ライター：原田 武(たけじょー)
撮影者：堀川 優一(アノアデザイン)

　早くも予選4回戦目を迎えた超CSV新潟。フィーチャーテーブルに現れたのは全国ランキング4位の強豪、ひんたである。1年前の超CSIV宮城では優勝の栄冠を手にしたことも記憶に新しい彼は、ここまで黒星無し。

　対するはLandMine。なんだか不穏なハンドルネームとは裏腹に、彼もまたここまでの予選を3勝無敗で勝ち上がってきた実力者だ。

　大会の喧騒から少しだけ離れたフィーチャーテーブルで、新たな戦いの火蓋が切られた。

Game

　先行となったひんたは《蝕王の晩餐》をマナチャージ。2ターン目には《ドアノッカ＝ノアドッカ / 「…開けるか？」》をチャージして《冥界の不死帝 ブルース /「迷いはない。俺の成すことは決まった」》を繰り出す。

　それに対しLandMineは《ドアノッカ＝ノアドッカ / 「…開けるか？」》、《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》とチャージして《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》の呪文面をプレイ。2ドローの後、《冥界の不死帝 ブルース /「迷いはない。俺の成すことは決まった」》を墓地に置く。

　……現代デュエマに親しむ読者の皆様ならもうお気づきだろう。

　そう、この試合は【サガループ】のミラーマッチ。ひんたが駆るのは【ダンタル型サガループ】、LandMineの相棒は【DOOM型サガループ】だ。
　となれば、勝敗の分け目はシンプル。先にカードを揃え、ループを成立させた側の勝利だ。

　先行3ターン目、ひんたは少考の後2体目の《冥界の不死帝 ブルース /「迷いはない。俺の成すことは決まった」》を繰り出し、それにより墓地に《龍素記号ｗD サイクルペディア》を用意することに成功。
　返すLandMineは《コダマダンス・チャージャー》でリソースを稼ぐ。 　ならばとばかりにひんたは《サイバー・K・ウォズレック / ウォズレックの審問》で増えたばかりのLandMineの手札を責め立て、《冥界の不死帝 ブルース /「迷いはない。俺の成すことは決まった」》を引き抜いた。加えて2体の《冥界の不死帝 ブルース /「迷いはない。俺の成すことは決まった」》で《勝熱と弾丸と自由の決断》と《蒼狼の大王 イザナギテラス》を墓地へ。コンボパーツをかき集める。

　LandMineも黙ってはいない。ひんたの手札が残り一枚となったのを見逃さず、《蒼神龍ヴェール・バビロニア》で《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー！」》を山札の下に送る。

　お互い一歩も譲らない。それもそのはず、彼らが使っているのは「サガループ」なのだ。

　たった1枚の《絶望神サガ》によって、いつゲームが決してもおかしくない。

　一瞬、ほんの一瞬早く引けば、勝てる。

　5ターン目を迎えたひんたは《龍素記号ｗD サイクルペディア》の召喚に成功。効果で《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》を唱え《疾封怒闘 キューブリック》を捨てるが、マナゾーンの水文明カードが足りず効果は発動しない。 　幸いにも生き残った《蒼神龍ヴェール・バビロニア》の効果をフル活用し、ターン開始時に追加のドロー、更に《龍装者“JET”レミング/ローレンツ・タイフーン》まで唱えて計6枚のドローで追いすがるLandMine。
残るマナは4枚……だが、彼は動かない。否、動けない。 「どうなってるんだ～！」

　そう、《絶望神サガ》を引けていないのだ。

　大量の手札交換カードを擁する「サガループ」だが、それでも時としてこのような事態は起こる。ゲーム開始から10枚以上のドローを繰り返したLandMineだが、未だ絶望神は姿を現さなかったのである。

　諦めず《蒼狼の大王 イザナギテラス》を繰り出し、山札5枚を確認するLandMine。1枚を回収の後、効果で《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー！」》を唱え3コストを指定。これでひんたのループを咎め、苦渋のターンエンド。

　対照的に冷静さを失わないひんた。このターン中の《絶望神サガ》フィニッシュこそ望めないものの、《氷牙レオポル・ディーネ公 / エマージェンシー・タイフーン》で更にデッキを掘り進め、余った2マナで《サイバー・K・ウォズレック / ウォズレックの審問》！

　LandMineの手札からようやくたどり着いたであろう《絶望神サガ》を無情にも叩き落す。

　後攻6ターン目、再び《蒼神龍ヴェール・バビロニア》でターン開始時に2枚ドローするLandMineだが、またしても《絶望神サガ》は現れない。「笑っちゃうんすよね」と思わず苦笑いし、《水上第九院 シャコガイル》を墓地へ。そして乾坤一擲の《超神星DOOM・ドラゲリオン》を召喚する！ 　《サイバー・K・ウォズレック / ウォズレックの審問》で捨てられた《絶望神サガ》はまだLandMineの墓地にある。これを《超神星DOOM・ドラゲリオン》で蘇らせ、その効果でもう1枚の《絶望神サガ》を引き当てる。これがLandMineの導いた唯一の勝ち筋であった。
　次のひんたのターン、《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー！」》の効果が無くなればいつループが始まってもおかしくない。多少のリスクを負ってでも、このターンで仕留めるしかないのだ。

　《超神星DOOM・ドラゲリオン》の攻撃が宣言され、メテオバーンにより《水上第九院 シャコガイル》が墓地へ。《絶望神サガ》をバトルゾーンへ！

　《絶望神サガ》効果、決死の1ドロー！ 　……《コダマダンス・チャージャー》が墓地に置かれた。

　それでもメテオバーン効果により《龍素記号ｗD サイクルペディア》を破壊しトリプルブレイク、残るシールドは2枚となったが、LandMineに残されたクリーチャーは《蒼神龍ヴェール・バビロニア》《蒼狼の大王 イザナギテラス》のみ。あと一体、あと一手届かない。

　先行7ターン目、《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー！」》の軛から解き放たれたひんたの《絶望神サガ》召喚宣言。流れるように行われたループ証明によって反撃を封じられたLandMineは、なすすべなくダイレクトアタックを受け入れた。
　ブレイクされたシールドの中には、2枚の《絶望神サガ》の姿があった。 Winner:ひんた

　5ターン目の時点で、ひんたは《絶望神サガ》を引き当てていた。返すターンの《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー！」》がなければ、そのままコンボが始動していた。LandMineは《絶望神サガ》が引き当てられない中で、最も勝利に近い選択肢を選び続けていたのである。

　感想戦に興じる二人は、「お互いサガ来なかったっすね～！」と笑いあっていた。
　苦しい状況下でも勝利を目指し続けた両プレイヤーに、心からの称賛を送りたい。