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全国大会2025 北海道エリア予選決勝戦:金さん vs. 赤点取る太郎

ライター:河野 真成(神結)
撮影:瀬尾 亜沙子

 今年もその時期がやってきた。エリア予選だ。
 その一発目は、やはりここ、北海道から始まる。

 昨年のエリア予選で活躍した《超重竜 ゴルファンタジスタ》《芸魔王将 カクメイジン》も、《「戦鬼」の頂天 ベートーベン》もいない。直近2年のカードで戦う「2ブロック」フォーマットにおいて、彼らももう引退したカードたちなのだ。

 代わりに2025年の2ブロックを牽引してきたのが、《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》だった。  特に夏の【ゴルギーオージャー】は、デッキの完成度・強度ともに他のデッキと比べて頭抜けていた。店舗予選でともに戦ったというプレイヤーも多いだろう。

 その後《轟く邪道 レッドゾーン》の登場によって環境に変化は生じたが、それでも【ゴルギーオージャー】は強かった。
 今大会では使用数のトップこそ譲ったものの、予選突破者数で言えば最多を誇っている。
 そして決勝まで勝ち上がった金さんが使用しているのが、その【ゴルギーオージャー】だった。

 一方、その対抗馬と言えるのが秋以降に登場した【レッドゾーン】だ。
 今大会では最多の使用人数を誇り、予選突破者数も【ゴルギーオージャー】に次いで多かった。
 そして決勝のまで勝ち上がったもう1人である赤点取る太郎が使用しているのが【レッドゾーン】……ではない。
 その【レッドゾーン】に対して3連勝して決勝まで上がってきた【火水闇アビス】だった。  アビス自体は相応に多かったものの、赤点取る太郎の構築は《片翼の魂 アビスベル》を採用したもの。このタイプは大会全体でもシェアしたハバキと2人しかおらず、そしてそもそも本戦に勝ち残ったアビスが1人しかいなかった。

 最強のデッキとして、数々の挑戦者たちと戦ってきた【ゴルギーオージャー】。対して、独自のチューンを施した【火水闇アビス】。
 構図としては、王道 vs. 邪道……と、言えるのかもしれない。
 
 さて、いよいよ決勝が始まる。
 この日の札幌の気温は1℃。それでも会場内は熱気で……と言えればよかったが、残念ながら普通に寒い。  それでも、決勝の戦いを見届けようと、プレイヤーたちが次々と集まってくる。実はこの日は、決勝のみ観戦が許されていたのだ。

 時刻は、16時少し前。
 ヘッドジャッジの山田氏が、試合開始を告げた。 先攻:金さん  金さんの初手のマナチャージは《一音の妖精》。対して赤点取る太郎《~創造、破壊、そして絶望~》を埋めてターンを終了する。
 
 初動となる2ターン目、金さん《ソウルサンライト コハク》を召喚。これに対して赤点取る太郎はちょっと悩んで《片翼の魂 アビスベル》を埋めてターンを終了。
 アビスが出された直後の《ソウルサンライト コハク》に対して出来ることが少ないのはそうだが、キーカードである《片翼の魂 アビスベル》をチャージするという、我慢のゲームだ。

赤点取る太郎《ソウルサンライト コハク》から入ったので、速いゲーム仕掛けてくるのかな、と思ったんですよね」

 対して3ターン目、、金さん《PP-「P」》を召喚してターンを終了する。この《PP-「P」》さえ通れば、大きなアドバンテージ。そのまま【ゴルギーオージャー】側がリソースで押し切る展開に近付くだろう。

 しかし、赤点取る太郎の2ターン目の我慢がここで生きた。

 実行されたカードは《虚ト成リシ古ノ蛇神ノ咆哮》。手札から《粋と雨衣 ケローラ》を捨てながら、9000以下破壊を選択。  《粋と雨衣 ケローラ》の効果と合わせて、これで2面の処理に成功した。

 互いに失った手札は2枚だが、展開としては【ゴルギーオージャー】が美味しくない。

 それでも金さんは4マナからまず《ソウルサンライト コハク》、続けて《MATATA-美吾罪261》を乗せると、シールドへと攻撃を選択。手札を全て使い切ってのプレイだった。
 そして攻撃後の効果で《MATATA-美吾罪261》の下にカードを敷くと、次のデッキトップにゲームの行方を懸けた。

 実際、構成枚数が3枚ある《MATATA-美吾罪261》が残っている以上、《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》さえ駆け付ければ、そのままゲームエンドまで行く可能性すらある。

