DMGP2026-1st Day2(オリジナル)Round 8:セキボン vs. 紅蓮
ライター:高橋 穂(北白河)
撮影:後長 京介
紅蓮「俺も8-0がいい!」
開口一番、あまりにも素直すぎるトークが飛び出した。
ここはフィーチャー席、予選Round 8の全勝卓だ。
ものすごい表情でアッパーカットを仕掛けあう謎のポーズで写真撮影を進めるのは、魔王軍のDTLプレイヤーにして全国大会2019の覇者たるセキボンと、GP2024-1stの覇者たる紅蓮。超強豪プレイヤーである彼らは、互いに勝手知ったる仲。顔を合わせた瞬間から、トラッシュトークが止まらない。
セキボン「(Day1で使った【ドッコイ】と同じで)今日もビチャビチャしたデッキだよ」
紅蓮「嘘!?《魚籠びっくん》入り!?」
紅蓮「こっちは【サバキZ】」「実は【ドリームメイト】。俺はこれしか使わない」
良く言えば高度な情報戦、悪く言えば適当な情報のばら撒きあいが繰り広げられている。
もう一度言うが、これはGPの予選全勝卓にしてフィーチャー卓。本来ならもっと緊張感があってもよさそうなものだが……実績を積みまくっている彼らは、すでにこれくらいの状況では緊張すらしていないのだ。
フィーチャー席では滅多にないほどのゆるい雰囲気の中、紛れもない強者ふたりのデュエマが始まる。
先攻:セキボン
セキボンが《真気楼と誠偽感の決断》をチャージするや否や、紅蓮は表情を歪めて溜息。紅蓮「うそー……もうええて」「こんなカード初めて見たわ」
セキボン「このカード強いよ。3回くらい勝たせてもらってる」
紅蓮「知らないカードだ…新弾カードかな」
さっそくお互いに嘘すぎる情報が飛び出す。セキボンは当然3回ならず数十回・数百回とこのカードに触れて勝ってきているはずで、そもそも《真気楼と誠偽感の決断》はちょうど1年前に出たカードだ。
それに対する紅蓮のファーストムーブは、《ウィリデ・ゴル・ゲルス》チャージからの《我竜塔第一層 セイント・キャッスル》設置!
紅蓮「【サバキZ】だよ」
確かに表向きのカードがシールドにあるが、これも当然嘘である。
紅蓮が選んだデッキは、【光水ウィリデ】。
「逆転神VS切札竜」で登場したG城によりシールドを増やしやすくなったのを活かし、《ウィリデ・ゴル・ゲルス》を高速展開しつつ相手の動きに合わせて妨害持ちクリーチャーを送り込む……というテクニカルなデッキだ。
シールドを増やしつつ相手ターンに妨害を行うという構造上、その防御力とコントロール性能は絶大。
新弾カードを活かしたギミックだけに「わからん殺し」性能も高く、使い手のプレイングと環境読みも相まって順調に勝ち進んできたようだ。
紅蓮「かかってこい!」マナチャージにより言外に2ターン目に2枚目の《ウィリデ・ゴル・ゲルス》を出すことをほのめかしながら、紅蓮は強気にターンを返す。
だが、セキボンが悩んだ末に《パーリ騎士の心絵》をチャージすると……
紅蓮「やってられんて!」
また、表情が変わる。セキボンのデッキは、(《魚籠びっくん》は入っていないにせよ)本当にビチャビチャした(?)デッキだったのだ。
セキボンのデッキは、【創世竜ループ】。
《創世竜 Drache der’Zen》と《レヴィヤの地版》による展開コンボに《パーリ騎士の心絵》のマナ回収と《トラップの地版》のマナ送りを絡めてループに突入する、強力なコンボデッキだ。
タマシードをメインにすることで多くの妨害をすり抜けられるという唯一無二の利点に加え、セキボンのチューンは《真気楼と誠偽感の決断》をはじめとしてタマシード以外も含むカウンター札を大量に散らして搭載した独自の構成。
