デュエル・マスターズ

メニュー
商品情報

超CSⅣ京都 準決勝:すばるな vs. 天馬

ライター:川﨑 大輔
撮影者:堀川 優一


 デュエルをすることと物語を紡ぐことは同じだ。

 だが、ひとつだけ違うことがある。

 物語の結末は決まっているが、デュエルの未来ははじまってみるまでわからない。

 自分の練度と精神状態、そして対戦相手。その二者がランダムな山札に翻弄され、様々な要素が絡み合って、デュエルの未来は不確定で誰にもわからない。

 それでも、席に座るプレイヤーは、自分の勝利という未来を目指して、デッキを選択し、プレイを磨き、それを実践する。できる事をすべてやった上で、後は祈る。試合の始まる前、いや、デュエマと出会ってからの歴史と、そして対戦している最中の高揚感、それによって紡がれる自分だけの物語に魅了され、人々はまた対戦テーブルに着くのだ。

 長かった超CSⅣの準決勝のテーブルに着いたのは、水闇自然手札破壊を使用する天馬と、火自然アポロを使用するすばるな。下馬評では、リソース要求値の高いアポロに対して手札破壊が刺さり機能不全に出来る上に、対処が難しいはずの《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》のメテオバーンが決まった後も《有象夢造》からの《コオニ弁天》というトリガーでの回答が用意されている水闇自然手札破壊の方が僅かに有利と言われているが、火自然アポロ側手札破壊が追い付かないリソースを稼ぐ可能性がある《進化設計図》があるし、なにより相手の体勢が整う前に《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が決まってトリガーさえなければそのまま勝利できてしまう爆発力がある。相性はほぼ五分だと考えても問題はないかもしれない。

 試合前の写真をフィーチャーエリアで撮った後に、天馬とすばるなは席に戻りシャッフルを開始する。

 これは二人の、ふたりだけの物語だ。頭の中で考えただけのストーリーなど参考程度にしかならない。

 二人にどんな未来が待っているのか、見届けよう。

Game 1

 先手は予選ラウンド上位のすばるな。1ターン目から長考の後に《ストリエ雷鬼の巻》をチャージして《ストリエ雷鬼の巻》をプレイ。これをみてすばるなのデッキを理解した天馬は深くため息をつく。対する天馬は《SSS級天災 デッドダムド》をチャージする。

 2ターン目にすばるなは《進化設計図》をプレイすると《轟く侵略 レッドゾーン》《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》、そして《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が2枚というそれだけでコンボ完成という4枚フルセットが手に入る。この内容に天馬は苦い顔をする。

 すでに次のターンに《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が走ってくる未来を理解した天馬は、少しでもその未来を変える可能性を作ろうと《特攻人形ジェニー》をプレイして手札破壊。しかし、ここでランダムに捨てられたのは《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》。これはもう1枚手札にあることも、これでは《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が走ってくる未来が変わらないことも天馬は知っている。

 そして、すばるなの3ターン目。《ストリエ雷鬼の巻》から《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》がスター進化し、そのアタックで《轟く侵略 レッドゾーン》《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が侵略、《轟く侵略 レッドゾーン》のクリーチャーを破壊する効果を待機した状態でまずは《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》のメテオバーンを解決、天馬の5枚のシールドがすべてブレイクされる。

 まだ見ぬシールドに未来を託し、5枚のトリガーすると……そこには2枚の《有象夢造》が。だが、それでも天馬の表情に安堵の色は見えない。最速《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》に対抗するための最低条件を満たしただけなのだ。そして、1枚目の《有象夢造》での2枚ドローからの2枚ディスカードで深いため息の後に墓地に置かれたのは、2枚の《悪魔妖精ベラドンナ》。これでは《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》は止められない。

 続く2枚のまだ見ぬカード、ここでディスカードされたのは《特攻人形ジェニー》と……《コオニ弁天》  4枚のドローを経てたどり着いた回答が、天馬の未来を切り開く。

 まずは、呪文トリガー発動を前に待機されていたすばるなの《轟く侵略 レッドゾーン》の能力が解決され、一番サイズの大きい《コオニ弁天》が破壊される。続いて2枚の《悪魔妖精ベラドンナ》が自身の能力で破壊されると天馬は2マナの加速を選択し、《特攻人形ジェニー》が破壊されすばるなの手札から《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》の2枚目を奪う。

 最後にすでにバトルゾーンに存在しない《コオニ弁天》の能力が解決されると、アタック中の《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》はダイレクト目前にして選ばれる事なく破壊されて墓地に置かれる。こうして互いのバトルゾーンは一度からになる。

 ターンが帰ってきた天馬は《天災 デドダム》をプレイしリソースを稼ぐとさらに《特攻人形ジェニー》ですばるなの最後の1枚の手札をディスカードさせる。これによってすばるなは手札がゼロでマナが3枚のみという状況になってしまう。一撃で天馬の未来を奪おうとしていたすばるなが、今度は緩やかに未来がない状況に追い込まれてしまう。

