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超CSⅥ :福岡 プレイヤーインタビュー :デュエマと飯さえあればいい~福岡編~

ライター:河野 真成(神結)
撮影者:瀬尾 亜沙子


 デュエマと飯。それさえあればいい。
 
 ……かはさておき、それらを楽しみとしているプレイヤーも多いだろう。

 超CSはその誕生以来、地方都市での開催を軸としている。
 その発祥の地は熊本。以降、金沢や山形へと開催地は移っていく。その後感染症の流行によってイベントは一時中断するものの、2022年より再開。
 その際は京都での開催もあったものの、静岡・福岡・宮城といった地方都市での開催がやはりメインとなった。
 そして2023年には超CSの開催は夏と冬に2回に分けての開催となった。前期の超CSⅤでは新潟と大阪。そして今回の超CSⅥは、福岡と群馬である。
 
 開催地やその周辺に住むプレイヤーの参加が多いのは当然として、それと同じくらい他の地域から遠征でやってくるプレイヤーも多い。
 遠征はいわば大人の修学旅行だ。これが楽しみで超CSに参加しているプレイヤーも多いだろう。
 
 そんな遠征時の楽しみと言えば……冒頭に戻るが、デュエマと飯である。それさえあればいい。
 
 中々会えない他地域の猛者との対戦に心躍らないプレイヤーはいないし、その地域にあるカードショップを巡るのも、新鮮な楽しさがある。そしてもちろん、普段食べることのない地方の名物料理を楽しみにしているプレイヤーも多いことだろう。
 
 しかし一方で、大会参加も含めると観光に充てられる時間などには限りがあり、その地域を堪能し尽くすには、許された時間はあまりに短い。まして情報偏りが大きいの現代社会に於いては、美味しいお店を探そうとすれば過度に情報が溢れることもあるし、逆に地域のデュエマ事情などを探そうとしても見付からないことも多いだろう。インターネットの情報だけで観光計画を立てたり、美味しいものを巡ろうとしたりするのは難しいものだ。

 ではどうすればいいのだろうか。
 
 答えは簡単だ。詳しい人に話を聞けばいい。
 そう、地元のプレイヤーである。
 
 というわけで今回は、福岡で実際に活躍するプレイヤーたちに、地元の大会の様子が美味しい食べ物、地域の魅力などを語ってもらった。
 「そういう記事は大会前にくれよ!」というツッコミもありそうだが、逆に言えばこれを知ることによって、今後改めて福岡遠征に行くキッカケになるかもしれない。
 
 超CSをキッカケとして、継続した旅行計画が実現されるなら、それに越したことはない。
 今後福岡に行く機会があれば、是非参考にしてみて欲しい。
 

福岡のデュエマ事情

 まず福岡の猛者と戦うには、何処に行けばいいのだろうか。

 福岡には大きな都市圏が2つある。1つは今年の開催地となった博多・天神を中心とした福岡市内。そしてもう1つは去年の開催地となった小倉を中心とした北九州市内である。
 
 北九州を中心に活動している砕月(全国大会2016準優勝)や長老(北九州を中心に活動するジャッジ)は、地元の様子について次のような話をしてくれた。 砕月「自分(の地元)は小倉、北九州ですね。小倉駅前の竜星の嵐というお店の大会によく出ています。CSに出るのはそこくらいなんですが、月に2回のCSの他に、金曜夜には非公認大会なんかも開催してくれます。自分は昔からの知り合いと2人で練習しているのですが、大会だと初めて見掛ける人も増えていて。新しいプレイヤーはどんどん増えている印象ですね。いい場所だなと思っています」 長老「今回はプレイヤー参加ですが、自分はほぼジャッジメインでやっています。ジャッジとしては小倉の大会の他、KDFという北九州の大型大会、あとは(福岡市内の)オレタン天神でやっていることもあります。個人的には、比較的マナーのいいプレイヤーが多いなという印象ですね」

 そして博多の方はというと、九州最大都市ということもあってより競技的なシーンが強調されているようだ。 アリミツ「福岡はオリジナルもアドバンスもありますし、ハシゴが出来る日もあります。たまにチーム戦で熊本とかに遠征することもありますけど、基本的には福岡オンリーですね」 ひなな「自分はリモートでの調整もしていますが、CS会場で調整することもあります。元々競技としてデュエマをやっていて、一時的に中断しましたが、福岡に引っ越した際に復帰しました。やるなら競技でやろうと思っていましたけど、福岡は環境がかなり整ってますね」

