デュエル・マスターズ

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DMGP2025-1st 実況者インタビュー:マッチー氏

ライター:河野 真成(神結)
撮影:後長 京介

 デュエル・マスターズのGPも、遂に10年目を迎えた。
 GPは参加人数から形式まで含めて、様々なアップデートがされている。

 その中で、一貫して変わらず続いているものがある。
 それが生配信だ。

 大型大会の配信というのは、デュエル・マスターズに触れるにわかって入り口としての役割を背負っているし、また熱い勝負を世界に発信するという使命も背負っている。
 観戦する人は初心者から上級者、現役プレイヤーから現在は離れている人まで、非常に上下左右に幅広いと言えるだろう。

 そうした視聴者に対して、試合内容を伝えるのが実況という役割だ。
 実況は言葉で伝える技術はもちろんだが、ゲームに対する理解も求められる。

 そんな高度な役割をこなし続けているのが、すっかり実況解説でお馴染みとなったマッチー氏だ。
 
 今回は自身のYouTubeチャンネルやGPの実況解説、そして昨年後期より始まったデュエチューブリーグの実況解説などについて、話を聞かせていただいた。

謎多きベテランYouTuber

――本日はよろしくお願いします。マッチーさんと言えば、YouTubeでの活動を始め、GPの実況解説、そして昨年の後期からデュエチューブリーグ(以下DTL)の実況解説も担当していらっしゃいますが、あまりマッチーさん個人に焦点が当たる機会が少ないように思います。今回は是非、マッチーさんのこれまでの経歴などについてもお話いただければと思います。

マッチー「よろしくお願いします」

――まずカードゲームを始めるようになったキッカケを教えていただけますか?

マッチー「カードゲームそのものを始めたのは、デュエル・マスターズがキッカケでした。小学生のときに、友達から一緒にやろうぜと誘われたのがキッカケです。小学校の3~4年生くらいでしたかね。確かクロスギアが出たかどうか、みたいな頃だったと記憶しています」

――となると転生編辺りですかね。

マッチー「その後は別のカードゲームをやっていたんですよ。それが長くて、中学・高校・大学と続けていました」

――逆にそこまでやり込んだ後にデュエマに戻ってくるのって珍しいですね。

マッチー「デュエマの情報は追っていたんですよ。いま何が強いとか、超次元が出たとか。大学の時に、友達とデュエマのCSに出たこともありますよ。確かロマノフのデッキ(クロニクルデッキ)が発売されたので、ロマノフのデッキを使ったような記憶があります」

――デュエマに復帰して、そこからデュエマをメインに切り替えたのはいつ頃でしたか?

マッチー「これは新章デュエル・マスターズ(2017)が始まったときですね。この時、ちょうど同時にYouTubeのチャンネルを始めました」 ――これも気になるポイントだったのですが、YouTubeはどういったキッカケで始めたんですか?

マッチー「キッカケで言うと就職したという話になるんですけど、大丈夫ですか?(笑)」

――いまのお店(ブックアイランドじゅにあ入間店)に就職した、ということでいいんですよね?

マッチー「一応、そういう形には」

――店舗でYouTubeを始めて、その担当になった、というわけではないんですよ?

マッチー「チャンネルとしては個人のものなんですよ。キッカケは本当にたまたまで、まだアルバイトをしていた時期に、店長が結構みんなに『動画撮りなよ』って勧めてくる方だったんで。それで始めたら、たまたま僕が人気出た、っていう感じですね」

――じゃあ他のバイトの方もそれぞれYouTube始めて、競争に勝ったみたいな……?

マッチー「いや、バイトは僕くらいしかいなかったんですけど、お店に来るお客さんとかに勧めていたんですよ。ただその中で、たまたま僕が人気が出たんですよ。元々、ゆくゆくは就活するか、このお店に就職するか、みたいな話になるとは思っていたんですが、なんかYouTubeだけでいけるようになったので、結果としてお店でお世話になることにはなりました」

――お店の大会動画とかをよく見掛けるのですが、始めた当時からそういった動画が中心だったのですか?

マッチー「そうですね。大会の動画とか、そのデッキの紹介とかですね」

――スタンスは今とほとんど変えていないってことですかね。

マッチー「そうですね。今とほとんど変わっていないです。ただ最近になって、お店の他愛のない業務とかをshortで上げるようになりました。むしろなんで今までやってなかったのかわからないんですけど(笑)」

実況・解説のパイオニア

――マッチーさんと言えば実況・解説というイメージなのですが、例えばお店の大会の動画を上げるにあたって「実況を付けてみよう」と思ったキッカケのようなものってありますか?

マッチー「これは明確な理由がありまして、『おやつCS』ってあると思うんですけど、いまはちょっとわからないんですが、そこで上がっている大会動画に実況が付いていたんですよね。アイスマンさんとか。僕があれが好きで、それで真似してやってみたいなと思ったのが、実況のキッカケですね」

――そこからGPの実況解説をされるようになりましたがですが、GPでの解説をやるにあたって気を付けようとか、準備しようとか思っていたことってありますか?