 返しのすばるなのドローは《エボリューション・エッグ》。なんであれ天馬に最後の一撃を食らわせれば勝利のすばるなは、ここで長考。2マナの《オンソク童子 <ターボ.鬼>》をここでサーチして手札に保持し、次のターンに1マナの進化元か《ジャスミンの地版》を引ければスター進化からのダイレクトアタックは決められる。そこまでのプランを検討しての長考だったと思われるが、しかし、手札にカードを保持したままターンを返した場合、天馬の手札破壊の餌食になりかねない。そうすると、貴重なリソースを失うことになってしまう。

 このゲームは、もしかしたら長く続くかもしれない。だが、そうなってしまったと言う事は、すばるなには未来が無いと言うことだ。残りのゲーム時間と関係なくすばるなに残された時間は限りなく短い、したがって使えるリソースも限りなく少ないのだ。多く見積もって、あと2ターンか、3ターンか。

 結果、すばるなはここで《エボリューション・エッグ》をマナチャージすることを選択する。4マナあれば《ヘルコプ太の心絵》を引いた時に《オンソク童子 <ターボ.鬼>》でも《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》でもそのままダイレクトアタックを決められる。限られたリソースの中で、少しでも未来がある選択肢をすばるなは選んだ。

 しかし、返しのターンに天馬がプレイしたのは、3枚目の《有象夢造》。そしてここでディスカードされた《アクア・ベララー》《悪魔妖精ベラドンナ》と共にバトルゾーンに出ると、《アクア・ベララー》の能力が誘発、すばるなの山札トップを確認する。


 天馬の選択は「そのままで」。


 これはあまりにも残酷な宣告だ。すばるなは天馬が「脅威ではない」とすでに知っている山札をこの次のターンにドローしなければならないのだから。天馬が《悪魔妖精ベラドンナ》をバトルゾーンに残し、《天災 デドダム》を追加した返しのターン、すばるなは《オンソク童子 <ターボ.鬼>》をドローしてチャージする。

 相手の未来まで支配できる天馬相手にすばるなに残された希望は、《アクア・ベララー》で下に送られた危険なカードに続いて、さらに勝ちにつながりそうなカードが山札の上にあることだけ。

 だが、天馬は自分の山札の枚数を確認した上で、今度は《生命と大地と轟破の決断》をプレイ。これによって2枚目の《アクア・ベララー》を着地させ、よりすばるなの山札への支配を強化する。

 一度、すばるなが幻惑の為に1枚積みしている《爆殺!! 覇悪怒楽苦》の判断に悩み山札下に送る場面もあったものの、基本的には《ジャスミンの地版》《進化設計図》といったリソース獲得からの逆転につながりうるカードのみを山札の下に送り、山札上が確定した状態でのみターンを返し続けてすばるなが未来に希望を持つことを許さない。

 《シラズ死鬼の封》《特攻人形ジェニー》を2体さらに並べると、ついにゲームを決める《CRYMAX ジャオウガ》を召喚する。

 ここでも天馬はすばるなに可能性を残さない。《CRYMAX ジャオウガ》で3枚になったシールドを1枚ずつブレイクし、2枚目をブレイクした後で《CRYMAX ジャオウガ》でアタックして最後のシールドをブレイクしつつ、2枚の手札をディスカードさせる。

 すばるなの山札トップが《轟く侵略 レッドゾーン》であることをすでに知っている天馬は、もっともすばるなの未来がない選択肢を確実に取っていったのだった。

すばるな 0-1 天馬

 天馬の使用する水闇自然手札破壊というデッキは、序盤からの手札破壊を《有象夢造》でブーストし、最終的には《アクア・ベララー》によって相手が逆転する未来を完全に刈り取った上で、《CRYMAX ジャオウガ》の破壊力で勝負を決めるデッキである、端的には。

 だが、その実、《若き大長老 アプル》のようなメタクリーチャーで相手の行動を封じたり、《樹界の守護車 アイオン・ユピテル》《SSS級天災 デッドダムド》によって盤面を処理したり、といった相手のデッキへの対応策を使い分ける必要があり、1ターン目のマナチャージからゲームの未来を予測し、的確なプレイングをしていく必要がある繊細なデッキだ。

 そして、正確に未来を予測し、完全に相手に対処したご褒美として、Game 1のような相手の未来を完全に支配する権利が与えられるのだ。

 《天災 デドダム》《有象夢造》によって山札を掘り進めて行き、ターンが進めば進むほど次第に相手への対応策が充実していく。だが、完全にランダムな最初の10枚の段階では、自分が未来を支配できる立場なのかはまだわからない。言い換えれば、ゲームが長ければ長いほど有利になるデッキなのだ。

 しかし、目の前に座るすばるなの使用するデッキは、現環境でも最速でゲームを決めてくる火自然アポロだ。

Game 2


 再び専攻はすばるな。1ターン目に《爆殺!! 覇悪怒楽苦》チャージからの《ストリエ雷鬼の巻》をプレイすると、続くターンには《ジャスミンの地版》をチャージしての《ヘルコプ太の心絵》。ここで《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》を手札に入れてターンエンドする。天馬は《特攻人形ジェニー》をプレイするとディスカードされたのは《ヘルコプ太の心絵》の2枚目。

