DMGP2023-2nd Round 5:のすけ vs. シュカ01
ライター:秋山 大空
撮影者:後長 京介
「魔覇革命」発売時、プレイヤー達の多くはそう思った。
そして、それを証明するかのように、すぐに環境に2つのデッキが現れた。
『水火マジック』と『闇自然アビス』である。
両者とも「魔覇革命」のオーバーレアがデッキの中核となっており、3ターン目に出力されるぶっ飛んだ展開力によって華々しいデビューを飾った…と思われた矢先、『水闇自然ジャオウガ』がCSの入賞を独占したのだ。
環境に存在するデッキの大半に強い《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》を強く使える上に、前環境からの経験値を活かせる『水闇自然ジャオウガ』が初週の覇者となるのは必然と言えるかもしれない。
しかし、上記の2デッキはそこで沈んでいくようなデッキではなかった。
大量の手札交換や《芸魔隠狐 カラクリバーシ》効果の1ドロー等、攻撃中の不確定要素によりプランの変更も考慮しなければならない『水火マジック』。
何度も行われるメクレイドによって変化する山札下の順番管理や、メクレイド時の出力が想定を下回ったときのリカバーを考慮しなければならない『闇自然アビス』。
パーツを揃えてから動き出すのではなく、パーツを揃えるために手札に持っておきたい1枚を切り、カードを引く等で判明した情報をもとにプランを更新及び最適化する。
つまり、動きながら考える。そんなデッキを、初週で高いレベルで回せるプレイヤーは少ない。
では、発売からしばらく経った今の環境はどうだろうか。
このフィーチャーは、まさに高いレベルで上記のデッキを回せるプレイヤーが出てきたという証明。
全勝中の『水火マジック』と、全勝中の『闇自然アビス』のオーバーレア対決である。
のすけ「大型大会でフィーチャーされる機会が増えて、やっと慣れてきたかなと思ってたんですけど、今回はフィーチャー卓がちょっと違うんで緊張してます」
シュカ01「フィーチャーは初めてなので、正直かなり緊張してます」
のすけ「今回のフィーチャーめっちゃ良いですよね。WHFを思い出す感じで」
今回のフィーチャー卓は今までと違い、櫓のように高くなっている。
選手は勿論、ジャッジやライターまでテンションが上がってしまうようなフィーチャー卓の前では、今までのフィーチャー経験など些事に過ぎないかもしれない。
それくらい、高いフィーチャー卓は面白いのだ。
両者共に4-0と、全勝街道をひた走る者同士。
全勝街道に残るのは、のすけのハイクか、それともシュカ01のバイクか。
Game
先攻:のすけのすけは《淡いと濃い ケローラ / ♪やせガエル 負けるなケローラ スパイラル》、シュカ01は《ドミー=ゾー / 「倒したいか?」》でスタート。
3ターン目に動き出したいところだが、手札が芳しくないのすけ。
「《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》があればゆっくりゲームを作れるんですけど、引けなかったから《芸魔隠狐 カラクリバーシ》のドローを見ながら殴るしかありませんでした」
試合後にそう語ったのすけ。《瞬閃と疾駆と双撃の決断》で≪淡いと濃い ケローラ≫を出し、SAを付け《芸魔隠狐 カラクリバーシ》に革命チェンジ。呪文詠唱は無し。
相手の《フットレス=トレース / 「力が欲しいか?」》からのメクレイド展開をまともに受け止める形になるが、ここで強気に出なければゲームの組み立てもままならない。
しかし、それを打ち砕くトリガー《ア:グンテ》。
《フットレス=トレース / 「力が欲しいか?」》でメクレイドするが、《ヨービリン=リリン / 「……誰を呼びたい?」》と芳しくない出目。
それを見て、のすけはしばし長考。
《AQvibrato》を召喚、《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》のマジック・フレンドバーストを使い《ア:グンテ》と≪ヨービリン=リリン≫を手札に戻す。
《邪幽 ジャガイスト》からメクレイドし、見えた《ア:エヌ:マクア》で2ブースト。この2ブーストで《アビスベル=覇=ロード》が見え手札に加えるシュカ01。
続けて《邪幽 ジャガイスト》の効果で墓地から《謀遠 テレスコ=テレス》を蘇生し、《ア:エヌ:マクア》から革命チェンジした《アビスベル=覇=ロード》が≪歌舞音愛 ヒメカット≫を攻撃。
《AQvibrato》を《謀遠 テレスコ=テレス》で破壊する…が、攻撃したことで《邪幽 ジャガイスト》の効果で《謀遠 テレスコ=テレス》がターン終了時に山札の下に送られてしまうことになる。
シュカ01は、リカバリーとして《アビスベル=覇=ロード》効果でマナから《謀遠 テレスコ=テレス》を補充してターン終了。
のすけのターン開始時、《謀遠 テレスコ=テレス》の効果が発動。
3枚の手札の中から、墓地に落ちたのは《飛翔龍 5000VT》。 のすけ「まじかー…」
《飛翔龍 5000VT》は、対『闇自然アビス』でも重要なカードだ。
《謀遠 テレスコ=テレス》や≪フットレス=トレース≫を封じながら直接《芸魔王将 カクメイジン》への革命チェンジを狙う…と言うのもあるが、純粋にパワー12000のクリーチャーは『闇自然アビス』にとって面倒くさい。
たとえ《邪幽 ジャガイスト》が並んでいたとしても、シュカ01は≪♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり≫と《芸魔王将 カクメイジン》の存在を意識せざるを得ない。
勿論、それは場に出ていればの話。
墓地へ落とされてしまった以上、別のプランで切り返すことを考えなければならない。
のすけは、《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》で手札を入れ替えターン終了。
だが、シュカ01が繰り出す2枚目の《邪幽 ジャガイスト》に、のすけは苦しげな表情を見せる。
《邪幽 ジャガイスト》のメクレイドから《ア:エヌ:マクア》。のすけの墓地のカードを山札に戻し、《邪幽 ジャガイスト》2体の効果が起動。≪ヨービリン=リリン≫と≪フットレス=トレース≫を蘇生し、アビス・フレンドバーストで≪Napo獅子-Vi無粋≫を破壊。
更に《アビスベル=覇=ロード》でシールドを詰め、終了時の効果で《邪幽 ジャガイスト》を場へ。
《邪幽 ジャガイスト》効果でメクレイドし、《謀遠 テレスコ=テレス》。墓地からもう1体の《謀遠 テレスコ=テレス》。 のすけにターンが回って来るが、《謀遠 テレスコ=テレス》3体の手札破壊が入り、切り返す手段が尽きた。
Winner:シュカ01
必要なパーツを引き込むために、《芸魔隠狐 カラクリバーシ》で革命チェンジするプラン。
《瞬閃と疾駆と双撃の決断》で《芸魔隠狐 カラクリバーシ》をアンタップせず、横に並べて押し切るプラン。
これらの「《芸魔王将 カクメイジン》まで繋がらないときの《芸魔隠狐 カラクリバーシ》の切り方」が、『水火マジック』の特に難しい部分である。
手札の頼りなさからリスクの大きな選択肢を取らざるを得なかった上、その選択も《ア:グンテ》と《謀遠 テレスコ=テレス》に咎められたのすけは振り返る。
「《ア:グンテ》トリガーも確かにきつかったんですけど、一番響いたのは《謀遠 テレスコ=テレス》で《飛翔龍 5000VT》が落ちたことですね」
「あの《飛翔龍 5000VT》が残っていればゲームを作り直せたんですけど、1/3を抜かれたせいでマズい展開になりました」
全勝は途切れたものの、まだ1敗ライン。気持ちを切り替え、のすけは次の試合へと向かった。
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