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DMGP2022 Day1 決勝Round 1:つくよみ vs. ◆YU-JI

ライター:河野 真成
撮影者:後長 京介

 互いに《禁断 ~封印されしX~》を置くというのは、アドバンスではお馴染みの光景である。
 しかしこの《禁断 ~封印されしX~》は、かつての【火単レッドゾーン】のように、禁断解放による打点を目的としたものではない。
 令和の禁断は、リソース源である。
 そのためのキーカードが、《インフェル星樹》だ。(通称“インスタ”)
 このカードは、バトルゾーンにあるクリーチャー以外のカードを2枚マナに置くもので、またバトルゾーンからマナにカードが置かれたときにドローすることが出来る。

 つまり効果で禁断の封印を指定することで、なんと2マナ加速2ドローが出来てしまうのだ。そんなことは本来不可能なように思えるが、不可能を可能にするのがアドバンスでもある。

 それ以外にも相手のドラグハートを退かしたり、≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫に封印されたクリーチャーを救助したり、何かと汎用性も高い。
 まさにアドバンスならではの強さと言えるだろう。

 そしてこの《インフェル星樹》の恩恵を最も受けやすいのが【ガイアッシュ覇道】だ。
 《メンデルスゾーン》《ボルシャック・栄光・ルピア》といった初動からスムーズに繋がり、加えて覇道には封印を剥がすギミックがほぼ搭載されていないため、勝手に禁断解放するケースは少なく、《禁断 ~封印されしX~》のデメリット効果が足を引っ張る心配もない。

 この【ガイアッシュ覇道】は予選から猛威を奮い、43名ものプレイヤーを本戦に送り込んでいる。世はまさに“大インスタ時代”と言えるだろう。

 そしてフィーチャーエリアにやってきたつくよみYU-JIも、使用は【ガイアッシュ覇道】だった。

先攻:YU-JI

 【ガイアッシュ覇道】のミラーマッチのドクトリンはとにかく先にリソースを伸ばすことだ。

 それはガイアッシュ覇道は瞬間的な打点生成力が(ほかのアドバンスのデッキに比べて)やや少ないという点にある。覇道は、盤面0から勝つのは意外と難しい。

 しかしマナを10まで伸ばせば話は変わる。

 《流星のガイアッシュ・カイザー》《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》というプレイが可能になり、追加ターンで先置きされた《流星のガイアッシュ・カイザー》を起点に打点を組むことが可能なのだ。あとは2枚目の覇道だったり、《最終龍覇 ロージア》だったり、革命チェンジだったりを絡めてフィニッシュが可能となるわけである。また構築によっては11マナで《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》を出してしまってそのままゲームセットというケースもあるだろう。

 そしてYU-JIは先攻から《メンデルスゾーン》、そして《インフェル星樹》で動くという、まさに抜群の立ち上がりを見せた。3ターン目の終わりには、既に7マナが用意されているし、手札も減っていない。
 
 対してつくよみは《ボルシャック・栄光・ルピア》でこれを追い掛けていくが、後攻ということもあって既に大きくマナ差を付けられてしまっている。

 更に続くターンにYU-JIは、2枚目の《インフェル星樹》を召喚していく。追加に2マナを伸ばして4ドローとやりたい放題だ。
 
 既にリソース差という意味では、もはや埋めがたいほどの差が生まれている。例えつくよみが、筆者が知る限りでもずば抜けた実力を持っていたとしても――この差はどう足搔いても覆らないだろう。
 
 ……と、ここまで《禁断 ~封印されしX~》《インフェル星樹》の圧倒的な強さを説明してきたが、これには落とし穴も存在している。
 
 それは相手のデッキにも《インフェル星樹》が入っていること。
 そして《インフェル星樹》相手の封印を剥がすことも出来るということだ。
 
 先攻で圧倒的なリソース差を付けられてしまったつくよみは、このまま普通にゲームを続けても負けてしまうことを重々承知している。だとしたら、方法は一つしかない。相手の禁断を詰めるしかない。

 熟考の末、プレイを決める。もとよりこの熟考は、決断するまでの心の整理の時間だったのかもしれない。

 つくよみは《生命と大地と轟破の決断》を唱えると、《ボルシャック・栄光・ルピア》《インフェル星樹》を繰り出し、《インフェル星樹》の効果で相手の残る《禁断 ~封印されしX~》の封印を2枚解いた。

 禁断は解放された。
 《インフェル星樹》で圧倒的なドローを決めた者に対しては、このお仕置きがあるのだ。

 YUJIの手札はほぼ無限。《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》《最終龍覇 ロージア》もあるだろう。
 だからあとは、彼が《時の法皇 ミラダンテⅫ》を持っているか、山札に残っているかどうかの勝負だった。

 そしてYUJIは、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》をプレイする。

 ……それは、出てきた。
 
 彼は《時の法皇 ミラダンテⅫ》を手札に加えると、続けて無限とも言えるマナで《最終龍覇 ロージア》を召喚。装備するのはもちろん《銀河大剣 ガイハート》だ。
 
 あとはスピードアタッカーを得た《最終龍覇 ロージア》《時の法皇 ミラダンテⅫ》に革命チェンジを決めるだけ。
 不可能を可能にも出来るのがアドバンスだが……。《時の法皇 ミラダンテⅫ》だけは、不可能を可能にするカードのプレイそのものを、不可能にしてしまうのである。

WINNER:YU-JI




 実のところ【ガイアッシュ覇道】のミラーにおいて、2枚目の《インフェル星樹》でリソースを稼ぐのはかなり危険な行為である。
 
 相手の《インフェル星樹》による禁断解放がかなり裏目であり、《時の法皇 ミラダンテⅫ》《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》、少なくとも《メガ・マナロック・ドラゴン》といった相手を封殺するカードを引いていない限り、大きなお仕置きが待っていることがある。
 
 もちろん「それをしない限り勝ち筋がない」という状況は別だが、先攻でマウントを取れているときは《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》などから山札を確認しつつ、《ボルシャック・栄光・ルピア》でマナを伸ばすだけでも充分に優勢を維持出来たりする。

 もっとも、それに対して不意の《時の法皇 ミラダンテⅫ》が飛んできて乱戦に持ち込まれることもあるため、難解であることは間違いない。
 
 アドバンスは強力なカードが飛び交い爽快感溢れるゲームでもあるが、それは裏を返せば常に危険と隣り合わせでもあるということだ。自分が出来るということは相手も出来るし、どこに頓死筋が潜んでいるのか、わかったものでもない。
 
 強力なカードを駆使し、無数の選択肢に頭を抱え、時にそのプレイを咎められ、或いは暴力的なムーブに押しつぶされながら、ゲームを続いていく――。

 故に、アドバンスは難しい。
そしてそれ故に、アドバンスは面白い。

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