全国大会2019 Round 3:ランディー(奈良県) vs. マ・ヒーロー(新潟県)
ライター:高橋 穂
撮影者:後長 京介
多数の参加者の中でも、その間で最も「二年半で成長した」プレイヤーといえばマ・ヒーローを置いて他にないだろう。
彼が東北エリア予選で優勝して全国大会への参加権利を得た時 、彼はまだ中学一年生だった。
そして、彼は今や高校一年生。物理的に成長しているのだ。
会場最年少となる彼だが、ここにいるということは数々の熱闘を潜り抜けてきたということ。
彼もまた、この戦いを待ち望んできた猛者の一人なのだ。
そんな彼の前にてアクリル板越しに静かに戦いの時を待つのは、ランディー。
関西を代表するプレイヤーとして活躍する彼の実力は、DMPランキング2位という圧倒的な実績が物語っている。
踏んできた場数と知識量にかけては、右に出るものはないと言えるだろう。
前回の全国大会から連続参加を果たしている、まごう事なきトッププレイヤーの一人だ。
以前行われたリモートデュエマスペシャルトーナメントではマ・ヒーローが決戦を制したが、実際に顔を合わせてのこの戦いではどちらに勝利の女神が微笑むのか。
両者やや緊張した雰囲気を纏う中、ヘッドジャッジの「デュエマ・スタート!」の声とともに予選第三ラウンドの戦いの火蓋が切って落とされた。
先攻:マ・ヒーロー
1ターン目からじっくり考えて《禁断英雄 モモキングダムX》をチャージしたマ・ヒーロー。
これに対して同じく長考の末ランディーがマナに置いたのは、《未来王龍 モモキングJO》!
これ以上ないほどの「名刺交換」。そう、【モモキングダム退化】同士のミラーマッチだ。
実に参加者の半数がアドバンスのデッキとして選択した【モモキングダム退化】。
超次元や超GRをほぼ使わないにもかかわらず、怒涛の連続攻撃によって平然と3キルが可能な圧倒的な出力を生み出すこのデッキ。
《禁断英雄 モモキングダムX》と退化用カードというコンボパーツ2枚があればひとまず走り出せる手軽さや、《進化設計図》をはじめとするドローソースによる安定感も魅力的で、大会最大勢力になるのも頷ける。
両者が相棒に選んだのも納得と言えるだろう。
2ターン目、《新世界王の闘気》をチャージしたマ・ヒーローの手から放たれたのは、(1ターン目にマナに置いたことで事実上予告されていた)2枚目の《禁断英雄 モモキングダムX》!
確定の《未来王龍 モモキングJO》を進化元に仕込み、先攻の優位を活かした準備を行いターンを返す。
返しのターン、《》をチャージするランディー。後手でやや痛いタップイン処理だが、手札さえ揃っていれば3マナから即座に走り出せるこのデッキでは、まだまだこの差を埋める目はある。
1ターン目の長考を見るに、マ・ヒーローの手札は芳しくないはず。退化のためのパーツを引かれていない、あるいはこのデッキの売りたる怒涛の連撃を凌ぐことに成功すれば、ゲームは容易にひっくり返る。
そう考えてか、ランディーはそのままターンを返す。
だが、今日のマ・ヒーローは違った。
《キャンベロ <レッゾ.Star>》をチャージして、放たれたのはデッキに1枚の《未来設計図》。
そして彼が垣間見た「未来」は……コンボの最後の1ピース、《怒りの影ブラック・フェザー》!
メジャーな《進化設計図》では絶対に辿り着けない未来を先取りすることに成功したのだ。
そのまま残った1マナで即座に召喚し、退化ギミックにより《未来王龍 モモキングJO》がバトルゾーンに姿を現す。
そして攻撃時に繰り出されたのは、《アルカディアス・モモキング》!
【モモキングダム退化】で溢れる会場だが、(光の呪文トリガーという致命的な裏目を嫌ってか)このカードを採用しているプレイヤーは少数派だ。
しかし、光文明の絡まないこのミラーマッチという状況においては……たった一枚で「返しのターンに出てくる《禁断英雄 モモキングダムX》をタップインさせたうえで」「全てのトリガーを封殺してダイレクトアタック役の《怒りの影ブラック・フェザー》を守る」という完全無欠のフィニッシャーとなる!
そのまま安全なT・ブレイクを決め、進化先を剥がしての連撃を行わずにターンを返す。
退化という勝ち筋に致命的なタイムラグを強要されたランディーは、《新世界王の闘気》をチャージしてターンを返すことしかできない。
そして訪れた次のターン。
《アルカディアス・モモキング》のブレイクで開けた花道を、マ・ヒーローより年上となる20歳の《怒りの影ブラック・フェザー》がダイレクトアタックのために駆け抜けた。
その成長は、まだ終わらない。
WINNER:マ・ヒーロー
TM and © 2024, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY