超CSⅣ京都 Round 1:Sabaki vs. dotto
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影者:堀川 優一
新殿堂の施行により、「JO退化」と「グルメ墓地ソース」はコンセプトごと崩壊。「水タッチ闇スコーラー」と「墓地退化」も、リペアを余儀なくされるほどの打撃を受けた。
それでも、超CSⅣ福岡で優勝した「ボルシャック」や超CSⅣ宮城で優勝した「水闇自然ハンデス」をはじめとして、強力なデッキたちは依然として無傷でまだまだ残っている。
あるいは、旧環境のデッキたちの陰に隠れていた、まだ見ぬギミックのデッキも存在しているかもしれない。
折しも約1ヶ月後の10月頭にはデュエル・マスターズ グランプリ2022が控えており、多くのプレイヤーたちにとって一刻も早い環境の解明が望まれている状況である。
そんな注目の新環境となったオリジナル・フォーマットで開催される超CSⅣ京都に参加するべく、会場であるここ「みやこめっせ」に集った900名弱の参加者たちは、はたしてどのように環境の姿を見据え、どのようなデッキを持ち込んできたのか。
それを窺い知るべく第1回戦のフィーチャーマッチに選ばれたのは、言わずと知れた2017年の日本王者、「魔王」dotto。
さらに対戦相手のSabakiも関西では名の知れた強豪で、2022年8月27日現在でDMPランキング全国52位につけている。
開幕から奇しくも大阪勢同士の対決となった。新環境の大型大会、その滑り出しで、勝って弾みをつけられるのははたしてどちらか。
Game
ジャンケンで先攻となったSabakiが《フェアリー・Re:ライフ》をチャージしたのに対し、後攻のdottoのチャージは《生命と大地と轟破の決断》で互いにデッキを絞らせない立ち上がり。
だが、2ターン目のアクションはSabakiが《百鬼の邪王門》チャージでエンドに対してdottoは《アクア・ベララー》チャージからの《飛ベル津バサ「曲通風」》というもの。「4C邪王門」と「水闇自然ハンデス」という、互いのデッキタイプの名刺交換が早くも完了する。
続くターン、《一王二命三眼槍》チャージのみで動きがないSabakiを尻目に、dottoは《コオニ弁天》チャージから《Disジルコン》で手札を整えて一歩先んじる。
だが返す4ターン目、ここでSabakiもチャージなしからの《豊潤フォージュン》で手札枚数をキープしながらマナを伸ばし、次のターンからはいよいよ「4C邪王門」がその本領を発揮しそうな気配だ。
一方、後攻4ターン目を迎えたdottoのアクションはしかしキーカードの《有象夢造》ではなく、《若き大長老 アプル》チャージからの《特攻人形ジェニー》による手札破壊というもの。しかも落としたのは《百鬼の邪王門》で、その後に残った2マナでそもそもそれを牽制できていたはずの《若き大長老 アプル》が着地と、いまいちかみ合わない流れ。
そしてついに、《豊潤フォージュン》をチャージしたSabakiが5マナをタップする。召喚したのは《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》で、《飛ベル津バサ「曲通風」》によって1枚しか見られないがここはしっかりと自然文明の《豊潤フォージュン》を公開。《飛ベル津バサ「曲通風」》を手札に戻しつつ、「マッハファイター」で《若き大長老 アプル》に攻撃。これはさすがに《Disジルコン》でブロックされるも、盤面の主導権を一気に取り戻す。
dotto「手札は今……4枚ですかね?」
Sabaki「4枚ですね」
返すdottoもここでようやく《若き大長老 アプル》チャージからの《有象夢造》で、《SSS級天災 デッドダムド》を墓地に落としつつ、少考の末に《飛ベル津バサ「曲通風」》と《若き大長老 アプル》を蘇生してターンを終える。
だがここまで1枚しか手札破壊を受けておらず、手札枚数をキープできているSabakiには十分な選択肢がある。
すなわち、ノーチャージから《鬼ヶ大王 ジャオウガ》を召喚して「シールドを加えません」と明確に宣言すると、続けて前のターンから残っていた《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》でプレイヤーへと攻撃し、「革命チェンジ」を宣言する。 チェンジ先は、《》!呪文を封じながらのW・ブレイクが走り、2枚のシールドが「G・ストライク」の宣言もなくそのままdottoの手札に加わる。さらに続けて《鬼ヶ大王 ジャオウガ》がW・ブレイクし、dottoの残るシールドはあっという間に残り1枚。
dotto「手札が今4?」
Sabaki「うん、4枚」
追い詰められた形のdottoのターン。マナには《生命と大地と轟破の決断》はあるが呪文は封じられている。《絶望と反魂と滅殺の決断》をチャージし、《天災 デドダム》を召喚して解決策を求めるが残りは4マナ。
それでも、ここでdottoは《悪魔妖精ベラドンナ》を召喚して手札破壊を選択し、Sabakiの手札から決定打になりかねなかった《鬼ヶ大王 ジャオウガ》を抜き去ることに成功すると、さらに続けて《堕魔 ドゥポイズ》を召喚して自陣の《若き大長老 アプル》とともに破壊し、Sabakiのバトルゾーンを《》のみとする。
これであとは、「スピードアタッカー」さえ来なければ。あと1ターン、たった1ターンが返ってくれば。
だがdottoのそんな儚い祈りも空しく、度重なるノーチャージで手札に必要札を抱え込んでいたSabakiは、この最終局面における解答札をしっかりと突きつける。 すなわち、《一王二命三眼槍》!
dottoの最後のシールドがブレイクされる。それでも「G・ストライク」があればというところだったが、《若き大長老 アプル》も《飛ベル津バサ「曲通風」》も公開領域に見えすぎている。
……やがて最後の楯を確認したdottoが、諦めたようにそれを手札に加えた。
それを見たSabakiが《》に手をかける。
Sabaki「ダイレクト」
dotto「ありがとうございました」
Winner: Sabaki
Sabaki「《虹速 ザ・ヴェルデ》来んかったね。出されたらきつかった」
dotto「そうですね~。《天災 デドダム》もプレイできてなかったんで、詰められるときつかったです」
Sabaki「あれ以上時間かけてたら負けると思ってたからね」
dotto「次7マナ使えましたからね」
超CSⅣ宮城で優勝した《CRYMAX ジャオウガ》入りの形が普及したことで、「水闇自然ハンデス」というデッキタイプは《アクア・ベララー》によるロックだけでなく、盤面にメタクリーチャー数体だけの状況から一気にシールドを詰められるプランをも獲得した。
メタクリーチャーばかりを固め引いてしまったdottoの不運もあったが、《CRYMAX ジャオウガ》を見越して「G・ストライク」が多数搭載されていようとも構わず、多少無理矢理でもジャスキルを組んで最適な攻め時を見逃さなかったSabakiのデュエマセンスもさすがと言うべきだろう。
そんな2人は、新環境をどのように理解し、今回のデッキ選択に至ったのか。
dotto「環境デッキの中で一番取れる範囲が広いデッキということで選択しました。純粋に一番強いデッキ……の中の一つ、という認識ですね。Tier 1が『火単』『水闇自然ハンデス』『ゼーロベン』『4C邪王門』の4つ。環境で目立ってるのは『火単』と『水闇自然ハンデス』と『ゼーロベン』ですけど、自分は『4C邪王門』を個人的に評価しています。Tier 2が『アポロ』『5C』『鬼羅.Star』『水魔導具』『火闇邪王門』など、ざっくり10個くらい。『水闇自然ハンデス』はここまで挙げたデッキに対しても一番広く勝てるし、その下のTier 3以下のデッキにもちゃんと戦えるデッキという印象です」
--「『水闇自然ハンデス』というデッキは、『4C邪王門』との相性はどうなんでしょうか?」
dotto「力量もある程度試されるマッチアップではありますが、『水闇自然ハンデス』の方が一般的に有利だと思います。ただ自分も今回『水闇自然ハンデス』と『4C邪王門』でデッキ選択を悩んだ経緯もあって、結局『水闇自然ハンデス』に勝つのが結構しんどくて『4C邪王門』を選ばなかったわけですが、『4C邪王門』側も全く勝てないというわけでもないですね」
--「Sabakiさんの方は、どういった理由で『4C邪王門』を選択されたんでしょうか?」
Sabaki「いろいろ調整をやっていて、『ゼーロベン』『火単』『水闇自然ハンデス』が個人的にTier 1だと思いました。『4C邪王門』は『ゼーロベン』と『火単』にいい勝負ができて、『水闇自然ハンデス』には不利だけど、『4C邪王門』とちゃんと練習してる人はそんなにいなさそうだなと思って。やってない人相手ならいけそうだなというのと、それなら『ゼーロベン』が一番多そうだと思ったので、『4C邪王門』を選択した形です」
予選ラウンドは8回戦。1敗ならば、まだまだ決勝ラウンド進出の可能性は十分に残されている。
超CSⅣ京都、そして新環境のデュエマは、まだまだ始まったばかりだ。
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