全国大会2025 北海道エリア予選:メタゲームブレイクダウン
ライター:塚本 樹詩
エリア予選突破からの全国大会優勝という偉業を成し遂げたリノグレ。そんな印象深い出来事をなぞるように、今年もこの地から新たなスターが生まれるのか?
ということで昨年同様、2ブロックフォーマットでのエリア予選一発目となった北海道大会。
まずは参加者61名位のデッキ分布を確認していく。
全プレイヤーデッキ分布
17 【火闇自然レッドゾーン】10 【アビス】
9 【光水自然ゴルギーオージャー】
7 【4cジャオウガ】(トリガー・ビート)
6 【マガルセカイ】
12 その他
(内訳:4名【光水カオスマントラビスマルク】2名【プレジール】2名【火光自然御代紅海】2名【光水自然アルファディオス】1名【光水闇DARK MEMORY CONTAINER】1名【4c片翼NEOクリーチャー】)
というような分布になった。
最大勢力は【火闇自然レッドゾーン】となりそれを【アビス】と【光水自然ゴルギーオージャー】が追いかける形となった。
さらにそこからTOP16へ進出したのは以下のアーキタイプとなり、
TOP16進出アーキタイプ
7 【ゴルギーオージャー】5 【火闇自然バイク】
1 【4cジャオウガ】
1 【マガルセカイ】
1 【アビス】
1 その他(【光水自然アルファディオス】)
今回の環境の正解は【光水自然ゴルギーオージャー】のように見えたが、優勝したのは赤点取る太郎が使用した【アビス】となった。
ここで、今大会以前のメタゲームの遍歴をおさらいしておくと、店舗予選開始当初から【光水自然ゴルギーオージャー】の一強環境が続き、そこから9月20日に新弾である『邪神vs時皇~ビヨンド・ザ・タイム~』が発売されると【光水自然ゴルギーオージャー】にも相性の良いとされている【火闇自然レッドゾーン】が覇権を奪い、それに対して受け札満載の【4cジャオウガ】が誕生したという経緯となる。
しかし、エクストラウインによる勝利で受けの構造を無視できる【光水自然ゴルギーオージャー】は【4cジャオウガ】には相性が非常によく、メタゲームは【火闇自然レッドゾーン】を含むこの3つのアーキタイプのいたちごっことなっていたのだが、マークの薄かった【アビス】が優勝をかっさらう形となったので、3つのアーキタイプを前提に【アビス】に対してどこまで意識していくかが、今後の攻略の鍵となりそうである。
最後に各アーキタイプの解説と、デッキ相性、そしてプレイヤーたちのアプローチを確認してみよう。
【火闇自然レッドゾーン】
|
ぽんで 全国大会2025 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
|
|
様々なアプローチがあった中で一番順位の高かったぽんでのリストを見てみると、マナカーブを意識しつつも、どの相手に対しても裏目の少ない《PP-「P」》《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》がしっかり採用されていて、オーソドックスながらマナカーブと先攻の強さを意識した構成となっているのがわかる。
またG-NEOクリーチャーが強い環境ということもあって《深淵の逆転撃》が採用されている点にも注目だ。
また、特徴的なリストとしてえむつーの構築を見てみよう。
|
えむつー 全国大会2025 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
|
|
同型に対してはマッハファイターの採用が効果的ということもあって《MATATA-美吾罪261》が採用されていて、加えて攻守ともに役立つ《シェル・アルカザール》の採用も含めると序盤のやり取りが重要な環境ということもわかる。
もう一つの大きな特徴として《~墓碑に刻まれし魔弾の名~》《堕チシ八叉ノ蛇神》といったデッキにマッチした手札破壊が厚めに採用されているので、多色前提かつ、シナジー重視の戦略に対しては興味深いアプローチといえるだろう。
【アビス】
自然文明の要素としては《堕チシ八叉ノ蛇神》《邪心臓の魔法陣》《究極の虚 ジャシン=ヴリドガルド》となっているが、《堕チシ八叉ノ蛇神》をしっかりプレイしたいかどうかでアプローチが変化しているようなので、純正3色に《堕チシ八叉ノ蛇神》だけタッチされている純正に近い構成もいるなど、多岐にわたる構築の差異がみられるアーキタイプとなっていた。
|
赤点取る太郎 全国大会2025 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
|
|
優勝した赤点取る太郎の構築では前述の通り《片翼の魂 アビスベル》を採用した形となっているが環境の速度を鑑みて《炎氷渦と鎮魂禍の決断》を不採用にしている点も大きな特徴となっているのがわかる。
墓地のリソースを増やしやすいアーキタイプなので最終的には《片翼の魂 アビスベル》を活かして《一音の妖精》までアクセスできそうなところも構築の良さが光っていると感じたので、優勝者インタビューを含め決勝のカバレージも確認しておくのを忘れないように!
