全国大会2025 エリア予選ジャッジ大会:メタゲームブレイクダウン
ライター:澁谷 直也(シオン)
約半年間を通して開催されてきた全国大会2025のエリア予選もこのジャッジ大会で幕を下ろす。ジャッジ大会は今年度開催されてきた公式大会を影で支え、栄光ある選手たちを見送ってきた、デュエル・マスターズを愛する者たちによる大会だ。
参加者の多くは選手を本業としていないわけだが、一般的に考えるならば1つの環境においてより多くの時間が経過するほど、ユーザーはカードの性質やシナジーを理解し、デッキの無駄は削がれ、研ぎ澄まされていくものだ。
故に、本大会は王道篇と王道Wで構成される2ブロックで、最も洗練された大会であったといえるだろう。
まずは、その研ぎ澄まされたメタゲームでのデッキ分布を見てみよう。
参加者デッキ分布
76【光水自然ゴルギーオージャー】25【ゴルギーネクスト】
18【火闇自然レッドゾーン】
6【4cアビス】
6【4c創世竜】
5【火闇自然デーモン・コマンド】
3【光水闇シーザー】
2【光水闇神帝】
1【光水自然神帝】
1【火光自然御代紅海】
1【火水闇覇覇覇ジャオウガ】
1【光水闇ゼンアク】
1【闇単ファウン=テイン】
1【GG&GT】
1【火闇自然ブラックルシファー】
1【トリガービート】
TOP16デッキ分布
5【光水自然ゴルギーオージャー】5【ゴルギーネクスト】
3【火闇自然レッドゾーン】
2【4cアビス】
1【GG&GT】


最も使用者が多かったのは、登場以来2ブロック環境を席巻してきた【光水自然ゴルギーオージャー】だ。1つのアーキタイプが過半数を占めるのは異常にも思えるが、直近までのエリア予選の結果を鑑みれば当然の数値と言えるだろう。
【光水自然ゴルギーオージャー】のエリア予選での優勝数は6、ブロックを分けて考えれば開催数は12。《大集合!アカネ&アサギ&コハク》の登場前からカウントしても半数を勝ち切ったこととなる。
この結果を見て、【光水自然ゴルギーオージャー】のパワーを疑うものはいないだろう。それが、この76という数字に表れている。疑うまでもなく大半の参加者がこのデッキを選択する。
それほどに【光水自然ゴルギーオージャー】は強かった。
強すぎたのだ。
4cアビス
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柑橘 全国大会2025 エリア予選ジャッジ大会 2ブロック構築 |
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しかし、優勝は新アーキタイプ【4cアビス】、この結果を誰が予想できただろうか。
《大集合!アカネ&アサギ&コハク》を得て、完全体となった【光水自然ゴルギーオージャー】。前述のとおり、【光水自然ゴルギーオージャー】の強さは圧倒的だった。そして、他のデッキを使うという選択肢さえも消してしまう。それほどに強かった。強すぎた。
だから、負けた。
【4cアビス】は【光水自然ゴルギーオージャー】に勝つためのデッキだ。
この【4cアビス】の着想は関西エリア予選Aブロックを惜しくも準優勝で終えた、表サイバー龍のデッキからだという。
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表サイバー龍 全国大会2025 関西エリア予選 2ブロック構築 |
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《魔誕の封殺ディアス Z》+《アビスラブ=ジャシン帝》のパッケージで、【光水自然ゴルギーオージャー】の《ソウルサンライト コハク》を「深淵送り」にするというアイデアだ。


【光水自然ゴルギーオージャー】はデッキの根本として、「クリーチャーが残ってターンが返ってくる」ことを想定されている。《アビスラブ=ジャシン帝》はその根本を否定してしまうのだから、為す術がない。
もちろん、ユーザーの多くは同様に《アビスラブ=ジャシン帝》を【光水自然ゴルギーオージャー】を相手に試したことだろう。だが、それだけでは《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》を崩すには至らなかった。
対して、柑橘の【4cアビス】は《轟く邪道 レッドゾーン》が抜け、そこに《至高の魂 アビスベル=ジャシン帝》をはじめとしたアビス戦略が加えられている。異なった材料で、オリジナルの《魔誕の封殺ディアス Z》+《アビスラブ=ジャシン帝》を表現してみせたのだ。