 そう答えてくれたのは、福岡前期3位で後期1位のアリミツ、そして前期1位で後期2位でひなな(後期の順位は共に超CSでのポイントを含まないもの)。恐らく、現在の福岡で最強の2人だが、そのお墨付きだ。

 博多近辺はCS開催数も多く、そしてアリミツが言ったようにオリジナルもアドバンスも豊富だ。特にアドバンスのCSなどは地域によっては殆ど開催されていないこともあるため、アドバンスを遊びたい方は福岡に行ってみるのも悪くない筈だ。
 
 そして福岡と言えば、全国でも非常に珍しいフォーマットのCSが開催されている。
 それがシールド戦だ。
 
 毎月シールド戦には欠かさず参加しているというげんじは、次のように話す。 げんじ「デュエストCSというシールド戦のCSが天神でやっているんだけど、毎月開催してくれてるんです。定期的に開催してくれるのって、福岡くらいじゃないかな(※)。基本的には常連が多いけど、みんな見た顔だから和気藹々としてて楽しいっすね」
 
 ※筆者が調べたところ、毎月シールド戦CSを開催しているのは福岡と静岡くらいだった
 
 シールド戦は特殊なフォーマットであり、その場で渡されたパックで対戦することになる。
 それはつまり、事前にカードを持っておく必要がない。
 荷物の都合でカードを持ってこれなかった遠征だとしても、参加が可能なのだ。

 福岡は多様なフォーマットの大会に加えてCS環境も整っている。
 仕事や様々な都合で福岡に出張をする人もいるだろう。是非その際は、大会へと腕試しに行ってみてはどうだろうか。

これは食っておけ! 福岡グルメ

 さて、デュエマが出来ると次はデュエマの前後の食事だろう。
 福岡の話を聞いていく中で、誰もが挙げてくれたのが「福岡はご飯が美味しい」ということだった。
 
アリミツ「自分の出身は鹿児島なんですけど、福岡来て思ったのは本当にご飯が美味しいということですね。モツ鍋とか、明太子とか、福岡名物はどれも美味しかったです」 過去の栄光ルピア「ラーメンですよね。行列のあるラーメン屋さんもいいんですけど、それで言えば美味しいつけ麺もあるので是非そっちも食べて欲しいです」

 また福岡の中心地から少し離れると、今度は別なグルメを味わうことも出来るようだ。
 
げんじ糸島の方は漁港も近く、海鮮が美味しいですよ。北海道とか東北とか、海鮮には拘りのありそうな地域から来た人たちでも、『これは美味い』と言ってくれます。糸島はCSもやってるので、是非遊びに来て欲しいですね」

 2022年の超CSⅣ福岡優勝者であるゆきだるま。は、福岡第3都市である久留米の名物を教えてくれた。 ゆきだるま。「自分は久留米なんですが、久留米って焼き鳥が有名なんですよね。『ダルム』っていう、たぶん久留米でしか食べられていないようなものもあります。確か医学生が名付けた名前で、ドイツ語で腸の意味だったと思います」
 
 調べてみると、久留米は人口あたりの焼き鳥屋の軒数が全国一らしく、また「久留米焼きとり日本一フェスタ」といったイベントもやっているようだった。
 
 個人的に聞いていて面白かったのは、長老の話だ。彼は北九州と博多の食文化の違いを挙げ、こんなこと話を教えてくれた。

長老「北九州と博多って、食文化がちょっと違うんですよ。福岡は屋台のお店が多いんですけど、博多で出てくるのはラーメンとおでんなんですよ。でも小倉の方だと、おはぎ(ぼた餅)が他のメニューと一緒に出てくるんですよね。博多では出てこないと思います」

 なおこうした文化は、うどんのチェーン店にも影響が及ぼしているという。
 
長老「福岡ってうどんが有名じゃないですか。大きなチェーン店が2つあるんですけど。この派閥争いには言及しないんですが、でも1つは北九州側の店で、もう1つは博多の店なんですよね。だから北九州の方ではおはぎがメニューにあります。博多の方にはありません」

 遠征する際は、こうしたちょっとした食文化の違いにも注目しても面白いだろう。

それ以外のオススメ

 せっかくなので、それ以外にも教えて貰った……なんなら、少し福岡からは離れている場所もあるが、プレイヤーたちからオススメされたものを紹介していこう。
 
砕月「北九州って工場夜景が綺麗なんですよ。だからたまにドライブとかで平尾台ところに行って、夜景を見たり星空を鑑賞したりなんてことはありますね」

過去の栄光ルピア「オレタン天神は『席が広い』『内装が綺麗』『接客も丁寧』というTierGODなんで、是非来て欲しいですね。自分も常連です」

ひなな「自分は大分出身なんですけど、中津ってそんなに福岡からそんなに離れてないんですよね。特に唐揚げが有名で観光客も地元の人も食べているので、好きな方は是非、って感じですね。あと別府には温泉もあります」

おわりに

 如何だっただろうか?
 
 他の地方というのは「キッカケ」がないと中々行くことがないし、文化の違いに大きな衝撃を受けることもある。またそもそも、地方というのが着目されるケース自体が、非常に少ないとも感じている。
 
 だからこそ、この超CSは他の地域を知る「キッカケ」とも言える大会だ。これからの大会などで遠征をする際は、ぜひ現地を堪能して欲しい。
 
 今回の記事で、福岡の魅力を少しでも感じ取ってくれたら幸いだ。
 
 なお筆者も取材特権ではないが、超CSの後に北九州のうどんや、糸島の海鮮といった食事を堪能させてもらった。
 皆が言うように、福岡の食事は美味しかったということを、ここに書き残しておこう。

協力してくれたプレイヤー

砕月
 北九州を中心に活動するという全国大会2016の準優勝プレイヤー。せいなとの決勝は、未来まで語り継ぎたい名勝負の1つ。フルゲームまで持つ込んだ激闘となり、最後は《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》がわずか1ターン届かず惜しくも敗れた。
 小倉の魅力は「暮らしやすい街」とのこと。曰く、必要なものがコンパクトに揃っているという。 げんじ
 カバレージや切り絵、創作料理(?)などマルチな活動をしているプレイヤー。現在は福岡で主にシールド戦で遊んでいるという。
シールド戦の魅力は「空中戦のようなデッキが増えている中で、自分の好きな1点ずつ詰めていく・刻んでいくようなデュエマがいまでも楽しめること。あとリミテッドが強い人に憧れるし、自分もそうでありたい」とのこと。
 福岡のいいところについては野球を挙げてくれたが、本人はホークスではなくライオンズファン。 ゆきだるま。
 超CSⅣ福岡優勝プレイヤー。使用デッキは【火自然ボルシャック】。
様々なカードゲームをやっているが、「デュエマはド派手で面白い」とのことだった。今年も使用はもちろんボルシャック。自身が考えるデュエマの魅力を、よく体現するデッキと言えるだろう。
 自身は久留米のプレイヤーで、日頃からCS等に参加するというわけでもないと言うが、博多・天神は「コンパクトに纏まっているので、回るのにいい場所だと思います」とのことだった。 アリミツ
 前期の福岡県ランキング3位で、超CS開始前の時点で後期1位と、福岡を代表するプレイヤーの1人。
 今回の使用は【水闇魔導具】。フィーチャー卓でも勝利を飾り、見事に予選抜け。TOP32で惜しくも敗れたものの、実績に違わぬ実力を見せ付けた。
 過去の栄光ルピア曰く、「一番一緒にやっている人で、論理をもって話してくれる。すごく参考にしている」とのこと。 長老
 北九州を中心に活動しているジャッジ。普段はほぼジャッジしかやっていないというが、今回は「せっかくの地元だし、これまで大型大会に参加したこともなかったので、参加者視点を持つことは大事だろう」ということで、プレイヤーとしての参加をしたという。
 ちなみに過去にジャッジ大会に参加した際、打ち上げで飲み過ぎた結果泥酔し、両脇を他の九州ジャッジに抱えられながら帰宅していったことがあった。その光景は、さながら2006年クライマックスシリーズの斉藤和巳を思い出させるものだったという。 過去の栄光ルピア
 超CSⅤ大阪のTOP8プレイヤー。元々は山口県の宇部にいたとのことで、当時からよく小倉には遊びに行っていたとのことだった。現在は福岡県でデュエマをしている。
 アリミツ曰く「明るく、誰とでも仲良くなれるプレイヤー」。筆者もインタビューを通して、同じ感想を抱いた。 ひなな
 前期の福岡県ランキング1位で、後期のランキングは超CS開始前の時点で2位。今期は特に、1月2日から7日までの間に3回の優勝を飾っている。リモートデュエマにも熱心で、何度がリモートCSに参加してはしっかり結果を残している。
 実績に裏打ちされた実力は本物で、当日の予選ではアリミツと同じく【水闇魔導具】を使用し、見事に全勝した。本戦も勝ち進んでいったが、最終的には紅蓮に敗れ、惜しくもベスト8には届かなかった。
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