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全国大会2023 3位決定戦:シムレイ vs.ミノミー

ライター:山口 海斗(ジャイロ)
撮影者:堀川 優一(アノアデザイン)

 3位決定戦。その仕組み上、負けてすぐのプレイヤーが挑む試合。予選、本戦と勝ち続け、あと一歩のところで敗れた者が挑む最後の試合。

ミノミー「やっぱり称号は欲しいよな~」

 長丁場の準決勝を惜しくも敗れ、3位決定戦に挑むのはミノミー。DMPランキングから全国大会への出場を決めた今年、外しては語れない人物だ。使用デッキである【闇自然アビス】は、今回使用者が少ないもののその強さをしっかりと発揮している。

シムレイ「まだ今日1回も3キルしてないんで、勝たせてもらいます。」

 対するはシムレイ。全国大会最後の1枠で滑り込むなど、ここぞの勝負強さが光るプレイヤー。今回使う【水火マジック】に特別なカードの採用は無く、いわゆるテンプレ構築。だからこそ強い。3位の称号をかけた勝負が始まった。

Game 1

先攻:ミノミー  先攻で動く【闇自然アビス】の押し付け能力は素晴らしい。2ターン目に《ドミー=ゾー / 「倒したいか?」》の下面でマナ加速し、《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》シムレイの手札を覗く。
 シムレイ《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》《芸魔隠狐 カラクリバーシ》《芸魔王将 カクメイジン》を手札から見せた。

ミノミー「あっっっぶねぇな!!」

 《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》から3ターンキルを狙えた手札を前に胸をなでおろすミノミー。しかしこれで脅威が去ったわけではない。シムレイ《氷柱と炎弧の決断》を唱え、ドローする効果で失った手札を回復する。

 ミノミーは再度《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》でシムレイの手札を覗く。シムレイの手札には《芸魔王将 カクメイジン》2体に小型マジック・クリーチャー、そして《芸魔隠狐 カラクリバーシ》

ミノミー「さすがに《芸魔隠狐 カラクリバーシ》だよな…。」

 小型マジック・クリーチャーから《芸魔王将 カクメイジン》へと繋ぐバイパスでもある《芸魔隠狐 カラクリバーシ》を的確に打ちぬくミノミーシムレイが召喚した《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》《ヨービリン=リリン / 「……誰を呼びたい?」》のフレンドバースト効果で丁寧に処理。着実にシムレイをアビス達で囲い込んでいく。

 2度に渡る《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》の手札破壊に完全にテンポを失ったシムレイ。3位決定戦、1本目はミノミーの【闇自然アビス】の勝利で……終わらなかった。

シムレイ「活かせてもらいますね!」  《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》の上面を召喚するとすぐさま《芸魔王将 カクメイジン》に革命チェンジ。《瞬閃と疾駆と双撃の決断》から追加の打点である《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》を呼び出すともう止まらない。《芸魔王将 カクメイジン》はアンタップし、《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》《芸魔隠狐 カラクリバーシ》に。瞬く間にミノミーのシールドを奪い去ってダイレクトアタックを決めた。

シムレイ 1-0 ミノミー

シムレイ「この際、後手2回捲って勝ってやりますよ!」
不思議と彼の言葉には、本当にそうなるのでは無いかと思わせる迫力すらあった。しかし相手はあのミノミー。2023年上期最強のミノミーだ。ただでやられる訳が無かった。

Game 2

先攻:ミノミー

シムレイ「やっと3キルできる手札が来たんですけどね…。」

 シムレイが2ターン目に召喚した《イシカワ・ハンドシーカー / ♪聞くだけで 才能バレる このチューン》。これが、シムレイがこの対戦で出した、最初で最後のクリーチャーであった。
 Game 1同様、2ターン目のマナ加速から動くミノミー。【闇自然アビス】の十八番である《フットレス=トレース / 「力が欲しいか?」》の下面から《ア:エヌ:マクア》をメクレイドすると、《アビスベル=覇=ロード》に革命チェンジ。シムレイの≪イシカワ・ハンドシーカー≫を奪う。それだけに終わらない。

 続くミノミーのターン、《邪幽 ジャガイスト》を召喚すると、その展開力と《アビスベル=覇=ロード》の能力を見事に使いこなし、《謀遠 テレスコ=テレス》を3体出すことに成功。ミノミーに抜かりはない。《邪幽 ジャガイスト》の手札を捨てる効果を巧みに調整し、自身の手札を0枚にしてターンを終えた。仮にシムレイ《飛翔龍 5000VT》を召喚したとしても、パワーが10000になっている《謀遠 テレスコ=テレス》をどかすことはできない。 シムレイ「一応最後までやるけど…」