水文明を取り入れることで、《アビスラブ=ジャシン帝》を手出しできるようになるだけでなく、中盤の《ヨビニオン・マルル》+《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》や《堕チシ八叉ノ蛇神》ともシナジーし、アンタップ効果でフィニッシャーとしても運用できる。
そして、それらを構成するほとんどのカードが【光水自然ゴルギーオージャー】に対して有効に作用する。
メタゲームを読み切り、このデッキを磨き上げた選手たちに称賛を送りたい。
振り返ってみると、今年度の2ブロックはエリア予選の影響で《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》で始まったイメージが強い。だが、2ブロックの始まりは《至高の魂 アビスベル=ジャシン帝》だったはずだ。
《至高の魂 アビスベル=ジャシン帝》に始まり、《堕チシ八叉ノ蛇神》、《究極の魔誕》を経て、《アビスラブ=ジャシン帝》で終わる。まさに王道Wの1年を象徴するデッキが、最後に【光水自然ゴルギーオージャー】の王座を陥落させたのだ。
光水自然ゴルギーオージャー
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あばばば 全国大会2025 エリア予選ジャッジ大会 2ブロック構築 |
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関西エリア予選を優勝したdottoの構築を参考に、《クルトの天宝》を採用した【光水自然ゴルギーオージャー】が多く見られた。

全体を通して、大きな変化が見られた構築は見受けられず、すでに完成されたデッキであったことが分かる。
76名のうち、予選を突破したのは5名。
過半数以上が使用者であったことを考えると、少ない数値とも感じられる。先ほどの【4cアビス】を含め、追い風の環境ではなかったといえる。
デッキパワーは十二分。しかし、ほぼ確実に【光水自然ゴルギーオージャー】を仮想敵に定めたデッキと対戦することになる。言うまでもないが、【光水自然ゴルギーオージャー】に不利なデッキを持ち込むプレイヤーなどゼロに等しい。
よって、【光水自然ゴルギーオージャー】はデッキだけの相性でみれば、常に五分か微不利の対戦を要求されることになる。
それでも予選を通過した5名の選手たちは、優れた【光水自然ゴルギーオージャー】の使い手であったに違いない。
ゴルギーネクスト
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箱ペン 全国大会2025 エリア予選ジャッジ大会 2ブロック構築 |
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こちらも【光水自然ゴルギーオージャー】と同じく、光水自然を基盤としたアーキタイプだ。《大集合!アカネ&アサギ&コハク》の登場で、《創世竜 ゴルギーネクスト》のバリューが大幅に上昇し、数を増やした。
ここで少し余談だが、本大会における《大集合!アカネ&アサギ&コハク》の採用者はなんと108名。当然のように合計採用枚数は432枚だ。本大会では物理的にも大集合!が見られたわけだ。

本題の【ゴルギーネクスト】のメタゲームの立ち位置はというと、そう悪くなかったように思える。
並大抵の【光水自然ゴルギーオージャー】には五分以上の戦いが見込めるだろうし、【火闇自然レッドゾーン】とその他のアグレッシブなデッキにも先手の押しつけと《ウルの天宝》による強烈なカウンターで対応できる。
結果としても予選上がりは5名と、使用者比率ではかなり高い値だ。
《創世竜 ゴルギーネクスト》の性質上、デッキリストは個性的なものも多い。中でも印象的であったのは《LOVE&ABYSS》入りの構築だ。

