超CSⅣ宮城 Round 7:TIGHT vs. むー
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影者:堀川 優一
予選ラウンド最終戦となるこの7回戦目は、ここまで4勝2敗のプレイヤーにとっては決勝トーナメント進出をかけたバブルマッチとなる。しかも勝って5勝2敗になれたとしても、ボーダーラインである上位128名に入れるかは運次第だ。
そんな大一番でフィーチャーマッチエリアに現れたのは、2019年の関東のエリア代表決定戦を突破し、つい2ヶ月前に全国大会2019 日本一決定戦にも出場した経験を持つTIGHT。
対戦相手であるむーも、同じく4勝2敗。ただしTIGHTに比してオポネントの数字が低く、勝ったとしても決勝に上がれる望みは薄い。
だがだとしても、全力で戦わないという理由にはならない。
今はただ、目の前の対戦相手に勝つ。それだけだ。 勝っても負けても、今日最後のゲームになるかもしれない。そんな一戦が、始まった。
Game
ジャンケンで先攻を取ったむーは、《ヴィオラの黒像》をチャージしてターンを終える。上位メタゲームでは「マッド・デッド・ウッド」が想起されるが、はたしてどうか。一方、返すTIGHTがチャージしたのは《》。汎用カードではあるが、現状のメタゲームにおいては新殿堂によって解体を余儀なくされるであろう「グルメ墓地ソース」であることはほぼ間違いなさそうだ。
だが2ターン目、むーのアクションは《樹界の守護車 アイオン・ユピテル》チャージからの《フェアリー・Re:ライフ》というもの。しかもマナに落ちたのは……《終末の監視者 ジ・ウォッチ》??? 現状のメタゲームでは少しマニアックだが、アーキタイプとしては《流星のガイアッシュ・カイザー》入りの水闇自然《SSS級天災 デッドダムド》あたりだろうか。
ともあれ、そんなむーを尻目にTIGHTは《巨大設計図》チャージから《超七極 Gio / 巨大設計図》を唱える。 しかしここで、めくれた4枚の中には《巨大設計図》がまさかの2枚で、TIGHTは首を傾げつつターンを終える。実はこの時手札には《天幕船 ドンデンブタイ》を抱えていたため、1枚までなら許容だったのだが、手痛い失速だ。
他方、前のターンに《終末の監視者 ジ・ウォッチ》がマナに落ちたことで水マナを確保できたむーは、《樹界の守護車 アイオン・ユピテル》チャージから《飛ベル津バサ「曲通風」》を送り出す。
これによってまだ十分に手札が補充できていないままに2枚目以降の《巨大設計図》が封じられた格好のTIGHTは、やむをえずマナチャージなしで《天幕船 ドンデンブタイ》を「G・ゼロ」で召喚し、少しでも多くリソースを稼ぎにいく。
対し、返すターンに5マナ目に到達したむーは《悪魔龍 ダークマスターズ》をチャージしてからの《天災 デドダム》で、次のターンには7マナに到達するというのに《CRYMAX ジャオウガ》をマナに、《悪魔龍 ダークマスターズ》を墓地にそれぞれ送り込み、不穏な雰囲気だ。
それでも、そんな雰囲気は承知しつつも他にできることがないTIGHTは、《暴走龍 5000GT》チャージから2体目の《天幕船 ドンデンブタイ》を「G・ゼロ」で召喚し、むーの準備が整わないことに一縷の望みをかける。
だが、むーはひとまずマナチャージなしで《天災 デドダム》を召喚すると、さらに残ったマナで《樹界の守護車 アイオン・ユピテル》を送り出し、《天幕船 ドンデンブタイ》への「マッハファイター」攻撃時に墓地から《SSS級天災 デッドダムド》を「侵略」させ、《天幕船 ドンデンブタイ》2体ともを墓地送りにしてとにかくTIGHTの追加リソース獲得を許さない。 TIGHT「考えます……」
返すターン、TIGHTは深く考える。マナゾーンには闇火自然マナが1枚ずつ。墓地が3枚。手札は7枚。《樹食の超人》はある。だが、どうやっても《暴走龍 5000GT》までには1マナ足りない。
長考の果てに、意を決して《大樹王 ギガンディダノス》チャージのみでターンを終える。頼む、もう1ターン待ってくれ。そんな思いが聞こえるかのような、苦渋のターンエンドだ。
だが。 無情にも返すむーのアクションは、《CRYMAX ジャオウガ》!
一気に3枚にまで減ったTIGHTのシールドをそのまま《CRYMAX ジャオウガ》がT・ブレイクすると、《天災 デドダム》のダイレクトアタックがゲームに突然の終止符を打ったのだった。
Winner: むー
最後のターン、《暴走龍 5000GT》が出ないことはグルメ墓地ソースを使い慣れたTIGHTならばすぐに判断できただろう。それ以上に考え込んでいたのは、他にどのような選択肢があったのだろうか。
TIGHT「相手が《天災 デドダム》でマナに送ったカードを見て、《CRYMAX ジャオウガ》に匹敵するカードを抱えていることは予想がつきました。それもあって《》の呪文側を唱えて打点を減らしておくことを考えていたんです。ただ相手のクリーチャーのマナコストが2/3/3/8で、うまくめくれたとしても打点が十分残ってしまうので、最終的に《CRYMAX ジャオウガ》は諦めた形です」
ラストターンに《暴走龍 5000GT》が出せなかった段階で、TIGHTはほぼ詰んでいた。手札が足りなかったことがその根本の原因だったことからして、やはり2ターン目の《巨大設計図》2枚めくりがこのゲームのあまりに大きすぎるターニングポイントだったのだろう。
対し、見事勝利を勝ち取ったむーのデッキの正体は一体何だったのか。
むー「《流星のガイアッシュ・カイザー》《CRYMAX ジャオウガ》《終末の監視者 ジ・ウォッチ》《「祝」の頂 ウェディング》といったフィニッシャーを、対面によって使い分けているんです。墓地ソース相手は《飛ベル津バサ「曲通風」》を出して小型を並べてから、今のように《CRYMAX ジャオウガ》で無理やり突っ込む。光水火鬼羅.Starやアポロヌス・ドラゲリオン系統相手は、『G・ストライク』に加えて《ドンドン水撒くナウ》《ヴィオラの黒像》といった楯で受けて、カウンターで《流星のガイアッシュ・カイザー》→《終末の監視者 ジ・ウォッチ》で蓋をする形を狙います」 むー「《「祝」の頂 ウェディング》はライオネル.Starやギャラクシールドなどの楯が強いデッキに対し、手札破壊などでコントロールしてから《「祝」の頂 ウェディング》を出し、シールドが増えた相手に《CRYMAX ジャオウガ》を出してから《「祝」の頂 ウェディング》で残った3枚のシールドも焼却することで確殺を狙う、といった感じです」
--「調整などはご自身でされたのでしょうか?」
むー「今回のために友達と調整しながら、自分で考えつつ環境を見て作り上げたという感じです」
結局、むーは惜しくも140位で決勝トーナメント進出はかなわなかった。
だがそれでも、独自に調整したデッキで大型大会のメタゲームを泳ぎきれるほどの構築力があることは既に十二分に証明された。今後の活躍に期待したい。
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