デュエル・マスターズ

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DMGP2022 Day1 準決勝:ゆうvs. たこわっしー

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影者:後長 京介

3657名中の4名。

 3年ぶりのグランプリ、その頂点まではあとたったの2勝。時刻も20時をまわり、だだっ広い会場を埋め尽くすほどだったプレイヤーたちも今は去って、ただ熱気の余韻だけがそこかしこに残っている。

 そんな状況で、トップ8進出による興奮冷めやらぬ熱量を宿した2人による、決勝戦に進出するプレイヤーを決めるための準決勝がこれから始まろうとしている。

 青森からの遠征勢であるゆうは、アドバンス・フォーマットの2大トップメタとされる「闇火ドルマゲドン」と「ガイアッシュ覇道」の双方に有利がとれるという理由で「水闇自然グラスパー」を選択した。

 さらに《バイケンの海幻》《魔王の傲慢》の採用で「アポロヌス・ドラゲリオン」にも戦えるようになり、トップ8に進出した唯一のループコンボとして環境に最もマッチしたループデッキであることを証明した。そしてこれから、環境最強のデッキであることも証明しようとしている。

 一方、千葉勢のたこわっしーは最も手に馴染んでいるからという理由で「ガイアッシュ覇道」を選択した。特段変わったところのあるリストというわけではないが、ミラーマッチの切り札であろう1枚差しの《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》がキラリと光る。  メタゲームに対する究極のソリューションを求めた「究めし者」ゆうと、最強アーキタイプを極限まで突き詰めた「極めし者」たこわっしー。対照的な2人だが、練度はお互い十二分。準々決勝からは2本先取となっており、実力が結果に反映されやすい。ならば勝敗を分かつのは、単純なパラメータだ。

 すなわち、ゆうとたこわっしー、そのどちらがより強いのか

 デュエル・マスターズ グランプリ2022 DAY1、準決勝。2つの極点が、互いに激突した。

Game 1



 予選順位で先攻はゆう。《グレート・グラスパー》《水上第九院 シャコガイル》とチャージして《フェアリー・Re:ライフ》でマナ加速するが、《メンデルスゾーン》《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》とチャージしたたこわっしーは《メンデルスゾーン》《最終龍覇 ロージア》《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ /「未来から来る、だからミラクル」》を落として2マナ加速を決める。

 そして、《スクリプト》をチャージして4マナに到達したゆうのアクションがない。一方たこわっしーは《生命と大地と轟破の決断》をマナチャージすると、《インフェル星樹》を召喚して《禁断 ~封印されしX~》の封印を利用して2マナ加速2ドローでさらに差をつける。

 返すゆうはドローで首を傾げ、なおも《天災 デドダム》チャージのみでターンエンド。たこわっしーはこの隙に《ボルシャック・栄光・ルピア》チャージから《流星のガイアッシュ・カイザー》を6マナ払って召喚する。

 ここでゆうも2ターンぶりのアクションとして《地龍神の魔陣》を唱えるが、1枚を手札に加えてそのままターンを終了するのみ。

 一方、動きが芳しくないゆうを尻目に十分なマナと手札を確保したたこわっしーは、満を持して7マナをタップする。  召喚したのは、《流星のガイアッシュ・カイザー》の軽減が乗った《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》

 デッキコンセプトである《蒼狼の王妃 イザナミテラス》の召喚が封じられてしまったゆうは、《フェアリー・Re:ライフ》を唱えることくらいしかできない。

 やがて続くターンに《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》《時の法皇 ミラダンテⅫ》を回収したたこわっしーが《流星のガイアッシュ・カイザー》のプレイヤーへの攻撃時にそのまま「革命チェンジ」させると、T・ブレイクののちに《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》の攻撃も通り、あっという間に《インフェル星樹》でのダイレクトアタックを宣言する。

