全国大会2025 準決勝:リノグレ vs. 希亜
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影:坂井 郁弥
2025年度の日本一決定戦は、大波乱の結果となった。事前メタゲーム記事でも、あるいは直前の大会結果でも、「オリジナル環境はゴルギーオージャーとドリームメイトが強すぎる」というのがプレイヤーたちの共通見解だったはずだ。そしてそれは、集合知をもってしても容易には乗り越えられないものであるということも。
だが、事このトップ4に至って勝ち残ったデッキを見ると。
希亜(自然単キャベッジ)
リノグレ(4cアルファディオス)
さんやみ(水闇COMPLEX)
kaisora(4cダーバンデ)
何とゴルギーオージャーもドリームメイトも存在しない結果となったのである。もしかすると私たちは、デュエル・マスターズというゲームのほんのごく一部しか見えていないのかもしれない……そんな風にすら思えてくるほどだ。
だがそれはもちろん、ここまで勝ち残った彼らの優れたメタゲーム観によるものであることは言うまでもない。
リノグレ「リベンジの機会が与えられました」
これから準決勝を戦うのは、昨年度の日本王者、北海道は旭川を拠点とするリノグレ。2年連続のトップ8進出というだけでも白眉だというのに、驚くべきことに準々決勝では昨年の決勝と同じデンネとのマッチアップを制し、前人未到の日本一決定戦2連覇まで、あとたったの2勝というところまで来ているのである。
希亜「ここから確定先攻なんですよ。1位と2位が倒れたんで」
対するは前期ランキング11位で権利を獲得した、大阪の希亜。アドバンス4-0からのオリジナル2-2という成績でのトップ8進出だが、61名の参加者中オリジナル・フォーマットでたった一人だけ選択した「自然単キャベッジ」は、逆にむしろこの決勝トーナメントにおいては誰もが予想しなかった最も鋭い刃となりつつある。
希亜「勝ったらアビスラブ確定……ヒリつきやば~!」
世界にそれぞれ1枚ずつしかない、順位入りの《アビスラブ=ジャシン帝》のプロモーションカードは、3位までにしか配られない。逆に言えば、準決勝を勝利した時点で入手が確定する。大型大会での実績に乏しい希亜にとっては、ここが一つの正念場。
日本王者の壁を、新世代が乗り越えられるか。Game 1
3位通過で先攻の希亜がマナチャージした《Q.Q.G.QX. / 「この子はさわらせないわ!」》を見て、いきなりリノグレの顔が曇る。リノグレ「あー、そういうやつか……」
言いながらも《王闘の大地》をチャージしてターンを返すと、希亜は《うららかもも&ミノマル ー献身のヒロインー》をチャージから《クイーン&かぼちゃうちゃう》を着地させ、大型クリーチャーのコスト軽減による踏み倒しを牽制する。リノグレは「それは強いっすねえ」と応じつつ、《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》チャージから《ジャスミンの地版》で愚直にマナを伸ばすしかない。
だが返す希亜は《コレンココ・タンク / ボント・プラントボ》!失敗を願い思わず身を乗り出すリノグレだったが、しっかり《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》がマナに落ちて2マナブースト成功。リノグレは《回転の精霊ナイッショエル》チャージから《天彩の精霊ミルディアス》でマナ加速しつつ《クイーン&かぼちゃうちゃう》を手札に追い返すが、先にビッグアクションに到達したのは、やはり先攻の希亜だった。

すなわち、《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》の呪文側で8軽減した《地封龍 ギャイア》!
こうなるとリノグレとしては《フェアリー・ライフ》を唱えるくらいしかやることがない。一方希亜はそれを尻目に《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》を召喚してリソースを伸ばす。それでも、ここでリノグレは《王闘の大地》を唱えてはみるものの……結果は当然のことながら、《王導聖霊 アルファディオス》がマナに行くのみ。
そして希亜がついに《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》を召喚すると、そこから《龍装者 ジスタジオ》、《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》、《大虹帝 ミノガミ / 「ミノマルちゃん!わたしがついてるわ!」》、《うららかもも&ミノマル ー献身のヒロインー》、《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》、《うららかもも&ミノマル ー献身のヒロインー》……と巨大クリーチャーたちが次々とマナゾーンから登場し、バトルゾーンを埋め尽くす。
やがて巨獣の群れが、リノグレを容赦なく押しつぶしたのだった。
希亜 1-0 リノグレ
リノグレ「これは先手後手がでかいですねー……」
「自然単キャベッジ」対「エンジェル・コマンド」は、ちょうど「ヒロインBEST」が発売したばかりのタイミングで頻発したマッチアップだった。ゆえに、結論は既に出ている。《地封龍 ギャイア》が着地したらゲーム終了……「エンジェル・コマンド」側には、どかす手段も、能力をすり抜けて着地するクリーチャーも、ほとんど存在しないからだ(例外は《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》くらいのものだ)。
そしてその問題は、「エンジェル・コマンド」に火文明が足された現在の形でも変わらない。だからリノグレとしては、《地封龍 ギャイア》が着地する前にどうにかゲームの趨勢を決定づける必要がある。
リノグレは先攻の2ゲーム目で、巻き返しを狙う。
Game 2
2ターン目に《フェアリー・ライフ》を唱えたリノグレに対し、希亜も《配球の超人 / 記録的剛球》でマナ加速して互いに譲らない。そのままリノグレが《大集合!アカネ&アサギ&コハク》を2連打し、ともに手札に加えてターンを返す。だが希亜は《コレンココ・タンク / ボント・プラントボ》で2マナブーストから《クイーン&かぼちゃうちゃう》!最速の《王導聖霊 アルファディオス》着地を咎める理想的なムーブで応える。こうなるとリノグレとしては5マナ目をチャージしつつ、《回転の精霊ナイッショエル》を進化で出そうとしてかわりにマナに送ってターンエンドと、一手をマナ加速に当てるしかない。もしここで《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》+《地封龍 ギャイア》が揃っていればゲームセットというところ。
しかし、返すターンのドローを見た希亜が苦しそうに表情を歪める。どうやら揃ってはいない様子だ。とはいえターンを返してしまうとリノグレが7マナに到達するため、《王導聖霊 アルファディオス》が着地してしまう。ここで普通に《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》を召喚することもできた希亜だったが、それでは勝たないと判断し、逆転の一手にうって出る。
すなわち。

《Q.Q.G.QX. / 「この子はさわらせないわ!」》!を呪文側で唱えると、山札からのダイレクト《地封龍 ギャイア》チャンスが生まれる。
希亜「ギャイアギャイアギャイア……」
リノグレ「……(笑)」
言霊を込めて山札をシャッフルし、リノグレに渡す。シャッフルされている間も、ぱんっ、ぱんっと手を打ち合わせて祈りを欠かさない。
リノグレ「嫌すぎる……マナにギャイアっていない?」希亜「ゼロです。キャベツでもいい」
はたしてめくれたのは……《大長老 アプル / 「わたしが自然文明のプリンセス?」》!……これは《大集合!アカネ&アサギ&コハク》をバトルで打ち取るのみで、残念ながら希亜の願いは届かず。
そしてこうなると、ついにリノグレが攻める番。

送り出したのは、《王導聖霊 アルファディオス》!《大集合!アカネ&アサギ&コハク》の上に進化させつつ「超魂レイド」。そのまま《大長老 アプル / 「わたしが自然文明のプリンセス?」》への攻撃時に3ドローし、《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》までもが着地する!
返す希亜は今度こそ《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》を着地させるが、リノグレの攻勢を押しとどめるには力不足。
そのままリノグレは《王導聖霊 アルファディオス》の再びの攻撃時に《滝川るる&ラフルル ー閃光のヒロインー》へと進化させつつ、さらなる《王導聖霊 アルファディオス》と《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》を着地させてT・ブレイク。そして続けて《王導聖霊 アルファディオス》の攻撃時に《剣轟の団長 ドギラゴン王道》の「D・D・D」を宣言し、ダメ押しの《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》までもを着地させると、希亜に抗う術は残されていないのだった。
希亜 1-1 リノグレ
Game 3
《Q.Q.G.QX. / 「この子はさわらせないわ!」》《コレンココ・タンク / ボント・プラントボ》というマナチャージから《イチゴッチ・タンク / レッツ・ゴイチゴ》という快調なスタートを切った希亜に対し、リノグレも《剣轟の団長 ドギラゴン王道》《天革の騎令嬢 ミラクルステラ》というチャージから《フェアリー・ライフ》で追いすがる。しかしここで希亜が《コレンココ・タンク / ボント・プラントボ》で《ジャンボ・ラパダイス》をめくり、「マジか」という表情を見せつつも、続けて落ち着いて《ジャンボ・ラパダイス》を手打ちすると、《地封龍 ギャイア》《大長老 アプル / 「わたしが自然文明のプリンセス?」》《Q.Q.G.QX. / 「この子はさわらせないわ!」》《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》という4枚が加わり、2マナブースト失敗が帳消しどころかお釣りが来る大収穫を見せる。
リノグレ「マナが5枚?あのコンボ(《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》+《地封龍 ギャイア》)は6あればいいんだよね」
希亜「そうですね、5+1で大丈夫です」
《地封龍 ギャイア》は見えており、もはや《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》を持たれていたらどうやっても着地を防げないことを悟ったリノグレは、《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》チャージから再びの《フェアリー・ライフ》でマナ加速し、「これで終わりです」と希亜の返すアクションにすべてを委ねる。
はたして、希亜の手札には。
《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》+《地封龍 ギャイア》!リノグレ「ふーん………ふっふっふw」
こうなると1ゲーム目の再現。できることがほとんどないリノグレが《フェアリー・ライフ》でマナを伸ばすのを尻目に、希亜は《超時空罠 デンジャデオン / 「トラップ?ちがうわ、お願いしてるだけ!」》で勝利を確実なものにする準備を始める。
それでもリノグレは、どこかに登場時能力を持たないやつがもしかしたらいないかと、手札のカードのテキストと無言で睨みあう。
リノグレ「『超魂レイド』は……『出た時』能力ですよね?なんか奇跡起きないかなと思ったんですけど……(笑)」
だが、やがて降臨した《キャベッジ・セッションズ / ソイルピンプ・キャベッジ》が《うららかもも&ミノマル ー献身のヒロインー》を皮切りに大量のグランセクトをマナから呼び出し、リノグレのシールドを蹂躙する。最後にトリガーした《王闘の大地》をリノグレは一応お茶目に見せてみるも、希亜が《うららかもも&ミノマル ー献身のヒロインー》でマナに送る仕草を見せると。
リノグレ「ありがとうございました」
ダイレクトアタックが、日本王者の連覇の夢を打ち砕いた。
希亜 2-1 リノグレ
希亜「……っしゃー!」
リノグレ「頑張ってください」
希亜「頑張ります!」
有利なマッチアップとはいえ勝ち気に逸ることなく、落ち着いてマッチアップの要諦を見抜いた見事な立ち回りを見せた希亜が決勝へと進出する一方、大きなものがかかった戦いであっても普段通りデュエマを楽しむ器の大きさを見せたリノグレが3位決定戦に回り、それぞれがいよいよ最後の戦いへと臨むのだった。
Winner: 希亜
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リノグレ 全国大会2025 日本一決定戦 オリジナル |
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希亜 全国大会2025 日本一決定戦 オリジナル |
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