山形超CSⅢ:決勝ラウンド メタゲームブレイクダウン~その天災、まさしくSSS級~
今年4月に開催されたデュエル・マスターズ・グランプリ8thから、4か月。
殿堂環境のメタゲームは、殿堂発表と主に4つの拡張パック・デッキの発売を経て、目まぐるしく様変わりしていった。
まずは6月、《“轟轟轟”ブランド》《ガヨウ神》《セイレーン・コンチェルト》の殿堂は、トップメタだった火光速攻とジョーカーズを後退させた。そして同じ週に発売した超天篇第2弾「青きC.A.P.と漆黒の大卍罪」では、《大卍罪 ド・ラガンザーク 卍》がオレガ・オーラを主軸にした新たなアーキタイプを確立させるとともに、《MANGANO-CASTLE!》や《Wave All ウェイボール》が火水《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を強化した。
他方、ジョーカーズは超GRの展開力を生かし、《夢のジョー星》からの《BAKUOOON・ミッツァイル》というルートを組み込んだ新しい形へと生まれ変わることとなった。
さらに続く7月の「絶対王者!! デュエキングパック」では、《爆銀王剣 バトガイ刃斗》《轟牙忍 ハヤブサリュウ》によってモルトNEXTが、《覇王速 ド・レッド》によってレッドゾーンが第一線へと復帰を果たした。
その一方で《S級原始 サンマックス》も遅れて脚光を浴びはじめ、失った《“轟轟轟”ブランド》をこれによってリペアした火光速攻の新たな可能性が幅広く認知されていった。また《ドンドン水撒くナウ》は、《》や《水上第九院 シャコガイル》系のデッキにおいて《フェアリー・シャワー》に代わる新たなマナブースト兼防御札として見られるようになった。
だが、そんな激動のメタゲームの最中。
8月に入り、つい先週末に発売したアルティメット・クロニクル・デッキ2019「必勝!! 闘将ブレードオーガ」と「SSS!! 侵略デッドディザスター」が、またしてもメタゲームに激変をもたらしたのだ。
はたして、クロニクル・デッキ発売の興奮も冷めやらぬ今回の超CSⅢにおいては、一体どのようなメタゲームが展開されたのか。
決勝ラウンドに進出した、128名のメタゲームブレイクダウンをお届けしよう。
49名……決勝進出者128名のうち、実に38%を占めたダントツのトップメタは、わずか一週間前に発売したアルティメット・クロニクル・デッキ2019「SSS!! 侵略デッドディザスター」によって誕生したばかりの新興アーキタイプだった。
躍進のきっかけとなったのは、主に3枚の新規カード。《天災 デドダム》は、わずか3マナで手札・マナゾーン・墓地という3つのリソースを同時に伸ばすことができる。
そしてその3つのリソース (+バトルゾーン) から自在に「侵略」可能なのが、《SSS級天災 デッドダムド》。その盤面処理能力の高さから、主に《BAKUOOON・ミッツァイル》を使用するデッキに対して強く出られるのが魅力だ。
さらに《虹速 ザ・ヴェルデ》は、「マッハファイター」でアンタップ状態のクリーチャーを攻撃しつつ《SSS級天災 デッドダムド》の「侵略」先になるので、多面除去が可能になる。加えてマナゾーンからも出せるので、《天災 デドダム》でマナに置いておけば「侵略」要員を確保することができ、リソースに余裕ができやすい点も見逃せない。
とはいえこれらだけだとフィニッシュ力に欠ける面々と言わざるをえないところ、そこをぴったり補うのが《禁断機関 VV-8》。《天災 デドダム》の召喚や《SSS級天災 デッドダムド》の「侵略」によって着地した次のターンにはほぼ禁断解放が可能となるため、追加ターンの保証のもとで躊躇なくシールドを割り切ることができる。
また、「SSS!! 侵略デッドディザスター」だけでなく「必勝!! 闘将ブレードオーガ」からも《》をつまんでいる形が多い。
ロマノフワンショットやデ・スザークなど墓地を活用するデッキ相手にメタカードとして機能することはもちろん、自分の墓地の使い終わったカードを山札に戻すことで長期戦に備えたり、クリーチャー側を出して「マッハファイター」で《SSS級天災 デッドダムド》の「侵略」先にしつつもマナに置いたカードを回収するなど、活躍する場面は多岐にわたる。
メタゲームに合わせて《S級宇宙 アダムスキー》や《》を搭載した形もあり、まだまだ研究の余地がありそうなこのアーキタイプは、今後も猛威を振るいそうだ。