 とはいえ今更ミノミーが詰めを間違えるわけもない。《ア:エヌ:マクア》シムレイの墓地を消し、《氷柱と炎弧の決断》からの万に一つの逆転の目すら潰してミノミーが完封した。

シムレイ 1-1 ミノミー

シムレイ「今日まだ1回も3キルしてないんすよ、最後なんでしていいすか?」

ミノミー「いやぁ、ダメですね~。」

シムレイ「いや、俺はやりますよ。最後3キルで勝ちます!」

 お互いにシャッフルを終え、シールド、手札と並べられた。シムレイは有言実行となるのか、ミノミーは念願の称号を得られるのか。全ての行方を託した手札が2人に配られた。

Game 3

先攻:シムレイ  お互いに、2ターン目は《AQvibrato》《フェアリー・ライフ》と動いて迎える3ターン目。こうなると強いのは、先攻であるシムレイだ。
 ≪♪聞くだけで 才能バレる このチューン≫を手札から唱え、3キルのパーツを探すシムレイ《芸魔隠狐 カラクリバーシ》《瞬閃と疾駆と双撃の決断》と揃っており、念願の3キルに向けて動くのかと思いきや、シムレイは冷静であった。

シムレイ「いったんこれで行かせてもらいます。」

 《AQvibrato》《芸魔隠狐 カラクリバーシ》に革命チェンジ、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を唱えるまではいつもの【水火マジック】だったが、シムレイが選んだのは「コスト3以下のクリーチャーを1体、自分の手札から出す。」効果を2回。≪ボン・キゴマイム≫と《同期の妖精 / ド浮きの動悸》の上面をバトルゾーンに展開し、ミノミーのシールドを詰める。

 ミノミーにはとっておきの隠し玉があった。【水火マジック】による序盤からの攻撃も1枚で返せる受け札、《秩序の意志》が。しかし、バトルゾーンには≪同期の妖精≫がいるため、封印は≪同期の妖精≫に吸われる。シムレイは3キルを諦める形にはなったが、ミノミーの隠し玉をしっかり読み切って攻撃を押し付けたのだ。

ミノミー「いきますか…」

 不利に見えるこの状況ですら、ミノミーに焦りはない。不確定要素であるメクレイドすら、ミノミーは読み切っていたのだから驚きだ。≪「力が欲しいか?」≫を唱えると、まずは唯一の解答である《邪幽 ジャガイスト》に辿り着く。次は≪ボン・キゴマイム≫の処理だ。《邪幽 ジャガイスト》の効果で再びメクレイドをすると、やはり唯一の解答である《ヨービリン=リリン / 「……誰を呼びたい?」》まで辿り着く。下面の呪文で≪ボン・キゴマイム≫を破壊したのち、《邪幽 ジャガイスト》の効果で墓地から《ア:エヌ:マクア》を呼び出す。≪ボン・キゴマイム≫はもういない!《芸魔隠狐 カラクリバーシ》に攻撃し、シムレイのバトルゾーンを空にしてターンを返す。

 下手にクリーチャーを出すと、《アビスベル=覇=ロード》に革命チェンジされる。シムレイは手札を整えるのみに徹してターンを終える。その間、ミノミーはブロッカーである《アビスベル=ジャシン帝》をバトルゾーンに送り出し、守りを強固なものへと仕上げた。

 コストの異なる《邪幽 ジャガイスト》《アビスベル=ジャシン帝》の2体のブロッカー。≪♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり≫だけではブロッカーに攻撃を阻まれる。この状況、打破するにはあのカードしかない。シムレイがカードをドローすると…思わず叫んだ。

シムレイ「ありがとう神様!!」  神から授かった《氷柱と炎弧の決断》《芸魔隠狐 カラクリバーシ》から唱え、コストの散らばったブロッカー2体を止める。《芸魔王将 カクメイジン》の花道は整い、1回目の呪文を唱える効果を使う。

シムレイ「後は引くだけ!頼むぞ!」

ミノミー「え?《瞬閃と疾駆と双撃の決断》無いの?」

 《芸魔王将 カクメイジン》の連続攻撃に必要な《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を求めて《氷柱と炎弧の決断》の「自分の手札を1枚捨て、カードを2枚引く。」効果を2回発動。≪ボン・キゴマイム≫を捨てて2ドロー。2回目に捨てたカードは……《瞬閃と疾駆と双撃の決断》であった。  今日一日、決して引きが強かった訳ではない。それでもなお、シムレイは執念で引ききったのだ。《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を絡めた《芸魔王将 カクメイジン》の連続攻撃、ミノミーに耐えうる術は残されていなかった。

シムレイ 2-1 ミノミー

Winner:シムレイ  3位決定戦を終え、対戦テーブルはすぐさま決勝戦に譲られる。すぐ近くには、準決勝でシムレイに勝ったにわかが控えていた。

シムレイ「にわか、次はお前だ!」

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