【火闇自然レッドゾーン】の欄でも触れたが、序盤のやり取りが大事な環境ということもあって、どのデッキも非アビスのカードながら《粋と雨衣 ケローラ》がしっかり採用されいるので、このカードをうまく使うことを意識するのまた、このアーキタイプを使う上で重要な要素ということが伺える。
【光水自然ゴルギーオージャー】
|
ポアネ 全国大会2025 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
|
|
その中でも、DMGP2025-2ndのDay1アドバンスにて注目株となっていた【Drache der’Bande】に《葉鳴妖精ハキリ》を採用することでこのアーキタイプの基礎を築いたポアネが使用したリストは完成度が高く、ドロー札を厚めに取ることで再現性とリカバリーに特化した構築は今後の指針になりそうな強さを見せていた。
|
金さん 全国大会2025 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
|
|
一方、準優勝した金さんを含む複数名のプレイヤーが《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》を採用していたので、《一音の妖精》や《魔誕の封殺ディアス Z》といった対策が難しいカードに対してはスロットを割いて対応するのも効果的ということがわかる。
【4cジャオウガ】
|
霧隠 全国大会2025 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
|
|
今大会では【光水自然ゴルギーオージャー】が勝ち頭となり、その余波をモロに受けると形となってしまったが全体分布だけを見れば【火闇自然レッドゾーン】が最大勢力だったので、選択自体は悪くなかったと思える。
このままメタゲームが維持されるのであれば同型を意識してフィニッシャー枠として《轟く邪道 レッドゾーン》を追加し、受けデッキでありながらも序盤も意識して《~王家の御曹司~》や《魔誕翔天マルピア》といった低コスト域のS・トリガーもしっかり採用した霧隠のリストが環境にマッチしたように見えた。
メタゲームの産物ともいえるアーキタイプなので、今後【光水自然ゴルギーオージャー】に対してどういった対応を見せるか、といった課題をどうクリアするかが攻略の鍵となっている。
【ARC REALITY COMPLEX】
|
neo-Buster 全国大会2025 北海道エリア予選 2ブロック構築 |
|
|
その中で予選ラウンドを1位で通過したneo-Busterのリストでは9コストの枠として《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》が採用されたパワフルな構築となっていた。
【4cジャオウガ】に不利なアーキタイプとされているが、今大会の結果を受けメタゲームが推移していくのであれば【アビス】のようにガードが下がって、立ち位置が良くなるという未来も見えるので、今後一番伸びしろのあるアーキタイプかもしれない。
おわりに
以上が2ブロックの伝統ともいえる受けデッキの誕生から、メタゲームがどう変化したか伺えた北海道エリア予選のメタゲームブレイクダウンとなる。エリア予選一発目ながら【火闇自然レッドゾーン】【4cジャオウガ】【光水自然ゴルギーオージャー】の三すくみの均衡を【アビス】が崩すという波乱の展開により、次回はこの四強環境を前提にメタゲーム動くことになるので、この記事が今度のエリア予選の攻略の材料になれば幸いだ。
加えて、現地で各アーキタイプの解説のためのインタビューに協力してくれた多くのプレイヤーに多大な感謝するとともに、来年のエリア予選で活躍を祈るばかりである。
©ANYCOLOR, Inc.
TM and © 2025, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY










