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DMGP9th Round 1:フェアリー/AYN(宮城) vs. 北のkuro(北海道) ~マナドライブ6 対 ???~

 10月初週、秋口に入ろうかという時期にもかかわらず静岡は30度超えの気温で、プレイヤーの熱気と相まって最高にアツい中での開催となったデュエル・マスターズ グランプリ-9th。

 その開幕を告げる第1回戦のフィーチャーマッチに呼ばれたのは、この男だった。

フェアリー/AYN「去年負けたからなー」

 カーナベル所属のプロプレイヤー、フェアリー/AYN

 デュエル・マスターズの対戦動画を主に投稿している大人気YouTubeチャンネル、「フェアリープロジェクト」において自身と相方のZweiLanceが動画内で使用するためのデッキ製作を担当しており、あらゆるデッキタイプを初見で使いこなすオールラウンダーであることでも知られている。

 開幕でのフィーチャーはグランプリ-7thに続いて2度目で、その際には負けているということもあり、YouTuberかつプロプレイヤーとしては注目を集めてしまうのは仕方ない部分があるとはいえ、複雑な心境といった様子だ。

 一方、対戦相手の北のkuroは北海道の強豪。チームの一員でこそないものの、グランプリ-8th (殿堂)で準優勝のセキボンを含めていま最も熱いコミュニティであるところの「マラかっち」との交流もあるそうで、どのようなデッキを持ち込んでいるのか非常に楽しみだ。

 フィーチャーマッチのアナウンスが行われると、強豪同士の対戦を一目見ようとBye持ちのプレイヤーなどがフィーチャーマッチエリアに集まってくる。

北のkuro「ZweiLanceは……“2Byeランス”はいないね」

フェアリー/AYN「“2Bye”ランスは配信見てそう」

北のkuro「今回セキボン、仕事で来られないって」

フェアリー/AYN「あ、そうなんだ。来てないんですね。もったいねー」

 2人は緊張をほぐしたいかのように会話しながらもシャッフル、そしてシールド展開。やがて対戦の準備が整った。

 これから始まる長い長い戦いの、その大事な初戦。開幕を白星で飾れるのは、はたしてどちらか。


先攻:北のkuro

 ジャンケンで先攻をとったのは北のkuro。だが、1ターン目にチャージしたのはいきなり驚愕のカードだった。


 《ウィザード・チャージャー》。少なくとも『アナカラーデッドダムド』をはじめとするメタデッキには通常積まれることがないカードのため、「私が使っているのはローグデッキです」という宣言にも等しい。

 超天篇第3弾「零誕(ゼロバース)! 魔神(マジ)おこせジョルネード1059(ヘブン)!!」の発売は、殿堂環境に激変をもたらした。それゆえに、そこからちょうど2週間後の開催となった今回のグランプリが、新カードを使ったシークレットデッキを持ち込むには絶好の機会であると多くのプレイヤーが考えたであろうことは、想像に難くない。

 北のkuroも、おそらくそんな一人だった。2ターン目にはまたしても《ウィザード・チャージャー》をチャージしつつ、《堕呪 ウキドゥ》。見た自分のシールドから《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》を墓地に落とし、着々と「何か」の準備を進めていく。

 対しフェアリー/AYNは、《》《ガチャマリン・チャージャー》というチャージから《フェアリー・ライフ》。マナゾーンには《BAKUOOON・ミッツァイル》が落ち、前週のCSなどで大暴れした『シータミッツァイル』と呼ばれるデッキであることが明らかとなる。

 「シータ」とはデュエル・マスターズの兄弟分であるMTGにおける色用語で、青赤緑の3色を指す (ただ白である光文明もタッチされている形が主流) 。マナドライブ5~6を持つ4種類の新GRクリーチャーたちを搭載し、《BAKUOOON・ミッツァイル》による大量GR召喚で能力を一気に発動・連鎖させる構成だが、マナドライブの都合上マナゾーンに6マナ溜まることが始動の条件となるため、対戦相手の北のkuroとしてはそれまでに「何か」を発動させる必要がある。


 返すターン、当然そんなことは承知している北のkuroの動きは《ブラッディ・クロス》チャージから《ブラッディ・タイフーン》《ザババン・ジョーカーズ》というもの。ここまで見えたカードの構成から、「何か」とは墓地を活用するギミックであることは明らかだが、何が飛び出してくるのか。

 一方、《知識と流転と時空の決断》をチャージしてから《ガチャマリン・チャージャー》《ダダダチッコ・ダッチー》をGR召喚したフェアリー/AYNだが、マナドライブ6の達成にはまだ1マナ足りない。ここは無事にターンが返ってくることを祈って、ターンを終えるしかない。

 はたして、北のkuroの4ターン目。《ブラッディ・タイフーン》を唱え……ターンエンド。すなわちフェアリー/AYNの、6マナ目への到達が許されることとなった。

フェアリー/AYN「すみません、墓地見せてもらっていいですか」

 だがGR連鎖の途中で《マリゴルドⅢ》によってマナを減らさざるをえなくなる可能性がある関係上、6マナぴったりでの始動はターンを返してしまうリスクもある。

 この局面でフェアリー/AYNがとった選択は……《》チャージ、《奇天烈 シャッフ》


フェアリー/AYN「宣言、『3』で」

 コンボが増加することを見越して、どのようなデッキ相手にも機能するメタクリーチャーをフェアリー/AYNはきっちり採用していた。ここでの宣言は《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》やコンボ封じもあるだろうが、最も大きな狙いは既に墓地に落ちていた「《》封じ」だろう。すなわち、攻撃も防御も兼ねた一手だ。

 だがこれに対し北のkuroは《ブラッディ・タイフーン》を唱えると、ついに溜めに溜めた「何か」を降臨させる。


 《》

 そう、北のkuroのシークレットデッキはカリヤドネループ。墓地に大量の呪文を落とすことでコストを軽減した《》を高速召喚し、《凶鬼90号 ゾレーゴ/「大当たり!もう一本!!」》で登場時能力を倍加することで最終的に《ブラッディ・クロス》をループさせるというものだ。

 超天篇第3弾のスーパーレアの中でもとりわけピーキーなこのカードを使ったコンボデッキを、北のkuroは練りに練って持ち込んでいた。

 だが実はフェアリー/AYNも、おそらく1ターン目の《ウィザード・チャージャー》マナチャージを見た時点で既にそのことには気づいていた。だからこその《奇天烈 シャッフ》の指定「3」だ。

 結果、これにより墓地の《》だけでなくチャージャー系呪文までも打てなくなった北のkuroは、《オクトーパの相対性魔力講義》《ブラッディ・タイフーン》《ブラッディ・タイフーン》と、《奇天烈 シャッフ》の攻撃だけは止められるもののムーブとしてはイマイチな呪文しか唱えることしかできない。


 そしてフェアリー/AYNに、再びターンが返ってくる。チャージして7マナ。今度は躊躇する理由もない。

 《知識と流転と時空の決断》を唱えると、GR召喚×2を宣言。めくれたのは《マリゴルドⅢ》《ダダダチッコ・ダッチー》で、まずはマナから《》を出し、《予知 TE-20》をGR召喚。山札の上を下に送ると、続いて《ダダダチッコ・ダッチー》の能力を解決。

 これは外れるも、《霞み妖精ジャスミン》でブーストし、残るマナは火と自然。となれば、やることは決まっている。《BAKUOOON・ミッツァイル》


 6体破壊+《》の「離れた時」能力で、一気に7回ものGR召喚を実現させる。《天啓 CX-20》2枚、《ポクタマたま》2枚、《オコ・ラッタ》《マリゴルドⅢ》《続召の意志 マーチス》とめくれ、登場時能力を次々と解決していく。

 6ドロー。マナから《霞み妖精ジャスミン》を出して破壊。相手の墓地を掃除。《》は手札に戻す。テンポの概念を無視する圧倒的なまでのリソース獲得量は、さながら暴風雨のようだ。

 やがてアタッカーとして《霞み妖精ジャスミン》までも追加したフェアリー/AYNは、一気に勝負を決めるべくシールドブレイクに向かう。

 《BAKUOOON・ミッツァイル》でW・ブレイク。《霞み妖精ジャスミン》でブレイク。《》がトリガーするが、まだ過剰打点だ。《BAKUOOON・ミッツァイル》をどかせない限り、北のkuroに勝ち目はない。

 続けて《ポクタマたま》でブレイク。S・トリガーは……《スパイラル・ゲート》!!!《BAKUOOON・ミッツァイル》を戻すとスピードアタッカーが消え、どうにかターンが返ってくる。

 だが、墓地の呪文はたった今トリガーしたばかりの2枚にまでリセットされてしまっている。きっちり《ポクタマたま》を採用していたフェアリー/AYNの構築がここでも光る。

北のkuro「惜しい……」

 北のkuroは2枚の《ブラッディ・クロス》で墓地の呪文カウントを一気に8枚にまで復帰させるが、それでも左上の「14」という数字はあまりにも重い。やむをえず、ターンエンドを宣言するしかない。

 フェアリー/AYNのターン、もはや残る相手シールドは1枚、ここからはSSTのケアくらいだ。残り時間も考慮して《BAKUOOON・ミッツァイル》を埋めたフェアリー/AYNは、最後にダメ押しの《奇天烈 シャッフ》を送り出す。墓地に呪文を溜める構成上、《終末の時計 ザ・クロック》が入っている可能性は低い上に、2面程度の除去ではもはや意味がない。

フェアリー/AYN「宣言……『6』で」

 そのままフェアリー/AYNは《ポクタマたま》でブレイク。S・トリガーは……ない。

 《霞み妖精ジャスミン》がダイレクトアタックに行くと、北のkuroは無念そうに右手を差し出したのだった。

Winner: フェアリー/AYN


北のkuro「このデッキでフィーチャーになったの、マジで最悪……しかもガン事故したし。1コストの呪文か《ブラッディ・タイフーン》を2ターン目までに引けてたら、4ターン目に行けてたから」

 先手4ターン目に《》が出せていたなら。

 仮にそのターン中に勝てないまでも、《》でGR召喚の起点や強力なマナドライブ持ちのマナコストである「4」を宣言することで、《奇天烈 シャッフ》の召喚をもついでに防げていたはずだった。その展開なら、北のkuroの勝利は確定的だっただろう。《ザババン・ジョーカーズ》に加えて《ジョラゴン・リロード》まで入れて速度に寄せた構築だったが、残念ながらデッキは応えてくれなかった。

フェアリー/AYN「カリヤドネだとは思わなかった。動画で使ってなかったら危なかったです」

 敵を知り己を知れば百戦して危うからず。YouTuberとして毎日様々なデッキを回していたことが実を結んだ格好で、フェアリー/AYNがまずは初戦を白星で飾ったのだった。

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