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DMGP2024-1st :事前メタゲーム総括記事 オリジナル編

ライター:渋谷 直也(シオン)

 新拡張パック、デーモン・オブ・ハイパームーンの発売からわずか1週間後のGP、メタゲームの認識がプレイヤー間でも固まっておらず混沌とした環境になることが予想される。

 今大会の参加者にはゲーム中のプレイスキルだけでなく、より正確なメタゲームの把握力と新カードを生かしたデッキ構築力が求められるだろう。

 本記事では今大会の参加者や観戦者に向けて、新拡張パック発売後のメタゲームや注目デッキついて簡単に解説していく。

 読者の皆様には、1日早く開催されるアドバンスフォーマットの解説記事も是非ご覧頂きたい。

 オリジナルは40枚のみで戦う最もシンプルなフォーマット。ゆえにアドバンスに比べると特殊なデッキが生まれづらい。そして今大会はチーム戦であるという点にも注意しておきたい。

チーム戦の特徴

 チーム戦で行われたGPは過去に1度のみ、DMGP6thだ。

 当時のメタゲームブレイクダウンからデータを参照すると、チーム単位でのデッキタイプ分布は以下の通りだ。

・チーム内の全員が異なるデッキタイプ 35
・チーム内の2人のみが同じデッキタイプ 21
・チーム内の全員が同じデッキタイプ 8

 詳細は割愛させていただくが、全員で同じデッキタイプを持ち込むチームが少ないためメタデッキ持ち込んで勝ち残ることは難しくなっていることがわかる。

 また、全員が同じデッキタイプを使用したチームは母数が少ないこともあるが、ベスト4への入賞を逃している。

 以上の前大会のデータから考察すると、今大会も同様に複数のデッキタイプに対して戦うことのできる、対応力の高いデッキを使用することが1つのカギなのかもしれない。

新拡張パックの影響

 デーモン・オブ・ハイパームーンでは主に既存のデッキタイプが新能力であるハイパー化により強化されている。
そこで前環境から上位層に位置しており、さらにデーモン・オブ・ハイパームーンで大きく強化されたデッキタイプを紹介しよう。それが【闇自然アビス】、【光自然巨大天門】、【闇単アビス】だ。

闇自然アビス

 全国大会でも猛威を振るった【闇自然アビス】だが、確定除去の選択肢が乏しいという弱点を抱えていた。フォーマットはアドバンスで違うとはいえ、《スライサー=グライサー》が採用されていたほどである。

しかし、デーモン・オブ・ハイパームーン発売後は違う。

 アビス・メクレイド5から繰り出すことのできる確定除去というだけでなく、《邪幽 ジャガイスト》の墓地蘇生効果から出すことで、そのまま《邪幽 ジャガイスト》をコストにハイパー化し、更なる展開に繋げられる。

 また、ハイパー化のコストと《アビスベル=覇=ロード》の相性が良く、同時に並べることでその攻撃誘導能力を毎ターン有効にできる。

 【闇自然アビス】は弱点が少なく、対応力の高いデッキだ。さらにループデッキほど完璧ではないが、トリガーによる逆転の可能性を限界まで低くできるデッキでもある。先ほどの分析からもチーム戦である今大会では活躍がより一層期待できるだろう。

光自然巨大天門

 全国大会のオリジナルフォーマットでは使用者が最も多かったデッキタイプだ。《巨大設計図》《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》による強力なリソースと《闘門の精霊ウェルキウス》から次々に展開される大型ブロッカーで相手を圧倒する。新拡張パック発売前からそれほどのポテンシャルを持ちつつ、更なる強化を受けた。

 《水雲の聖沌 5u170n》は各ターン1枚目のブレイクでは強く機能しないため、対【水火マジック】における《芸魔隠狐 カラクリバーシ》や対【水闇COMPLEX】における《奇天烈 シャッフ》の攻撃を咎められずにいた。  展開札としても使えることから4枚採用される可能性が高いと考えると、この《芸魔隠狐 カラクリバーシ》《奇天烈 シャッフ》の攻撃によるリスクは単純計算で倍。攻撃する側としてはたまったものではない。

