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超CSⅣ宮城 3位決定戦:マツ vs. ジャフェット

ライター:高橋 穂
撮影者:堀川 優一

 出会いがあれば、別れもある。

 人と人との間にはもちろん、人とデッキの間にもそれらは存在する。

 この3位決定戦の場において相対する二人のプレイヤーも、デッキとの出会いと別れを知る者たちだ。


 地元仙台で活動するマツが選んだのは、デッキタイプ成立時からずっと使い続けてきたという【5cザーディクリカ】。しかも、《神秘の石柱》等を駆使して墓地を利用することで《龍風混成 ザーディクリカ》《灰燼と天門の儀式》のバリューを極限まで上げた独自の構成のものだ。

 リアニメイトのために《龍風混成 ザーディクリカ》までも搭載したひときわピーキーな構成ながら、【JO退化】増加を読んだ確かな選択は確かに彼をこの3位決定戦の場まで運んできてくれた。

 このデッキとの出会いから今までカードプールは変動してきたが、このデッキへの想いは変わらない。そんな「相棒」とともに、マツは最後の戦いに挑む。


 同じく仙台のプレイヤーであるジャフェットが駆るのは、【光水闇退化】。彼は8/15に施行される殿堂改訂によって構築困難になるこのデッキへの「お別れ会」の会場として、この超CSⅣ宮城の場を選んだ。

 「デュエマというゲームの練度が足りない」という自己認識を持つジャフェットにとって、硬い受けと圧倒的な決定力をもって「とにかく強みを押し付ける」このデッキは性に合っていたのだろう。その相性の良さは、ここまでの結果が証明している。

 自身をこの場所まで運んできてくれた最高の「相棒」に有終の美を飾らせるべく、ジャフェットは最後の戦いに挑む。

 
 それぞれのデッキに報いようとする二人のプレイヤーにより、3位決定戦の幕は開けた。


Game1

先攻:マツ

 《灰燼と天門の儀式》をチャージするマツに対して、首をひねって気合を入れながら《エマージェンシー・タイフーン》をチャージするジャフェット……だが、ここでジャッジから後攻ドローを忘れていることの指摘を受ける。

 長丁場の疲れからか思わぬミスをしたジャフェットだが、しっかりドローをしたのちに改めてマナチャージを行い気合を入れ直す。

 両者順調にチャージを続け、ゲームが動いたのは先攻3ターン目。《神秘の石柱》でマナ加速したマツが墓地に落としたのは《ロスト・Re:ソウル》。これでいつ《龍風混成 ザーディクリカ》が出てもゲームが終わらせられる準備が整った。

 対するジャフェットも、《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》の呪文面でドローしつつ墓地に《竜魔神王バルカディア・NEX》を送り込んで「墓地退化」から即座にゲームを畳む準備は万全だ。

 この「予告」に対し、マツが選んだのは《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》によるゲームの引き延ばし。墓地の《竜魔神王バルカディア・NEX》を山札に送還し、自身はマナ加速で手を進める。  「4ターン目退化」という予定を狂わされることとなったジャフェットだが、挫けずに《エマージェンシー・タイフーン》を二連打。《竜魔神王バルカディア・NEX》《∞龍 ゲンムエンペラー》を墓地に送りこんでリーチを継続する。

 だが、マツはあくまでコントロールらしくゲームをさらに引き延ばす構え。《ソーシャル・マニフェストⅡ世》から再び≪お清めシャラップ≫で墓地から退化先のクリーチャーを根こそぎにする!

 二度も出鼻をくじかれても、今度は《影世界のシクミ》で墓地を肥やしにかかるジャフェット。思いが通じたか、山札の上三枚には退化先の《竜魔神王バルカディア・NEX》だけでなく、即座に蘇生して後々ダイレクトアタック役となれる《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》の姿が!盤面にクリーチャーを用意したうえで三度退化をちらつかせ、王手をかける。

 だが、二度あることは三度ある  マツの手から放たれたのは、三度目の≪お清めシャラップ≫!当然《竜魔神王バルカディア・NEX》が山札へと返され、おまけにこれで伸びたマナから《インフェルノ・サイン》まで飛び出してしまう。

 今唱えた≪お清めシャラップ≫を≪闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー≫として蘇生すると、マッハファイターで《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》を破壊しながらマナから《龍風混成 ザーディクリカ》を回収。いよいよ盤石となる。

 さすがに四度目はなかったか、チャージだけしてターンを返すジャフェットに対して、マツが放ったのは追い打ちの《ロスト・Re:ソウル》  墓地に退化元さえあれば間違いなく動けていたであろう《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》《死神術士デスマーチ》《∞龍 ゲンムエンペラー》を含む5枚の手札が一挙に墓地に送られる。

 こうなれば、【5cザーディクリカ】の独壇場。

 とどめとばかりに《龍風混成 ザーディクリカ》このゲーム4度目の≪お清めシャラップ≫を踏み倒して《∞龍 ゲンムエンペラー》を掃除すると、あとは身動きの取れないジャフェットを介錯すべく盤面にじっくりと過剰打点を揃えていくのみ。

 ブレイクの途中《終末の時計 ザ・クロック》が飛び出すも、手札も墓地も落とされ続けている都合上これ以上は無駄と、楯が割り切られる前にジャフェットは投了を宣言した。


マツ 1-0 ジャフェット


 マツの執拗なまでの「お清め」の前に文字通り黙らされることとなったジャフェットだが、次は先攻。

 先手と後手ではお家芸の「4ターン退化」の成功率は大きく変わってくる。

 自分の理想のムーブを押し通すべく、シールドを展開するジャフェットの手にも力が籠る。


Game2

先攻:ジャフェット

 戦いの口火を切ったのは、先手2ターン目のジャフェットの《エマージェンシー・タイフーン》。墓地に送られるのは、今度こそ盤面に出たそうな顔の《竜魔神王バルカディア・NEX》だ。

 デッキ構造上初動が3ターン目となるマツがチャージのみでターンを返すと、ここでジャフェットはじっくり考えつつ《エマージェンシー・タイフーン》。墓地に《禁断竜王 Vol-Val-8》を落とし、すかさず《竜魔神王バルカディア・NEX》を進化元に《死神術士デスマーチ》を繰り出す。

 墓地に後続を用意しながらのこの「リーチ」に対し、マツは《天災 デドダム》で自分の手を進めることしかできない。

 そして、4ターン目。

 ジャフェットの手から放たれた《龍脈術 落城の計》によって満を持して《竜魔神王バルカディア・NEX》が登場する!  攻撃時に《∞龍 ゲンムエンペラー》まで引き連れてやってきたこの超巨大獣のワールド・ブレイクの前にマツができたのは、次のターンのドローを確認して投了することだけだった。

マツ 1-1 ジャフェット


 Game1と違ってスムーズに理想ムーブを決めることに成功したジャフェット。

 だが、次はマツの先攻だ。この0.5ターンの差がどれほど重いかは、両者とも痛いほど理解している。

 泣いても笑っても次で終わり。慎重にシャッフルを進める中、同時に行われていた決勝卓から拍手が聞こえてくる。これで、この大会の順位はたった二つを残して確定することとなった。

 3位か、4位か。たった一つの数字の差を確定させるため、この会場最後のゲームが幕を開ける。


Game3

先攻:マツ

 先に動いたのは、後攻2ターン目のジャフェット。《アストラルの海幻》でまたもや2ターン目に《竜魔神王バルカディア・NEX》を墓地に送り込む。

 だが、Game2と違ってマツには「4ターン目退化」が成立するまでに1ターンの猶予がある。ここは《灰燼と天門の儀式》をチャージしてタップイン処理をするにとどめる。

 ここでしばらく考えたのち、ジャフェットが選んだのは《エマージェンシー・タイフーン》。手札の質をさらに高めながら墓地に《∞龍 ゲンムエンペラー》を墓地に送り込む。これで退化に必要なパーツを確保すれば、「4ターン目退化」は目前だ。


 ……ただし、それは≪お清めシャラップ≫がなければの話だ。

 マツの手札から現れたのは、まさにその≪お清めシャラップ≫!退化を目前にして、《竜魔神王バルカディア・NEX》《∞龍 ゲンムエンペラー》は山札へと吸い込まれていく!

 目論見が崩れたジャフェットだが、まだ手札は潤沢。さらなる《エマージェンシー・タイフーン》《竜魔神王バルカディア・NEX》を墓地に送り込み、さらなる退化チャンスを待つ。

 だが、ここまでの流れ。どこかで見たことはないだろうか。そして、その流れが続くならば……

 はたしてマツが放ったのは≪ナウ・オア・ネバー≫からの《龍風混成 ザーディクリカ》、そして踏み倒されるのはもちろん≪お清めシャラップ≫!Game1で見せた墓地対策連打の動きが完全に再現される!

 さらに、チャージのみでターンを返したジャフェットに対して突き刺さるのが再びの《ロスト・Re:ソウル》。退化先さえあえば動けていた理想的な手札5枚が、またもや墓地へと消えていく。

 この「再演」のフィナーレは、やはり時間をかけて行われる徹底的な致死打点の形成からのワンショット。

 違ったのは、打点形成までに溜まったジャフェットの手札が《ロスト・Re:ソウル》で完全に根こそぎにされたことと、シールドから《終末の時計 ザ・クロック》が出ないままマツによるダイレクトアタックが決まったことだった。

Winner:マツ

 戦いの後のインタビューにて、記事冒頭のデッキへの想いを語ってくれた二人。

マツ「強みを押し付けて勝つデッキって意味では、どちらもある意味似てますね」

ジャフェット「≪お清めシャラップ≫や《∞龍 ゲンムエンペラー》みたいな特定のカードで心が折れるのも一緒」

 お互いの健闘とデッキを称えながら笑い合う彼らも、デッキとの出会いがなければこうして戦い出会うことはなかった。

 出会いと別れは、また別の出会いを生む。

 そして、その出会いの後もまた新たな戦いが続いていくのだ。

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