全国大会2025 東北エリア予選決勝戦:暴食 vs. さかしん
ライター:河野 真成(神結)
撮影:坂井 郁弥
この2週間、東北エリアのプレイヤーには1つの課題が与えられていた。
それは、関東で大きな結果を残した【光水闇邪眼帝】への対策である。もちろん、使うという選択肢も含めて。
結果として、東北のプレイヤーたちはこの課題を乗り越えたと思う。例えば、《喜像エル》を採用した【火水闇アビス】などは、それがどういう意図かすぐわかった。
結果として、TOP8に光水闇のデッキはなかった。
そして課題を乗り越えてきたプレイヤーたちが、これより決勝戦へと挑む。
さかしん「全後攻だったのでは?」
暴食「なんか来ちゃいました」
予選順位はさかしんが2位、対して暴食は16位。
特に暴食は、さかしんの言葉通り本戦では全て後攻ながら、二度も【レッドゾーン】に勝利し、ここまできた。
さて、ここから始まるのは、【ゴルギーオージャー】のミラー対決だった。
彼らは上記の課題に対して、「ゴルギーオージャーを強く上手く使う」という、シンプルな回答を以て結果を残したのだ。
さかしん「(握手)お願いしてもいいですか?」
そう言って、さかしんは手を差し出す。
決着は、カードが10枚重なった時に。2025年12月7日16時。決勝戦が始まった。
先攻:さかしん
握手を終え、試合が開始される。先攻のさかしんは、まず2ターン目の《超魂設計図》からスタート。フュージョナーはなかったものの、《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》を回収してターンを終える。
対して暴食は《ソウルサンライト コハク》からのスタート。
3ターン目のさかしんは《ソウルサンライト コハク》を召喚すると、そのまま《~時空の工兵~》へと進化。これによって、次のターンまで離れない《~時空の工兵~》が出来上がる。
ターン終了時、《華謡の精霊カンツォーネ》が下に入ってこれで3枚となる。
続くターンに、《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》から《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》などと繋がれば、5マナブーストからそのまま勝ちまでありうる。
暴食としても、ミラーである以上は先にこうした展開を作られるのも仕方がない。
返しのターン、暴食がプレイしたのは《PP-「P」》。これで一旦、《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》の着地を咎める。
「そっか……」
ドローを見て、さかしんの動きが止まる。
実のところ、《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》のミラー勝負ではあるが、互いにリストは異なっている。この《PP-「P」》について、さかしんは採用していない。
この《PP-「P」》にどう対処するか。
仮に《華謡の精霊カンツォーネ》で《PP-「P」》を処理しても、返しに暴食が《華謡の精霊カンツォーネ》を引けていると、こちらの《~時空の工兵~》が処理されることになる。こうなると、暴食は《ソウルサンライト コハク》が入った《華謡の精霊カンツォーネ》が残る一方で、手札が1枚少ないさかしんはリソース面で不安が残る。
そこでさかしんの選択は、現状で手札に余りそうな《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》を埋めると、《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》をプレイ。ドローとマナをアンタップ。
そしてこのドローで引いてきたのが、《USHI和歌轟-8》だった。
《USHI和歌轟-8》自体は両者ともに採用しているカードだが、暴食が1枚に対してさかしん3枚採用していたのだ。これは、直前の関東エリアの結果を踏まえてのものだった。
関東で結果を残した【光水闇邪眼帝】は、【ゴルギーオージャー】が3枚程度カードを積み重ねたところに対して《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》で「9」を宣言することでフィニッシュを拒否し、その次のターンの《真気楼と誠偽感の決断》で棒立ちになっているNEOクリーチャーを楯に埋めてしまうという方法で対策をしていた。
その「対策の対策」として採用されたのが、《USHI和歌轟-8》だったのである。途中まで建設していたNEO進化クリーチャーの束をマナに逃がすことで、大量のマナに変換するのである。
もちろんこれは同型の《華謡の精霊カンツォーネ》に対しても有効となる。
さかしんは《USHI和歌轟-8》を《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》の上に進化させると、自身をマナに送る選択をする。これで一気に5マナブーストを達成し、9マナに。
《華謡の精霊カンツォーネ》の脅威から逃れただけでなく、《PP-「P」》をも無力化したのだ。
しかも、《USHI和歌轟-8》で飛ばしたクリーチャーはアンタップインでマナに入る。
こうして浮いたマナから、そのまま《超魂設計図》へと繋げる。
しかしさかしんは、ここで再び手を止めた。
フュージョナーが捲れなかったのもそうなのだが、《MATATA-美吾罪261》と《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》の二択が、さかしんを悩ませる。
