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全国大会2018 北海道エリア予選 準々決勝:CA(北海道) vs. まりんか(北海道)

 2年前、北海道の地でとある一つの伝説が誕生した。

 デュエル・マスターズ全国大会2015 (デュエルマ・スターカップ) の北海道エリア予選、その決勝戦で前年の突破者である「。りゅう。」を倒して日本一決定戦への切符を掴んだルーキーが、翌年デュエル・マスターズ全国大会2016 (革命ファイナルカップ) のエリア予選でも見事優勝を果たし、同一地区で2年連続でのエリア予選優勝という快挙を果たしたのだ。

CA「1枚多いからアドw」

 2年連続で北海道のエリア予選を突破し、生ける伝説となったその男。もはやルーキーといった趣は消え去り、白縁メガネがすっかりトレードマークとなった「クリップアート」ことCAは、対戦相手にシャッフルしてもらうために己のデッキを差し出す際に、超次元ゾーンに1枚だけ差した《》を見せながらそう言った。

 日本一に懸ける思いがある。2015年2016年と北海道エリアの代表として出場した二度の日本一決定戦で、CAはトロフィーを北海道に持ち帰ることができなかった。そして昨年、2017年のエリア予選では、日本一決定戦のインタビューで「3度目はないと思いながらがんばります」と語っていたのがフラグだったか、ついに無念の予選敗退を喫してしまう。

 だが、CAは再び帰ってきた。3度目の日本一決定戦に出場するために……否、それだけではない。今度こそ北海道に、悲願の優勝トロフィーを持ち帰るために。

 トップデッキした《メガ・マグマ・ドラゴン》を叩きつけた、伝説の始まりから3年。誰よりも全国を知る男が、今年も出場権まであと3勝というところまで勝ち上がってきた。


 そんなCAの準々決勝の対戦相手はしかし、今大会屈指の強敵と言っても過言ではなかった。

 デュエル・マスターズ全国大会2017……つまり昨年の全国大会で、予選落ちしたCAを尻目に北海道エリア代表の座を勝ち取ったまりんかが、今年もここまで勝ち上がっていたのだ。

 日本一に懸ける思いがある。昨年の日本一決定戦では、わずかに決勝進出の可能性を残した予選最終戦で引き分けてしまい、決勝進出が叶わなかった。dottoちゃそが戦った決勝戦の舞台に、なぜ自分は立てなかったのか。その答えを求めて、まりんかは2年連続の出場権獲得を目指す。

CA「厚さが全然違うね」

 2人が広げたプレイマットは、どちらも日本一決定戦に出場した証……CAが革命ファイナルカップのものなのに対し、まりんかはデュエル・マスターズ全国大会2017のもの。そしてそれはそのまま、挑んで届かなかった証でもある。

 このマットを更新して、そして今度こそトロフィーを。戦いに際して2人が期する思いは、どこまでも共通していた。

 ……ふぅー……と。

 シャッフルを終え、シールドと手札を並び終えた2人が同時に、深く息を吐く。

 逸りを抑えるように。猛りを鎮めるように。読み間違いは許されない、どこまでも冷静であれと……なぜなら、このエリア予選を抜けるにあたって最も大きな障害がここだろうからと。

 けれど、それでも勝つのはオレだと。そんな2人の胸中が、伝わってくるようだった。

 やがてアナウンスが流れ。

 CAとまりんか……日本一決定戦を経験した者同士の、準々決勝が始まった。
先攻:CA

 先攻のCAが《“乱振”舞神 G・W・D》《南海の捜索者 モルガラ/トリプル・ブレイン》とチャージしたのに対し、まりんかは《終末の時計 ザ・クロック》2枚をチャージして《異端流し オニカマス》を送り出す。CAも遅れて《終末の時計 ザ・クロック》チャージから《異端流し オニカマス》を合わせ、対面の構図が明確になる。

