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DMGP2022 Day2:プレイヤーインタビュー ~デッキビルダー・マスターズを目指して~

ライター:河野 真成
撮影者:瀬尾 亜沙子

 SNSや動画サイトによる情報が飛び交う昨今、強いデッキリストを入手するのは容易になった。

 一方で「最強のデッキを自分で作りたい!」という想いは、プレイヤーであれば誰しも持っているだろう。

 実際、世の中に強力なデッキが存在する所以は、ひとえにそれを作ったデッキビルダーがいることを忘れてはいけない。彼らは自分の頭を掠めた閃きを頼りに、人知れず悩み、何度も何度も“デッキもどき”と格闘し、愛憎入り混じった想いをカードに託しながら、ようやくデッキは世に放たれるのである。

 デュエル・マスターズはカードゲームの中ではデッキ構築の自由度が高い。それ故に、デッキを作るのが難しい。

 筆者もライター活動をしている時間が長いが、根底にあるのはデュエルマスターズプレイヤーとしての己である。
 叶うならば、自分で最強のデッキを作ってみたいものだ。

 しかし何といってもここはGP会場。
 なんということだろう、名作の数々を作り上げたビルターたちが、そこにいるではないか。

 そんなわけで今回はGP会場にいた名デッキビルダーたちに、彼らのノウハウを横取り……ではなく吸収するべく、直撃インタビューを敢行してみた。

 これでもしかしたら私も、明日から名デッキビルダーの仲間になれるかもしれない。

(なお本インタビューは回戦の合間を縫って行いました。試合直後、時間に限りがある中で協力してくれたプレイヤーの皆様、本当にありがとうございました)

※撮影時のみマスクを外しています。 ハマチ(神奈川県)
主な実績:超CSⅡ 準優勝
主な制作デッキ:【4cデイヤーループ(※)】、【ゼーロベン】(《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》型)

 ※《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を使ったループデッキ。マナ加速から《“魔神轟怒”万軍投》を唱えてGR召喚を繰り返していき、その過程で《マリゴルドⅢ》《ヨミジ 丁-二式》などから《MEGATOON・ドッカンデイヤー》へアクセスする。最終的には《腐敗麗姫ベラ》《ひみつのフィナーレ!》などを無限回使って勝利する。

 最初に話を聞いたのは、神奈川県のデッキビルダーであるハマチ
 彼は超天篇の最強傑作デッキのである【4cデイヤーループ】を完成させ、最近でも【ゼーロベン】で名を馳せるなど、特にループデッキに知見が深いという印象がある。

 では彼は一体そんな思想でデッキを作っているのだろうか。

 ---これまで作ってきたデッキや、その話について教えてください

ハマチ「自分で作ったと言えるのは【4cデイヤーループ】と、あとは《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》の入った【ゼーロベン】などですかね。あとデッキとして拘ってチューニングしていた話で言えば、【青緑デュエランド】はかなり弄っていました」

 ---逆に作っていたけどうまくいかなかった、みたいなデッキってありますか。

ハマチ「それこそ無限にあります(笑) 言い方は悪いですが、数多のゴミを生産して、その中からようやくデッキが生まれている、という感じですね」

 ---上手くいったデッキって、本当に氷山の一角なんですね。

ハマチ「そういうことです」

 ---デッキを作る上でハマチさんが意識していることってなんですか。

ハマチそのデッキを構成しているパーツが強いかどうか、はかなり意識しています」

 ---と、いいますと?

ハマチ「例えばループデッキを作る場合、デッキを初動とループパーツで構成することになりますよね? この初動が弱いカードで構成されていたらデッキとしては弱いです。初動が《天災 デドダム》《Disジルコン》基盤で構成されているなら、デッキを強い構成で作れていると言えます」

 ---なるほど。例えば初動に《天災 デドダム》のようなカードをすんなり採用出来るデッキは強いと。

ハマチ「そうなります。あとはループパーツが多すぎても弱いですし、あとはループパーツが単体でも活躍できるカードかを意識しています」

 ---例えば《黒神龍ザルバ》みたいなカードでフィニッシュするよりは……。

ハマチ《偽槍縫合 ヴィルジャベリン》のほうがいい、というわけですね」

 ---最後に、未来のデッキビルダーたちにメッセージをお願いします。
 
ハマチ「アイデアが浮かんだらまず40枚にして欲しいです。それをやるってことは強いギミックを見付けるということですし、その時は当たりを引けなくても後々強くなることもあります。変なギミックをいっぱい知っていると流用も出来るので。とりあえずデッキはいっぱい作りましょう」

