デュエル・マスターズ

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DMGP2025-1st Day1(アドバンス)Round 8:紅蓮vs. どぅ。

ライター:原田 武(たけじょー)
撮影:坂井 郁弥

 グランプリの予選は、都合9回戦という長い長い戦いだ。途中で2敗してしまうと脱落の可能性が生まれ、3回負ければ即座に終了。4600人もの参加者から128名を選び抜くという形式ゆえ、これほどハードな条件が課せられているのである。

 だからこそ、この予選8回戦というタイミングでの選手の顔はいつも以上に緊張感に満ちている。今回フィーチャーマッチとなった紅蓮どぅ。の場合でも、それは例外ではなかった。

 大阪の強豪、紅蓮。ちょうど1年前にここ幕張で行われたDMGP2024-1st Day2チーム戦にて優勝を勝ち取った一人である。その際のチーム名「みんなと戦えてよかった。」--《サイバー・J・イレブン》のフレーバーテキストから引用された名文は、今大会のスタンプ景品Tシャツにもあしらわれている。

 対するは、三重を拠点に活動するどぅ。。こちらも県内ランキングで上位につけ、昨年下期には同ランキングを1位で完走した実力者である。張り詰めてはいるもののあくまで平常心を保った様子で対戦準備を完了した。

 誰もが欲する「優勝」の二文字。手に入れたいのなら、まずは予選を突破せねば始まらない。あと少し、ほんの少しが届かなくて、悔しい思いをするプレイヤーは大勢いるのだ。だからこそ。

 掴みたいもののために。手を伸ばさんとする二人が、ぶつかり合う。

GAME

先攻:紅蓮  紅蓮は《逆転の剣スカイソード》《イミッシュ・イツァヤナ》とチャージしての《シェル・アルカザール》で動きだし、早々にまとわせた「サバキ」スリーブが偽装に過ぎないことを明かす。  【自然単イツァヤナ】。半年前のDMGP2024-2ndにて孤高のデッキビルダーによって世に放たれ、しかし【マーシャルデリート】によって夢半ばに去ったデッキである。

 大きな驚きをもってローグデッキとして認知された【自然単イツァヤナ】は、その後アドバンス環境の一画にしかと根を張り着実に結果を残し続けた。そしてこの度紅蓮の手によってチューニングされ、再びグランプリの舞台に姿を現したのである。

 そんなデッキを前にして、しかしどぅ。は微塵も動じない。《マジシャン・ルピア》《龍后凰翔クイーン・ルピア》を捨て、ドロー。こちらは問答無用の実力者【ファイアー・バード】で、どんな相手であろうと貫いてみせると言わんばかりだ。

 もちろん紅蓮もきっちり応戦。《わかりミーア♥》でさらにマナを伸ばして《ベイB セガーレ》をセットし、どぅ。の攻め手を遅らせようとする。

 これに対するどぅ。のプレイは《ハンプティ・ルピア》紅蓮の最後の手札《幻影 ミスキュー》を落とす。返す紅蓮のチャージエンドを確認して、《ハッター・ルピア》が投下された。

 そのままハイパー化し、攻撃。メクレイドの出目は……値千金の《アリスの突撃インタビュー》  《ベイB セガーレ》除去と《龍后凰翔クイーン・ルピア》射出をワンセットで行い、一気に攻撃態勢が整った。紅蓮はこの1枚ブレイクから《天体妖精エスメル / 「お茶はいかがですか?」》をトリガーさせ、迎撃の意志を見せる。

 しかし、ここからのどぅ。の動きはその上を行くもの。《龍后凰翔クイーン・ルピア》を攻撃と同時に自壊させメクレイド、再び《龍后凰翔クイーン・ルピア》を場へ。もう一度攻撃させて、今度は《凰翔竜機マーチ・ルピア》に革命チェンジ。

 《凰翔竜機マーチ・ルピア》を破壊してメクレイド8をしつつ《龍后凰翔クイーン・ルピア》を呼び戻す鉄板コンボが決まる。これで駆け付けたのは殿堂カード《雷炎翔鎧バルピアレスク》

 もう一度《龍后凰翔クイーン・ルピア》自壊メクレイドから《ポッピ・冠・ラッキー》まで設置し、《雷炎翔鎧バルピアレスク》を動かすどぅ。《龍后凰翔クイーン・ルピア》を手札から出しつつ1枚ブレイク。  だが、この1枚から流れが変わる。S・トリガー、《ナ・チュラルゴ・デンジャー / ナチュラル・トラップ》《雷炎翔鎧バルピアレスク》--ではなく、《ポッピ・冠・ラッキー》をマナへと送りこむ。

 一見《雷炎翔鎧バルピアレスク》を最優先で排除したい場面にも思える。が、紅蓮の答えは違った。これによって、どぅ。が追加ターンの獲得を行うと《龍后凰翔クイーン・ルピア》1体しかバトルゾーンに残らないという状況になっているのだ。

 《ポッピ・冠・ラッキー》は【自然単イツァヤナ】のマナ戦略を妨害しつつ、《雷炎翔鎧バルピアレスク》追加ターンの頭数になりながらエスケープで場に留まる、まさに楔のような1枚。そこをピンポイントで打ち抜いたのである。

 どぅ。はしばし考えたのち、追加ターンの獲得を選択。クリーチャーが《龍后凰翔クイーン・ルピア》のみになる。こちらの選択を取ったということは、追加ターンを後ろ盾にして殴り切るという意思表示だ。

 《凰翔竜機マーチ・ルピア》《龍后凰翔クイーン・ルピア》を駆使して盤面を組み立てなおし、《龍后凰翔クイーン・ルピア》が2体並んだところでW・ブレイクを通しに行く。あとはここで「踏まない」ことを祈るばかり。手を合わせるどぅ。  もちろん、祈らなければならないのは紅蓮も同じだ。一年前のあの日のように--渾身の《忍蛇の聖沌 c0br4》でGPの王座を手にしたあの日のように、引き絞るように2枚のシールドを開いていく。  今回は共に祈ってくれるチームメイトはいない。だがそれでも、祈りが奇跡を呼び寄せた。  ≪ナチュラル・トラップ≫×2!

どぅ。「えええええ!?」

 3連続≪ナチュラル・トラップ≫。これを奇跡と呼ばずしてなんと言おう。

 これでどぅ。のクリーチャーは0に。手札もすべて先刻のオールインに費やしており、折角のエクストラターンをドローエンド。苦笑交じりにターンを返すほかない。

 まさに間一髪で命を繋いだ紅蓮。この奇跡を逆転劇へと昇華させるべく、わずかな手札を使い切って《ベイB セガーレ》召喚。デックトップからの《イミッシュ・イツァヤナ》、あるいは《龍覇少女隊ハラグロX》に望みをかける。

 ここまで来るとどぅ。の猶予も残りわずかだ。1枚だけ残された紅蓮のシールドを見やる。

 あそこにトリガーがなければ勝ちだ。確率的には十分に賭ける価値がある。しかし同時に、先程の≪ナチュラル・トラップ≫3連発が脳裏をよぎる。嫌な予感がすることは否めない。

 数秒頭を抱えて、どぅ。は決断した。
 
どぅ。「あれ以上待っても状況が良くなる未来は見えませんでした。行くしかないなと」

 呪文《アリスの突撃インタビュー》《ベイB セガーレ》を破壊して《雷炎翔鎧バルピアレスク》を蘇生し、そのまま最後のシールドをブレイク!  どぅ。の手札は既になく、当然《雷炎翔鎧バルピアレスク》からの踏み倒しもない。追加ターンなど取れるはずもない、世にも珍しい単騎での《雷炎翔鎧バルピアレスク》突貫だ。これがどぅ。の、勝つための選択。

 果たして最後のシールドを捲り上げた紅蓮は、それをそのまま手札に加える。ターンが返って、手札からプレイしたのは《無頼妖精ワイルド・リリィ》のみ。

 生き残った《雷炎翔鎧バルピアレスク》がダイレクトアタックを決めーー

紅蓮「0トリガー!」

 ーーようとしたところを、紅蓮の声が遮る。最後の手札を凝視するどぅ。。一瞬、時間が凍り付いて。

紅蓮「……大丈夫です(笑)」

 ぽかんとしたのち爆笑するどぅ。の姿でもって、幕引きとなった。

WINNER:どぅ。

 大地が生み出す罠にかかった者は、大地に還る、それがサダメ...。

 だが、それは天翔ける不死鳥には当てはまらない。ファイアー・バードはそれすらも越えてゆく。
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