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ほむたろう 全国大会2025 エリア予選ジャッジ大会 2ブロック構築 |
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2名を除き、ほとんどの使用者は《創世竜 ゴルギーネクスト》をリソース&メタクリーチャーとして使用しており、内包する《ホーガン・ブラスター》、いわゆるガチャの機能は捨てていた。
ほむたろうはそこに注目し、《LOVE&ABYSS》を投入することで、《創世竜 ゴルギーネクスト》のテキストを120%引き出し、デッキの最大出力を上げた形を作り上げている。
当然、《創世竜 ゴルギーネクスト》への依存度が高くなってしまうだろうが、この構築の素晴らしいポイントは《「K」-9+9+9》の採用だ。マナを増やし、《LOVE&ABYSS》を手札から打ち込むルートを増やすことで、《創世竜 ゴルギーネクスト》への依存度を軽減させている。
本大会では栄光を掴むには至らなかったものの、こうしたアプローチの蓄積が、時に【4cアビス】のような結果を生み出すのだろう。
火闇自然レッドゾーン
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machi 全国大会2025 エリア予選ジャッジ大会 2ブロック構築 |
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【火闇自然レッドゾーン】はエリア予選の前半で最上位に位置していたものの、《大集合!アカネ&アサギ&コハク》の到来で、押し寄せる「光水自然文明」の波にのまれてしまったアーキタイプだ。
直近のエリア予選でも、数多くのプレイヤーが試行錯誤を繰り返しては【光水自然ゴルギーオージャー】に挑み、そして、屍となっていった。
だが、あまたの屍を乗り越えて、勝てる。それこそがメタゲームの面白さなのだ。
《大集合!アカネ&アサギ&コハク》到来前のデッキを見てみると、カードとしては《深淵の逆転撃》、デッキとしては関東エリアを優勝したみれうの【トリガービート】を筆頭に、【火闇自然レッドゾーン】に対してカウンターを狙うデッキが存在していた。

本大会ではどうだろうか、全体で《深淵の逆転撃》はわずかに使用者2名計4枚、カウンターを狙うデッキもわずか10名に満たない程度だ。
確実に【火闇自然レッドゾーン】に対するガードは下がっている。
もちろん、光水自然主軸のデッキはシンプルに強化されているため、立ち位置が良くなったとまでは言わない。
しかし、先攻3ターン目の《轟く邪道 レッドゾーン》を受け止められるデッキがそう多くなかったであろうことは確かである。

「GG」&「GT」
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Fei 全国大会2025 エリア予選ジャッジ大会 2ブロック構築 |
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【4cアビス】に続き、こちらも新しいアーキタイプだ。《ヨビニオン・マルル》から《PP-「P」》を呼び出し、増えたマナで《「GG」-001》に繋げる。ゴールは非常にシンプルだ。


メタゲームとしては、【光水自然ゴルギーオージャー】は《「GG」-001》を《♪立ち上がる 悪魔に天使 堕ちるかな》以外で基本的に突破できないため、《「GG」-001》を場に送り出すだけで、致命的な不利状況を背負わせることができる。
実際の数は定かではないが、多くの《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》を機能停止にしているだろうことは想像に難くない。
そんなシンプルな目的の中にも、《「GG」-001》+《PERFE910-御代紅海》の半ロックが仕込まれていたり、《イカリノアブラニ火ヲツケロ》+《「GT」-002》のコンボが搭載されていたりと、《「GG」-001》を活かす方法がよく考えられたリストであることが分かる。


そして、たった1名の使用者数で予選を通過しているのだ、デッキのポテンシャルは計り知れない。
だが、寂しいことにそのポテンシャルを示す2ブロックの公式大会は残されていない。【「GG」&「GT」】が【光水自然ゴルギーオージャー】を超える可能性については、皆様の手で、その秘めたる力を解き明かしてみて欲しい。
終わりに
2ブロックを締めくくったのは、まさかのオリジナルのアーキタイプ、【4cアビス】だった。だが、完全なオリジナルアーキタイプではない。その原点はおよそ1月前の関西エリア大会、準優勝デッキに組み込まれていた《魔誕の封殺ディアス Z》+《アビスラブ=ジャシン帝》の複製だ。
そして、そこから2枚を中心としてデッキを構成するカードを精査していく。
こうして出来上がった【4cアビス】は、原点が複製であったとしても、誰もがオリジナルのアーキタイプであると認めるだろう。
「オリジナルはレプリカの来歴から生まれる。」のだ。
この記事が、読者の新たなデッキを生み出す一助となれば幸いだ。
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