この《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》は2枚目であり、出来れば持ちたい。
しかし、《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》を回収してしまうと、《PP-「P」》の効果が起動する。
仮にそうなると、返しの暴食は5マナ。
《ソウルサンライト コハク》もいる以上、1コスト進化→《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》→《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》などの展開が生じ、そのまま敗北とまではいかなくとも、《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》で回収された《ソウルサンライト コハク》+《一音の妖精》などを通されてしまったら、それはそれで負けだ。
最終的に、さかしんは《MATATA-美吾罪261》の回収を選択する。これをそのまま召喚すると、《ソウルサンライト コハク》に攻撃してこれを破壊する。
だが攻撃のあとのマナブースト効果で、3枚目の《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》がマナへと落ちる。これには表情を曇らせるさかしん。
さらに不運なことにこの《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》の行方は全て暴食からも確認できる場所にある。
もちろん残るさかしんの1枚の手札にそれが隠れている可能性があるが、先の《超魂設計図》の考慮時間を考えると、ほぼないだろう。
いずれにせよ、未公開の17枚のうちの何処かに眠る最後の《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》に辿り着かない限り、さかしんの勝利はない。
ひとまず《MATATA-美吾罪261》の下に《ソウルサンライト コハク》を敷くと、ターンを返した。
暴食はこの状況に対して、自身も《MATATA-美吾罪261》を進化で召喚すると、さかしんの《MATATA-美吾罪261》に突撃。互いにG-NEOクリーチャーのルールで耐えると、マナブーストから《六番龍 シックスフォール Par滝》を下に敷いて終了する。さかしんにターンが戻ってきた。
マナは10。だが盤面は進化元を失った《MATATA-美吾罪261》に、手札は《一音の妖精》の1枚のみ。
まずは、ドロー。《~紺碧の奇術師~》。
少考の後、さかしんは決断した。やるしかない。
まずは2マナで《一音の妖精》を《MATATA-美吾罪261》の上に召喚すると、続けて《~紺碧の奇術師~》へと進化。2ドロー。《MATATA-美吾罪261》に《華謡の精霊カンツォーネ》。
いや、違う。これではない。1枚をシールドゾーンへと置き、まだ見ぬシールドに活路を求める。回収。《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》。
まだだ、まだ終わらない。
そのまま4マナ捻って《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》を召喚し、2ドロー。
結果は……。
そう、お前だ!引き込んだのは、最後の1枚だった《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》!
思わず、本人も驚いた。
もちろん、そのままプレイする。5マナブースト。元より、マナは潤沢にある。《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》を2枚と、《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》を回収する。
あとは、順にプレイしていけばいい。
《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》、《~紺碧の奇術師~》、《観覧!ホールインランド・ヘラクレス》、《~時空の工兵~》……そして最後に、《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》。
それは、勝利を告げる合体の指令。
さかしんの攻撃宣言が、東北エリア120名の戦いに終止符を打った。
WINNER:さかしんさかしんのXのプロフィールにはこんな言葉が書かれている。
「2ブロ専業」
東北は、決して2ブロックCSに恵まれた土地ではない。調べてみると、東北地方の今年度は2ブロックのCS開催はわずかに2回。さかしんのいる山形県では、開催がなかった。
だがそのような状況であったとしても、さかしんは2ブロックプレイヤーだった。
ずっと2ブロックを楽しんできたプレイヤーがエリア予選で勝利を果たすというのは、何物にも代え難い誉れだろう。
……その余波で、会場に優勝トロフィーを置き忘れてしまったようだが。
全国大会2025東北エリア。
制したのは2025年の2ブロックを象徴するデッキと、2ブロックプレイヤーであり続けた1人の男だった。
おめでとう、さかしん!
©ANYCOLOR, Inc.
TM and © 2026, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY










