DMGP2025-1st Day2(オリジナル)決勝Round 3:マイケル vs. Rikky
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:瀬尾 亜沙子
2024年度、王道篇のデュエマが行った「夢」にまつわる新たな施策といえば、まずもって「ドリーム・クリーチャーの創設」だろう。通常パックの最高レアリティとして新たに加わったそれは、デュエマの代表的なクリーチャーたちのキャラクター性を強化すると同時に、盤面に1体しか出せない代わりに非常に強力というゲームプレイ上の新体験をもたらした。
だが、「夢」にまつわる施策はもう一つある。それが一年ほど前に始まったデュエチューブリーグ。「デュエマでプロリーグを行う」という当初無謀に見えた企画は、今や毎月の恒例行事として定着し、多くのデュエマプレイヤーに夢を与え続けている。しかしそれは「プロリーグ」という形式が重要なのではなく、リーグの出場者たちという、強烈な個性を持った在野の才能に光を当てる役割を果たしているからだ。
マイケル「リーグで当たれなかったからちょっと嬉しいんだよ、これに関しては」
Rikky「わかる。ひたすらにわかに当たったw」
プロリーグの選手として説得力を与える最も大きな要因は、実際に第一線で活躍し実績を残すことだ。
2024年度後期、「Team SAGA」の一員として活躍したマイケル。既にチームからは外れており、1シーズン半年間だけの出場ではあったが、その個性的なデッキ選択と細部のチューニング力、そして何より楽し気にプレイする様は視聴者に鮮烈な印象を残した。そんなマイケルが使うのが「4Cボルメテウス」。《ドリーム・ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》を主軸にした4文明のメタビートで、予選9回戦目ではフィーチャーマッチでまさかの同型対決を制して決勝トーナメント進出を果たした。
一方のRikkyは「魔王軍」所属の現役リーガーで、昨年リーグの発足後に早々、オリジナルのチーム戦で開催されたDMGP2024-1st2日目で紅蓮・kaisoraとともに優勝を果たすという快挙を成し遂げている。3月に開催された2024年度の日本一決定戦でもトップ8に入賞しており、直近の実績だけで見ればリーグ内でもトップクラスを誇る。そして使用するのはもちろん、自身が先駆者として知られる「火水闇ジャオウガ」。《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を最も上手く使えるデッキタイプだ。
そう、奇しくも元リーガーとリーガーとの対決であり、ドリームレア同士の対決でもあるのだ。
だがそれは、マイケルにとっては悲報でもあった。
Rikky「予選12位です」
マイケル「絶対勝てない。初戦負けてるんで」
《ドリーム・ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》も《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》も、どちらも「ハイパーエナジー」をコンセプトにしている。そして「ハイパーエナジー」同型はクリーチャーの展開で先んじた方が有利となる道理。だが決勝トーナメントは予選順位で先攻後攻が決まるため、後攻が確定してしまっているのだ。
しかし、それでも。

マイケルとRikky。どちらが夢を見続ける権利をもぎ取るか。
Game
先攻のRikkyが開幕2ターンを《シャワ=アガール》《冥土人形ヴァミリア・バレル》チャージと多色処理にあてる一方、後攻のマイケルも《ドリーム・ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》2枚をチャージするのみという静かな立ち上がり。結果、返すターンにRikkyが《飛ベル津バサ「曲通風」》チャージから送り出した《シャワ=アガール》がゲーム全体のファーストアクションとなる。マイケル「こっちが1枚切って……?」
Rikky「捨てるタイミングは同時です。なので裏向きで選んでもらって、でこっちだけ2ドロー」

マイケル「……強いねぇ……」
Rikky「強い」
マイケル「ジャストダイバーだから《ハンプティ・ルピア》では選ばれないと……ちょっと考えます」
困った様子を隠さないマイケルだが、テンポを意識し《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》を捨てさせる。
しかし返すターン、ドローしたRikkyは軽く頷くと、自信たっぷりに告げる。
Rikky「めっちゃ強い」

マイケル「いじめだけど……」
Rikky「めっちゃいじめてる」
マイケル「勘弁してよ!!!」
そんな泣き言には聞く耳持たず3枚を墓地肥やしすると、そこには《偽りの希望 鬼丸「終斗」》と《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》の姿が。
Rikky「手札が?」
マイケル「3枚。ダメだもう終わり」
ここは《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》の回収を選択しつつ、マイケルの《ハンプティ・ルピア》を破壊する。これでRikkyの手札3枚は公開情報で《アーテル・ゴルギーニ》2枚と《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》。墓地には《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》と揃っており、次のアクションがどちらにせよ、一方的なゲーム展開となりかねない。

Rikky「はい、3枚です」
だが、もちろんマイケルもタダではやられない。《偽りの希望 鬼丸「終斗」》をチャージすると召喚したのは《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》で、致命傷となりかねない《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》を、3分の1でぶち抜きにいく。
Rikky「いやー……」
入念にシャッフルするRikkyと、捨てさせるカードを指定するマイケル。結果は……見事《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》!
Rikky「いやー……強いねぇ」

クリーチャー数ではRikkyが5体に対してマイケルが2体という盤面だが、マイケルのデッキには《ドリーム・ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》だけでなく《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》も入っており、結局は「ハイパーエナジー」持ちのフィニッシャーをどちらが先に引けるかという状況。そしてデッキ内の総枚数だけで言えば、もちろん2種類を採用するマイケルの側に分がある。
トップ勝負は望むところ……と、マイケルはそう考えたかもしれない。
だが次の瞬間、Rikkyがマナチャージした《アーテル・ゴルギーニ》を見たマイケルが思わず目を剥く。
マイケル「つよ!(引いたの)《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》じゃん。《アーテル・ゴルギーニ》残ってるのもすごいし」
Rikky「ケアってた。《鬼ヶ覇覇覇 ジャオウガ》がトップ」

シールド3枚に対し打点は十分。すぐさま攻撃時に《偽りの希望 鬼丸「終斗」》を蘇生しつつ、唯一のクリーチャーにしてブロッカーの《修羅の死神フミシュナ / 「この先は修羅の道ぞ」》を登場時のバトルで排除すると、無人の荒野にW・ブレイクが走る。そこにS・トリガーはなく、続けて《シャワ=アガール》で最後のシールドもブレイク……通る!
そのままダイレクトアタックが、マイケルの冒険を終わらせたのだった。
マイケル「あざした」
Winner: Rikky
マイケル「無理っ!強すぎだろー!」
Rikky「笑うくらい強かったw」
マイケル「こいつ(ジャジー)もトップだし!」
Rikky「これもやばかったwww」
令和の世にボルメテウスがトップ8に入賞する様を、見たくなかったと言えば嘘になる。だがマイケルならきっと、別の機会にもっと大きな夢を実現してくれることだろう。そう信じさせるだけの器の大きさを感じさせるのが、マイケルという漢(おとこ)なのだ。
マイケル「残念。まあいいや、夢ァ見れた」
漢・マイケル、ボルメテウスの夢とともにトップ32にて散るーー。
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