《卍 新世壊 卍》はその名前どおりのフィールドを最速2ターン目に設置し、唱えた水の魔導具呪文を下に4枚重ねて《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》をタダ打ちすることで、追加ターンを獲得しつつ《》と《凶鬼卍号 メラヴォルガル》を一気に並べ、S・トリガーの脅威をほぼ無視しつつダイレクトアタックを決める、というデッキだ。
DMRP-08時点でのそれと異なる点は、《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》の採用だろう。コスト99の《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》を捨てることで、実質S・トリガーの《アポカリプス・デイ》として機能する点が心強い。
ただ、それ以外に特に強化カードを得たわけでもないこのデッキが突如としてメタ上位に躍り出たのは、やはり《SSS級天災 デッドダムド》に対抗しうる戦略だからという部分が大きいだろう。
盤面処理に長ける《SSS級天災 デッドダムド》だが、バトルゾーンにあってもフィールドには触ることができない。それもD2フィールドならば自ら《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》を使うことで貼り換えが可能だが、「無月フィールド」となるとそうもいかないからだ。
ただ《SSS級天災 デッドダムド》側も《レアリティ・レジスタンス》や《超奇天烈 ギャブル》などで対抗する手段を見出しており、そこまで劇的なマッチアップ相性というわけでもない様子。独特のケアが必要なシチュエーションが多くなるため、勝ちきるには練習が欠かせないデッキだ。
《エマージェンシー・タイフーン》や《サイバー・チューン》で《邪眼教皇ロマノフⅡ世》を墓地に落とし、《》や《戒王の封》でひとたび釣り上げることに成功すれば、あとは誘発した効果がさらなる《邪眼教皇ロマノフⅡ世》と釣り上げ呪文を呼び寄せる。そうして山札を残り6枚程度まで掘り尽くせば、あとは《水上第九院 シャコガイル》が勝負を決めてくれる。
このデッキはツインパクトで序盤の防御札としても機能するDMRP-09での《》の加入以降、墓地対策が薄くなるタイミングを常に見計らっていた。それが今回の《SSS級天災 デッドダムド》の隆盛により、《音奏 プーンギ》《》といったメタクリーチャーのポジションが落ちたことと合わせ、環境の要請と合致した形と言えそうだ。
《MANGANO-CASTLE!》の登場により、超GRの構築次第で様々な文明・コストのクリーチャーを自在に呼び出せるようになったことが、本来厳しいはずの「侵略」条件を緩和する役割を果たした。
《S級原始 サンマックス》は自然でコスト3のクリーチャーにしか「侵略」できないが、GRクリーチャーならばマナゾーンに用意した文明とは無関係にコストを支払ったものとして召喚されるため、火光のメタビートに《S級原始 サンマックス》だけをタッチするという離れ業が可能となったのだ。
今回は《SSS級天災 デッドダムド》により抑え込まれたものの、《音奏 プーンギ》《》という環境屈指のメタクリーチャーを搭載しつつ4ターン目には安定して6打点以上を作ってくる強力なデッキであることに変わりはない。今後メタゲームが変われば、活躍のタイミングはきっとまた訪れることだろう。
元来人気が高いアーキタイプが「絶対王者!! デュエキングパック」で大幅強化されたこともあり、この超CSⅢでもトップメタになるのではとも予想されていたが、《SSS級天災 デッドダムド》のデッキが採用する《無修羅デジルムカデ》や《レアリティ・レジスタンス》がナチュラルに刺さってしまうのが災いしたか、このポジションにとどまっている。
その他、《SSS級天災 デッドダムド》の「侵略」による被害を受けにくいチェイングラスパーも5名が決勝ラウンドに進出するなど、メタゲームの激しい移り変わりを感じさせる結果となった。
まさしく天災のごとく猛威を振るう《SSS級天災 デッドダムド》を打ち破るデッキは、これから現れるのだろうか?デッキビルダーたちの健闘に期待したい。
ともあれ、皆さんの今後のデッキ選択の参考になれば幸いだ。
殿堂環境のメタゲームは、殿堂発表と主に4つの拡張パック・デッキの発売を経て、目まぐるしく様変わりしていった。