ゆう「通ります。ありがとうございました」

たこわっしー「ありがとうございました」

 「極めし者」たこわっしーが、日々のルーティーンをこなすがごとく滑らかなカード捌きで1ゲームを先取したのだった。

ゆう 0-1 たこわっしー


Game 2



 2ターン目に《フェアリー・Re:ライフ》を唱えるゆうに対してたこわっしーは《メンデルスゾーン》で2マナ加速を決め、開幕は1ゲーム目の焼き直しとなる。

 だがゆうは今度は3ターン目に《フェアリー・Re:ライフ》でしっかりとアクションがある。対したこわっしーは再度《メンデルスゾーン》でさらなる2マナ加速を決めつつなおも《》でマナ加速と、少し過剰気味なブースト具合となってしまう。

ゆう「手札は2枚ですか」

たこわっしー「2枚ですね」  そして、そのタイミングでゆうの《絶望と反魂と滅殺の決断》が突き刺さる!

 グラスパーでの採用は珍しいとはいえ、たこわっしーは虎の子の《流星のガイアッシュ・カイザー》を手札から落とされてしまう。

たこわっしー「ハンドが1枚ですか?」

ゆう「1枚です」

 手に馴染んでいるというだけあって、たこわっしーのプレイスピードは確かに極めて早い。それには相手のプレイを自分のペースに持ち込むことでプレイミスを誘う実際的な狙いもあるのだろう。だがそれは同時に、あるいはここまでの長丁場での疲労も手伝って、たこわっしーが本人すら気づかないうちに細かい要素を見落とす原因となっているのかもしれない。
たこわっしー「すみません、少し考えます」

 そんなたこわっしーの手が、ここにきて初めて止まる。返ってきたターンで通常ドローしたのは《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》。マナには《生命と大地と轟破の決断》があり、無数の選択肢がある。だが結局ここは《生命と大地と轟破の決断》を唱えないまま手札から《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を召喚し、回収した《ボルシャック・栄光・ルピア》もそのまま出して10マナにまで到達させる。

 返すゆうは《終末王秘伝オリジナルフィナーレ》でリソース消費なく《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を除去してターンエンド。

 ターンが返ってきたたこわっしーはドローしたカードを見てまたも悩む。ゆうのマナにある《魔王の傲慢》のテキストを確認する……そして意を決すると、マナ8枚をタップする。  「B・A・D」《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》召喚!

 W・ブレイク……S・トリガーはない。《ボルシャック・栄光・ルピア》でもブレイク。特に何もなく、そのまま《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を破壊してEXターンへ突入する。

 ここで《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》の2枚目をトップできれば……というところだったが、たこわっしーは引き込めず、《インフェル星樹》《禁断 ~封印されしX~》の封印をマナに送って2ドロー。さらに残ったマナから《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を召喚するが、《最終龍覇 ロージア》を回収したのみでターンエンドとなってしまう。

 それはすなわち、結果としてゆうにシールド3枚分の手札を半端に与えてしまったことを意味している。

 となれば、当然待っているのは。  《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》チャージ、《蒼狼の王妃 イザナミテラス》

 マナには《グレート・グラスパー》《スクリプト》があり、無限マナブーストが成立している。山札残り3枚までマナ加速すると、《連鎖類超連鎖目 チェインレックス》から《グレート・グラスパー》2体目を絡め、《水上第九院 シャコガイル》《スクリプト》とマナから引き出し……。

たこわっしー「大丈夫です。ありがとうございました」

 「究めし者」ゆうが、たこわっしーの緩手と呼ぶかどうかも際どいプレイによって生まれた隙を見事に突いて星をイーブンに戻したのだった。

ゆう 1-1 たこわっしー


Game 3



 このマッチではじめてどちらも開始2ターンで動きがない展開。だが3ターン目になると先攻のたこわっしーは《ボルシャック・栄光・ルピア》で2マナ加速し、後攻のゆうも返しで《天災 デドダム》でマナ加速する。

 だがこうなると先手後手差が大きく、たこわっしーはさらに《インフェル星樹》で2マナ加速2ドローしたのに対し、ゆうは《終末王秘伝オリジナルフィナーレ》《インフェル星樹》を除去するが、先にビッグアクションの権利を得たのはたこわっしー。

