DMGP2025-2nd Day1（アドバンス）Round 8：Rikky vs. @翔太
ライター：伊藤 敦(まつがん)
撮影：坂井 郁弥
何せ3500人超えの大会である。ジャンケンで勝つこと。相性の悪いデッキと当たらないこと。初動をしっかり引けること。一つ一つは小さな運でも、そのすべてを乗り越えるとなると、膨大な量の運が必要となってくる。ゆえに、それらを乗り越えられたプレイヤーを、「今日の人」と呼んだりもする。
だがそれならば逆に、勝敗に対して運が占める割合がある程度大きいことを見越して、運でしか勝たないデッキを持ち込むこともまた、大会戦略としては成立しうるのだ。
@翔太「……緊張するぅ～！」
7回戦を終えて6勝1敗と、決勝ラウンド進出まであと少しというところまで漕ぎつけた@翔太は、フィーチャーテーブルに着席するなりそう呟いた。
何せ対戦相手はRikky。10月から開始した2025年後期のデュエチューブリーグで、新たに4チーム目として参戦した「シモカワ・ゴールデン・ラビッツ」に2025年前期優勝の「魔王軍」から移籍したばかりの「魔界の叛逆者（リベリオン）」にして、DMGP2024-1st DAY2（オリジナル・チーム戦）優勝、DMGP2025-1st DAY2（オリジナル）3位と、グランプリにおいて圧倒的な好成績を残す超強豪なのだ。
互いに《禁断 ～封印されしX～》採用。超次元を見ると、ドラグハート・ウェポン染めでモルト系デッキであることを隠さないRikkyに対し、@翔太の側は4枚の《頂上の精霊 ミラクルスZ》に《超時空ストームG・XX》と捉えどころがない。では@翔太の《禁断 ～封印されしX～》は何のために入っているのか？……その答えは、すぐに明らかになる。
運とは手繰り寄せるものか。はたまた、運とは委ねるものか。予選は残すところ2回戦。2人の命運を左右する、運命の8回戦が幕を開けた。Game
ジャンケンで先攻は@翔太。マナチャージは《ドレミ団の光魂Go！》で、《禁断 ～封印されしX～》採用と合わせて「ダーツデリート」であることがほぼ明らかとなる。対しRikkyは《夢双龍覇 モルトDREAM》を埋める立ち上がり。
すると返す@翔太は《オールデリート》をチャージするのみで、とりあえず《ロジック・サークル》も《ラッキー・ダーツ》も引かれていないことはRikkyにっては朗報のはずだが、なぜかRikkyは可笑しそうに口角を上げながら《地封龍 ギャイア》をチャージしてターンエンド。
その理由は次のターンに明らかとなる。《暴発秘宝ベンゾ / 星龍の暴発》をチャージしてターンを返した@翔太に対し、後攻3ターン目を迎えたRikkyはドローすると苦笑しながら《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》を埋めて……またしても、そのままターンエンド。そう、一切の初動マナ加速を引けなかったのだ。
まさかの不運。それでも、アドバンス・フォーマットにおいて後手3パスがほぼ唯一許される相手にこの事象が起きたことは、Rikkyにとっては不幸中の幸いだったかもしれない。
続くターンも《真気楼と誠偽感の決断》をチャージするのみの@翔太に対し、Rikkyも《炎龍覇 グレンアイラ / 「助けて！モルト!!」》チャージのみ。この1ターンさえ、次の1ターンさえ返ってくれば、Rikkyとしてもまだやりようはある。
だがもちろん、そうは問屋が卸しても@翔太が許さない。《ケンザン・チャージャー》チャージから唱えたのは《トワイライトMk.1 Type ホーガン / 「イチバンになってみせる！」》！Rikkyは祈りながら@翔太の山札をシャッフルする。だが《禁断 ～封印されしX～》が採用されていることで、この抽選は普段よりもRikkyの側に分がある。互いに《禁断 ～封印されしX～》がある状態で自ターン中に《オールデリート》を唱えた場合にはアクティブプレイヤー側の≪伝説の禁断 ドキンダムX≫が封印されてしまうため、事実上《オールデリート》がハズレとなっているからだ。
Rikky「「……はいっ！」
渡された山札の一番上を@翔太がめくる。そのカードは……保留の《ホーガン・ブラスター》！
Rikky「……ヒリつきますね～」
@翔太「でも《禁断 ～封印されしX～》あるから勝たんのよなー」
はたして再びのシャッフルから公開された一番上のカードは……。
《理想と平和の決断》！胸をなでおろすRikky。@翔太「回収2回で」
《オールデリート》が下に行き、《理想と平和の決断》《煌銀河最終形態 ギラングレイル》《ロジック・サークル》が手札に入りターンエンド。
待望の後攻5ターン目が、Rikkyに返ってくる。
《夢双龍覇 モルトDREAM》と《炎龍覇 グレンアイラ / 「助けて！モルト!!」》がマナゾーンに置いてある以上、もう1セットは揃っているはずだ。
しかし、ここでRikkyが《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》チャージから、《炎龍覇 グレンアイラ / 「助けて！モルト!!」》を唱えて冷静に送り出したのは《双龍覇王 モルトVERSUS》！Rikky「考えます」
2ドローの後、5マナの状態で超次元ゾーンを見ながらプランを検討する。そして熟考ののち、《地封龍 ギャイア》を超次元ゾーンに送りつつ出したのは新ドラグハート《爆勇王剣 ラッシュ・ギガハート》。そして回収候補として公開された5枚の中には……Rikkyの目論見通り、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》！
こうなると呪文チェインデッキの@翔太にとっては、喉元に刃が突きつけられた形。はたしてここで決めきれるか……まずはマナチャージから《ロジック・サークル》を唱え、山札の内容を確認する。《ラッキー・ダーツ》は楯か封印落ち。残り《煌銀河最終形態 ギラングレイル》は2枚。できることは少ない。少考の末に《ケンザン・チャージャー》をトップに積み、《真気楼と誠偽感の決断》をドロー＋ST使用のモード。少しでも山札の不純物を減らしつつ、墓地からの《ホーガン・ブラスター》にすべてを賭ける。
@翔太「《煌銀河最終形態 ギラングレイル》しかないんだよなー」
Rikky「いやー《オールデリート》でいい！そろそろ!!《オールデリート》めくってそのまま唱えてくれ!!（笑）」
シャッフル後にめくれた《アクア・スペルブルー / インビンシブル・オーラ》を挟んで、再びのシャッフル。そして、今度こそめくれたのは……。
Rikky「……っし」皮肉なことに、唱えたら確定負けの《オールデリート》！
@翔太「……唱えません」
こうなるとあとはRikkyの独壇場。ターン開始時の《双龍覇王 モルトVERSUS》効果で《爆銀王剣 バトガイ刃斗》を装備。マナチャージから《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を召喚し、《蒼き団長 ドギラゴン剣》を回収。「マッハファイター」で《アクア・スペルブルー / インビンシブル・オーラ》へと攻撃時に《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ / 「未来から来る、だからミラクル」》へと「革命チェンジ」し、≪爆熱王ＤＸ バトガイ銀河≫「龍解」。続けて《双龍覇王 モルトVERSUS》攻撃時に《時の法皇 ミラダンテⅫ》へと「革命チェンジ」。「ファイナル革命」をかけながらのT・ブレイク。そのまま≪爆熱王DX バトガイ銀河≫攻撃時に《夢双龍覇 モルトDREAM》を出すと、初動後攻5ターン目ながらもRikkyが見事にダイレクトアタックを決めたのだった。
@翔太「……《ラッキー・ダーツ》楯落ちかよー！確率計算して《真気楼と誠偽感の決断》から《暴発秘宝ベンゾ / 星龍の暴発》打つよりも確率ちゃんと計算して高かったからそのプラン採ったけど……」
運とは手繰り寄せるものでも委ねるものでもない。どれだけ準備しても試行回数を重ねない以上、誰もが平等に甘受するしかないものなのだ。
Winner: Rikky
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Rikky DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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＠翔太 DMGP2025-2nd アドバンス構築 |
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