まずは6月、《“轟轟轟”ブランド》《ガヨウ神》《セイレーン・コンチェルト》の殿堂は、トップメタだった火光速攻とジョーカーズを後退させた。そして同じ週に発売した超天篇第2弾「青きC.A.P.と漆黒の大卍罪」では、《大卍罪 ド・ラガンザーク 卍》がオレガ・オーラを主軸にした新たなアーキタイプを確立させるとともに、《MANGANO-CASTLE!》や《Wave All ウェイボール》が火水《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》を強化した。
他方、ジョーカーズは超GRの展開力を生かし、《夢のジョー星》からの《BAKUOOON・ミッツァイル》というルートを組み込んだ新しい形へと生まれ変わることとなった。
さらに続く7月の「絶対王者!! デュエキングパック」では、《爆銀王剣 バトガイ刃斗》《轟牙忍 ハヤブサリュウ》によってモルトNEXTが、《覇王速 ド・レッド》によってレッドゾーンが第一線へと復帰を果たした。
その一方で《S級原始 サンマックス》も遅れて脚光を浴びはじめ、失った《“轟轟轟”ブランド》をこれによってリペアした火光速攻の新たな可能性が幅広く認知されていった。また《ドンドン水撒くナウ》は、《》や《水上第九院 シャコガイル》系のデッキにおいて《フェアリー・シャワー》に代わる新たなマナブースト兼防御札として見られるようになった。
だが、そんな激動のメタゲームの最中。
8月に入り、つい先週末に発売したアルティメット・クロニクル・デッキ2019「必勝!! 闘将ブレードオーガ」と「SSS!! 侵略デッドディザスター」が、またしてもメタゲームに激変をもたらしたのだ。
はたして、クロニクル・デッキ発売の興奮も冷めやらぬ今回の超CSⅢにおいては、一体どのようなメタゲームが展開されたのか。
決勝ラウンドに進出した、128名のメタゲームブレイクダウンをお届けしよう。
水闇自然デッドダムド……49名
ここまで圧倒的な支配率になるとは、一体誰が予想しただろうか。49名……決勝進出者128名のうち、実に38%を占めたダントツのトップメタは、わずか一週間前に発売したアルティメット・クロニクル・デッキ2019「SSS!! 侵略デッドディザスター」によって誕生したばかりの新興アーキタイプだった。
躍進のきっかけとなったのは、主に3枚の新規カード。《天災 デドダム》は、わずか3マナで手札・マナゾーン・墓地という3つのリソースを同時に伸ばすことができる。
そしてその3つのリソース (+バトルゾーン) から自在に「侵略」可能なのが、《SSS級天災 デッドダムド》。その盤面処理能力の高さから、主に《BAKUOOON・ミッツァイル》を使用するデッキに対して強く出られるのが魅力だ。
さらに《虹速 ザ・ヴェルデ》は、「マッハファイター」でアンタップ状態のクリーチャーを攻撃しつつ《SSS級天災 デッドダムド》の「侵略」先になるので、多面除去が可能になる。加えてマナゾーンからも出せるので、《天災 デドダム》でマナに置いておけば「侵略」要員を確保することができ、リソースに余裕ができやすい点も見逃せない。
とはいえこれらだけだとフィニッシュ力に欠ける面々と言わざるをえないところ、そこをぴったり補うのが《禁断機関 VV-8》。《天災 デドダム》の召喚や《SSS級天災 デッドダムド》の「侵略」によって着地した次のターンにはほぼ禁断解放が可能となるため、追加ターンの保証のもとで躊躇なくシールドを割り切ることができる。
また、「SSS!! 侵略デッドディザスター」だけでなく「必勝!! 闘将ブレードオーガ」からも《》をつまんでいる形が多い。
ロマノフワンショットやデ・スザークなど墓地を活用するデッキ相手にメタカードとして機能することはもちろん、自分の墓地の使い終わったカードを山札に戻すことで長期戦に備えたり、クリーチャー側を出して「マッハファイター」で《SSS級天災 デッドダムド》の「侵略」先にしつつもマナに置いたカードを回収するなど、活躍する場面は多岐にわたる。
メタゲームに合わせて《S級宇宙 アダムスキー》や《》を搭載した形もあり、まだまだ研究の余地がありそうなこのアーキタイプは、今後も猛威を振るいそうだ。
卍 新世壊 卍……15名
2番手となったのはこれまた意外なことに、そのまま2ブロックフォーマットの大会にも持ち込めそうなアーキタイプだった。《卍 新世壊 卍》はその名前どおりのフィールドを最速2ターン目に設置し、唱えた水の魔導具呪文を下に4枚重ねて《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》をタダ打ちすることで、追加ターンを獲得しつつ《》と《凶鬼卍号 メラヴォルガル》を一気に並べ、S・トリガーの脅威をほぼ無視しつつダイレクトアタックを決める、というデッキだ。
