DMGP2025-2nd Day2(オリジナル) 決勝戦A席:スライ無 vs. sunameri
ライター:原田 武(たけじょー)
撮影:後長 京介、瀬尾 亜沙子
DMGP2025-2nd Day2も、残すところ1試合。実に10時間近い長丁場の中で、数多の激闘が繰り広げられた。ある試合はカメラを通して全世界のプレイヤーを昂らせ、またある試合はテキストの形で歴史に編み込まれる。そうして語られることのない闘いも、友との忘れ得ぬ青春として、当人たちの記憶に焼き付いたことだろう。
そうして積み上げられた想いの最高峰、決勝戦の舞台に辿り着いたのはわずかに6名。やゆよっ!---三音の妖精、そしてsnameriサーカス団の面々だ。このページではその片翼たるA卓、スライ無vs.sunameriの決戦を書き残すとしよう。チーム名にも名を冠するsunameriは開催地・愛知からの参戦。使用する【光水闇ゼーロ】はリスト提出10分前に急遽【4cゼーロ】から乗り換えたという曰く付きの代物である。「あれは奇跡だった」とは本人の弁だが、そのままここまで勝ち進む辺りが非凡さの表れか。
着席する6人のなかでいち早くデッキを手に取り、黙々とシャッフルを進めるsunameri。チームメイトとのコミュニケーションも最小限だ。この場に辿り着くまでの長い時間で、話し合えることは話しつくしてしまったのかもしれない。信頼の表れとしての沈黙。
一方のスライ無は関西圏のデッキビルダーとしても知られる人物。最新カード《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》を中核とした【火闇邪王門】というオリジナリティあふれるデッキを選択し、環境外からの刺客として決勝戦まで駒を進めるに至っている。
こちらも勝負前に口数が増えるタイプではないのだろう、穏やかに対戦準備を進めていくのだが……B卓に座るTJMからトークを振られると、それに応じる姿も見られた。
TJM「全国決まってんだから!」
スライ無「あとは勝つだけ」
TJM「撮れ高も十分!」
TJMがぐいぐいと引っ張り、慣れた様子でスライ無がそれを捌く。この日この場に至るまで、何度もこんなやりとりが繰り返されてきたのだろう。
しまいには「うい!うい!」と互いの背中をどつきあって気合を注入するやゆよっ!---三音の妖精の3人。あまりに自然体な彼らの様子につられてか、snameriサーカス団側の空気もやや緩んだように思えた。だがそれでも――改めて向き直ったスライ無とsunameriの、内に燃える闘志は1ミリたりとも減じていない。
上気した頬。額に滲む汗。紅潮した耳。そして、互いを見つめる眼差し。彼らは今燃えている。「勝ちたい」という4文字、勝利への一念に燃えている。
「よろしくお願いします」
スライ無が差し出した手をsunameriが握る。不定形の熱に形を与えるべく、最終決戦の火蓋が切って落とされる。
GAME 1
先攻:スライ無
予選順位から先手の利を得たスライ無だが、初手は芳しくない様子。どうやら2コスト帯のカードが引けていないようだ。sunameriもまずは多色カードをマナに逃がし、ここまでは両者にらみ合い。3ターン目、スライ無はデッキの親玉・《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》を召喚してシールド回収。自他のシールドを減らしての鬼タイム・鬼エンド突入が鍵となる【火闇邪王門】にとって、この手の「置きシールド回収」こそが生命線だ。
故にこそ2ターン目のパスが重く響くわけだが……追い打ちをかけるsunameriの《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》。これで《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》が除去されたことで、再び盤面はフラットになる。
まだ攻勢をかけられる状態ではないと、スライ無は《ルピア&ガ:ナテハ》を召喚してターン終了。この隙にアクションを起こしておきたいsunameriは相談の末、《~地獄帰りの騎士~》をプレイした。
【光水闇ゼーロ】の《~地獄帰りの騎士~》は魔法のカード。わずか1枚で《闇王ゼーロ》の条件を達成しうる。手札交換で落とした《DARK MEMORY CONTAINER》が、シールド追加に反応して復活。さらに2ドロー。そして「3体破壊」の宣言が……ない!肝心の《闇王ゼーロ》が引き込めず、ターンを返さざるを得ないsunameri。とはいえスライ無側もシールドを3枚残しており、鬼エンドには程遠い。《アーテル・ゴルギーニ》を除去に使い、《闇王ゼーロ》到達を少しでも遠ざけようというプレイとなる。
sunameri、5ターン目。さらに山札を掘り進めるべく、手札から《真気楼と誠偽感の決断》を詠唱。手札交換とS・トリガー実行を宣言し、まずはドロー。
続けて墓地から《影世界のシクミ》を唱え、墓地を増やした上での《~地獄帰りの騎士~》。先刻同様の手札交換とシールド追加、《DARK MEMORY CONTAINER》リアニメイト(墓地蘇生)が行われる。そして「3体破壊」の宣言が……ごみいち「勝てそう?」
sunameri「勝ちました」小さいながらも確かな一言。ある!都合15枚近くを掘り進め、ようやく《闇王ゼーロ》詠唱に漕ぎつけた。
《DARK MEMORY CONTAINER》を生贄に捧げつつ、序盤から抱えていた《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》を着地させたsunameri。
これに反応して復活する《DARK MEMORY CONTAINER》を使って山札を堀りきり、あとはクリーチャーを横展開。《サイバー・J・イレブン》が“みんたた"を決めるまで、さほど時間はかからなかった。
スライ無 0-1 sunameri 公開情報のチェックをひとしきり終えると、対戦準備もそこそこに両者の意識はチームメイトへ向かう。
C卓では既に1本先取しているやゆよっ!---三音の妖精・ペリュが《闇王ゼーロ》を炸裂させている真っ最中。薄くなった山札から無事に《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》を掘り当てて、一言。
ペリュ「俺もう多分勝つんで、進めてください」
スライ無「ありがとう、頑張るよ」
それだけ聞ければもう十分だ。スライ無は手元に目を戻し、デッキをカットし始める。
やゆよっ!---三音の妖精 1-0 snameriサーカス団
B卓では1ラウンドを先取していたごみいちがTJMに1-1と追いつかれ、かなり追い込まれる形になったsnameriサーカス団。しかし、まだ勝負の天秤は傾ききっていない。
ごみいち「じゃあやるか」
首肯したsunameriもシャッフルに移る。勝負はまだここからなのだ。
GAME 2
先攻:スライ無再びの先攻となるスライ無。今度こそ、と言わんばかりに2ターン目から《ルピア&ガ:ナテハ》を設置して自身のシールドを回収。対するsunameriは踏み倒しを牽制する《異端流し オニカマス》を繰り出してターン終了。
続く3ターン目は《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》に《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》が当てられるGAME1の焼き直しとなるが、今回は既にスライ無のシールドが2枚まで削れている状態。《ルピア&ガ:ナテハ》の恩恵があまりに大きい。一方で、sunameriの投下した《異端流し オニカマス》の存在は非常な痛手だ。《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》《アーテル・ゴルギーニ》《百鬼の邪王門》など、【火闇邪王門】の主要な打点形成手段がすべて咎められてしまっている。
スライ無「都合よくいかんねえ……」
だが、勝負事とは得てしてそんなものだ。その中で最適解を探し続けるしかない。ややあってスライ無は《鬼寄せの術》→《アーテル・ゴルギーニ》と繋いで《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》を除去。ターン終了時の《ルピア&ガ:ナテハ》で遂に鬼エンドを達成した。このまま総攻撃を浴びるのは避けたいsunameriだが、バトルゾーンには《異端流し オニカマス》単騎。手札には《~地獄帰りの騎士~》こそあれど《闇王ゼーロ》や《DARK MEMORY CONTAINER》は不在。都合よくいかないのはこちらも同様だ。
一縷の望みにかけて《~地獄帰りの騎士~》を召喚するが、《DARK MEMORY CONTAINER》を1枚引き込むに留まる。これをそのまま捨てて復活させ、シールド追加と合わせて防御を固めてターンを返す。
スライ無、先手5ターン目。寄り切るならば今しかない。《カンゴク入道》《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》と並べてマナを使い切り、スピードアタッカーを得ている《鬼ヶ伝双 VSジャオウガ》で即座に攻撃へ。
鬼エンド達成により墓地から《百鬼の邪王門》を拾いつつ《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》を繰り出し、ブロッカーの《DARK MEMORY CONTAINER》を排除。この《「大蛇」の鬼 ジャドク丸》は手札に戻されてしまうものの、W・ブレイクが無事に通る。続く《カンゴク入道》の攻撃時、《百鬼の邪王門》宣言。1枚ずつ捲られる山札の中には……《轟く邪道 レッドゾーン》の赤い影!
これを攻撃中の《カンゴク入道》に重ね、まずは効果で《異端流し オニカマス》を破壊。《異端流し オニカマス》による手札送りはG-NEO進化で回避可能なため、この時点でシールド全損が確定。残る3枚をsunameriが開き……S・トリガー、《影世界のシクミ》!デッキトップ3枚から《~地獄帰りの騎士~》が捲られた。sunameriがこれを蘇生すれば、シールド追加と《DARK MEMORY CONTAINER》復活が行える。俄然勝負の行方が分からなくなってきた。
と。そこで。両者の意識はゲームの外へと向く。
B卓の試合が決着したのだ。1-1タイからTJMが最終戦を制し、C卓ペリュと併せてやゆよっ!---三音の妖精の2勝。優勝チームが決定した――A卓の結果を待たずして。
やゆよっ!---三音の妖精 2-0 snameriサーカス団
破顔するTJMとペリュ、天を仰ぐごみいちとうなたろす/彩色硝子。各々のチームメイトが感情を露わにするのを目の当たりにしつつも、スライ無とsunameriはどこか、それに追いついていないように見えた。彼らの試合はまだ終わっていない。二人の勝負に決着はついていないのだ。
スライ無の促しにより、sunameriは処理を再開。例え結果は変わらなくとも、貫きたいものがある。《~地獄帰りの騎士~》を蘇生してドロー、《DARK MEMORY CONTAINER》2枚を捨てる。シールド追加に反応して《DARK MEMORY CONTAINER》が3体復活。総攻撃を受け切ったsunameriは《アーテル・ゴルギーニ》で闇のクリーチャー3体を揃え、《闇王ゼーロ》の使用を宣言。《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》が呼び出されるのを見届けたところで、スライ無は投了を宣言。
こうして、この日最後のデュエマが終わった。
スライ無 0-2 sunameri やゆよっ!---三音の妖精 2-1 snameriサーカス団
CHAMPION:やゆよっ!---三音の妖精
改めて感情を爆発させるやゆよっ!---三音の妖精。互いに互いを労いあうsunameri。最後の一瞬まで勝利を追い、リスペクトを忘れなかった両チームに拍手を。
そしておめでとう、スライ無!TJM!ペリュ!君たちの友情が、4200人の頂点に立った!
彼らの激しくアツかりし想いが形を成した、輝く3つの優勝カップ。そのきらめきに負けないくらいに眩しい、3つの笑顔が咲いていた。|
スライ無 DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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sunameri DMGP2025-2nd オリジナル構築 |
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