全国大会2025 東海エリア予選 :メタゲームブレイクダウン
ライター:川﨑 大輔
誰が呼んだか「逆張りキングダム」。特に最近では「逆張りキングダム始皇帝」ことアーチー選手の印象が強く、一方で「別にアーチーみたいに逆張りじゃねーし」という東海エリアのプレイヤーも多いとは思うのだが、しかし、それはそれとして長年エリア予選を見てきた印象としては、東海エリアは他のエリアとかなり違うメタゲームが展開されることが多い。
例えば、昨年の東海エリア予選で言えば、明らかに他のエリアよりターボマジックが多く、それ以外でもゼニス系デッキやエルボロム系のデッキが明らかに多い一方で本命と言われていたジャイアント系のデッキは少ない傾向であった。また、今大会にも参加しているCanopus選手の水単ゼニスや、トップ16に入賞しているDuskSphere選手の《DARK MATERIAL COMPLEX》入りのエルボロムのようにイノベーションに富んだデッキも多かった。
ゴルギーオージャーとレッドゾーン、そして火水闇のいわゆる片翼アビスの3すくみの時代が長かった今期のエリア予選2ブロックではあるが、12月に『終淵 ~LOVE&ABYSS~』が発売されたことで……もっと厳密には《大集合!アカネ&アサギ&コハク》が登場したことで一気に時代が変わった。
今や、時代は未曽有の光水自然時代。
そして、その中でも先んじて開催された中四国エリア予選の決勝が同系対決であったように、ゴルギーオージャーが圧倒的な大本命となっている。
そんな中で逆張りの民たちはどのようなデッキを選択したのか見ていこう。
43 ゴルギーオージャー
20 創世竜(4c15人 光水自然5人)
15 レッドゾーン
14 《堕チシ八叉ノ蛇神》デモコマ
6 火水闇アビス
5 光水自然神帝
4 光水闇神帝
3 光水闇コントロール
2 テクノサムライ
2 火単速攻
3 その他
依然として、母数最大はゴルギーオージャーであった。その数、実に全体の約1/3となる43名。
しかし、実際に集計していた時の感想は「思ったよりも少ないな?」という印象であった。正直、このタイミングでの2ブロック開催であれば、全体の半分以上がゴルギーオージャーでもおかしくないと予測していただけに、集計時の体感としてはかなり少なく、最終的に集計したタイミングでも「1/3弱は思ったより少ないな」と感じられた。
ここで注目するべきは、同じく光水自然を中心とするがゆえに《大集合!アカネ&アサギ&コハク》を活用できる創世竜系のデッキの多さと、2週前の中四国予選で華々しいデビューを飾った火闇自然の 《堕チシ八叉ノ蛇神》デモコマ(デーモン・コマンド)デッキ、通称「辺境スペシャル」の台頭であろう。
一方で、前環境で活躍していたデッキで言えば、レッドゾーンこそ一定の数を保っているものの、北海道予選王者である火水闇アビスに至ってはかなり厳しい数字にまで減ってしまっている。
とはいえ、この辺までは予想通りのメタゲームの範囲内。逆張りだのどうだのではなく、多少のブレの範囲と言えるだろう。
しかし、これがトップ16進出者となると一気に話が変わってくる。
6 4c創世竜
2 ゴルギーオージャー
2 光水自然創世竜
2 《堕チシ八叉ノ蛇神》デモコマ
1 火水闇アビス
1 レッドゾーン
1 光水闇神帝
1 光水自然神帝
なんと、トップ16にゴルギーオージャーがたったの2名。トップ8入賞に至っては1名しかいないのである。
一方で、約半数を占めるのが2種類の創世竜系のデッキ。トップ16の中でもひとつのブロックでは4名が全員創世竜を使用しているというかなり偏ったメタゲームとなっていた。
それでは、トップ8入賞のアーキタイプを中心に東海エリアのメタゲームを見ていこう。
4c創世竜・光水自然創世竜
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ナメプ~助 全国大会2025 東海エリア予選 2ブロック構築 |
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前述の激戦であった創世竜4人ブロックを勝ち抜いてトップ4から見事準優勝まで進んだナメプ~助選手をはじめ、合計8名をトップ16に送り込んだ東海の最大戦力、それが創世竜だ。
デッキ名は創世竜ではあるが、実際にこのデッキの強さを支えているのは《創世竜 Drache der’Zen》ではなく、『終淵 ~LOVE&ABYSS~』で登場した2枚のタマシードであろう。
4cと光水自然の違いについてはここでは大きく論じないが、《~世紀末の善悪~》によって手札破壊戦略をとれてゴルギーオージャーに強く出れる一方で、光水自然型は《一音の妖精》を多く採用したり《俳句爵 Drache der’Bande》を採用してデッキの動きを太くできるという違いがある。
また、4c創世竜に関してはメタゲーム以上にオリジナルでのプレイ感覚に近い状態でプレイできるというのも大きかった可能性はある。2ブロックで開催されるエリア予選のメタゲームにおいて、これは存外馬鹿にしたものではなく、実際、母数最大がゴルギーオージャーであることの一因も「オリジナルの技術をそのまま流用できる」所にある。2ブロックに絞った調整をすることはかなりハードルが高いのだ。
なんにせよ、オリジナル環境でもすでに立ち位置を確立している創世竜系のデッキがトップでの入賞となった。
《堕チシ八叉ノ蛇神》デモコマ
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さばねこ 全国大会2025 東海エリア予選 2ブロック構築 |
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トップ16で使用したさばねこ選手とびーじー/ヒノ界隈選手の両名が勝利したことで、トップ8に2名と1位タイの占有率を誇ることとなったのが、中四国予選で登場した新たなアーキタイプ、「辺境スペシャル」こと《堕チシ八叉ノ蛇神》デモコマだ。