DMRP-08時点でのそれと異なる点は、《ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ》の採用だろう。コスト99の《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》を捨てることで、実質S・トリガーの《アポカリプス・デイ》として機能する点が心強い。
ただ、それ以外に特に強化カードを得たわけでもないこのデッキが突如としてメタ上位に躍り出たのは、やはり《SSS級天災 デッドダムド》に対抗しうる戦略だからという部分が大きいだろう。
盤面処理に長ける《SSS級天災 デッドダムド》だが、バトルゾーンにあってもフィールドには触ることができない。それもD2フィールドならば自ら《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》を使うことで貼り換えが可能だが、「無月フィールド」となるとそうもいかないからだ。
ただ《SSS級天災 デッドダムド》側も《レアリティ・レジスタンス》や《超奇天烈 ギャブル》などで対抗する手段を見出しており、そこまで劇的なマッチアップ相性というわけでもない様子。独特のケアが必要なシチュエーションが多くなるため、勝ちきるには練習が欠かせないデッキだ。
ロマノフワンショット……14名
2番手とそこまで差のない3番手には、墓地を利用したコンボデッキが名乗りをあげた。《エマージェンシー・タイフーン》や《サイバー・チューン》で《邪眼教皇ロマノフⅡ世》を墓地に落とし、《》や《戒王の封》でひとたび釣り上げることに成功すれば、あとは誘発した効果がさらなる《邪眼教皇ロマノフⅡ世》と釣り上げ呪文を呼び寄せる。そうして山札を残り6枚程度まで掘り尽くせば、あとは《水上第九院 シャコガイル》が勝負を決めてくれる。
このデッキはツインパクトで序盤の防御札としても機能するDMRP-09での《》の加入以降、墓地対策が薄くなるタイミングを常に見計らっていた。それが今回の《SSS級天災 デッドダムド》の隆盛により、《音奏 プーンギ》《》といったメタクリーチャーのポジションが落ちたことと合わせ、環境の要請と合致した形と言えそうだ。
火光サンマックス……11名
4番手にようやくアグロデッキが登場。《SSS級天災 デッドダムド》の台頭を受け、盤面のクリーチャーを活用するタイプのデッキは軒並みかなりの苦戦を強いられたようだ。《MANGANO-CASTLE!》の登場により、超GRの構築次第で様々な文明・コストのクリーチャーを自在に呼び出せるようになったことが、本来厳しいはずの「侵略」条件を緩和する役割を果たした。
《S級原始 サンマックス》は自然でコスト3のクリーチャーにしか「侵略」できないが、GRクリーチャーならばマナゾーンに用意した文明とは無関係にコストを支払ったものとして召喚されるため、火光のメタビートに《S級原始 サンマックス》だけをタッチするという離れ業が可能となったのだ。
今回は《SSS級天災 デッドダムド》により抑え込まれたものの、《音奏 プーンギ》《》という環境屈指のメタクリーチャーを搭載しつつ4ターン目には安定して6打点以上を作ってくる強力なデッキであることに変わりはない。今後メタゲームが変われば、活躍のタイミングはきっとまた訪れることだろう。
モルトNEXT……8名
5番手にはリバイバルを果たした往年の超火力デッキがランクイン。元来人気が高いアーキタイプが「絶対王者!! デュエキングパック」で大幅強化されたこともあり、この超CSⅢでもトップメタになるのではとも予想されていたが、《SSS級天災 デッドダムド》のデッキが採用する《無修羅デジルムカデ》や《レアリティ・レジスタンス》がナチュラルに刺さってしまうのが災いしたか、このポジションにとどまっている。
その他、《SSS級天災 デッドダムド》の「侵略」による被害を受けにくいチェイングラスパーも5名が決勝ラウンドに進出するなど、メタゲームの激しい移り変わりを感じさせる結果となった。
まさしく天災のごとく猛威を振るう《SSS級天災 デッドダムド》を打ち破るデッキは、これから現れるのだろうか?デッキビルダーたちの健闘に期待したい。
ともあれ、皆さんの今後のデッキ選択の参考になれば幸いだ。
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