デュエル・マスターズ

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DMGP2025-1st Day1(アドバンス)決勝Round 2:風車男 vs. フッキー8

ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:坂井 郁弥

予想外のことはいつでも起きうるものだ。

 特にそれが、4500人が参加するグランプリともなれば、なおさらである。

 そして、8勝1敗で予選を通過し、決勝トーナメントの1回戦目も順調に勝ち進んであわよくばここから3連勝でトップ8……そんな順風満帆な未来が見えてきたフッキー8が出くわしたのは、なかでもとびきりの予想外であった。

風車男《零龍》があります

フッキー8《零龍》あるのかー……」

 アドバンスで《零龍》を採用するデッキの代表格といえば、「闇単XENARCH」か「ガレックゼーロ」。いずれにせよ、積極的に対戦したい相手ではない。

 しかもフッキー8は自身が予選37位通過で、128人通過の決勝トーナメントでの先攻率が高いことを見込んでいたというのに、あろうことか対戦相手は28位通過で、後攻が確定してしまっているのだ。

 さらにそれが、よりにもよってフィーチャーマッチで行われるというのである。ともすれば、見せ場のない一方的な対戦にもなりかねない……否、それより悪い。自分のやられ様が見せ場になってしまうかもしれないからだ。

風車男「おなかいたくなってきた……」

 だが、対戦相手の風車男にとっては、そんなフッキー8の事情は知る由もない。むしろフィーチャーマッチに呼ばれた緊張が、ことのほか大きなようであった。

 それでも。

 相手が誰であろうと、対戦する場所がどこであろうと。予想外であろうとそうでなかろうと、デュエル・マスターズである限り、やることは変わらないのだ。  決勝トーナメント、第2回戦。トップ32入りを決めるための戦いが、静かに始まった。

Game

 先攻の風車男がマナゾーンに横置きした《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》を見て、フッキー8は「はぁー……」と沈んだ表情を見せながらも《流星のガイアッシュ・カイザー》をチャージしてターンを終える。これで「ガレックゼーロ」は確定。あとは、妨害が間に合うかどうかだけ。

 返す風車男は《ルピア&ガ:ナテハ》チャージから《ルピア&ガ:ナテハ》を召喚、楯を1ドローに変換と快調な立ち上がり。一方フッキー8は《復活の祈祷師ザビ・ミラ》チャージから《フェアリー・Re:ライフ》。水闇自然のランプ+ループ系統のデッキのようだが、そうなると後攻4ターン目が回ってくるかどうかが勝負のカギになりそうだ。

フッキー8「きつい……」

 だが、それはあまりに薄い望みでもあった。「ガレックゼーロ」は妨害なしなら通常、後攻なら3ターン目、先攻であっても4ターン目にはループに入れるからだ。しかも風車男の続く動きは、《霊淵 アガルーム=プルーフ》チャージから《ルピア&ガ:ナテハ》の能力で墓地に落ちていた《オンサ=マンサー》を進化元に《邪眼の始祖 ロマノフ・アルファ》を召喚というもの。どう見ても順調そのものだ。

風車男「回収ちょっと考えます……さすがに、か」

 万が一に備えて《邪眼の始祖 ロマノフ・アルファ》を回収し、ターン終了時には《ルピア&ガ:ナテハ》で手札も補充。予想外の何かでも起こらない限り、次のターンにはループが始まってしまう。  それでも、フッキー8はできることをやるしかない。《ロスト・Re:ソウル》チャージから唱えたのは、《呪烏竜 ACE-Curase / 繁栄の鏡》の呪文側。

風車男「効果見てもいいですか?……大丈夫です」

 特に妨害となる効果ではないことを確認した風車男は、すぐさまカードを返す。一方フッキー8は2マナブーストから回収なしでターンを終え、両手を合わせて祈るのみ。

 "……頼む。《闇王ゼーロ》を、引いていないでくれ。" 風車男山札数えます

フッキー8「そりゃそうだよな……」

 そこには何の予想外もなかった。チャージなし3マナから《邪眼の始祖 ロマノフ・アルファ》を召喚し、闇のクリーチャー3体を揃えた風車男は、満を持してフッキー8にとっての絶望を宣告する。  《闇王ゼーロ》宣言。《逆転の影ガレック》蘇生。「復活の儀」解決して墓地2枚肥やし。その後、蘇生3回宣言。《邪眼の始祖 ロマノフ・アルファ》《困惑の影トラブル・アルケミスト》《スプーン=ンプス》。マナ回収、シールド回収、そして2枚目の《闇王ゼーロ》宣言。

 緊張からか、宣言や手つきが若干慌ただしい部分もあったが、さすがに予選8勝1敗しただけあって、風車男のそこからの手順自体には淀みがなかった。山札の枚数が何枚だったらどうするかなど、相当な反復練習をしてきたのだろう。

 やがて山札残り3枚の時点で《不死鳥縫合 ブラック・ビッグバン》が降臨し、そこから大量の闇のクリーチャーを蘇生して 《無量大龍 トゥリナーツァッチ》でのEXウィンを宣言する。

風車男「いやー緊張した……」

 緊張下でも関係ないほどにデッキを回し慣れていたからこそ、フィーチャーマッチでも関係なく普段通りのプレイをすることができた。

 予想外に対して立ち向かうコツは、何が起きてもいいように身体に手順を叩き込むことなのだ。

Winner: 風車男

フッキー8「相手の予選順位が高すぎて。ターン返ってきてたら《ロスト・Re:ソウル》だったりやりようがあったんですが、無理ですね……」

 成す術なく敗北してしまい、少し消化不良気味の表情ではあるものの、決勝トーナメントに進出した128名の中では間違いなくローグに分類されるであろうデッキで見事トップ64まで健闘したフッキー8に、デッキ選択の理由を聞いてみた。

フッキー8「アドバンスのマルルとしては、《ロスト・Re:ソウル》《呪烏竜 ACE-Curase / 繁栄の鏡》が特徴的な部分だと思います。もともとマルルは去年のGPあたりで流行って、その頃は《解罪 ジェ霊ニー》とかが入っていたりしたんですが、CSに出てみるとボコられて。逆に4ターン目に絶対勝てるっていうスタイルが良くて、特に天門にはCSで当たったけど全部勝って。《解罪 ジェ霊ニー》では勝たんので《ロスト・Re:ソウル》ぶち込んだ方が良いっていう結論になりました」

フッキー8「今日も4ターン目《ロスト・Re:ソウル》は3~4回決めましたね。天門の先4だけ捨ててますが、相手が《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》打ってなければ後攻4ターン目に色々やりようがあるので持ち込んだ、という次第です」

--「滋賀のプレイヤーとのことですが、普段はびわ湖CSなどに参加を?」

フッキー8「そうですね。以前は京都や大阪にも行ってたんですが、最近熱が落ちてきてて滋賀だけです。まあ、デュエマとは適度な距離感で付き合っていきます……」

 予想外に対して立ち向かうもう一つのコツは、過度な期待をしすぎないことなのかもしれない。
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