 すなわち、《生命と大地と轟破の決断》チャージから《メンデルスゾーン》でなおもマナ加速しつつ《最終龍覇 ロージア》を召喚して《銀河大剣 ガイハート》でスピードアタッカーにすると、攻撃時に「革命チェンジ」《時の法皇 ミラダンテⅫ》
 T・ブレイクが通り、そのままターンエンドする。

 「ファイナル革命」によりコスト7以下の召喚ロックがかかったゆうのターン。選択肢がないため、《天災 デドダム》の上に《グレート・グラスパー》を「NEO進化」するしかない。
ゆう「マナ送り考えます……マナが11ですか?」

たこわっしー「11ですね」

 そして意を決すると、《ボルシャック・栄光・ルピア》をマナに送りつつ、《時の法皇 ミラダンテⅫ》への攻撃時にマナから《水上第九院 シャコガイル》を呼び出す賭けに出る。

 マナからクリーチャーを呼び出したということは、すなわち「マナゾーンのカードをタップせずにクリーチャーを出した」ということ。つまり、3枚もあるたこわっしーの手札の中にもしあのカード(・・・・・)を持たれていたなら……。

 それでも、他に選択肢がない以上このプレイは仕方がない。ターンエンドし、たこわっしーのアクションを窺う様子を見せるゆう……だがたこわっしーは、やはりルーティーンのごとく淀みなくマナをそのままアンタップ(・・・・・・・・・・・・・・・・)する。ならば、持っていなかったのか。

 安心したゆうは《水上第九院 シャコガイル》の効果で5枚引き、そして捨てる3枚を考える。

 だがそこで、たこわっしーが意外な言葉を発する。

たこわっしーあの、これ《流星のガイアッシュ・カイザー》出せませんかね……?  大舞台のプレッシャーが響いたか、たこわっしー、何とここで痛恨の「宣言忘れ」

 ジャッジに判断を仰ぐと、マナをアンタップしさらに《水上第九院 シャコガイル》の効果解決まで進んでいる以上、ゆうが出すのを認めるかどうかに委ねられる。

ゆう「じゃあ、なしで……」

 これは競技イベントの準決勝だ。である以上、ゆうには当然それを認める道理はない。

 それでも、ゆうの残るシールドは2枚であり、依然不利であることに変わりはない。たこわっしーは《流星のガイアッシュ・カイザー》を普通に召喚すると、7コストで《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》を召喚する。

たこわっしー「ターン返します」

 1ゲーム目と同様、出したばかりのクリーチャーによるプレイヤーへの攻撃と、コマンドとドラゴンの召喚が同時に封じられた状態。これを8マナで抜けながらコンボを決める手段をゆうは持っていない。やむなく素出しの《グレート・グラスパー》《流星のガイアッシュ・カイザー》をマナに送るだけでターンを返すしかない。

 かくして、2体のクリーチャーを出して1体がマナ送りされただけでターンが返ってくるという、大きなテンポを獲得したたこわっしーのターン。《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を回収しながら《グレート・グラスパー》を手札に戻すと、「B・A・D」で《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》をそのまま召喚し、ゆうの残る2枚のシールドをW・ブレイクする。

 ここで「G・ストライク」でこのターン中のダイレクトアタックだけはかろうじて防いだゆうだったが、《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》によるEXターンは、ダイレクトアタックには十分すぎるのだった。

ゆう 1-2 たこわっしー


たこわっしー「失礼しました、申し訳ないです!」

ゆう「いえいえ、こちらも待てばよかったです……」

 デュエル・マスターズは、どれだけ極めても、どれだけ究めても、単なる強さを超えてまだまだ学ぶべき部分がある。そのことが示された準決勝となった。

 だが今は、互いに反省している時間はない。

 「極めし者」たこわっしーは決勝戦へ、「究めし者」ゆうは3位決定戦へ。それぞれが進むべき最後の試合へと、向かっていったのだった。


Winner: たこわっしー
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