 新拡張パックで同様に【闇自然アビス】も受けていることも《∞龍 ゲンムエンペラー》を切り札とする【光自然巨大天門】にとってはむしろ好都合といえるかもしれない。

闇単アビス

 新拡張パックで最も大きな強化を受けたと考えられるデッキタイプだ。先ほど紹介した《超霊淵 ヤバーダン=ロウ》もさることながら、《深淵の憤髄 ファウン=テイン》は苦手としていた《アビスベル=ジャシン帝》が居ない状況下での展開やリソースの細さをカバーできる。  さらに、《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》《停滞の影タイム・トリッパー》を代表とするマナタップ能力が現環境でも十分に強力であることに加え、驚くべきはハイパーモードの能力だ。《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》と順に繰り出した際の破壊力は想像に難くない。

 これほどの強化を受けた【闇単アビス】ではあるが、懸念点もある。それは《深淵の支配者 ジャシン》《邪龍 ジャブラッド》《邪侵入》既に3コスト帯のカードが飽和してしまっていることだ。ここに《霊淵 ゴツンマ=ダンマ》《邪魂の王道 ジャシン帝》どう入れ込むのか、使用者の構築力が試されるだろう。  次に、新拡張パックでそれほど大きな強化を受けてはいないものの現環境で上位に位置しているデッキタイプを紹介する。

水火マジック

 現環境のビートダウンで最も強いとされているデッキだ。最速3ターン目の《芸魔王将 カクメイジン》からの《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を連打による早期決着に加え、《氷柱と炎弧の決断》によるロングゲームへの対応力も兼ね備えている。

しかし、前環境ほどの圧倒的な強さは持ち合わせていない。新拡張パックで他のデッキタイプが強化を受ける中、新拡張パックで【水火マジック】が新たに得たカードは《茶麗音愛 ソトハネ》《楽識神官 プレジール》の2種ほど。どちらも強力なカードではあるが、各対面の有利不利に大きな影響は及ぼさないだろう。先月に施行された殿堂レギュレーションで《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》がプレミアム殿堂入りしてしまったことも響いている。  とはいったものの、今大会のメタゲームを考える上でこのデッキを無視することはできない。ゲームレンジを【闇自然アビス】や【光自然巨大天門】に合わせて遅らせれば、【水火マジック】の格好の餌食となる。

 現に【水闇自然グラスパー】や【5c蒼龍】はこの1週間で増加傾向にあり、徐々に【水火マジック】の得意とする環境に向かいつつあるようにも思える。

 現環境の【水火マジック】は以前のように他のデッキタイプをデッキパワーで圧倒はできないものの、使用する価値は十分にあるだろう。

水魔導具

 このデッキは大型大会の王だ。超CS、GP、全国大会のすべてを制覇しているこのデッキのポテンシャルは計り知れない。全国大会でもプレイヤー間の評価はそこまで高くない中で優勝してみせた。

 《「無月」の頂 $スザーク$》《神の試練》の規制もあり、デッキパワーはかなり落ちてしまっているため、使用するには相応のプレイスキルと覚悟が必要だ。  それでもこのデッキが使われ続けるのは最大値が健在だからだろう。登場から6年が経過しようとしている今でも2ターン目の《卍 新世壊 卍》は最強のままだ。

 天敵といえる【水火マジック】も前環境ほどの活躍は見せておらず、ゲームレンジは【水魔導具】の得意とするコントロールに寄った環境となっている。全国大会で優勝したことで再注目され、使用者も増えるだろう。

水闇自然グラスパー

 新拡張パックで強化はされていないが、強化されたデッキタイプに相性が良い。【光自然巨大天門】に対しては《∞龍 ゲンムエンペラー》の効果範囲外からのS・トリガーを無視したループフィニッシュ、【闇自然アビス】に対しては《テック団の波壊Go!》でのリセットといった具合だ。  速度の遅さが弱点ではあるが、《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》の殿堂入りもあり、現環境はビートダウンデッキがかなり少ない。前環境でループデッキの頂点に君臨していた【フィオナアカシック】も《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》の殿堂入りで速度を落とすことになり、ループデッキ同士の速度負けもなくなった。【水闇自然グラスパー】にとってこれ以上にないほど良い環境だ。

