全国大会2017 Round 1:ぎらさき vs. ナツメ
1年間のデュエマ最強のプレイヤーを決める戦い、それが日本一決定戦。
DMGP開催を皮切りに、次々と施策が打ち出され、整備されつつある大人向けデュエマのトーナメント環境。今年、新たに打ち出された施策が、通年でのDMPランキングだ。
DMGPや公認CSの順位と参加者数に応じて与えられる通年のポイントによって争われるランキング。ランキング上位者には、様々な特典が与えられるが、その中でも最も魅力的なのが、上位3名に与えられる全国大会出場権である。
全国各エリアとジャッジ大会の代表者、超大型大会であるDMGPの決勝対戦者、DMPランキングの上位者の合計32名がこのタカラトミー本社に集結した。まさに2017年最強のプレイヤーを決めるにふさわしい大会と言えるだろう。
その第1回戦では、DMPランキング1位と2位の対戦をお届けしよう。
見事DMPランキングで1位となりこのテーブルに座ることになったのは、「関西最強」Mystic PlantのHARUことぎらさき。
なんと、年間で公認CS優勝回数は8回という驚くべき数字。数多いるDMPランカーの中でも他にこの回数を達成しているのはランキング3位の「魔王」dottoとランキング5位「愛知の星」ロマノフsignの2名だけというまさに選ばれた人間にしか達成できない数字だ。
対するは、DMPランキング2位の「DMGP-5th覇者」ナツメ。
GP優勝者に与えられる12000ポイントによってのランキング2位ではあるが、それを除いても約8000ポイントを稼ぎ出しており、この数字は所属の岡山ランキングで1位を維持できる数字である。
互いに、通年のランキング戦線で活躍し続けてきた両選手による戦いは、まず、超次元ゾーンのチェックから始まる。
ナツメは超次元ゾーン《ヴォルグ・サンダー》が4枚と《超時空ストームG・XX》。対して、ぎらさきも1枚は《ヴォルグ・サンダー》があるが、他はユーティリティ的なカードが並ぶ。どちらも水闇系ハンデスにも見えるが、ナツメは《凶鬼07号 ジャバランガ》系ループの可能性もあるか、という超次元ゾーン。
そんな超次元ゾーンを確認しつつも、互いになごやかな雰囲気で、会話などをしつつ互いの山札をシャッフルする。とはいえ、超次元ゾーンだけでも推測できる要素は多い。両名とも会話しつつも、表情の奥には何かしらの思索を巡らせている様子が見える。
ジャンケンで先手はぎらさき。1ターン目のマナチャージは《龍素記号Sr スペルサイクリカ》。対するナツメの1ターン目のマナチャージは《爆撃男》。このマナチャージによって超次元ゾーンによる予測は、ぎらさきは当たっていたものの、ナツメは超次元ゾーンに反して火水闇の墓地利用デッキ、いわゆる『墓地ソース』を持ち込んできたことが判明した。
続く2ターン目にぎらさきが《愛されし者 イルカイル》をマナチャージして初動を待つ中、先に動いたのはナツメ。『墓地ソース』を環境に復帰させた立役者、《一なる部隊 イワシン》を召喚する。
ここでぎらさきは《特攻人形ジェニー》で《暴走龍 5000GT》をディスカードさせるのだが、ナツメは《一なる部隊 イワシン》を《プラチナ・ワルスラS》へと進化させ、手札を循環させつつ、Wブレイクで早くもぎらさきに制限時間をかける。このブレイクでのトリガーは無し。
序盤の優勢を取られたぎらさき。ここは落ち着いて《デモンズ・ライト》をプレイ。手札が6枚あるので《プラチナ・ワルスラS》のパワーが-6000され墓地に送られる。進化元は《一なる部隊 イワシン》だったため、能力と併せて墓地のクリーチャー枚数は、『墓地ソース』のマジックナンバーである6となる。
《百万超邪 クロスファイア》のG0条件を満たしたナツメはここで一気に攻めていくかとも思われたが、まずは《奇天烈 シャッフ》を召喚する。宣言した数字は5。『水闇ハンデス』の中盤の要となる超次元呪文を封じ、相手の手を遅らせつつ盤面を固めていくプランをとる。
ぎらさきは《解体人形ジェニー》を召喚し、ナツメに手札の内容を開示することを求める。ここで見えたカードが《暗黒鎧 ダースシスK》と2枚の《暴走龍 5000GT》というもの。ここでは中長期戦を睨んでか《暴走龍 5000GT》を1枚ディスカードさせる。
墓地が7枚にマナが5枚という《暴走龍 5000GT》召喚の条件を満たしているナツメは少考の末に、《暴走龍 5000GT》を召喚、互いに《奇天烈 シャッフ》と《解体人形ジェニー》を墓地に送り込むと、ぎらさきの残る3枚のシールドをブレイクする。このブレイクで《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》がトリガーする。
《デモンズ・ライト》で手札を補充したぎらさきは、さらに《学校男》を召喚し、《暴走龍 5000GT》を処理する。ここで攻め手を失ったナツメは《奇天烈 シャッフ》を召喚、ここでも5を宣言する。返すターンで、ぎらさきはさらに《ブレイン・タッチ》をプレイして、ナツメの手札をゼロにすると、2枚目の《ブレイン・タッチ》をプレイし手札を循環させる。
ぎらさきのサイキックを封じつつ選ばれないアタッカーにもなる《異端流し オニカマス》をトップデックしたナツメはこれを召喚。その後《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》を前に長考。《奇天烈 シャッフ》での攻撃の可否とその宣言する数字を吟味する。墓地を吟味したうえで、ナツメは《奇天烈 シャッフ》をタップし4を宣言する。
手札を見つめ《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》のDスイッチを起動するかどうかを考えた上で、ここは手札から《光牙忍ハヤブサマル》をニンジャ・ストライクで呼び出すとブロックして凌ぐ。そして、自身のターンに《超次元リバイヴ・ホール》で墓地に落ちた《光牙忍ハヤブサマル》を回収しつつ、《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》を呼び出し、タップ状態の《奇天烈 シャッフ》を破壊する。
ナツメは《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》を《異端流し オニカマス》で手札に戻して迎えた自身のターン。相手の手札の《光牙忍ハヤブサマル》が分かっている状態では《異端流し オニカマス》でアタックできず、ドローした手札を保持してターンを返す。
このナツメのバトルゾーンと手札の1枚ずつのカードを《堕魔 ドゥポイズ》と《特攻人形ジェニー》でそれぞれ墓地に送り込んだぎらさき。さらに《超次元リバイヴ・ホール》で《特攻人形ジェニー》を回収しつつ《激天下!シャチホコ・カイザー》をバトルゾーンに呼び出す。
このままでは《激天下!シャチホコ・カイザー》と《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》のアドバンテージで敗勢必至のナツメ。だが、ここで《百万超邪 クロスファイア》をトップデックし、一縷の望みをかけて召喚、スピード・アタッカーでダイレクト・アタックを宣言する。
しかし、ぎらさきは今度こそ《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》のDスイッチによって《超次元ガロウズ・ホール》の使用を宣言。《百万超邪 クロスファイア》を手札に戻しつつ、2体目の《激天下!シャチホコ・カイザー》をバトルゾーンに並べる。
そして、手札に戻した《百万超邪 クロスファイア》が《激天下!シャチホコ・カイザー》の能力でバトルゾーンに戻ってきた《特攻人形ジェニー》でディスカードさせられてしまう。手札に《光牙忍ハヤブサマル》を保持したまま盤面を掌握したぎらさき。《超次元リバイヴ・ホール》で《堕魔 ドゥポイズ》を回収しつつ《ヴォルグ・サンダー》を呼び出し、ナツメの山札を攻める。
最後に止めとばかりに《悪臭怪人ゴキーン》を召喚するとナツメの墓地から《プラチナ・ワルスラS》を山札のトップへと置く。序盤は頼れるアタッカーだった《プラチナ・ワルスラS》ではあるが、進化元のいないこの状況では最も引きたくないカードだ。
これを引くしかないナツメは、せめて墓地以外の場所に退避させるべくマナチャージしてターンを終える。
ぎらさきはターンの開始時に、まず1体目の《激天下!シャチホコ・カイザー》で《学校男》を呼び出すと、《悪臭怪人ゴキーン》もろとも破壊する。そして2体目の《激天下!シャチホコ・カイザー》の能力で再び《悪臭怪人ゴキーン》を戻すと、今度は《超次元ガロウズ・ホール》を自身の山札トップにおいて次のドローを確定させる。
この《超次元ガロウズ・ホール》で《悪臭怪人ゴキーン》を手札に戻しつつ《ヴォルグ・サンダー》でナツメ山札を削り、召喚した《悪臭怪人ゴキーン》でまたも次のナツメのドローを《プラチナ・ワルスラS》へと確定させる。最後に《堕魔 ドゥポイズ》で《ヴォルグ・サンダー》を破壊して超次元ゾーンに送り返してターンを終える。
ナツメは《プラチナ・ワルスラS》をチャージするのみでターンを返し、ぎらさきは2体の《激天下!シャチホコ・カイザー》で再び《悪臭怪人ゴキーン》を使いまわすと、今度は《超次元リバイヴ・ホール》を次の自分のドローとして固定する。
《超次元リバイヴ・ホール》で《堕魔 ドゥポイズ》を回収しつつ、《ヴォルグ・サンダー》でナツメの山札をさらに削っていくぎらさき。だが、2枚目の《悪臭怪人ゴキーン》や《愛されし者 イルカイル》を既にマナチャージ済みのため、完全なロックに持ち込むことができない。
仕方なく打点として《壊滅の悪魔龍 カナシミドミノ》を呼び出し、ターンを終えるぎらさき。だが、これによって、続くナツメのドローは久々にぎらさきに固定されていない真のトップデックとなってしまう。
ぎらさきから与えられたこのチャンス。《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》は使用済みなので、ぎらさきの防御は手札の《光牙忍ハヤブサマル》のみ。つまりここでデッキにまだ残っている分からないが、《暴走龍 5000GT》を引くか、もしくは墓地の《暴走龍 5000GT》にアクセスできる《白骨の守護者ホネンビー》のような墓地回収を引き当てることができれば、ナツメの逆転となる。
これまでに無くゆっくりとカードをドローしたナツメは、ぎらさきをちらりと見ると苦笑とも失笑ともつかない笑みを浮かべる。その意味を理解し、ぎらさきも笑みを浮かべた。
ナツメの続くアクションは、《異端流し オニカマス》のマナチャージ。
ぎらさきは、お馴染みの《激天下!シャチホコ・カイザー》《学校男》《悪臭怪人ゴキーン》のコンボで墓地の《超次元ガロウズ・ホール》をトップデックすると、《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》を張り替え、Dスイッチを新調する。
こうして、今度こそ慎重に防御策を講じた上で、ついにクリーチャーたちでのブレイクを開始した。ナツメはここでトリガーを引くことができず、《ヴォルグ・サンダー》がダイレクト・アタックを決めるのだった。
Winner:ぎらさき
試合が終了し、生放送の勝利者インタビューに向かう前のわずかな時間に簡単な感想戦が行われた。
ナツメ 「《奇天烈 シャッフ》でアタックする時の宣言、かなり悩んだけど、結局《光牙忍ハヤブサマル》があったから関係なく負けてたな」
ぎらさき 「でも《奇天烈 シャッフ》の数字の宣言、全部刺さってたからかなりきつかったよ」
ランダムな山札からのドローは、それこそ神のみぞ知るというもので、人知の及ばない世界であり、その差で勝敗が決まってしまうのは仕方がない。
だが、“神は細部に宿る”とも言う。細部にこだわってこそ、神格化されうるものが生み出されるという意味だ。
細かい正確なプレイの積み重ねは、確実に勝率を上げる。少なくとも、人事を尽くすとはそういう事だ。
細部まで神経を行き届かせたプレイが、勝利に結びつくという事は、DMPランキング上位2名としてここに座っているこの二人が証明している。
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