DMGP2024-1st Day2(オリジナル) 準々決勝:ファイアードラゴン vs. スマホは23時まで!
ライター:富澤 洋平
撮影:後長 京介
チームの勝敗は水火マジックのミラーマッチへと委ねられ、紆余曲折経て、一刻の猶予もない状況まで進んだ。現状余剰打点はなく、攻撃をすべて通して勝つしかない、いわゆるジャストキルしなければならない場面からみらくる。のプレイは始まる。
勝利したスマホは23時まで!の涙の理由、それは単にタイトロープを渡りきった安堵によるものだけではない。
二宅 #紡木の保護者会、さんやみ/あんじ界隈、みらくる。の3名で構成されたスマホは23時まで!は「何よりも全国大会への出場権利が欲しい」と話す。聞けば飛梅CSで知り合い、大会を通じて互いに認め合ったDMPランキングをひた走るランカー同士のチームである。
試合慣れしているはずの3人ではあったが、トップ8入りをかけた対戦でまさかの悲劇が襲った。事前のデッキチェックでB卓のさんやみ/あんじ界隈のデッキにスリーブ不備の警告が入ったのだ。
下された裁定結果は無情にもゲームロス。1ゲームを争うデュエルマスターズにおいて、それは敗北と同義だ。近づいていた全国への切符が彼らの手から離れそうになっていた。 だからこそ、A卓の二宅 #紡木の保護者会とC卓のみらくる。は奮起した。彼らに課されたノルマは二戦必勝。自分たちのグランプリを不慮のかたちで終わらせまいと相手との駆け引きに競り勝ち、自分とのプレッシャーに打ち勝ち、気落ちしていたさんやみ/あんじ界隈の心さえも救った大きな1勝であった。
みらくる。「あれはまさに魂のジャストキルでした」
戦後、みらくる。の語った通り、まさに気迫でもってもぎ取った勝利であった。彼らの目標である全国大会出場を叶えるには、最低でもあと2回勝利する必要がある。
両チームが揃って写真撮影を終えると、再び修羅の刻となる。対戦の邪魔にならぬよう一歩下がろうとした筆者に対し、「ぜひカバレージとってください」と声をかけてきたプレイヤーがいた。先の激闘を制したみらくる。である。
彼の言葉には「絶対にいい対戦にしますから」と続くような説得力があり、自然とよわすぎたげんぱく vs. みらくる。の対戦へと引き寄せられた。
C卓:よわすぎたげんぱく vs. みらくる。:Game 1
先攻:みらくる。水火マジックを使用するみらくる。は一呼吸し《AQvibrato》を、対するよわすぎたげんぱくは《S・S・S》をチャージする。
隣同士で同じ水火マジックを使用するさんやみ/あんじ界隈と会話を挟みながらプランを練っていく。
みらくる。「オレを信じろって」
力強く仲間に声かけすると、自身は《瞬閃と疾駆と双撃の決断》をチャージし、《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》を召喚。タップインチャージを続けたよわすぎたげんぱくに対し、3ターン目に《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》を召喚し手札を回転させ、《芸魔隠狐 カラクリバーシ》を引き込む。 攻撃から《芸魔隠狐 カラクリバーシ》への革命チェンジを経て、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を唱えてアンタップ効果と《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》を出しなおし、さらにドローを重ねる。ここで《芸魔王将 カクメイジン》があれば、水火マジック得意の3ターンキルへと移行できたが、引けず。これ以上の深追いは早計とひとまず攻撃を中断し、ターンを返す。
対するはよわすぎたげんぱくは《天災 デドダム》を召喚し、リソースを伸ばす。 ターンが返りみらくる。は《氷柱と炎弧の決断》を唱えて手札の入れかえを二度選択すると、見事《芸魔王将 カクメイジン》を引き込むことに成功する!