 ---なるほど。ありがとうございました。
 
     †
 
 ハマチの話で印象的だったのは、デッキの強度という点だ。
 要するに、デッキの中に如何に強いカードを増やせるか、というのが彼のデッキ構築哲学なのだろう。
 
 【4cデイヤーループ】などはその点かなり彼の哲学に叶っているデッキであり、《フェアリー・ライフ》などごく一部の初動を除くと、あらゆるカードがGRにアクセスしたり、山札を掘り進めてくれるカードで構成されている。
 
 もちろんカードゲームは1+1が単純な2になるゲームではなく、シナジーによって3にも4にもなるゲームではある。しかしだったら100や200と足し算した方が、シナジーで3000000とか1250000000850とかになるかもしれない。
 
 まとめ:強いカードで作ったデッキは、強い。
 

ドラ焼き(京都府)
主な実績:2019年度ランキング1位、全国大会2019 4位など
主な制作デッキ:【水火自然ミッツァイル】(共作)、【水闇ゼーロ】など

 次にお話を伺ったのは、お馴染みドラ焼き
 動画サイトでも記事でも彼の作ったデッキを知ることが出来るが、その根底になっているのはどういった部分なのだろうか。
 
 ---これまで作ってきたデッキや、その話について教えてください。
 
◆ドラ焼き「自分のデッキ制作の原点は【闇単デスザーク】ですね。当時はまだ《卍月 ガ・リュザーク 卍 / 卍・獄・殺》もなくて、《超次元リバイヴ・ホール》などの超次元呪文を採用しているときの構築です」

 ---懐かしい。2種の超次元呪文を使ったデスザークですね。
 
◆ドラ焼き「この時考えていたのが、初期のデスザークが抱えてい欠点を、どう補うかということでした」

 ---《卍月 ガ・リュザーク 卍 / 卍・獄・殺》のないデスザークは、フィニッシュに問題を抱えていましたからね。
 
◆ドラ焼き「そこで《悪臭怪人ゴキーン》を使うことで、相手の山札をロックして勝つ、という構築に辿り着いたんですよ。で、そこで《ヴォルグ・サンダー》で山札を削る、みたいな話をSNSでしたら、色々メンションを貰いました。その時に意見を貰って仲良くなったのが、例えばセキボンさん(全国大会2019 優勝)ですね」

 ---デッキを作って洗練していく過程で、友人まで増えていったんですね。

◆ドラ焼き「まぁ、(セキボンさんより)自分の作ったデッキの方がいいものだったんですけどね(笑)」

 ---……それはともかく、デッキを作る上で苦労していることってありますか。

◆ドラ焼き「文明が多いデッキは苦労が多いですね。どれくらい使うか、で色配分を意識して作っています」

 ---と、いいますと?
 
◆ドラ焼き「例えば5色のデッキを作ったときに、そんなに光文明のカードをプレイすることなかったんですよ。逆に《天災 デドダム》などをプレイしたいので、その色は必要になります。だから『全部の色14枚です』とかではなく、敢えて“ムラ”を作ることでカードをプレイしやすくしている、などの工夫はしています」

 ---他にデッキを作る上で、意識していることってありますか。
 
◆ドラ焼き絶対に試運転はするようにしています。脳内の段階で弱そうって没にする人も多いと思うんですが、それでも自分は試運転まではします。弱そうなデッキでも、回しているとそれなりに改善点も出てきて、そこをまた直して……と繰り返すうちに意外といいデッキになることもあるんですよ」

 ---最後に、未来のデッキビルダーにメッセージをお願いします。
 
◆ドラ焼き「敢えてという話にはありますが、動画で紹介されてるデッキをそのままコピーする、で全然いいと思っています。自分もそこからスタートして、その蓄積があってデッキを作っています。『自分の作りたいデッキ』をコピーでも自作でもいいのから、作ってみて欲しいですね」

 ---ありがとうございました。

     †
 
 DMロボットと呼ばれるだけあって、かなり実践的な検証の話をしているのが印象的だ。彼が発言した「自分のデッキの方がよかった」という話でさえ、そもそも両者を回して比べて得た成果である。細かい検証を行わない限り、こうした結論にはならない筈だ。
 
 また逆に「コピーでもいい、作りたいデッキであれば」というのも印象的だった。確かに好きなデッキであれば、考えるし、数も回す。そこで得られた知識というのが、今後に生かされるということなのだろう。
 特に上手い人が作ったデッキはその構造に何かの理由がある。コピーデッキでも、回すことでその意味を理解することに繋がっていく、そういうことではないだろうか。
 
 まとめ:とにかくデッキは回してみよう。


カロン(長野県)
主な制作デッキ:【ヒラメキウォズレック(※)】

※超天篇初期に流行した、《ヒラメキ・プログラム》を駆使した呪文コンボデッキ。サーチカードを駆使して《ヒラメキ・プログラム》を手札に加え、《ミラクル1 ドレミ24》の効果でこれを唱えることで《サイバー・K・ウォズレック / ウォズレックの審問》のクリーチャー側へと繋いでいく。その後最終的には《超竜バジュラズテラ》と大量の打点で圧殺することになるが、最速3ターンでそれが決まる。

 世の中には天才と呼ばれる人種は確かにいるらしい。【ヒラメキウォズレック】は、そんな天才によって生み出された所業のように思える。
 制作者の名はカロン。デュエマへのモチベも高く、超CS宮城には長野から1人で車を飛ばしてやってきた。
 そんな彼は、どういう風にデッキを作っているのだろうか。
 
 ---カロンさんは意欲的なデッキが多い印象ですが、中でも【ヒラメキウォズレック】は傑作だと思います。あのデッキって、どうやって生まれたんでしょうか?
 
カロン《サイバー・K・ウォズレック / ウォズレックの審問》が発表されたときに、このカードなんか凄そうだなと思って、コスト3の呪文全部洗い出したんですよ」

 ---なるほど。

カロン「そしたらやっぱり一番強そうなのって《デビル・ドレーン》とか《ヒラメキ・プログラム》じゃないですか? それ見たとき『あっ、これで勝てそうだな』って。そして出来たのが【ヒラメキウォズレック】ですね

 ---……?(困惑する筆者)

カロン「でも、そこからデッキをコンパクトに纏めるのはかなり難しかったですし、最後にフィニッシャーの《超竜バジュラズテラ》を見付けるにも、かなり時間が掛かりましたね」

 ---えっと、しかもカロンさんって、確か基本的に1人でデッキを作っているんですよね?
 
カロン「そうです。だいたい1人回しです。あの、『一緒に調整してくれる人を募集しています』って書いておいてください(笑)」

 ---ちなみに、何かデッキを作って苦労したことってあります?
 
カロン「うーん……どちらかというと、自分で作ったデッキを大会に持っていたときに『ゴミデッキに負けた!』みたいなことを相手に言われるのが辛いですね(笑)」

---確かにカロンさんのデッキって、一見使い方のわかりにくいカードや、本当に突拍子もないギミックとか入っていたりしますからね。

カロン「あとさっきも言ったように、【ヒラメキウォズレック】は形にする過程で苦労しています」
 
 ---デッキを作るときに意識していることがあったら、教えてください。
 
カロン「強みを押し付けることを意識しています。弱いところを補おうとするよりは、強みに特化した方がいいですね。例えば、コンボデッキで受けが弱かったとしても、変にトリガーを入れるくらいならコンボの成功率を上げるカードを入れた方がいいと思っています」

 ---最後に、未来のデッキビルダーに向けてのメッセージをお願いします。
 
カロン「最初はリストを数枚入れ替えるだけでもいいので、自分らしさや工夫した点などを上手くデッキにしてみてください。そして是非、デッキを0から作る楽しさを味わってもらえればと思います!」

 ---ありがとうございました。
 
     †
 
 改めてカロンの言葉から彼の思考を噛み砕いてみると、恐らく彼はカードと他のカードを紐付けるのが上手くて、また自身がループやチェインコンボデッキに対してかなり知見があることから、ギミックを転換する力が高いのだと思う。
 実際このカード同士のシナジーを考えることは、デッキ構築の第一歩だろう。
 