 運命の3ターン目。まだパーツが揃っていないのかここでは《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》は走りださない。だが、すばるながプレイした呪文を見て天馬はまたもため息をつく。

 そのカードは手札破壊の悪夢と言っていい《進化設計図》。そして、またも《轟く侵略 レッドゾーン》《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》《オンソク童子 <ターボ.鬼>》《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》とコンボが揃った4枚の進化クリーチャーが手札に入る。

 先ほどのゲームはこの展開からも逆転したが、それも2枚の《有象夢造》があってのものだ。シールドの中身が不確定なこの段階では、Game 1と同じ未来が待っているとは限らない。手札破壊すら持たない天馬は《アクア・ベララー》を召喚するのみでターンを返す。あとはシールドを信じるしかない。

 すばるなは《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》を召喚して《アクア・ベララー》とバトルすると、そののちにアタック。先ほど手札に加えた《轟く侵略 レッドゾーン》《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》を侵略すると、Game 1同様《轟く侵略 レッドゾーン》の能力を待機して《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》のメテオバーンで天馬のシールドを全てブレイクする。天馬は、5枚のシールドを確認する。

 そして、毎回同じ未来が待っているわけではない事を理解するのだった。

すばるな 1-1 天馬

 すばるなの使用する火自然アポロは天馬の水闇自然手札破壊と対称的に、ゲームの序盤にすべてのリソースをつぎ込んで勝負を決める俗にいう「オールイン」といわれるタイプのデッキだ。全力の一撃を返された時、可能性はゼロではないが相手より圧倒的に足りないリソースでじり貧の闘いを強いられる、いわば最初の数ターンで自分の未来を確定させてしまうデッキである。

 だが、だからといってすばるなが未来をまったく見ていないわけではない。デッキ選択の理由をすばるなに聞いてみた。

すばるな「今回、島根からデッキを持たないで来てしまったんですけど、友人が環境デッキを一通り持っていたので、それで色々練習して。やった結果、恐らく一番多いのがゼーロベンだと思ったんですけど、そのゼーロベンに結果的に一番勝率が高かったこのデッキを選びました」

 すばるなは、前日にすでに未来を見ていた。

Game 3

 ここで初めて先攻は天馬。《天災 デドダム》2枚と《樹界の守護車 アイオン・ユピテル》2枚という対戦相手によってはかなり有効にリソースを稼げそうな手札だが、この対戦の正念場はあまりにも早い。そしてその早いターンに干渉できる手札破壊は《特攻人形ジェニー》の1枚。初手を見て、またも深いため息をついた天馬は《天災 デドダム》をチャージしてターンを返す。

 ゲームを支配し、相手の未来を支配する水闇自然手札破壊だが、天馬が未来を支配する前に、すばるなが未来を確定させてくる。

 《ヘルコプ太の心絵》のプレイで《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》を手に入れたすばるなに対して、《特攻人形ジェニー》をプレイして《轟く侵略 レッドゾーン》をディスカードさせる。

 だが、ここで三度すばるなは《進化設計図》。3回連続で4枚ヒットとまではいかなかったものの、先ほど失われた《轟く侵略 レッドゾーン》《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》の2枚を手札にいれる。

 ここまでの天馬は毎ターンが、いや、毎瞬が祈りだ。未来が見えるとかそんなことは関係ない。今、この瞬間を生き残るしかないのだ、そしてそのためには祈るしかないのだ。まずはドロー。ここでの祈りはすばるなの可能性を刈り取る手札破壊。祈りは届かず。《コオニ弁天》をプレイし、墓地に送ってターンを返す。

 続く祈りは、すばるなの手札にまだ見えていない《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が無い事。だが、その祈りも、すばるなが《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》に進化し、タップしてアタックを宣言したことで届かなかったことがわかる。《轟く侵略 レッドゾーン》《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》が侵略し、いつものように《轟く侵略 レッドゾーン》を待機したまま《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》のメテオバーン。

 ここが最後の祈りだ。いや、最大の祈りだ。ここまでの祈りはただの延命の祈りだ。ここで《有象夢造》をトリガーすれば、もう、墓地には《コオニ弁天》がいるのだ。そうすれば、Game 1と同じ未来が見られる。

 だが、最後の祈りも届かない。

すばるな 1-2 天馬

Winner:すばるな

 対戦に勝利したすばるなは、決勝戦のテーブルに着く。

 決勝Round 4において、すばるなは#俺フィーチャー枠としてフィーチャー席に呼ばれた。



 このツイートをした時のすばるなに、前日に友人と調整をしていた時のすばるなに、この未来は見えていただろうか。

 思い出どころじゃない、超CSⅣという物語の主人公の座をかけた戦いのテーブルに着くという未来が。

PAGE TOP

TM and © 2024, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY