デュエル・マスターズ

メニュー
商品情報

全国大会2023注目プレイヤー事前インタビュー:~ランキングの辿り着く先は~ 後編

ライター:河野 真成(神結)

(前編はこちら)

 この記事は前回に引き続き、今回ランキングにて全国大会への出場を決めたプレイヤーの中から、個人的に注目しているプレイヤーをピックアップしインタビューを行ったものである。
 
 後編となる今回は、後期ランキングから選出した3名のインタビューをお届けしたい。

連続出場は何処まで:おんそく

 様々なメディアに登場することが増えたおんそくだが、それでも根底にあるのはデュエマの競技シーンだ。
 昨年の最強位決定戦こそ出場はなかったものの、全国大会で言えば2017からここまで連続での出場を維持している。
 
 2023年の前期はCS運営などを中心に活動していたが、後期ランキングにはしっかりと照準を合わせ、見事に4大会連続なる出場権を手にした。
 
 かつてのランキング経験者でもあるおんそくは、何故後期ランキングを選んだのか。どのような準備をしていたのか。そして今年のランキングをどう見たか。
 
 普段の動画ではあまり観られない……かもしれない、ランキングのより深い部分まで話をしてくれた。(話が盛り上がったためにかなりの分量となっているが、予めご了承願いたい)
 


――もしかしたら過去にも聴いたかもしれませんが、改めてプレイヤーとしての経歴をお話していただけますか。
 
おんそく「最初にデュエマを触ったのが、構築済デッキで、《紅神龍ジャガルザー》が入ってたやつ(※勝舞神龍デッキ)です。一度辞めたことはありますが、復帰したのが覚醒編の第2弾でした。大学時代の【墓地ソース】とか【シューゲイザー】が活躍した頃に、CSに参加するようになりました。初めてCS優勝したのは、CSサポートが始まった時になります」

――かなり古株のプレイヤーと認識してたんですが、初優勝までは結構と時間掛かったてるんですね。で、そこから先はデュエマの深みにハマっていく、と……。

おんそく「(何かにツボったらしく、笑っている)」

――おんそくさんと言えば全国大会ですけど、最強位は一旦置いておくとして、連続出場は17年からでしたっけ?
 
おんそく「そうですね。17年がジャッジ大会優勝、18年がランキングで出場、19年はGP優勝、そして今年はランキングになります」

――他のプレイヤーの方には『ランキングを走るに至った経緯』をお聞きしているんですが、おんそくさんについては逆に聴こうと思うんですけど、どうして前期は走らなかったんですか?
 
おんそく「そもそも今年度の開始前は走るつもりはなかったんですよ」

――あ、そうだったんですか。それではどうして、後期ランキングは走ることに?
 
おんそく「お恥ずかしながら、これは半分ノリみたいなもので……」

――ノリでランキングを……?
 
おんそく「仲の良いZwei(lance)さんとか、フェアリーさんとか、あとはのすけくんとかが走っているのを見て、段々自分も……ってなっていって。『後期のランキングは走ろう』と、前期の中盤あたりには決めていました。それと、走れるうちに走ってこう、というのもありましたね」

――走れるうちに、というのはどういったことですか?
 
おんそく「今のランキングのシステムって、もちろん実力があるのは大前提なんですが、ある程度の実力があって、毎日CSに出られるようリソースを注ぎ込めば、全国大会へ出場出来る可能性は高いシステムなんですよね。ただ現状のシステムはそう長く続くとも思ってなかったので、変化がある前に走れるうちに、ということですね。あとやっぱり、4回連続出場というのも少なからず意識はしていました」

――話を少し戻すと、前期の中盤辺りにはランキングを走ることを決めていたようですが、その上で準備をしていたことってありましたか?
 
おんそく「毎日CSに出ることが前提の話なので、毎日出られるようなスケジュール管理をしていました。質は大事だとは思うんですが、質のためには回数が必要ですし、今年に関しては量に助けられましたね」

――おんそくさんと言えば、今年は何度かマジック:ザ・ギャザリングの配信イベント等にも参加しているのを見ましたが、スケジュール管理は結構大変だったんじゃないですか?
 
おんそく「それでいうと自分は10月1日にマジックのイベントがあったので、ランキングは1日遅れでのスタートだったんですよね。ただランキング走るという人も、全員が本当に毎日出られる訳では無いでしょうから、そこは同じですね」

――おんそくさんは最後ランキング圏内に入ってフィニッシュしましたが、後期のランキングについてどうように感じていましたか?

おんそく「自分自身の話で言うと、勝ちきれるタイミングが少なかったな、と感じてます。毎日CSに出られるようにした結果、デッキの練習をする時間やプレイの修正などをする時間というのは限られるようになり、そこら辺は間に合わなかったな、と感じています。ただこれは毎日出てる以上、仕方のないものではありますけどね。トレードオフだな、と思ってます」

――なるほど……。

おんそく「あとは水闇魔導具から逃げるような形にもなりました。自分が使うのもそうですが、対策という点でもそうですね。これは自分以外も含めたプレイヤー全体の話でもありますが、CS会場にいた全体として、水闇魔導具への対策レベルが上がりきってなかったと思ってます。終盤は徐々に判明してきた部分もありましたが、中盤くらいまでは勝たれすぎたな、と感じてます」

――これはランキング期間が前期よりも短い、という部分も影響しているのでしょうか?
 
おんそく「そうですね。そういった要素もあるとは思います」

――こうした環境になった要因は、おんそくさんはどういった点にあると考えていますか?

おんそく「前期はサガっていう存在が一貫して強かったのに比べて、後期って明確に勝ちきれるデッキが少なかった、或いは時期によって変わっていったんですよね。最初はアナジャ(水闇自然ジャオウガ)、そこから水闇魔導具、そして最後にはマジック、といったように変わっていってます。デッキが固まりきらなかった分、対策も遅れますし、突出する人も少なかったのかな、と」

――サガのようなデッキが珍しいとはいえ、後期は確かに強いデッキが変化していった印象は強いです。
 
おんそく「あとこれは環境というよりランキングの話にもなるんですけど、神結さんなら知ってるような気もしますが、特定のデッキが勝ちきらなかった分、ランキング自体もかなり団子状態になっていたんですよね」

――前期ランキングは上位数名が異次元の盛り方をしていましたけど、後期はCSに2回優勝するとランキングも一気に上がる、なんて状況にはなってましたよね。
 
おんそく「ランカーたちはみんなヒヤヒヤしてたと思いますよ。他の人もそうだったと思いますが、自分は残り半分くらいからずっとプレッシャーを感じてました」

――年明けの前後は特に変動が凄かったですね。これは確定だろうな、と思った人が翌週の更新ではボーダー付近にいたり。ちなみに、デッキが勝ちきらないという話はしていましたが、おんそくさんはどのデッキを使っていたんですか?
 
おんそく「基本はアナジャを使ってしました。ちょっとマジックを使ったりもしましたけど、割とすぐにアナジャに復帰してます。12月末の『竜皇神爆輝』以降は、マジックか闇自然アビスでしたかね。ただデッキ以上に、自分が勝ちきらないというのは、準優勝が9回もあった部分ですね」

――端から見たら充分勝ててるように見えますが、ランカーになると1位と2位の違いは大きすぎる、と。
 
おんそく「自分の印象ではとにかく勝ちきれなかった、という感想です」

――ちなみにおんそくさんは18年のランキングも走っていましたが、その時に比べて変わったことって、どのような点がありますか? CS回数とかは、当然全然違うとは思いますが……。
 
おんそく「うーん……。そうですね、回数がどうこうというよりも、平日のCSの方が圧倒的に数が多くてかつ、平日にCS出られるとなるとメンツも固定されるので、『今期はずっと同じ人と当たり続けるな』とは感じてました」

