-1 ◆ドラ焼き
派手なデュエルマスターズはもちろん面白いが、お互いに1点ずつせめぎ合うデュエルマスターズもまた面白い。そんな面白さを再認識する試合が続く。泣いても笑っても最後の一戦。がらがらどんはドラ焼きの猛攻を捌ききれるか、ドラ焼きは後攻という逆風に立ち向かえるか。
Game 3
先攻:がらがらどんこのマッチ、初めてがらがらどんが先攻だ。いつもは後攻2ターン目の《キャディ・ビートル》でドラ焼きの3ターン目のビッグアクションに備えていたがらがらどんだが、先攻2ターン目に相手の3ターン目の心配は必要ない。つまり、自身の強い動きを押し通せるということだ。
≪幻緑の双月≫でマナを伸ばし先攻の有利を発揮するがらがらどん。対してドラ焼きは《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》を召喚し対応に追われている。1,2本目とは真逆の展開が広がる。 一見攻めっ気の見えないドラ焼きだが、その分手札を抱えているためがらがらどんにかける圧は凄まじい。がらがらどんは《キャディ・ビートル》を召喚し、お互いに最後の地上戦を構えた。ドラ焼きもそれを承諾、《斬斬人形コダマンマ GS》と《凶戦士ブレイズ・クロー》を召喚してターンエンド。3ターン目も沈黙を貫いた。過去2戦、どちらも3ターン目に2枚以上のシールドを割っていたことを考えるとあまりにも静かな最終戦だ。
静かな戦いになると何が起こるか?答えは手札不足だ。
デュエルマスターズはドロー、マナチャージを経てカードを使う。つまり、何かしらの方法で手札を増やさない限り、手札が減り続けるゲームなのだ。
加えて先攻のがらがらどんのドローは1回少なく、≪幻緑の双月≫で更に手札が減っている。
がらがらどんは深刻な手札不足に悩まされていた。いや、ドラ焼きの沈黙が手札不足という形でがらがらどんを悩ませていた!
がらがらどんが思うように動けない隙にドラ焼きはどんどんクリーチャーを並べる。がらがらどんはクリーチャー同士を相打ちにさせ、少しでもドラ焼きの盤面を減らしに行くがそれも及ばず。
がらがらどんを守る最後の砦は、《キャディ・ビートル》のみとなっていた。 下手に小型でつつけば反撃に合う。なんとか大型クリーチャーで総攻撃を仕掛けたいドラ焼きだが、《キャディ・ビートル》でそれも叶わない。《キャディ・ビートル》さえなんとかなれば…。《キャディ・ビートル》さえ?
我々は知っているはずだ、ドラ焼きの【火単我我我】の特別さを。
我々は知っているはずだ、ドラ焼きが持ち込んだ”あのカード”を!
《コッコ・武・ルピア》!
直前に落ちたがらがらどんの墓地2枚を山札に返し、《キャディ・ビートル》を破壊する。
《キャディ・ビートル》が無ければ……
《グレイト“S-駆”》が!《“罰怒“ブランド》が!
がらがらどんのシールドを削り切り、ダイレクトアタックまで繋げた。
がらがらどん 1-2 ◆ドラ焼き
Winner:◆ドラ焼き
それぞれのラウンドで、それぞれの面白さを魅せてくれた対戦であった。お互いのデッキの強さやプレイングの巧さを目の前で魅せられ、改めてこの大会のレベルの高さを実感した。
がらがらどんはそのデッキパワーに惚れ、普段の前のめりなデッキから【水闇自然ジャオウガ】に乗り換えた。しかし前のめりさを捨てたわけではない。1本目の《CRYMAX ジャオウガ》に見られるアグレッシブさも兼ね備えた結果、ベスト8というこの舞台に立てたといえる。
対するドラ焼きは、環境を定義する【サガループ】に勝てるデッキに勝てるという計算で【火単我我我】を持ち込んだ。当の【サガループ】には、《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》と《コッコ・武・ルピア》で警戒を怠らない。速度が目立つ【火単我我我】の速度以外の強さやしなやかさも見られたのではないだろうか。
準決勝に向かうドラ焼きに、最後に一言お願いした。
ドラ焼き「頑張って『優勝』目指します!」
この台詞の結末は…皆の知る通りである。
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