【創世竜ループ】にはまず入らないカードも含めて相手に動きを読ませないチューンが施されており、それがセキボンにここまで全勝という成果をもたらしているのは言うまでもない。
《ジャスミンの地版》を出して《パーリ騎士の心絵》をマナに送ってターンを返すセキボンに対し、紅蓮は《~進封せし大悪魔~》チャージから予告通り《ウィリデ・ゴル・ゲルス》を軽減入りで召喚。このデッキの理想ムーブを過たず通し、盤石な体制を整えてターンを終了する。
紅蓮「これ(《ウィリデ・ゴル・ゲルス》)、《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》の右腕らしいよ」
これは珍しく本当の情報だ。ゴルギーニ家の5体が合体した《轟䡛合体 ゴルギーオージャー》のイラストを見ると、確かに右腕はウィリデが担当している。
こうなると難しいのがセキボン。どう動いても《ウィリデ・ゴル・ゲルス》の踏み倒しがちらつくうえ、《トラップの地版》圏外のコストであることから後腐れなく除去するのも厳しい状況だ。
セキボン「むずすぎわろた」
紅蓮「むずすぎわろてもた」
悩みながらも、セキボンは《トラップの地版》をチャージ。《大集合!アカネ&アサギ&コハク》で《レヴィヤの地版》をマナに送り、リソースを伸ばすことを優先する。
ここで3コストの《大集合!アカネ&アサギ&コハク》が出たことで、《ウィリデ・ゴル・ゲルス》が紅蓮に1ドローと3コスト以下のクリーチャーの踏み倒しの権利をもたらす。
紅蓮「どうせまたなんか企んでるんでしょ?」
セキボン「うん」
おそらくこれは本当だ。その企みを打ち砕くべく、紅蓮は《ポッピ・冠・ラッキー》を手札から踏み倒す。セキボン「それは、強い」
マナからの展開を行う【創世竜ループ】にとって、それを阻害する《ポッピ・冠・ラッキー》は目の上のたんこぶとなる。
とはいえマナが十分にあるセキボンは、続けて《グレートブルーの海幻》で手札補充にかかる。手札に《終末の時計 ザ・クロック》と貴重な除去の《マンハッタンの心絵》を加え、ターンを返す。
紅蓮は《裏斬隠 テンサイ・ハート》をチャージすると、《世界のY チャクラ・デル・フィン》を召喚。
セキボン・紅蓮「それはワイだろ!」
ほぼ同時に叫ばれたこのセリフに嘘とか本当とかはないのだろうが、出たとき効果でシールドを追加しつつ《大集合!アカネ&アサギ&コハク》をタップ。
《ポッピ・冠・ラッキー》で即座に《大集合!アカネ&アサギ&コハク》を攻撃しつつエスケープでシールドと引き換えにバトルゾーンに残すと、盤面を取りつつ《世界のY チャクラ・デル・フィン》のZラッシュを発動するという一挙両得の好プレーを見せる。
紅蓮「《トラップの地版》持ってますか?」
セキボン「わからない」
しれっと非公開情報を引き出そうとする紅蓮をいなすセキボン。
しかし、呪文への依存度が高いセキボンのチューンにとって、目の前の《世界のY チャクラ・デル・フィン》の呪文ロックは非常に厄介な壁となる。
ターンが帰ってきて手札をひとしきり眺めて悩んだ後、「ウィリデの2枚目が裏目なんだよな……」とぼやきながら、先ほど手札に加えた《マンハッタンの心絵》を使用して、《世界のY チャクラ・デル・フィン》以外の2体をマナへと送り込む。
《ウィリデ・ゴル・ゲルス》の置き土産となる踏み倒し効果から出てきたのは、《裏斬隠 テンサイ・ハート》。手札入れ替えが発生し、《我竜塔第一層 セイント・キャッスル》が捨てられる。
さらなる《ウィリデ・ゴル・ゲルス》でなかったことがセキボンにとっての救いとなるが、実はこのドローと「バトルゾーンにクリーチャーが残ったこと」がゲームを変えることとなる。
ターンが帰ってきた紅蓮は、マナをフルに使って2コスト軽減から《飛翔龍 5000VT》を召喚!
