デュエル・マスターズ

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DMGP7th 3位決定戦:ZweiLance vs. dotto


「タイトルを全部獲るのは、難しかったな…」

噛み締めるように、dottoが言った。
2017年度に日本一、そしてDMPランキング初代1位を獲得しているdotto。
彼ならではの台詞だ。

そのdottoに、ZweiLanceが声をかける。「準決勝の相手は?」と。

「相手は……」
「白零サッヴァーク」

発声に必要なよりも多くの空気を吐き出しながら、dottoは答えた。

準決勝終了後、幾ばくも経たぬうちに始まったこの3位決定戦。2人は必要最低限の言葉を交わすのみ。
これで十分なのか、あるいはこれが限界なのか。

今、フィーチャーエリアで対峙する彼らは、決して1人で戦ってきたわけではない。GPで優勝するため、全国大会への切符を手にするため、仲間とともに努力を重ねてきた。その背に負う思いは、勝ち進む程に重さを増しただろう。

だが……今日この日の挑戦は、ほんの僅かに届かなかった。dottoよりも早く準決勝を終えたZweiLanceは、10分以上も対戦卓から離れようとはしなかった。手で、ずっと顔を覆ったまま。
その胸中に抱える感情はいかばかりか、察するに余りある。

やがて準備が整い、ゲームを始めようという時。誰ともなしに呟いたZweiLanceの言葉は、その短さからは想像もつかぬ雄弁さを持って、聞く者の心に訴えかけた。

「難しいな……」


Game 1

先攻はZweiLanceだったが、先にアクションを起こしたのはdotto。『青赤緑チェンジザ覇道』を使う彼が2ターン目に《フェアリー・ライフ》を唱えると、ZweiLanceは3ターン目に《堕魔 グリギャン》を召喚する。

返すターンでdottoは《“乱振”舞神 G・W・D》を召喚、効果で《堕魔 グリギャン》を破壊し1ドロー。
《“乱振”舞神 G・W・D》を出すタイミングとしてはやや早いように見えるが、手札が苦しかったのだろうか。

「これで手札は何枚ですか?」

《“乱振”舞神 G・W・D》の効果解決後、尋ねるZweiLance。「4枚です」とdottoが答えると彼は頷き、自分のターンに《追憶人形ラビリピト》を召喚した。
効果でdottoの手札から引き抜いたのは≪龍装艦 チェンジザ≫。それを見て安堵したか、ZweiLanceは小さく息を吐く。

既にZweiLanceは4マナを貯め、墓地には魔導具もある。
dottoからすれば、《追憶人形ラビリピト》は捨て置けない。彼は少考の後に《“必駆”蛮触礼亞》を唱え、《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》をバトルゾーンへ。《追憶人形ラビリピト》を破壊し、シールドをブレイクした。

そして追加ターンでは《フェアリー・ライフ》を唱え、マナを6へと伸ばす。山札からマナへ移動したカードはしかし《フェアリー・シャワー》で、タップイン。期待外れだ、と言わんばかりにdottoの動きが止まる。
だが彼はすぐに気を取り直し、ターンを終えた。

ターンを得たZweiLanceは魔導具2体を展開し、《卍 デ・スザーク 卍》を上に乗せる。
続くターンでは《堕魔 ヴォーミラ》から《堕魔 ドゥリンリ》を呼び出し、更に次ターンでは《堕魔 ヴォガイガ》2体を並べつつ《追憶人形ラビリピト》を回収。
ターン終了時には≪卍月 ガ・リュザーク 卍≫を墓地から呼び出し、《追憶人形ラビリピト》による全ハンデスを見据えて盤面を整えた。

一方のdottoは《フェアリー・シャワー》《ドンドン吸い込むナウ》を使い、溜め込みの態勢に入っていた。
そしてZweiLanceが≪卍月 ガ・リュザーク 卍≫を召喚した返しのターン、≪龍装艦 チェンジザ≫から《“必駆”蛮触礼亞》を唱え、場に送り込んだ《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》とのバトルで《卍 デ・スザーク 卍》を破壊。
エクストラターンでは、ここまで1枚たりとも見せなかった《父なる大地》≪卍月 ガ・リュザーク 卍≫をマナゾーンへ押し込み、代わりに《堕魔 ヴォガイガ》を引きずり出した。狙いは山札切れだ。

《堕魔 ヴォガイガ》の効果でZweiLanceの山札が削れていく。残るは僅かに4枚。
彼はひとまず《卍 デ・スザーク 卍》の効果を宣言し、墓地からバトルゾーンへ呼び戻す。

そしてZweiLanceのターン。≪卍月 ガ・リュザーク 卍≫と引き換えに得た大量のマナから、可能な限りクリーチャーを並べていく。
《追憶人形ラビリピト》、そして《父なる大地》への対策として《堕魔 グリナイブ》を含む5体の魔導具をバトルゾーンへ送り込み、無月の門から《卍 デ・スザーク 卍》を召喚。
dottoは全ての手札を失った。

相手がカードを引いたのみでターンを終えたことを確認すると、ZweiLanceは《撃髄医 スパイナー》を場へ。dottoがマナに置かなかった《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を墓地へ送り、展開済みの魔導具たちで攻撃をかける。

dottoのシールドに有効なトリガーは無く、最初のゲームが決した。

ZweiLance 1-0 dotto


Game 2

Game1での敗北により、先攻はdotto。だが先にアクションを起こしたのはZweiLance。
《堕魔 ドゥリンリ》《堕魔 グリギャン》とマナカーブ通り動く彼に、dottoは3ターン目の《フェアリー・ライフ》、続くターンの《“乱振”舞神 G・W・D》で応戦。
相手のバトルゾーンを更地に戻そうと試みるが、ZweiLanceのシールドからは《堕魔 ドゥグラス》が現れてしまう。

好機を得たZweiLanceは、《堕魔 ヴォガイガ》《堕魔 ヴォガイガ》を回収しつつ無月の門を開き、《卍 デ・スザーク 卍》をバトルゾーンへ送り込む。
続くターンに再び《堕魔 ヴォガイガ》を出し、今度は《追憶人形ラビリピト》を回収。ターン終了時には≪卍月 ガ・リュザーク 卍≫を場に送り込み、Game1と同じ状況を作り上げる。

なんとか全ハンデスを防ぎたいdottoだが、≪卍月 ガ・リュザーク 卍≫によってマナは縛られ、アンタップしているのはわずかに4マナ。《堕魔 ドゥポイズ》がないことを願って≪白米男しゃく≫《“必駆”蛮触礼亞》を回収するものの、返すターンで《堕魔 ドゥポイズ》《追憶人形ラビリピト》が現れ万事休す。

優位な状況を築いたZweiLanceはしかし手を緩めず、《終末の時計 ザ・クロック》を警戒。《堕魔 ドゥポイズ》≪卍月 ガ・リュザーク 卍≫を破壊しておき、1枚シールドをブレイクしてはターンを終了。≪卍月 ガ・リュザーク 卍≫を場に出しなおしてdottoの手札を奪い取る。

そんな万全のプレイを次ターンも続けるが、更にその次のターン。ふっと顔を上げたZweiLanceが、気づいた。

「クロック4枚……」
「見えてます」

苦笑交じりの肯定を聞いたZweiLanceは頷き、全てのクリーチャーで攻撃することを選択した。

ZweiLance 2-0 dotto

Winner: ZweiLance


dottoとZweiLance。
2人の対戦は、初めてではない。今年の夏に行われた“おやつCS2018summer festival中部大会”の決勝で、既に戦っている。

「その時も負けたんですよね」とdottoは言う。ZweiLanceは『デ・スザーク』、dottoは『ドギラゴン剣』を使ったそうだ。
およそ2,000人が参加したイベントでの、再戦。そうそう起こることではないだろう。この対戦カードそのものが、彼らの実力をよく表している。

試合開始前と同様に、試合終了後も言葉少なに語る2人。だが彼らにとっての最後のゲームを終え、緊張から解き放たれたのだろう。顔には微笑が浮かび、声も心なしか明るい。
フィーチャーエリアから一歩出ると、完全にとは行かないまでも、いつもの調子に近づいてきたようだった。

「互いに、元気なかったですね」

別れ際、試合を振り返ったZweiLanceは冗談めかして言った。
過ぎた敗北を、過度には追わない。決して人前で取り乱さず、紳士的であろうとする。
彼はデュエル・マスターズというゲーム、GPという大会に対して、きちんと敬意を払っているのだ。それが伝わってきた。



一方のdottoは、待ち構えていた……もとい、応援に回っていた友人一同に手荒い祝福を受けていた。

「まさか決勝戦より早く帰れるなんて思ってなかったよ!」
「優勝すると思ってたからな!」
「GPの優勝カップ、色々飲むために使おうと思ってたんだけどな!」

dottoの方も慣れたもので、笑みを浮かべて受け流す。それから5分もしないうちに、彼はフリースペースでデッキを広げ、友人とともに今日を振り返っていた。
飽くなき探究心と、増す一方の情熱。それらが支える揺るがぬプレイこそが、周りを惹きつけるのだ。

全国大会への挑戦は、まだ終わっていない。次なるチャンスはエリア予選、再び彼らの戦いを見ることが出来るだろう。
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