 《ソウルサンライト コハク》に対応する手段はない。  赤点取る太郎は一旦《邪龍 ジャジーブラッド》を召喚し、墓地肥やしから追加の《邪龍 ジャジーブラッド》を回収する。
 
 恐らく、ここは互いに祈りを込めた瞬間だった。

 金さんのトップドローは……無念の《ソウルサンライト コハク》  これを場に置き、再び《MATATA-美吾罪261》を動かす。これで、カードの構成枚数は4枚となった。
 
 だが赤点取る太郎《邪龍 ジャジーブラッド》を再び召喚すると、《至高の邪騎 スベルニル》を回収。これで《MATATA-美吾罪261》を対象に。更に先のターンに出していた方の《邪龍 ジャジーブラッド》の攻撃で、G-NEOクリーチャーの解体に成功する。
 
 金さんのトップは、再びの《ソウルサンライト コハク》だった。そしてこれは、4枚目だ。
 
 赤点取る太郎《至高の魂 アビスベル=ジャシン帝》を召喚すると、《片翼の魂 アビスベル》《粋と雨衣 ケローラ》を手札から切る。このまま《片翼の魂 アビスベル》を蘇生し、更に《粋と雨衣 ケローラ》の効果で1体《ソウルサンライト コハク》を破壊する。
 
 盤面を整理しよう。赤点取る太郎の盤面には《至高の魂 アビスベル=ジャシン帝》《邪龍 ジャジーブラッド》、そして《片翼の魂 アビスベル》が構えている。

 対する金さん《ソウルサンライト コハク》のみ。

 どうやら、ゲームの決着が近づいてきたようだ。
 
 金さん《超魂設計図》《~紺碧の奇術師~》を回収すると、これをそのままNEO進化でプレイ。2ドローし、楯を1枚セットし、その後セットしたカードをそのまま手札に回収する。ようやく、手札を増やすことに成功した。
 
 だが、流石にもう遅かった。

赤点取る太郎「これは初手から持っていました。オージャーに対してはゲーム伸びたときに、これで決めることになるので」

 プレイされたのは、《邪闘 デンジャラシス》  それはシスの名に相応しい、ド派手なカードだった。
 《至高の魂 アビスベル=ジャシン帝》の効果でアンタップしながら、金さんのシールドに3点叩き込む。  ここでS・トリガーが宣言され、《ソウルスカーレット アカネ》が2枚着地するものの……《邪闘 デンジャラシス》の効果によってパワーがマイナス∞され、定着を揺るさない。
 そして《ソウルスカーレット アカネ》が2体のクリーチャーをマナに飛ばしても、アビスの攻撃は止まらない。

 《邪龍 ジャジーブラッド》が残る2枚のシールドをブレイクすると、ジャストダイバーを持つ《邪闘 デンジャラシス》を止めるものは、もう何もなかった。  それはまさに、邪道が王道を打ち破った瞬間であった。

WINNER:赤点取る太郎  勝った瞬間、大きなガッツポーズが飛び出た。

 実は昨年のリノグレに続き、旭川で活躍するプレイヤーの優勝でもあった。その優勝にはリノグレも「調整できる仲間ができた」と喜んでいた。

 2025年のエリア予選の開幕戦。
 まず勝利したのは独自の構築を練り上げてきた、“邪道”のアビスだった。

 おめでとう、赤点取る太郎

 さぁ、全国大会ではどんな道を歩くのだろう?
その選択が楽しみだ。

 金さん
 全国大会2025 北海道エリア予選
 2ブロック構築
 34 クリーチャー
4 《~時空の工兵~》
4 《ソウルサンライト コハク》
2 《一音の妖精》
3 《~紺碧の奇術師~》
3 《PP-「P」》
4 《MATATA-美吾罪261》
4 《華謡の精霊カンツォーネ》
4 《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》
2 《ソウルスカーレット アカネ》
4 《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》
 6 呪文その他
3 《超魂設計図》
3 《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》

 赤点取る太郎
 全国大会2025 北海道エリア予選
 2ブロック構築
 31 クリーチャー
4 《~創造、破壊、そして絶望~》
1 《一音の妖精》
4 《片翼の魂 アビスベル》
3 《~墓碑に刻まれし魔弾の名~》
1 《王座の精霊 ファディオアル》
4 《至高の邪騎 スベルニル》
4 《邪龍 ジャジーブラッド》
4 《粋と雨衣 ケローラ》
4 《至高の魂 アビスベル=ジャシン帝》
2 《邪闘 デンジャラシス》
 9 呪文その他
4 《虚ト成リシ古ノ蛇神ノ咆哮》
3 《邪心臓の魔法陣》
2 《深淵の逆転撃》

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