マッチー「一番考えたのはね……服装ですよ」 ――え?そっち?

マッチー「僕は服には無頓着で着てればいいだろうくらいのイメージだったんですけど、実況席に行くとなったときに、アナウンサーの方とかをイメージする人も多いと思いますし、公式の場なので普段の私服で行くわけにはいかないだろうと思いまして。それでジャケットとか、そういうキッチリしたものを用意しなきゃな……っていうのが、まず一番に考えたことです」

――すみません、マッチーさんとお会いするのがこういうGPの場とか多かったので、「いつもキッチリしている方なんだなぁ」とか思っていました。

マッチー「いやいや、全然(笑)これは偽りの僕です」

――ちなみに実況のやり方とか、そういったものってどこかで勉強されたりはしたんですか?

マッチー「いや、そういうのでもないので、やっていくうちに……という感じです。ただまず念頭にあるのが、本当に上手い人たちは(試合の状況が)自分でわかっていると思うので、そうじゃない人たちに向けて喋る、というように考えています」 マッチー「なんでしょう、ルールとかは知っていて、ちょっとやってはいるけども別に環境のことは知らないよ、という人たちがまず聞く前提で、かなり基本的なことをとりあえずは話そうと思っています。どっちがいま優勢ですとか、或いは今このカードを使ってので逆転しそうですとか、このカードはこういう理由で効果的です、とか。そういったものをわかってもらえるように、というのは意識しています」

――確かにサッカーとかスポーツは1対0とか2対0とかどっちが優勢か明確にスコアででますけど、カードゲームってそうじゃないですからね。

マッチー「そうですね。どっちがリードしていますとか、なぜこういうことが起こったのか、そういった内容を意識しています」

――マッチーさんが始めてGPの解説されたのっていつでしたか? 確か22年以降だったとは思うのですが……。

マッチー「2022年のGPからですね。【ガイアッシュ覇道】のミラーと、【水魔導具】が優勝したときからですね」

――また実況でいうと、昨年後期からはDTLの実況も担当しています。こちらは通常のGPとはまた違った大会だとは思うのですが、こちらは意識していることはありますか?

マッチー「正直DTLで出てくる新しいデッキに関しては、事前にカードの情報を調べるくらいです。ただDTLは、実況にあたって事前にデッキリストをいただけるんですよ。それを見て、大まかにデッキを絞るとか、或いは初めて見るようなデッキについては『だいたいこうか』みたいな目処を付けるとか。細かな解説自体は(もう1人の解説である)のすけさんにお任せしている部分があるので」

――DTLだと、解説というよりは場の情報整理を意識している感じですか?

マッチー「そうですね。解説がいらっしゃる場合は、DTLに限らずなんですけど、基本的には僕は知っていても知らないスタンスといいますか、『これはどうなんでしょう』と解説の方に振るという感じですね。ただどうやって振るのかについては、なんとか捻り出して考えるようにはしています」

――例えば立ち位置的に実況としての役割を求められる回と、解説を求められる回があると思うんですが、そういう時は上手く切り替えながら喋っている感じなんですか?

マッチー「そうですね。解説がいる場合は、その方が僕よりもっと的確なことを喋ってくれると思っているので、DTLではそんな心持ちではいますね」

――そういえば最近のDTLの実況を聞いていると、事前に調べたデータとかをお話していただくことも多いじゃないですか。あれって自分で調べていらっしゃるんですか?

マッチー「あれはそうですね。あったら面白いかな、と思いまして。プレイヤー1人1人の特徴がちょっとでも伝わるといいじゃないですか。この人は、こういうデッキを使う人なんだとか、この人は何々使いだ、とか。この人は何か著しく運が悪いとか、キャラクター性を持たせる、じゃないですけど。 そういう意味で、データがあった方が何かあるのかな、と思って初めてみましたね」

――ちなみにDTLの実況をやって、予想を超えてきたなとか、印象的な試合って何がありましたか?

マッチー「やっぱり直近の回にはなってしまうんですけど、今期の第1節で、TeamSAGAが新メンバーになって。新メンバー3人がそれぞれ違う新弾のカードでデッキ作って……というのが印象的でしたね。特にむったさんのデッキが一番、『そこからそう来るか』みたいな。《暴覇斬空SHIDEN-410》の前評判を覆すような動きだったので、かなり印象に残っていますね」


――むったさんが使っていた《暴覇斬空SHIDEN-410》のデッキですが、あれはリストを見た時点で動きはわかっていたんですか?

マッチー「だいたいの動きはわかってはいたんですけど、それを超えてきましたね」

――ちなみにせっかくなのでお聞きしたいのですが、これまで実況解説をやってきた中となると、印象に残っている試合はありますか?

マッチー「これも直近の話なんですが、GPらしいなぁと思ったのが、昨日の試合の1つですね。僕が《メガ・マナロック・ドラゴン》が好きというのもあるんですが、《文藍月 Drache der'Zen》《夢双龍覇 モルトDREAM》の試合であったんですよ。モルト側が≪爆熱王DX バトガイ銀河≫で龍解すればもう勝ちという場面で忘れてしまって。目に見えて『やらかした!』って顔しているんですよ。試合は《メガ・マナロック・ドラゴン》が強くて動けません、となったので勝ったんですが、そういう試合は印象に残っていますね」 ――その試合に限らず、選手が明らかにやらかしたなあって時ってどうしてもあると思うんですが、いうことを喋ろうとか決めていたりしますか?

マッチー「難しいですね。選手に失礼があってはいけないと思うので。ただ(いま取り上げた)さっきの例だと、ミスった側が『うわー』って顔をしていたので、それは逆に拾ってあげないといけないと思うんですよ」

――確かに。

マッチー「あと見えにくいミスとかはあるんですけど、そういういう場合は『こうした方がよかったですね』みたいな拾い方をすることはありますね」

マッチー「あ、そういえば印象的な試合で1個思い出しました。確か1~2年くらい前の、予選3~4回戦くらいでしたかね? ちょっと正確には覚えていないんですけど、《爆炎龍覇 モルトSAGA》のデッキで。相手が【マーシャルデリート】の試合だったんですよ」

――せいなさんともちきんさんの試合ですかね?


マッチー「そうです。確かせいなさんがずっと祈りながらやっていたのを覚えています。言ってしまえば運ゲーデッキではあるんですけど、そんな中でも《超次元エクストラ・ホール》でデッキを戻して、少しでも当たりの確率を下げにいくとか。そういう、最終的には運のやりとりになりつつも細かいところでプレイを出しているのが印象的でした。最後の最後まで、表情も含めてデュエル・マスターズらしいなって試合でしたね」

――確か《超次元エクストラ・ホール》《インフェル星樹》を山札に戻して、革命ゼロトリガーの確率を下げて……みたいなやり取りがありましたよね。

マッチー「そうですね。そもそも一度モルト側の攻撃を《煌銀河最終形態 ギラングレイル》で耐えていますからね。名勝負だと思います」

未来の実況者へ

――実況をやっていて、技術的な部分で難しい部分とか、或いはやりがいというか醍醐味みたいなものがあったら教えていただけますか?

マッチー「難しいというと、僕の場合は大体のデッキを大体はわかるんですけど、細かい部分がわからないことが多くて。例えば、【ファイアー・バード】と【ドリームメイト】の《料理犬のヴィヤンドゥ》のケアとか、そういった部分って僕の中だと細かい話になってくるんですけど、そういった点に気付かないことも多いので。実況・解説を兼ねていたりすると、『ちゃんと言えよ』とか言われたりするんですよね。勉強不足だなぁ、と感じることがあって、そういうところは大変と言われたら大変ですね。そういうときは『ごめんなさい、見落としていました』って言うようにしています」

――全てのデッキを100%で回せる人ってそうそういないですから、難しいですよね。

マッチー「まぁ今日の解説(◆ドラ焼き・フェアリー)はそれができそうなんですけど(笑)。あと見落としというと、光のドラゴンが絡むと結構大変ですね。『なんで出さなかったんですかね』って言うと、いやそもそも≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫で使えませんとか、《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》で出せません、とか」

――では逆にやりがいとか、醍醐味っていうとどんな部分にありますか?

マッチー「僕自身が喋るのが好きなんですよね。説明するのがちょっと難しいんですけど、なんといいますか、真剣勝負の場で、こういう形で加わることが出来るというのはすごくありがたいですし、楽しいことなので、それ自体にやりがいを感じている部分はあります」 ――最後になりますが、これから実況をやってみたいという方にアドバイスがあればお願いします。

マッチー「これはアドバイスなのかちょっとわからないですけど、例えば右と左にプレイヤーがいて、考えて止まる時間があると思うんですけど、そういうときにどちらが優勢で、どう具体的に有利なのかとか、どういう理由で勝ちそうなのかとか、状況を伝えるのが役割だと思うんですよね。カードゲームって普段馴染みのない人からしたら、なぜ試合が終わったのかとか、そこからわからないことも多いと思うので、『始まり』と『終わり』を明確に伝えるのがいいんじゃないかと思っています」

――ありがとうございました。


 マッチー氏と最初にお会いしたのは、2020年頃だったと思う。
その後何度かGPなどでご一緒していただいたものの、どうも本人に関しては謎の包まれた印象のままで、中々ゆっくりとお話しをする機会もなかった。

 今回インタビューを通して、ようやくマッチー氏の一面をようやく知ることが出来た。

 実況・解説として、明確にスタンスを持っているという人は、デュエル・マスターズではまだ少ない。そうした中で、貴重な話も多かったことだろう。

 このインタビューを気に、大会動画の実況などを始める人が増えたなら、きっとマッチー氏も喜んでくれるのではないだろうか。
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