 『赤青覇道』の同型戦。今回の2ブロック環境におけるトップメタデッキ同士の対決……もっとも、まりんかが使っているそれは通常のテンプレートリストとはかなり異なってはいたが……いずれにせよ、ここにおける焦点はハッキリしていた。3ターン目までにお互いが《異端流し オニカマス》を出して《“必駆”蛮触礼亞》《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》というイージーなルートが封じられた以上、勝負を決するのは通常展開の打点。そして何より、《終末の時計 ザ・クロック》を踏むかどうか。

 後手3ターン目のまりんかは計算を始める。通常展開の打点でどうやって5枚のシールドを割りきり、ダイレクトアタックまで持ち込むのか……そして考えた末、《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》をチャージから≪南海の捜索者 モルガラ≫を召喚。これに対してCAは《ポクチンちん》チャージからの《ドンドン吸い込むナウ》《“乱振”舞神 G・W・D》を公開し、≪南海の捜索者 モルガラ≫を一旦手札に返してターンエンド。

まりんか「手札が今3枚?」

CA「3枚」

 まりんかは《“乱振”舞神 G・W・D》チャージから≪南海の捜索者 モルガラ≫を再び出し直す。積極的に楯を割り合うこの対面で≪トリプル・ブレイン≫までキープする余裕はない。何よりCAがそれを許さないだろう、と言わんばかりに。
 そして、まりんかのその予想は的中する。《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》をチャージしたCAが召喚したのは、≪ゴリガン砕車 ゴルドーザ≫。すぐさま楯を割りにいき、この対戦で最初のシールドブレイクが行われる。

CA「一番下」

 少しずつ重なった楯の一番端を指定すると、S・トリガーはない。さらに2回目のアタックをどうするか悩むCAだが、《終末の時計 ザ・クロック》を踏むなら早いうちにと意を決して攻撃。

CA「一番上で」

 シールドはどれも非公開情報であることに変わりはないが、選ぶのは自分の意思だ。結果ここでもS・トリガーはなく、無事にまりんかのシールドを残り3枚としてターンエンド。
 まりんかも《南海の捜索者 モルガラ/トリプル・ブレイン》をチャージすると、一手遅れで≪ゴリガン砕車 ゴルドーザ≫。一度目の攻撃はシールドに行き……S・トリガーはなし。続いて≪南海の捜索者 モルガラ≫でシールドに攻撃……これも通る。ならばと最後に≪ゴリガン砕車 ゴルドーザ≫同士が相打ちに。

CA≪ダイナマウス・スクラッパー≫は……破壊で」

 CAが「ラスト・バースト」でまりんかの≪南海の捜索者 モルガラ≫を破壊すると、こちらも「ラスト・バースト」で≪トリプル・ブレイン≫が発動。盤面はお互いにシールド3枚、《異端流し オニカマス》同士が睨みをきかせるという五分の状態にまで戻る。続けてまりんかは《異端流し オニカマス》で攻撃をするか考えるが、攻撃はさせずにターンを返す。  同型戦である以上、ここまでは互いにとって当然に予想されたゲーム展開だった。シールドを割り合い、そして先に詰めろをかける先手側の攻撃を、後手側がS・トリガーで返せるかどうか。だが最後の2枚のシールドを割るときには《異端流し オニカマス》が控えているのが通常であるため、《終末の時計 ザ・クロック》か精々《ゼンメツー・スクラッパー》くらいでしか返せない。

 したがってどこまで行っても、先に仕掛けた方が有利であると……まして、まりんかのマナゾーンには《終末の時計 ザ・クロック》が既に2枚も見えているのだ……CAはそう考えた。《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》をチャージすると、6マナから《“乱振”舞神 G・W・D》を通常召喚して、まりんかのシールドをさらにブレイクしにいく。

 《終末の時計 ザ・クロック》《ゼンメツー・スクラッパー》を踏まなければ致命傷はない。仮に《ドンドン吸い込むナウ》でも、《異端流し オニカマス》が立っていれば返しで致死打点は組めない……同型戦である以上、それは正しい判断と言えた。

 それが本当に同型戦だったのなら。(・・・・・・・・・・・・・・・・)
 だが、まりんかが公開したS・トリガーは《崇高なる智略 オクトーパ》!CAの予想外の角度で、返しの打点が増えてしまう。

CA「……強いなー……」

 そしてこの時点で、まりんかの側は先に仕掛けの準備が整った。すなわち、《“必駆”蛮触礼亞》からの《“轟轟轟”ブランド》

まりんか「全部捨てます。《異端流し オニカマス》で戻しますか?」

CA「……何もしません」

 《異端流し オニカマス》に対する抜け道。《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》は8マナ溜めるまで使えないお荷物になるが、《“必駆”蛮触礼亞》にはもう一つの使い道がある。《“轟轟轟”ブランド》を出して手札をすべて捨てれば、手札に戻されても「マスターG・G・G」で再召喚できるため、戻す意味がなくなるのだ。

 CAのシールドは3枚。《“轟轟轟”ブランド》《崇高なる智略 オクトーパ》《異端流し オニカマス》でぴったり致死打点。

 W・ブレイク。シングルブレイク。

 そしてそこにS・トリガーは、1枚たりとも埋まっていなかったのだった。
Winner: まりんか


CA「あー……負けたー!!これ (《崇高なる智略 オクトーパ》) だわ完全に……それは頭に入れてなかった……」

 そう言いながら、まりんかの残り2枚のシールドをめくるCA。そこにあったのは《異端流し オニカマス》《ゴリガン砕車 ゴルドーザ/ダイナマウス・スクラッパー》で、他にS・トリガーはなかった。

 ただ1枚だけ埋まっていたS・トリガー。それが打点となるカードだったことが、後手のまりんかが差しきるための材料となった。

まりんか 《終末の時計 ザ・クロック》は2枚見えてたからね。《ドンドン吸い込むナウ》はみんな計算するけど……」

 しかし、それもまりんかの計算のうちだった。まりんかが持ち込んだ『赤青覇道』は、正確には『赤青白覇道』で、なんと《ドラゴンズ・サイン》《煌龍 サッヴァーク》が4枚ずつ搭載されたいわば『カウンター覇道』だったのだ。

 《ドンドン吸い込むナウ》をあえて抜き、《終末の時計 ザ・クロック》《ドラゴンズ・サイン》《崇高なる智略 オクトーパ》と合わせて10枚の打点トリガーを搭載した構成は、「《終末の時計 ザ・クロック》以外は大したことは起こらないだろう」と高をくくった相手に対して痛烈なしっぺ返しを食らわせることができるようになっている。『赤青覇道』同型戦のゲーム展開を見越したまりんかのデッキ構築が、紙一重で勝負の明暗を分けた形となった。

CA「あー、負けちゃったな。3回目の出場を目指してたのに……まあ、しょうがねーか。負けは負けだ」

 置いたマナと手札、そしてシールドに埋まっていたカード。それらを並べなおして、CAは勝ちの目があったかどうかを検討する。常に敗北から何かを学ぶ姿勢が、CAをここまで強くした。それも再び日本一決定戦に出場して、今度こそ成果を残すためだ。

まりんか「こっちも連覇がかかってるんで……」

CA「そうだな。次がんばってー」

 思いは託した。同じ悔しさを味わったまりんかなら、CAの無念を誰よりも理解できる。どうしても勝ちたかった……けれどももし負けるとしたら、まりんか以上に相応しい相手はいないことだろう。

 それでも。

CA「まーたあそこ、行きたいんだよな……」

まりんか「忘れ物、拾いに行かなくちゃいけないから」

CA「それなー。俺も悔しい思いしてるから……代わりに拾ってきてくれ」

 3回目の出場がかなったなら、どんなにか素敵だったことだろう。

 CAは独り言ちることを止められなかった。大きなものを目前で逃したやるせなさは、空虚な呟きとなってCAの口から零れ続けた。

CA《》のお守りが効かなかったな……」

 いつまでも。

CA「あー、悔しい……」

 そう、いつまでも。
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