さあ、攻撃の時間だ。みらくる。はチャージされた《S・S・S》の効果を確認すると、《芸魔隠狐 カラクリバーシ》を攻撃へ送り出し、すぐさま《芸魔王将 カクメイジン》へと革命チェンジ。 《氷柱と炎弧の決断》でデッキを掘り進めつつ《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》を出し、マジック・フレンド・バーストで≪♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて≫を唱えて《天災 デドダム》をバウンス。
続いて流れるように《瞬閃と疾駆と双撃の決断》をプレイし、《芸魔王将 カクメイジン》自身をアンタップしつつ《単騎連射 マグナム》でブロッカーの登場すら封じる。
ここまでにシールドに有効なS・トリガーはなく、よわすぎたげんぱくは大量の手札を抱えるのみ。
再度《芸魔王将 カクメイジン》が攻撃へと向かうと、ドローがドローを呼び込み手札と墓地の枚数が加速していく。
しかし、ここでついによわすぎたげんぱくはS・トリガーを宣言。 《百威と族絆の決断》の効果で、新たにシールドとマナが2枚ずつ追加される。
みらくる。は召喚済の《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》を攻撃へと向かわせ《芸魔隠狐 カラクリバーシ》へと革命チェンジ。S・トリガーはない。
ということはつまり、最後の1枚に。 みらくる。「(S・トリガーが)埋まってるくさいな」
手の中でクリーチャーを躍らせながらしばし考えるも、待つわけにはいかない。先ほどの《百威と族絆の決断》でマナ加速までも果たし、5C蒼龍本来のゲームレンジまで到達してしまっているためだ。
攻撃への意志表示として、《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》をタップすると、よわすぎたげんぱくは最後のシールドを確認し…唱えることなく手札へと加える。
それはたった4ターンの出来事。自身と仲間を信じる意志は、5C蒼龍の守りを易々と突破した。
よわすぎたげんぱく 0-1 みらくる。
A卓:ノーヒラ vs. 二宅 #紡木の保護者会:Game 1
みらくる。の勝利が決まると同時に、ちょうど二宅 #紡木の保護者会もGame 1を勝利したところだった。ノーヒラ 0-1 二宅 #紡木の保護者会
B卓:カニかまピラフ vs. さんやみ/あんじ界隈:Game 1
カニかまピラフの《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》で戦線が崩壊するも、早くもマジックたちによるボードの再構築が開始されていた。勝負はカニかまピラフの《水晶の王 ゴスペル》の着地と《芸魔王将 カクメイジン》の着地のどちらが早いかに委ねられそうだ。冒頭ではスマホは23時まで!をご紹介したが、対峙するノーヒラとカニかまピラフ、よわすぎたげんぱくのファイアードラゴンどんなチームなのだろうか。
カニかまピラフ「中学、いや小学校時代からの友人ですね」
スマホは23時まで!の面々がCSで腕を競い合い、共に認め合った強敵(とも)であるならば、対峙するファイアードラゴンは竹馬之友ならぬデュエマの友とのこと。小学校時代からの仲であり、昔から一緒にデュエルマスターズを遊んできた。
その彼らが今回のグランプリがチーム戦であることを知って、チームを組まないわけがない。前回のチーム戦グランプリにあたるGP6thのタイミングでは参加することが叶わなかったこともあり、初参加となるチーム戦ならば、なおさらこの3人で組むしかないだろうと迷わずチームを結成した。
対戦開始前、先に席へついていた3人に話かけると、真剣でいて、どこかしら勝負を楽しむ大人の余裕が感じられた。渡した紙にHNを書いてもらうと、カニかまピラフからよわすぎたげんぱくへツッコミが入る。 カニかまピラフ「何でHNをよわすぎたげんぱくにしたんだよ」
よわすぎたげんぱく「だってフィーチャーされるなんて思ってもなかったし…せめてつよすぎたげんぱくにしとくべきだったかぁ」
まさかのフィーチャー、しかしそれは事実であり、彼らが積み重ねてきた時間と実力、そして友情に比例したものだ。
カニかまピラフ「ところで、プロフィールってトップ8からですか?」
チーム戦に関してはトップ4と告げると、
カニかまピラフ「じゃ、ここ勝たなきゃな」
ファイアードラゴンにも勝たねばならぬ理由があり、目標がある。
C卓:よわすぎたげんぱく vs. みらくる。:Game 2
Game 2
先攻:よわすぎたげんぱくよわすぎたげんぱくはGame 2へ向けて初手を取ると《砕慄接続 グレイトフル・ベン》、みらくる。は《芸魔隠狐 カラクリバーシ》と多色カードをそれぞれチャージ。
続くターンには《AQvibrato》の理想的なスタートをきったみらくる。に対して、よわすぎたげんぱくは3ターン連続で多色カードをマナゾーンへとチャージする。 むかえた3ターン目、みらくる。は《氷柱と炎弧の決断》を唱えドローモードを2回選択すると、早々と《芸魔王将 カクメイジン》を引き込む!
まずは《AQvibrato》が攻撃と同時に《芸魔隠狐 カラクリバーシ》へと革命チェンジし、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を唱え自身をアンタップと《単騎連射 マグナム》を出すことを選択。 再度《芸魔隠狐 カラクリバーシ》でアタックすると、今度は《芸魔王将 カクメイジン》へ。シールドブレイク前に《氷柱と炎弧の決断》でドローと《AQvibrato》を出し、続いて《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を唱え、自身をアンタップしつつ《AQvibrato》を2体目を追加とやりたい放題。
よわすぎたげんぱくはひたすらにシールドを手札へとため込んでいく。
残るシールドは2枚。Game 1での《百威と族絆の決断》が脳裏をよぎるが、みらくる。は打点とS・トリガーとを天秤にかけて、再度《芸魔王将 カクメイジン》でアタックを敢行する。そして、小気味よく
みらくる。「2点いきたいです」
とよわすぎたげんぱくへと告げる。
相手はシールドを悩み、《獅子王の遺跡》のトリガーを宣言する。つまり、ストップトリガー、この場面における逆転の可能性が0となったことを意味する。
もう、よわすぎたげんぱくを守るシールドはない。みらくる。は《AQvibrato》を攻撃へとむかわせ、笑顔で仲間へ先勝を告げた。
Winner:みらくる。
A卓:ノーヒラ vs. 二宅 #紡木の保護者会:Game 2
Game 2もかわらずクリーチャー溢れるボードが構築されていたが、おそらくノーヒラの《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》により一時的にボードがクリアになり、墓地に大量のアビスが揃っている状況。《邪幽 ジャガイスト》などによるボードの再構築が焦点となりそうだB卓をへ目を向けると、初戦を制したはさんやみ/あんじ界隈が攻撃中だった。こちらの決着のほうが先かもしれない。ここからはB卓を追っていこう。
B卓:カニかまピラフ vs. さんやみ/あんじ界隈:Game 2
光水火ゴスペルを使用するカニかまピラフを守るシールドは残り2枚。問題はシールドの数ではない、その中身だ。多くの呪文によって構築された光水火ゴスペルは、《水晶の王 ゴスペル》からのフィニッシュまでの時間を作るため、多くのトリガーを搭載している。 Game 1でみせた《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》はその代表格であり、《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》と組み合わせることで一手でボードを無に帰す。《オリオティス・ジャッジ》や仮に入っていれば《S・S・S》でも窮地を脱することはできる。
しかし、さんやみ/あんじ界隈はそれを良しとしなかった。 攻撃に合わせて、《芸魔隠狐 カラクリバーシ》を《芸魔王将 カクメイジン》へと革命チェンジする。そして、先ほどのラウンドで友が拾ってくれた勝利を、今度は自らの手で手繰り寄せる。 さんやみ/あんじ界隈「《ファイナル・ストップ》」
《ファイナル・ストップ》は光水火ゴスペルの逆転の芽を詰み、水火マジックのためだけの時間を作りだす。1枚の呪文によって、水火マジックはその攻撃力を思うがままに振りかざしていく。
デッキの代名詞である《芸魔王将 カクメイジン》はすべてのS・トリガーを止め、本体へのダイレクトアタックを完遂した。
Winner:さんやみ/あんじ界隈
惜敗したファイアードラゴンは悔しさよりも清々しさ、そしてやりきったという充実感を滲ませていた。公式カバレージにプロフィールを載せることこそ叶わなかったものの、今大会の戦績をデッキとともに自身のSNSへ記録していく。それと同時に光水火ゴスペルの構築過程や今朝採用した《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》が天啓であったことを教えてくれた。
勝負の世界であるがゆえに、結果による光と影が生まれてしまうのはいたしかたない。それでもファイアードラゴンを見ていると、勝敗を抜きにしてもチーム戦の良さを改めて教えられた。
デュエル・マスターズの本質は常に対戦(デュエル)にある。デュエルは人がカードを手に取り、人と人が触れ合うことで始まり、連鎖していく。それは過去、現在、未来、永劫変わらない。
そして、そのデュエルがチーム戦であったならば勝利の喜びは何倍にも、敗北の悔しさは1/3になる。
対照的に勝利したスマホは23時まで!は3人の目標である全国大会への出場権利獲得まであと1勝と迫っている。喜びも束の間、次の対戦へと向かい、足早に去っていく。
彼らが全国大会への出場権利を獲得できたかどうかは、後のカバレージで明らかになることだ。
これより準決勝、3位決定戦、決勝戦と対戦は増々熱を帯びていく。現在の時刻はまだ17時台。彼らの1日を終わらせるには、スマホの電源を落とすには、まだ早い。
Winner:スマホは23時まで!(二宅 #紡木の保護者会/さんやみ/あんじ界隈/みらくる。)
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