 だがとりあえず、世の中にはやっぱり凄い天才型もいる、という風に纏めてしまってもいいのかもしれない。

まとめ:天才はいる、悔しいが。


こっちゃー(中部→埼玉)
主な制作デッキ:【5cランデス】、【火自然印鑑パラス(2ブロック)】【水自然スコーラー】、【水光スコーラー】など

 天才と言えば、脳内データベースにもう1人該当者がいた。GP8th(2ブロック)の優勝デッキを作成した他、意欲的なスコーラーのデッキを次々と生み出しているこっちゃーだ。
 プレイヤーとしての能力も極めて高いという印象がある彼だが、とにかく発想は常人とは少し外れている。【水火自然ミッツァイル】の《黙示賢者ソルハバキ》《トップ・オブ・ロマネスク》といったカードの発掘は、その一例である。
 
 普段は冗談っぽく笑っていることが多いが、ことデッキの話となると真剣な様子で話をしてくれた。
 
 ---こっちゃーさんと言えば、奇想天外な発想のカードを持ってくるどういった形でデッキを作っているんですか?
 
こっちゃー「例えば【水光スコーラー】ですが、CS会場でたまたま誰かが言っていた『《イグゾースト・Ⅱ・フォー》は強い!』って言葉が印象に残ったので、ずっと家でこのカードを使ってデッキっぽいものを弄っていたんですよ。そしたら段々このカードの使い方も分かってきて、《イグゾースト・Ⅱ・フォー》を使うと呪文が連鎖することにも気付いて。じゃあ《》だろうとなって、形にして、あとはCSに出ながら徐々に形にしてきました。そしたらそのうち、勝てるデッキになったって感じですね」

 ---結構何気ないキッカケからデッキを作っているんですね。
 
こっちゃー「5cランデスも昔(これは本当に昔で、極神編とか戦国編の時代)からあったと思うんだけど、《怒流牙 サイゾウミスト》が出た時に『《ラスト・バイオレンス》《怒流牙 サイゾウミスト》回収したら、めっちゃ固いデッキになるんじゃないか』って思って、《時の秘術師 ミラクルスター》と一緒にデッキに入れたんですよ。で、とりあえず出来たから大会(静岡CS)に持っていったら優勝した」

 ---とりあえずで優勝……?
 
こっちゃー「環境的な要因は一応ちゃんとあって、その時は単色環境だったために《ラスト・バイオレンス》が刺さりやすかったことと、逆に多色を使うデッキは《Mの悪魔龍 リンネビーナス》みたいなデッキが多くて、《焦土と開拓の天変》で色を抜いて上げると動きが止まるから、ランデスが強かったんだよね」
 
 ---今日のデッキは5cですが、少し変わったカードが入っていると伺いました。
 
こっちゃー「今日のデッキは実家(5cのこと)なんですけど、ハンデスに勝つために《未来妖精ミクル / ミラクル・ブレイン》を採用していて。ドローは当然として、上のマナ加速も衝動のあとに使うと8に届くので、そこで《聖魔連結王 ドルファディロム》に繋がって蓋が出来る、という構築になっています」
 
---《聖魔連結王 ドルファディロム》なんかは今では少し見掛けなくなってきたカードだと思うんですが、どういうことを意識してデッキを作っているんですか。

こっちゃー『どうやって勝つか』ですね」

 ---と、いいますと?
 
こっちゃー「例えばハンデス相手にはアドバンテージがあれば勝てるから、デッキの何処でアドバンテージを取るか、みたいな話です。だから今回も≪ミラクル・ブレイン≫なんです。『環境にいるデッキにどう勝つか』と考えています」

 ---ビルダーであり、チューニングもこなす感じなんですね。
 
こっちゃー「あとは強いギミックを入れるにあたっての枚数配分とか、色配分とか、細かい部分の話になりますが……。自分はデッキにアクセントを入れる方が得意かも」

 ---最後になってしまいますが、未来のデッキビルダーに向けてメッセージをお願いします。
 
こっちゃー「思い付いたら試しましょう。いまは結果を見せる場、試せる場がいっぱいある時代なので、とりあえず試して欲しいです。それでどうして良かったか、逆にどうして良くなかったかを覚えていると今後に生かしやすいと思います」
 
 ---ありがとうございました。

     †
 
 天才、というのが事前の印象だったが、話してみるとこっちゃーは非常に言語化が上手いと感じた。
 何故そのデッキが強いのか、どうアプローチすればそのデッキに勝てるようになるのか。自分が作ったデッキを含めて、その要因を説明は説得力があった。
 
 デッキにアプローチするにあたって、言語化というのは極めて大事な能力だと思える。
 
 こっちゃーが言った「そのデッキにどうやって勝つか」というのは、まさに言語化の成せる技であり、勝ち方のギミックそのものの説明を構築段階で出来ないといけない。そのためには、それ以前に現環境デッキの長所短所を説明出来る必要があって……と、やはり言語化が求められている。
 
 彼のデッキに特徴的なカードの採用が多いのは、彼の言語化能力の賜物と言えるだろう。
 
まとめ:言語化能力を磨くことが、環境にアプローチしたデッキ構築の第一歩。


むった(東京)
主な制作デッキ:【闇火墓地ソース】【水闇シヴァンリンネ】など

 むったの最新作である【水闇シヴァンリンネ】は、超CS京都後の環境で次々とCS優勝を果たしたデッキだ。
 長らく【墓地ソース】を使っている彼の、デッキの作り方について話を聞いてみよう。

 ---むったさんの作っている墓地系のデッキは、どうやって生まれているんでしょうか?
 
むったずっっっっっっっと墓地ソースを触っているんで、何を使えばどれくらい墓地が増えるとか、そういうのが肌感覚でわかるんですよ。火闇の墓地ソースを作ったのは《龍装鬼 オブザ08号 / 終焉の開闢》が出た時でしたが、墓地の増え方とかあとは《龍装者 バルチュリス》は墓地ソに自然に入って打点を組めるとか、そういう経験をもとに作っていました」

 ---最新作の【水闇シヴァンリンネ】も、墓地の経験が生きているということでしょうか。

むった「そうですね。元々新カードを使いたいという欲はあって、その中で《龍頭星雲人 / 零誕祭》は使いたいなーって思っていたんです。で、最初はヤドネを考えたんですよ(以下、ヤドネというデッキの本質や墓地を溜めるギミック、環境で必要なアプローチについて熱く語る。本当に申し訳ないけど長すぎるのでここは中略)。
 ……つまり≪龍頭星雲人≫を出した後に何かするカリヤドネのようなアプローチは強くないと思っていて、だとしたら≪龍頭星雲人≫を出したことで、そのまま勝ちに直結しないといけなかったんです。だけど、星雲人を出しながら手札にリソースは持てない。そうなるとこのデッキで使えるリソースって、もう墓地しかないじゃないですか。
 じゃあ墓地からクリーチャーを出すギミックってムゲンクライムかフシギバースになるんですが、ムゲンクライムでは勝てないなので、出すことで勝てる《不死の墓守 シヴァンリンネ》をチョイスしたわけです」

 ---《不死の墓守 シヴァンリンネ》なんてカード、よく覚えていましたね。
 
むった《不死の墓守 シヴァンリンネ》も前に《奈落の葬儀人デス・シュテロン》を種にフシギバースして出すギミックを考えていたんですよ。脳内で墓地に関連するカードはだいたい覚えています」

 ---デッキを没にするケースも多そうなのですが、デッキを作る・使うときに意識しているのはどんなことですか?
 
むった「意識しているのは『その環境で求められている性質』を理解することですね」

 ---難しそうな概念が出てきましたが、どういう意味なんでしょうか。
 
むった「例えば、王来篇のデッキはフィニッシュターンが比較的遅いデッキが多かったですよね。ですがターンが遅くなった代わりに、1枚ごとのカードの役割が多かったんです。だから、この環境で求められている性質というのは『デッキのカードに多くの役割を持たせる』、言い換えれば『トップで引いたときに弱いカードを増やさない』ことが大事だと思っています。
 一方で超天篇はまた違っていて、とにかく速度が命の環境だったんですよね。だからデッキに多少のノイズが入るのを許容しても、速度を重視するカードを積んでいました。『その環境で求められている性質』とは、そういうことです」
 
 ---なるほど……。

むった「ですので、最近ではコンボパーツが多いデッキはよく没にしています。環境で求められている性質ではないからですね」

 ---では最後になりますが、未来のデッキビルダーに向けてメッセージをお願いします。
 
むった「せっかくのTCGなので、自分で作る楽しみは味わって欲しいです。自分でデッキを作るの、楽しいよ」

 ---ありがとうございました。
 
     †

 話の前半は、好きなギミックをとことん突き詰めておくことで新しいデッキを作りやすいという風に解釈することが出来ると思う。彼で言えば墓地だが、墓地に対しての普遍的な理解だけでなく個別のカード同士のシナジーを考えておくことで、《不死の墓守 シヴァンリンネ》というカードに辿り着いたのだろう。
 