――18年は確かに土日には2倍、4倍のCSに参加して……というのが一般的でしたもんね。メンツが固定されて人数が少ないと、そういう感じになるんですね。
 
おんそく「ですので、対戦前から相手のデッキがわかる、なんてことも普通になってました。あとこれもデータとかではなくて印象の話になっちゃうんですけど、『真剣な人の密度が濃い』というのも感じました。18年の時って、環境デッキは会場の半分いればいい方で、あとは各々自由に好きなデッキを使っていたという印象だったんですけど、いま特に平日CSだと、環境デッキと当たり続けた印象です」

――これは確かに、私も平日CSに遊びに行ったときに同じ印象を持ちましたね。対戦相手のデッキが、みんな強い。
 
おんそく「その分ちゃんと事前に準備していれば、想定通りのメタゲームで戦える、というメリットもありますけどね。ただそのメタゲームも、回るのがとにかく速くなりました」

――翌日は全然違うメタゲーム、なんて状況だったとも聴いてます。1週間くらい空くと逆に一周回って変わらない、なんてこともあったとかなかったとか……。
 
おんそく「後期はランカーと非ランカーが同じデッキを使ってて、デッキの差はほぼなかったと思ってます。前期にCS運営をしてたときは、まだ結構差は感じてたんですけどね」

――ここまでかなり色んな話を伺ってきましたけど、来期はまたランキングのシステムが変わります。おんそくさんが走るかはまた置いておくとして、来期以降はランキング争いにどういった変化があると思いますか?
 
おんそく「今期の自分みたいに、勝ちきれないタイプは苦労すると思います。基本の最大値が、週2400となるんですけど、決勝を1つ落とすと1800と一気に落ちます。回数で補えなくなってくるので、勝負所で勝つのは大事ですね」

――ちなみにおんそくさんの考える「勝ちきる」ために必要な力って、なんだと思っていますか? 不利が少ないデッキを選択するとかですか?
 
おんそく「デッキ選択というよりは、ミスをしないことだと思ってます。だから練習量ですよね。もちろん、同じデッキを使い続ければミスは減りますので、ミスをしないためのデッキ選択、というのは発生するとは思いますよ」
 
――ありがとうございます。それでは最後になりますが、全国大会への意気込みをお願いします。
 
おんそく「ここは本来、『応援してくれる人のために勝ちます!』みたいなことを言うのが正しいとは思うんですけど……」

――大丈夫ですよ。私の記事、そういうのじゃないんで。
 
おんそく「どちらかというと、今回は正直自信はないんですよね。ただ一個、目標があって。全国大会へ出場出来るルートを実績を全部埋めたいというものなんですけど」

――?????
 
おんそく「これまで全国大会への出場方法としてジャッジのエリア、ランキング、GPと来てるんですけど、まだ『前年の全国大会優勝すること』での全国大会への出場は果たせてないので……」

――え、じゃあ優勝したら「やったー!これで実績解放したー!」って喜ぶってことですか? 優勝した瞬間、頭の上にトロフィーが表示される的な……。
 
おんそく「(笑う)。いや、そうですね。“ロード”より“ルート”が欲しいので、頑張ります! うん、綺麗にまとまったかな」
 
――……ありがとうございました?


友や先輩と並び立つ景色:SON


 今年の前後期とわかれたことでランキングによる参加枠が大幅に増えており、その結果全国大会初出場のプレイヤーも多い。
 SONも、そのうちの1人だ。
 
 SONはどちらかというとカジュアル寄りにデュエマを楽しんでいるように見え、競技プレイヤーという印象はなかった。だが今回ランキングを走ることを決断し宣言すると、最後まで折れることなく完走し、見事に目標を達成した。
 
 全国初出場という人は多けれど、元より競技指向だった人も多い中で、SONは少し異質にも見える。
 
 そのため今回、SONにランキングを走った経緯や目標について訊ねてみた。
 

――お疲れ様です。SONさんってランキングを走るのもそうですが、そもそもCSに出続けるイメージがなかったんですけど、今期はどういった経緯からこのような決断をしたのでしょうか?
 
SON「そう、カードゲームはそこまでやってなかったんスけど、4~5年前から付き合いのあるるるるに、『前期で全国決めたらオレも走るわ』ってふざけて言ったら、余裕で決められて」

――え、そんな経緯だったんですか……?

SON「いえ、これにはちゃんと続きがあって。同じく付き合いの長いはるるとも相談とかしてたんスけど、はるるも全国決めたじゃないですか。で、それで考えたんスけど、全国大会にはるるるもはるるもいるんですよ。正直『仲の良い3人で一緒に出られる全国大会なんて、そうそうないな』と思ったんですよね」

――いい話だった……。
 
SON「まぁ、あれッスね。よくはるるが『誰かが行ったらオレも行くわ』って言ってたんですけど、それが本当に実現しちゃったパターンですね」
 
――ちなみにSONさんって元々は富山でしたっけ?
 
SON「そうッスね。元々は富山でカードゲームやってました。2015年? とかは【白刃鬼】とか【天門ループ】とかで遊んだり、17年にも【猿ループ】とか。ただ凄い競技的にやってたわけでもなくて、いまCOMPOFFにいるASAKURAさんと会ってからしっかりやるようになりました」

――富山から、関東に来たのはいつ頃だったんですか?
 
SON「2019年までは富山にいて、この年に大学の関係で上京しました。ただ関東に来てデュエマをしていたかというとそうではなくて、デュエマはやってないッスね。富山に帰省するタイミングでちょっと遊んでた、って感じです」

――先に挙げてもらったるるる&はるるくんと知り合ったのは、ちょうどその頃ですか?
 
SON「そうですね。CSより飲み会がいる人だったんで、飲み会に行くついでにチーム戦に出たりはしてました。2人とは知り合いの知り合いみたいな感じだったんですが、そこからの付き合いですね」

――改めて、SONさんが競技的にデュエマをするようになったのっていつ頃からでしたか?
 
SON「2022年からですね。そして今に至る、って感じです。デュエマをやってた期間はそこそこ長いスけど、プレイヤーとしてやってる期間はそんなにないですね」

――そうした中で始まったランキングでしたが、SONさんが今回ランキングで上手くいったと思うのはどのような部分でしたか?
 
SON「自分はずっと、それこそ2022年の時から《天災 デドダム》基盤のアナカラー(水闇自然)デッキを擦り続けてて。アナカラーには自信があったんですよね。そしてランキング始まった10月から12月くらいって、アナジャが最強デッキだったじゃないですか。1年以上使ってたデッキが、最強になったんですよ。かなりタイミングに恵まれたと思います」

――スタートダッシュが上手く決まったんですね。
 
SON「そうですね。10月に上手く5000ptsとか盛れました。その後魔導具が多い環境になったとき、アナジャがキツくなってきたので、そこからは【アカシックフィオナ】に持ち替えました。デッキが最強だったかというとそうではないと思いますが、ランキング上位の相手が魔導具使ってたのもありますし、関東のCS環境には上手く刺さっていましたね」

――ランキング中に苦労した点などはありましたか?
 
SON「そうですね……。自分はいま千葉に住んでるんですけど、関東の平日CSって町田とかで開催していることが多くて。それでCS参加してご飯食べて、としているうちに日を跨いでることも多くて、そこが大変でした」

――仕方ない部分はあるとは思いますが、平日CSはどうしても選べないですかね。
 
SON「自分はランキングで一番大事なのは体調管理だと感じました。後期ランキング中に体調を崩した時期があってCS出られないことも結構あったんですけど、その間にランキングを抜かれていると体調どころかメンタル的にもキツかったです」

SON「あと苦労という点では、デッキの持ち替えは失敗したなと思う部分が多かったです。CSに持ち込める練度のハードルを高く設定していたために、後期ランキング中に使えたデッキがアナジャ以外だと【アカシックフィオナ】と【火自然アポロ】だけになっちゃっていました。本当はその時に一番強いと思えるデッキや、会場を見渡して勝ちそうなデッキを選択するべきなんですけど、それが出来たのが1月に開催されたCSで【闇自然アビス】を使ったときだけでしたね。あの時は3位だったんですけど、結果は1位から3位までが全員【闇自然アビス】で、4位がマイケルさんのデアリ(闇火自然)アビスでした」

――来年以降はまたランキングのシステムも変わってきますが、SONさん自身はどうするとか、そういう部分を考えたりはしていますか?
 
SON「Runoさんとかマイケルさんとか、社会人でアベレージが高い人にチャンスが出てくるのがいいですよね。自分は週3回はCSに出られそうなので、参加しようとは思ってます。高倍率を当てれば上位も狙えるので、遠征とかもやってみたいですね。それこそ今度福岡でやるっぽいですけど、トレカフェスなんかも機会があればなるべく参加したいと思ってます」

――それでは最後に、全国大会への意気込みを教えていただけますでしょうか。
 
SON「目標だったんで、優勝して友人たちに『待ってるぞ』って伝えたいですね。優勝したら……そうですね、自分も走ったし、次は誰かを走らせようかな。でもまぁ、どうせはるるは走ると思うんで、一緒にやることになるのかも?」

SON「それともう1つ、ウチの地元にはMGRさんという全国チャンピオン(全国大会2014優勝)がいるので、勝ったら張り合おうかなと思ってます。折角なので、肩書きを背負って久々に会いたいですね」

――ありがとうございました。
 
 

歴史はヒーローを求めて:えーじ


 SONと同じく、意外という話で言えばこの人のランキング参戦も意外な印象を受けた。
 えーじは関東で長く競技生活を送っているベテランとも言えるプレイヤーであるが、どちらかと言えば好きなデッキを組んだときにCSに参加するというスタイルの人で、強いデッキで毎日CSに出るというタイプではなかった。
 
 一方でそのデッキ選択には本人らしさが感じられた。使用していたのは自身が考案した《MAX-Gジョラゴン》《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》を使用した、通称「ガリュコン」と呼ばれるデッキだった。
 
 過去にUDBに参戦していた際は、「相手の手札・マナ・場を更地にして勝ちます」という少し変わった意気込みを見せていたえーじ
 彼のデュエマ観や、ランキングへの参戦理由などについて、今回は話を聞かせてもらうことが出来た。


――今回はよろしくお願いします。こうしてお話を伺うのは初めてかもしれません。まず、えーじさんのこれまでのデュエマ人生について教えてもらってもよろしいでしょうか?
 
えーじ「デュエマを始めたのは第1弾からです。そこからデュエマ自体はずっと続けてます。CS等に出るようになったのは、2016年のドギラゴン剣が出た頃ですが、これは意図して同時なのですが、ちょうど私が『カードショップHERO』を開業したのと同時期になります」

――えーじさんと言えば私も『カードショップHERO』の印象が強いのですが、CSに出始めたのはその時期からだったんですね。これはどういった意図だったのでしょうか?
 
えーじ「『カードショップHERO』は、例えば秋葉原のような中心地にあるお店ではないですし、彼らと比べたときに資金力などで勝てるわけでもありません。お店をどうにか有名にしたいなと考えたとき、『えーじ=カードショップHERO』という等式が皆の中で成り立つように、自分が有名になるべきだなと考え、CSとかに積極的に参加したり、色んな人と交流を図るようになりました」

――そうした経緯でCS参加を始めたのは初耳でした。そうした経緯では、と言うとら少し聞こえは悪いかもしれませんが、えーじさんはその頃からCSでの結果も残していた印象があったので、もっと長く競技をやっていたものだと思ってました。
 
えーじ「自分は好きなデッキを使い続けるタイプで、珍しいデッキで入賞していたから印象に残った、ということかもしれません。ちょっと変わったランデス(マナ破壊)とかハンデスとか好きなので」

――もちろん存じております。特に自分はハンデスの印象が強いですね。CSに出るようになった経緯はわかったのですが、尚更なんですけど、ランキングを走ったというのが意外なんですが、どういった経緯があったのでしょうか?
 
えーじ「ランキングを走ろう、としていたわけではないんですよ。10月に後期のGPがありましたけど、CSに出てたのはGPの調整の意味合いだったんです。そのために10月はほぼ毎日CSに出ていたんですが、GPで負けてしまった後も何か熱が冷めなくて」

――そういうことだったんですね……。
 
えーじ「あくまでGPの調整のためだったのに、気付いたら4ヶ月でした。でも、別にランキングを走ったとは、いまでもそこまで思ってるわけでもないんですよ。周囲には『休みたいときに休んで、出たいときに出る』って言ってましたし、実際休んでます。ただ週に5~6日は出てました。いまのランキングは新しい若い子たちも多かったので、彼らとの交流も楽しかったですね」

――そして今期のえーじさんと言えば、特徴的なデッキを使用していましたよね。
 
えーじ「そうですね、《MAX-Gジョラゴン》を使ったデッキで、僕は『ガリュコン』(※)と呼んでいますが、これで12000ptsくらい、今期の大半を獲得することが出来ました」

(※《MAX-Gジョラゴン》《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》のコンボを軸とした、《メンデルスゾーン》基盤のドラゴンデッキ。最終的には《流星のガイアッシュ・カイザー》の軽減効果や、《頂上混成 ガリュディアス・モモミーズ’22》の踏み倒し効果などを使って《龍世界 ドラゴ大王》を繰り出し、ロックを決めて勝利する)

――『ガリュコン』で勝てた要因は何処にあったと思っていますか?
 
えーじ「アナジャや魔導具といったハンデスギミックのあるデッキが多かったので、そこに《爆龍覇 グレンリベット / 「爆流秘術、暴龍の大地!」》がよく刺さったり、また踏み倒し系も多かったのでそこに《流星のガイアッシュ・カイザー》が効いたり。あとは普段はハンデスのようなデッキパワーの低いデッキを使ってきたんですけど、今回はデッキもカードも強かったですね」

――一方でランキングの後半ではやや苦戦していた印象も受けましたが、どのような部分に苦労したのでしょうか?
 
えーじ「自分は4ヶ月出て4回優勝しているんですけど、決勝負けが10回?あったと思うんですよね。勝負弱さが出てしまったな、とは思ってますが、これにはちゃんと原因があると思ってます」

――原因、といいますと?
 
えーじ「自分は環境に合わせてデッキを使い分けられるプレイヤーではなく、一定のデッキを使い続けるタイプなので環境に噛み合ってるときは強いと思ってます。しかし反面、そういった環境の決勝で対戦するプレイヤーって、ちゃんと環境にあったデッキを持ち込める、強いプレイヤーなんです。特に平日の決勝は、のすけくんのような強いプレイヤーしかいません。こういう相手に対しては、オリジナルデッキでの強みというのは、活かせなかったですね」

――いわゆる『初見殺し』のようなギミックも、わかられているプレイヤーには対応されてしまう、といったようなことでしょうか?
 
えーじ「そう思ってますね」

――ありがとうございます。ところで来期からはランキングシステムに変更がありますが、えーじさんは新システムに対してどのような印象をお持ちでしょうか?
 
えーじ「そこは始まってみたいとわからない部分がありますが、自分が走ると仮定すると、最大値を狙って出続けることになるので、走り方自体は今年とあんまり変わらないのかなと思ってます。ただアベレージが高ければ通用するようになるので、それこそ社会人でもマイケルくんやRunoさんみたいなプレイヤーなら、チャンスがあると思います。今年のオチャッピィくんは……流石に例外でいいかな」

――彼は例外だと思います。
 
えーじ「それは置いておくにしても、ランキングの顔ぶれが変わるかも、って期待はありますね。社会人の強いプレイヤーたちが活躍し、全国大会へ行くのも見てみたいです」

――最後になりますが、全国大会への意気込み聴かせてください。
 
えーじ「デュエマを始めてからの22年間の集大成ですよね。自分はファンデッカーだと思っているので、全国のファンデッカー代表として頑張りたいと思ってます。環境に合わせたとかではなく、自分の使いたいデッキで勝負していこうと思います」

――……デッキ選択まで踏み込んじゃってますけど、情報とか大丈夫ですか?
 
えーじ「問題ないですよ。自分の動画とかでも言ってるので。それに、敢えてこういうことを言って本番では……という作戦かもしれませんよ?」

――なるほど……。今回はありがとうございました。
 

 今回の全国大会の出場者は計48名。そのうち、ランキングによる出場者は33名にも及ぶ。約7割のプレイヤーが、ランキングを走っていたことになる。
 来期はエリア予選の再開も決定していることもあり、今期の割合を上回ることはないだろう。
 
 ランキングを勝ち残ってきたプレイヤーが、全国大会という場所でどのようなデッキを選択し、そしてどのようなプレイを魅せるのか。最後に勝ち残るのは、果たして誰なのか。ランカーなのか、それともランカーたちを倒すプレイヤーも現れるのか。
 
 それは是非とも、当日の配信で確かめて欲しい。

プレイヤープロフィール

おんそく
 2017年度ジャッジエリア予選優勝、2018年度最終ランキング12位、2019年度GP8th優勝、DMGP2023-1stではDay1でTOP8入り。2023年度は、後期ランキングで14位と、数々の輝かしい実績を持つプレイヤー。全国大会は今年も含めて4回連続出場となり、dottoと並び最多記録。関西出身だが、現在のランキング所属は千葉県。
 イベンターとしての顔も持っており、CS主催の他、2ブロックの普及にも力を入れている。
 YOUTUBEではZweilanceチャンネルでの活躍の他、謎のアイドルキャラが人気だったり、或いは時に不評だったりもするが、そこも全て包括して、非常にプロ意識が高いプレイヤー・演者だなと(筆者は)思っている。

SON
 2023年度ランキング12位。【水闇自然ジャオウガ】と【アカシックフィオナ】を手に、ランキングを走り切って全国大会への出場を決めた。
 彼の使う水闇自然のデッキは極めて強力で、彼が最強位の練習に付き合っていた際には【水闇自然オービーメイカー】で1ターン中に3回の《キユリのASMラジオ》を撃ち、「お前とやっても練習にならない」と言わせた実績を持っている。
 元は富山のプレイヤーだが、上京以降は関東での活動を継続中。現在は千葉県ランキングに所属している。
 親しみやすい性格であり、彼を知っている人で悪く言っている人を筆者は見たことがない。
 同じく全国大会への出場を決めているるるるはるるとは特に仲良し。

えーじ
 『カードショップHERO』の経営者で、2023年度ランキングは15位。『ガリュコン』と呼ばれる《MAX-Gジョラゴン》のデッキや【フィオナアカシック】を武器に、全国大会への出場を決めた。現在のランキングの所属は茨城県。
 自身でも言うようにオリジナルのデッキを作るのが好きで、特にハンデスやランデスがお気に入り。【ドロマーハンデス】の他、『えーじランデス』と呼ばれる《龍装艦 ゴクガ・ロイザー》系のランデスデッキを使用し、結果も残していた。
 カードショップ経営以外にも、YOUTUBEの活動も行っており、そのためUDBにも出場したことがある。なおその際に使用していたのは《希望のジョー星》入りの【ジョーカーズ】であった。

PAGE TOP

TM and © 2024, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY