デュエル・マスターズ

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DMGP2022 Day1:プレイヤーインタビュー ~アドバンスの環境と魅力~

ライター:河野 真成
撮影者:瀬尾 亜沙子

 デュエル・マスターズがアドバンスとオリジナルに分かれて、およそ2年と10か月ほど。

 長らくオリジナルの大会が続いたものの、《零龍》≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫といった巨大な外部カードに、ドラグハートにGRの飛び交う大型大会が、久々に帰って来た。

 アドバンスとはどんなゲームなのか、そしてどんなところに魅力があるのか。
 今回はアドバンスで活躍するプレイヤーを中心に、話を聞いてみた。

アドバンスのCSについて

 DMPランキングは、実はレギュレーションごとのランキングを確認することが出来る。

 2022年上期アドバンスのランキングを確認すると、上位10名のうち8名を関東3都県(千葉・東京・神奈川)が占めており、残る2名はそれぞれ広島・福岡とかなり地域によって偏りが生じていることがわかる。

 北海道のアドバンス1位のプレイヤーで、全国各地のプレイヤーとも親交が深いtakiは、アドバンスを取り巻く環境について次のように述べている。

taki「北海道はだいたい月に6回ほどCSが開催されますが、うち2回がアドバンスなのでまぁまぁ遊べる方だと思います。関東はアドバンスの割合としてはそこまで高くないようですが、そもそもの数が多い分で開催数も保証されているみたいですね。ですが、他にアドバンスをやっているのは、岡山くらいと聞いています」

 中でも関東と並ぶ大都市圏の関西での開催は極端に少なかった。

 上期のDMPランキングは上位10名のうち5名が関西(兵庫・大阪)のプレイヤーであるが、アドバンスランキングにいくと大阪1位の<紅蓮は全国48位(総合ランキングは全国8位)、兵庫1位のどんよくは全国77位(総合ランキングは全国2位)という数字になってしまう。

 実際、全国大会2017覇者であるdottoはこんな話をしてくれた。

dotto「アドバンスは自由度が大きいので楽しく、個人的には好きです。ですが本当に関西は開催が少ないんですよね。いまは京都くらいしかアドバンスのCSはないです。月に1回、2回あるかというくらいなので、メタも回りようがない。あと残念ながらYoutube的にも需要が少ないです」

 どうも、この地域ではアドバンスは好事家たちのレギュレーションとなっていたようである。

 しかし今回アドバンスでGPも開催され、また11月以降はアドバンスのCSでCSプロモの増量も決定している。

 大会日程などを確認すると11月以降は確実にアドバンスのCSが全国的に増量しており、むしろ今後伸びしろの期待出来るレギュレーションと言えそうだ。

始めるなら、今しかない。

 ではこれからアドバンスを始めるとして、いったいどんなデッキが強い環境になっているのだろうか。


アドバンスの環境とは

 アドバンスにはどんなデッキがあるのか、そして今回のGPはどんな環境になっているのだろう。

 まず今の全体的な環境について、アドバンスランキング3位のあんだんてに訊いてみた。

あんだんて「そうですね……バランスのいい三角関係だと思います」

 三角関係?

あんだんて「いま上位のデッキは大きく3つに分類されていると思っていまして、【闇火ドルマゲドン】、【ガイアッシュ覇道】、【火自然アポロヌス】のようなアグロデッキの3タイプがあります。ドルマゲは後ろ目のデッキに強くて、アポロはドルマゲに強く、ガイアッシュは多くのデッキに強くてアグロも受けられる……といった相互関係があると思っています」

 【闇火ドルマゲドン】ボードコントロールを得意とし、ハンデスなどに強いミッドレンジデッキ(人によってはドルマゲドンを使ったコントロールと分類する人もいるかもしれない)。
 【ガイアッシュ覇道】は《流星のガイアッシュ・カイザー》のお陰で防御力にも優れたミッドレンジ戦術も取れるビッグマナ系のデッキ。
 そして【火自然アポロヌス】のようなアグロ系(同じ枠として、【火単我我我ブランド】や【アグロ零龍】がある)のデッキがある。
 これが互いに極端ではないがある程度の相性があり、それによってアドバンスの環境は成立しているようだ。

 またランキング2位でGP5th3位の実績を持つノン@ゴジットは、もっと特定のカードに踏み込んだ話をしてくれた。

ノン@ゴジット「いまのアドバンスだと、《禁断 ~封印されしX~》《インフェル星樹》のパッケージが一番強いです。主に【ガイアッシュ覇道】や、(これを使えるデッキだと)《最終龍覇 グレンモルト》系もですね。このパッケージのお陰でとにかく既存のデッキがかなり強いので、今回のGPではいわゆる(GP9thに於ける【水闇カリヤドネループ】のような)秘密デッキとかはないと思っていました」

 《禁断 ~封印されしX~》《インフェル星樹》とは、《禁断 ~封印されしX~》を採用することでゲーム開始前からバトルゾーンに封印というカードを置いておくことにより、《インフェル星樹》を召喚すると封印をマナに2枚送って2ブースト+2ドローが出来るという、極めて強力なパッケージである。
 オリジナルでは使えない、アドバンスのみに許された強さであると言えそうだ。
 
 そうしたデッキやカードが強い中で、では今回のGPとはどういう環境となるだろうか。
 
 【4cドラグナー】等の制作者であり、上期アドバンスランキングを1位でフィニッシュしたマイケルは、アドバンスの地域差にも触れながらこう分析していた。
 
マイケル「CSプレイヤー、普段からアドバンスをやっている人はほとんど【ガイアッシュ覇道】なんじゃないですか。他はどちらかというとオリジナルのついでに出ようって人も多い筈だから、【水魔導具】とか【火自然アポロヌス】とかが多いかなー。他は【闇火ドルマゲドン】もまぁぼちぼちいるくらいで」

 実際のところ、殆どのプレイヤーはオリジナルがメインで「アドバンスはついでに参加する」という層も多かった筈だ。両レギュレーションで使えるデッキは幾つかあり、【火自然アポロヌス】や【水魔導具】はその典型例と言える。
 
 その上で、一番強いのは……もとい、普段アドバンスをやっているプレイヤーたちが好んで使うのが【ガイアッシュ覇道】だと予想している。

 この見解については、他のプレイヤーもそこまで認識差はない。
 
taki「【ガイアッシュ覇道】が頭一つ抜けていて、後は横並び。覇道について【水火自ミッツァイル】時代のカリヤドネループのようなデッキがあれば……とは思いますが。まぁ、ないんで」
 
 またアドバンスが盛んではない地域にいるdottoは、少し面白い見解を示している。
 
dotto「【闇火ドルマゲドン】が多めですかね。続いて、【火単我我我ブランド】や【火自然アポロヌス】のアグロ系。あとはモルト、ハンデス、零龍……たぶん、自分が好きなデッキを使う人が多いと思います。覇道ですか? 普段アドバンスやっている人は使うと思いますけど、それがどれくらいいるかというと……」
 
 実際アドバンスのデッキ選択は広く、(後述するが)今回話を聞いた5人のプレイヤーが本当に偶然にも全員デッキがバラバラであった。

 予選の全体的なデッキ分布は膨大すぎて調査出来ないが、予選突破者数で言えば【ガイアッシュ覇道】が一番多い。

 dottoの見解が正しかったとすると、アドバンスは普段からアドバンスの練習をしているプレイヤーが多く勝ち残ったということになる。

 実にやり甲斐あるレギュレーションと言えそうだ。


アドバンスの魅力について

 今回インタビューした中で、特にランキングTOPの3人は普段からアドバンスのCSをメインに参加しているプレイヤーたちである。
 そんな彼らに、アドバンスの魅力について、改めて訊いてみた。

あんだんて「使えるゾーンが広いので、情報処理能力が問われていると思っています。例えば《最終龍覇 グレンモルト》《最終龍覇 ロージア》といったドラグナーは顕著です。特にモルトは出すときにまず8択、さらに次のターンの始めに今度は7択と、1ターン経過する間に56通りの選択があります。また《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》を採用する場合は、そこから更に使う・使わないといった選択も生まれるんですね」
 アドバンスが難しいと言われる所以は、このドラグハートの選択の多さがあるのは間違いないだろう。実際のプレイをしていく中だと、8択になるというのは極端な例えではあるが、択が多いことに変わりはない。
 
あんだんて「あと具体的なカードで言うと、オリジナル以上に《流星のガイアッシュ・カイザー》が反応するケースが多いんですよ。相手がやってきた行動を見て持っているかどうかを考えるのもそうですし、あとは相手が返しのターンにどれくらい盤面を作れるかとか、こちらの盤面を返せるかといったことを想像出来るか、というのも大事だと思っています。ですので、自分が言うのもおこがましいですけど……実力のウエイトが大きくて、やっていると勝ちやすいレギュレーションだなと思っています」

 自分の選択によってゲームに勝ったり、自分の実力によって厳しい対面を捲ったり……というのは、プレイヤーであれば誰もが憧れるシチュエーションだろう。もちろん練習は必要だが、そうした経験を得られるのがアドバンスの魅力かもしれない。
 
 そしてこれは、これはtakiも同じような意見であった。
 
taki「魅力となると、やっぱり超次元が使えることによる選択肢の多さですかね。それ以外だと、知らないデッキとかが台頭してくる可能性があるのも、アドバンスのいいところだと思います」

 またドラグハート等の個別のカードそのものに魅力を感じているプレイヤーもいる。
 
マイケル「自分がドラゴン・サーガから超天篇までずっとデュエマをやっている中で、基本的にはずっと外部カードはあったんですよ。だからそれを使えるのデュエマがやっぱり好きで……。あとはアドバンスだと『ちょっと弱いカード』にも強く使うギミックがあるのがいいですね。だってオリジナルで《怨念怪人ギャスカ》とか使う余地ないじゃないですか。あれが強いカードなのが、アドバンスの面白いところだと思います」

ノン@ゴジット「盤外カードが使えるっていうのはもちろんですが、自分が一番好きなのがドラゴン・サーガで、モルトなんですよ。モルトで遊べるというのがやっぱり自分にとっての魅力ですかね。あといまはドラグハート・ウエポンが強いのがいいなと思っています。それまでずっとフォートレスが強かったじゃないですか。でもいまはモルトのお陰でウエポンがすごく強くて……それがいいですね」

 彼らは好きなカードやギミックで戦えるというのを、何より楽しんでいるようだ。


終わりに

 今回はアドバンスについて、アドバンスで活躍しているプレイヤーを中心に話を聞くことが出来た。

 当然ながらアドバンスは独自の環境があり、そしてそれは《インフェル星樹》《最終龍覇 グレンモルト》のような、アドバンスのみに許された特権で構成されているわけである。
 
 しかしその上で、アドバンスがオリジナルに比べて豊富な選択肢があり、それ故に面白く難しいことは、プレイヤー間の共通認識のようだった。

 《最終龍覇 グレンモルト》もそうだが、≪終焉の禁断 ドルマゲドンX≫《零龍》も、オリジナルとはゲーム体験がそこにはある。
 逆に言えば、あんだんてが言ったように練習をすれば勝ちやすい環境であるとも言える。それはあんだんて自身が、決して環境上位とは言えない【4c万軍投】というデッキで上位に食い込んでいることが証明していると言えるだろう。
 
 オリジナルから入ってデュエル・マスターズをプレイし、その中でこれまで違ったカードの魅力を感じたい。
或いは自分のプレイに自信が付いてきた。

 そんなプレイヤーは、是非アドバンスも遊んで欲しいと思う。


協力してくれたプレイヤー

※撮影時のみマスクを外しています。 あんだんて
 東京都のプレイヤーで、2022年上期アドバンスランキング3位。長らく【4c万軍投コントロール】を使っており、今回のGPでもそれを持ち込んだ。
 本人曰く「アドバンス最強カードである《時の法皇 ミラダンテⅫ》《天災 デドダム》《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》、それにGRゾーンを回すことで一番アクセスしやすいデッキだと思っています」とのこと。
また《全能ゼンノー》が覇道系に強いのも魅力という話であった。
 なおこれだけの好成績を残していながら、ビックリするくらい謙虚な人間でもある。

ノン@ゴジット
 東京都のプレイヤーで、GP5th3位で、2022年上期アドバンスランキング2位。チーム「Spirits」に所属している。
 インタビューにもあった通りモルト系統が好きで、GP5thでも《超戦龍覇 モルトNEXT》で結果を残した。今回の使用デッキは《インフェル星樹》《流星のガイアッシュ・カイザー》の入った【4cドラグナー】。
「ガイアッシュ覇道はSAの作り方に限界がありますが、モルトは《爆銀王剣 バトガイ刃斗》からのワンショットがあって、長い戦いの中ではそうしたギミックが必要になる瞬間が絶対あると思ったんですよね」とのこと。
 普段からほぼ敬語で話しており、かなり礼儀正しい好青年に見える。

マイケル
 千葉県のプレイヤーで、上期アドバンスランキングは堂々の1位。【光火ドギラゴン閃】や【4cドラグナー】の制作者としても知られる。特に4cドラグナーの誕生は当時のアドバンス環境を大きく変えた。
 今回の使用デッキは【バーンメア】。
「本命はずっとドラグナーで、それを隠すために敢えてCSではバーンメアを使っていたんだけど、CSではなんか勝つしいまのプレイヤーがあまりバーンメアの動きを知らないから、それがアドバンテージになると思って使った」らしい。
 かなりの大食いで、ピザをサンドウィッチのようにして食べたり、とんかつ屋でとんかつ定食のご飯の部分をカツ丼大盛りに変えて注文したりと、嘘のような伝説が幾つかある。
 
taki
 北海道のプレイヤーで、アドバンスでは上期ランキングで北海道1位。デュエマを第1弾から遊んでいるため、各地に知り合いが多い。凄まじい時間をデュエマの練習にあてていることもあり、その実力は全国でもトップレベル。
 今回の使用は、自身も「頭一つ抜けている」と評価していた【ガイアッシュ覇道】。
「大型大会が多く開催されて嬉しいので、超CSなんかは三ヶ月に1回とか、ちょっと間を空けながらもっと開催してくれると更に嬉しい」とのことであった。
 Vtuberが好き。

dotto
 大阪府のプレイヤーで、ご存じ全国大会2017覇者。ついた渾名は「魔王」。ただ噂によると、仲良くなると冗談めいたことも言ってくれるらしい。
 今回の使用は【水闇ゼーロ】。◆ドラ焼きらとシェアしたデッキだ。
「数が一番多そうなドルマゲドンに絶対勝てて、トータルで広く勝てて弱点も少ない。早いデッキだがら、先攻を取れば絶対相手とゲーム出来る」と評価している。
 ちなみに写真撮影時に好きなカードを尋ねたところ、「《極・龍覇 ヘルボロフ》と……《蒼き団長 ドギラゴン剣》と……あと《ベイB ジャック》」と回答している。

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