手札に戻す対象こそないものの、今は「次の相手のターン中、相手はパワー5000以下のクリーチャーを出せない」が何より重要。【創世竜ループ】の必須パーツである《創世竜 Drache der’Zen》が出せなくなることから、事実上次のターンの紅蓮の生存がほぼ確約されたのだ。
こうなれば、(マナにも《創世竜 Drache der’Zen》が見えていないこともあって)安全なうちに攻めに転じるのが定石。いわゆる「分割リーサル」を狙い、《裏斬隠 テンサイ・ハート》で1枚、Zラッシュした《世界のY チャクラ・デル・フィン》で2枚……と、セキボンのシールドを刻んでいく。
セキボンはブレイクされたシールドを見て考えつつ、ぼやく。
セキボン「信じられないくらい弱い」
紅蓮「ここから返せるはずはないと思ってますよ」
トリガーしたのは、《レヴィヤの地版》。マナから《トラップの地版》を出して、ひとまず《世界のY チャクラ・デル・フィン》をマナに送り返す。
セキボンのバトルゾーンに5枚並んだタマシードを見て、紅蓮は何かに気付く。
紅蓮「それ《ブレイン・コンチェルト》撃ったら強くね?」
後でセキボンのリストを確認したが、さすがに入っていなかった。ターンが帰ってきたとはいえ、手をこまねいていれば次のターンにほぼ負けてしまうセキボン。手札を眺めて、ぼやく。
セキボン「意味ないカードしかない」
紅蓮「意味ないカードしかなくてうれしい」
実際に多くのカードを「意味ないカード」に変えさせた紅蓮としては、これは本心だろう。
セキボン「……これしかないんじゃないかな?死ぬほど弱いけど」
セキボンの手から放たれたのは、まさかの《理想と平和の決断》!しかし選ばれるモードは、延命策にしかならないシールド追加2回。セキボン自身も、まさか手札からこのモードで使わざるを得ない戦況になることは予想できていなかっただろう。
見た目の打点だけなら次のターンが帰ってきそうな状況まで持ち直したセキボンは、ターンエンドを宣言。
しかし紅蓮がすぐさま叩きつけたのは、《ウィリデ・ゴル・ゲルス》と2枚目の《飛翔龍 5000VT》!
《創世竜 Drache der’Zen》を出せないモードを継続させつつ、引き続き「分割リーサル」プランを成就させるべく動き出す。
まず、《裏斬隠 テンサイ・ハート》で1枚ブレイク。
紅蓮「Zラッシュ。僕がハイパーモードを解放しました」
紅蓮ほどのプレイヤーならできてもおかしくないかもしれないが、それはそれとして《飛翔龍 5000VT》で3枚ブレイク。
ブレイクされたシールドを見て悩むセキボン。逡巡の末S・トリガーとして放たれたのは、現状だと焼け石に水となる《トラップの地版》2枚。
さらに並んだタマシードを見て、紅蓮は何かに気付く。
紅蓮「《Law儿-怪Hawk》で負け?」
後でセキボンのリストを確認したが、さすがに入っていなかった。セキボンは問いに答えず、《トラップの地版》2枚を自身の効果でマナに送る。
セキボン「うーん……負けてそう」
紅蓮「これ返せるデッキはこの世にないと思ってます」
ターンこそ帰ってきたものの、手札を見て悩むセキボン。解決策を探して《地龍神の魔陣》を唱える(紅蓮は《ウィリデ・ゴル・ゲルス》で《楯教の求道者 ザゼ・ゼーン》を出す)。
さらにセキボンがもう一枚《地龍神の魔陣》を唱え、さらに3枚目の《地龍神の魔陣》を唱えたところで、紅蓮は何かに気付く。
紅蓮「《次元の嵐 スコーラー》ってこと!?」
最後の3枚を確認したセキボンは、その質問に答える代わりに天を仰ぎ、投了の宣言とともに紅蓮に右手を差し出した。Winner:紅蓮
決着がついた直後、セキボンは紅蓮に一言だけ語った。
セキボン「上手い!」
虚実入り交ざり多数の言葉が飛び交ったこのゲームだが、この賛辞は全力で戦ったからこその本心だろう。
紅蓮「《飛翔龍 5000VT》3枚目」
紅蓮は友人のその言葉を笑って受け取りつつ、さらにダメ押しの一手を握っていたことを伝える。
紅蓮「魔王軍の席は、(俺に)変わってもらおうかな」
そんな軽口を叩きつつ、彼らはインタビューに向けてフィーチャー席を後にした。
ちなみに、後でセキボンのリストを確認するまでもなく、さすがに《次元の嵐 スコーラー》は入っていなかった。
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セキボン DMGP2026-1st オリジナル構築 |
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紅蓮 DMGP2026-1st オリジナル構築 |
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