 また、ループデッキであるため、他のコントロールデッキに対しても強い。同速度のデッキの中では頭一つ抜けている印象だ。

5c蒼龍

 この1週間で注目度が急上昇したデッキだ。メタゲームの上位に位置している【闇自然アビス】や【光自然巨大天門】に対抗する形で構築されており、入賞数を伸ばしている。

 【闇自然アビス】はコントロールデッキに対して《謀遠 テレスコ=テレス》でリソースの差を付け、最終的に相手の手札を枯らすことでS・トリガーによる逆転をケアしていくことになる。しかし、相手のマナゾーンに触れる方法を持ち合わせていないため《蒼龍の大地》をケアすることが難しい。  また、1度でも《獅子王の遺跡》による大量マナブーストを許してしまうと、トップデックから大型クリーチャーを展開されてしまう。デッキの性質上、《謀遠 テレスコ=テレス》によるハンデスが刺さりづらいといえる。

 【光自然巨大天門】はS・トリガーからの逆転と《∞龍 ゲンムエンペラー》での封殺を得意としているが、【5c蒼龍】にはこのどちらもが効果的ではない。となると、《神聖龍 エモーショナル・ハードコア》を駆使して戦うことになるが、【5c蒼龍】に採用されている大型クリーチャーは多種多様、読み切ることは困難だ。  もちろん、ループデッキやビートダウンデッキに対する勝率は高くないため万能デッキではない。だが、今大会で【闇自然アビス】や【光自然巨大天門】に勝てるかどうかというのは最も重要視されるポイントなのだ。

 ここまで紹介したように、今大会のメタゲームの構造は【闇自然アビス】と【光自然巨大天門】の2デッキを中心に、【闇自然アビス】と【光自然巨大天門】の両方に勝てるデッキ、それを狩る【水火マジック】の3つにグループ分けされると予想している。

 ここからはそれら3つのグループには属さないが、活躍の期待できるデッキを紹介していこう。

その他の注目デッキ

 【光水火ゴスペル】は新しく登場したコンボデッキだ。コンボデッキとしての再現性や決定力が高いことに加え、《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》の99コストカードを捨てることで盤面リセットも可能だ。

 墓地メタや呪文メタが刺さりやすいことが弱点としてあげられるが、【光水火ゴスペル】にとって大きく注目されていない状況は好都合といえる。注目度の高くない今こそ【光水火ゴスペル】の活躍に期待だ。

 【水闇自然DOOM】はデッキの大半がクリーチャーで構成されているコンボデッキだ。《天災 デドダム》をはじめに、《アーテル・ゴルギーニ》《流星のガイアッシュ・カイザー》で手札・墓地リソースを稼ぎ、《超神星DOOM・ドラゲリオン》の着地を狙う。

 《超神星DOOM・ドラゲリオン》の蘇生先には《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》が用意されており、《奇天烈 シャッフ》《同期の妖精 / ド浮きの動悸》を合わせて蘇生することでほぼ完全なロックを1ターンで完成させることができる。

 こちらも【光水火ゴスペル】と同様にメタが刺さりやすいデッキではあるが、現環境に墓地利用デッキは少なく、墓地メタを得意とする魔導具デッキも《「無月」の頂 $スザーク$》の殿堂入りによって数を減らしているため、総合的な立ち位置は悪くないだろう。

 今大会で少々特殊な立ち位置に存在しているのが【水闇COMPLEX】だ。注目デッキである【闇自然アビス】や【水火マジック】には有利に戦えるものの、【光自然巨大天門】には《光開の精霊サイフォゲート》の登場もあり、より一層苦しめられることとなってしまった。

 今大会はチーム戦であるため、天敵である【光自然巨大天門】以外に勝てると考えれば選択の余地はあるだろう。

おわりに

 以上がオリジナル環境における注目デッキだ。全国大会で使用者の多かったデッキを中心にデーモン・オブ・ハイパームーンで強化された【光自然巨大天門】や【闇自然アビス】の使用者が増加すると予想している。

 しかし、全国大会は限られた強豪プレイヤーのみが出場した大会だ。何十倍ものプレイヤーが集うGPでのメタゲームは違ったものになる可能性が高いだろう。

 新カードが発売したばかりの新鮮な環境を是非楽しんでいただきたい。

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