 そして後半部分は「環境で勝てるデッキを作るには」という部分の話になっている。これはゲームの本質の理解、という話になる。実際、(筆者も含めて)そんなことなど考えてもみなかったプレイヤーは多かったと思うが、彼の説明を聞くと納得出来るものがあった筈だ。
 まとめるのは難しいが、ゲームに対して一歩引いて俯瞰的な視点がないとこの部分に辿り着くことは難しい。
 好きなギミック、デッキを環境に合わせて使い、勝つ……という事をするには、こういった思考も必要なのかもしれない。
 
 まとめ:好きを詰めていこう。ゲームを一歩引いて俯瞰的に捉えてみよう。
 

ばんちき(愛媛)
主な制作デッキ:【水光ギャラクシールド】

 記事や動画などで次々と新しいデッキを生み出しているばんちき。質を保ちながらデッキの数を生み出すには、ノウハウが必要だ。
 一体どんなノウハウがあるのか、訊いてみよう。
 
 ---これまで作ってきたデッキで、お気に入りのものがあったら教えてください。
 
ばんちき「ギャラクシールドもそうですが、カジュアル寄りのデッキでいくとガチまとめ(デュエマ関連記事が掲載されているウェブサイト)で書いた【虚数転生ディスペクター】なんかはかなり気に入っています」

 ---それはどういった考えで作ったんですか?
 
ばんちき「王来篇の新能力でササゲールというのが出てきたので、それでデッキを作って欲しいと頼まれて。ですが、当時のササゲール持ちのカードって基本3コストだったんですけど、全体的にカードパワーは抑え目だったんですよ」

 ---《無頼 ブロンズ-1》とかですね。
 
ばんちき「ですがその問題点を《虚数転生》によって補って、楽しく遊ぶためのデッキにする、という目的で作っています。実際、楽しく遊ぶにはかなりいいデッキになったと思っています」

 ---制作にはやっぱり苦労したんですか?
 
ばんちき「単体で役割が少ないカードが多くて困っていましたね……カードリストからなんとか探して、納得出来るまでには仕上げました」

 ---こうしたデッキを作るときに、意識をしていることってどんなことですか。
 
ばんちき再現性、ですね」

 ---再現性を高めるためには、どうするのがいいんでしょうか。
  
ばんちき「再現性を高めるための工夫としては、幾つかアプローチがあると思います。例えばデッキのメインの動きであるプランAがあったとして、そうではないプランBをデッキの中に用意することで、ゲームを作れます。また、プランAを使うためにサーチカードを増やす、なんていうものそうですね。あと、強いカードは4

 ---強いカードは4。
 
ばんちき「あとは文明の配分なんかも意識しています。2ターン目、3ターン目の初動を使うための多色の枚数ですね。仮に《フェアリー・ライフ》を使うなら最低でも18枚は色が欲しいです。
 また、逆にデッキの弱い色はギリギリまで減らしています。例えば【水闇ハンデス】の水って、1枚は欲しいけど多すぎても弱いんですよ。3ターン目に《エナジー・ライト》を撃つために、必要最低限の14枚に抑える、といった感じですね」
 
 ---最後になりますが、未来のデッキビルダーに向けたメッセージをお願いします。
 
ばんちき「デッキのやりたいことをやるためには、再現性こそ命です。自分はそこには拘っているので、拘って欲しいです」

 ---ありがとうございました。
 
     †

 ばんちきのデッキは、再現性という言葉が示す「まず動くこと」を意識しているのだろう。
 やはり、まとめるならこうだろうか。
 
 まとめ:強いカードは4。


 如何だっただろうか?
 それぞれのビルダー同士の共通点もあったが、それぞれ拘りという部分ではそれぞれの個性が出ており、大変興味深い。
 
 この記事がプレイヤーの皆様によって、何かの糧になれば幸いだ。
 
 なおいざノウハウを横取り……ではなく吸収しようとしても、実際には「蓄積」を問われていることが多く、一朝一夕ではどうにもならないものが多そうである。
 
 名デッキビルダーは一日にしてならず。肝に銘じて、デッキを作ろう。

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