最大母数と予測されるゴルギーオージャーに対して最も効果的な対抗手段である手札破壊を行うことを中心としたアーキタイプであり、2週間前に東海エリア参加者たちを大いに慌てさせたであろうアーキタイプである。
デッキの細かい概要については、初登場時の中四国エリア予選のブレイクダウンを参照していただくとして、今回このデッキを使用した2名のうち、さばねこ選手の使用するデモコマは高知勢とは少し違うアプローチとなっており、2マナ加速からの《ヨビニオン・マルル》というアドバンテージエンジンを採用せずに、《ROYAL-減亜5》《シェル・アルカザール》《哀像シン》といったクリーチャーでのマナ加速を採用している。
これは、環境の変化で手札破壊が増えることで発生するいわゆる「今引き合戦」での《フェアリー・Re:ライフ》などの弱さを嫌った結果なのかもしれない。
レッドゾーン
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@ちゃんこ 全国大会2025 東海エリア予選 2ブロック構築 |
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今シーズン開始時から環境の最前線を走り続けているレッドゾーン(火闇自然D・D・D)も見事トップ8入賞を果たしている。
『終淵 ~LOVE&ABYSS~』での大幅強化がなかったことから、旧環境のリストとほぼ同じであり、そういう意味では特に語る所のないアーキタイプではあるのだが、今回入賞した@ちゃんこのリストの場合、通常よりも多い3枚と《トートロット=シャルロット》が厚めに採用されていることに注目したい。
元々、盤面の取り合いに強いミッドレンジタイプのデッキではあるが、同じレンジで戦ってくる創世竜系のデッキをはじめとした光水自然の《大集合!アカネ&アサギ&コハク》系デッキの台頭を視野に入れた調整ではないかと思われる。
光水自然神帝
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ももっしー 全国大会2025 東海エリア予選 2ブロック構築 |
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今回の「逆張りキングダム始皇帝」ことアーチー選手とその調整チームが持ち込んだ秘密兵器、それがこの光水自然神帝であった。
会場で簡単にアーチー選手に聞いたところ「うまいゴルギーオージャー以外には負けないし、うまいやつはゴルギーオージャー使ってこない(だからこのデッキが勝てないゴルギーオージャーはいない)」という読みで持ち込み、その他の環境デッキには先手後手で7割勝てるという驚異のデッキである。
当人は「デッキは完璧だったが運に見放された」と語るものの、調整チームのももっしー選手をトップ8に送り込むことに成功している。
メタカードによるコントロールと、安定したワンショットが共存する理論上最強の動きを持ったデッキではあるので、今後のエリアで注目のアーキタイプである。
光水闇神帝
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うるはみがき 全国大会2025 東海エリア予選 2ブロック構築 |
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そのももっしーをトップ8にて、まさかの「別種神帝対決」で下したのが、うるはみがき選手の使用する光水闇神帝であった。
ももっしーの光水自然神帝同様に、《グレートブルーの海幻》《ウルの天宝》という2大タマシードと《~神帝、完成せり~》のカードパワーを活用しつつ、同じく環境屈指のパワーカードである《~世紀末の善悪~》を最大限活用できる形となっているのがこのデッキの特徴である。
あくまでも個人的な印象ではあるが、強いものの、器用貧乏に陥りやすい4c創世竜を、それぞれの要素で分割して厚みを作ったデッキという要素がこの2つの神帝デッキにはあるように感じられるので、その視点でそれぞれのデッキリストを見比べてみるのも面白いかもしれない。
ゴルギーオージャー
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きや 全国大会2025 東海エリア予選 2ブロック構築 |
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昨年の東海エリアを制したのは「順張り」の水自然ジャイアントであった。
そして、今年の東海エリアも、再び「順張り」デッキが王者となった。
それが千葉のアドバンス共和国から送り込まれたきや選手のゴルギーオージャーである。
すでに語りつくされているアーキタイプではあるが、今回の優勝リストにおいては《蒼神龍アナザー・ワールド》の存在に触れないわけにはいかないだろう。2週前の中四国エリアで活躍した《堕チシ八叉ノ蛇神》デモコマを見て、環境における手札破壊の台頭を予測し投入したというこのカード、実際に大会中2回勝利に貢献したとのことなので、間違いなくこのカードがMVPだろう。
なにより、やはりきやのゴルギーオージャーのやり込みがすさまじく、アーチー選手がいうところの「うまいやつのゴルギーオージャー」が優勝したという結果ではあるが、言い換えれば、やり込んだゴルギーオージャーにメタゲーム上勝てるデッキが現時点ではまだ見つかっていないということでもある。
空前の「光水自然環境」となった今期の2ブロック。残すのは関西エリアとジャッジ大会の2会場。果たしてどのような「順張り」と「逆張り」がみられるか注目したい。
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