超CSⅣ静岡 Round 3:ヨコタクvs. ポンド
ライター:清水 勇貴
撮影者:瀬尾 亜沙子
フィーチャーの場に現れたのは今回の超CS開催地となる静岡県ランキング2位の強豪・ヨコタク。2018年度に開催された静岡CSのプレイマットを堂々携えての登場だ。
一方で、対峙するポンドもここまで2戦を着実に勝ち抜いてきた実力の持ち主。プレイマットを使用せず、己が身とデッキのみを持って着席する。
お互いにデッキをシャッフルし、万全の状態で向かい合う2人。いざ、勝負の時だ。
先攻:ヨコタク
先攻のヨコタクは手札をじっくりと確認。お互いのデッキが分かっていない先攻初手のマナ置きは、デュエル・マスターズにおいて最も悩ましいポイントだ。
よく吟味した末に、ヨコタクは《∞龍 ゲンムエンペラー》をマナチャージする。
それを受けたポンドは、流れるように《ボルシャック・決闘・ドラゴン》をマナに置いてターンエンド。
【火自然ボルシャック】。昨年の20thクロニクルデッキ、「決闘!! ボルシャック・デュエル」の登場で成立したデッキタイプだ。
しばらくはメタゲームの波に飲まれて影をひそめていたが、直近のオリジナル環境で再び活躍の機会が増加。
爆発的なマナブーストと《ボルシャック・ドラゴン / 決闘者・チャージャー》の呪文側のリソース力で対応力が高く、【水魔導具】や小型メタクリーチャーに対しても《ボルシャック・スーパーヒーロー / 超英雄タイム》の呪文側のカード除去を自然に取り込める。
今大会でも台風の目となっている【ガイアハザード退化】の《自然の四君子 ガイアハザード》のロックに対してもマナ加速力で真っ向から対抗できるデッキとして、密かに注目を集めているデッキだ。
1ターン目の段階では判別し切れなかったヨコタクのデッキだったが、来たる2ターン目に明らかとなる。
《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》をチャージ、そのまま《アストラルの海幻》をプレイしての《竜魔神王バルカディア・NEX》をディスカード。
これらのカードを操るデッキといえばそう、【光水闇墓地退化】だ。
墓地退化ギミックを活用したデッキの中でも防御力とコンボ速度を両立している点が最大の強みだ。
大量の手札入れ替えと追加された退化パーツによって4ターンでのコンボ成功率をある程度確保したうえで、《終末の時計 ザ・クロック》や《奇石 オリオン》、《影世界のシクミ》といったS・トリガーを取り込むことに成功している。
《白騎士の精霊HEAVEN・キッド》という優秀なカード除去を無理なく取り込める点も【火自然ボルシャック】の≪超英雄タイム≫と近しい強みとして機能している。
そんなヨコタクの立ち上がりを見たポンドは、《ボルシャック・NEX / スーパー・スパーク》をマナへとタップイン。どうやらドラゴンデッキ特有の「理不尽」である、2ターン目《メンデルスゾーン》初動とはいかなかったようだ。
しかし、結果としてこの1ターンのラグが致命的な差となる。
3ターン目を迎えるや否や、ヨコタクが素早い手つきで繰り出したのは《鬼面妖蟲ワーム・ゴワルスキー》!
【火自然ボルシャック】が3マナ以下で繰り出せる除去は≪超英雄タイム≫というカード除去のみ。
その腹に《竜魔神王バルカディア・NEX》を抱えた《鬼面妖蟲ワーム・ゴワルスキー》に打ち込んだところで、墓地退化コンボの手助けにしかならない。
ポンドは追いすがるように《ボルシャック・栄光・ルピア》をプレイ。2マナを加速してヨコタクへとターンを渡す……が、その顔は苦い。
もはや予定調和というべきか。3マナのタップとともに、満を持してヨコタクの手札から公開されたのは、《龍脈術 落城の計》。《鬼面妖蟲ワーム・ゴワルスキー》が手札に還り、最悪の竜魔神王がバトルゾーンに残される。
攻撃時に《ボルシャック・栄光・ルピア》を破壊し、《禁断竜王 Vol-Val-8》を山札から踏み倒し。ジャストダイバーによって不可視となったスピードアタッカーは、もはや止まらない。
《竜魔神王バルカディア・NEX》のワールド・ブレイカーが素通りしたのを確認し、畳み掛けるように《禁断竜王 Vol-Val-8》でのダイレクトアタックを仕掛けるヨコタク。
ポンドは一縷の望みを2体の《ボルシャック・ドギラゴン》に懸けるが……、山札の一番上は《ボルシャック・モモキングNEX》。1体たりとも《ボルシャック・ドギラゴン》は降り立たず、ポンドは自らの敗北を宣言した。
Winner:ヨコタク
ヨコタク「最近はオリジナル・アドバンスどっちでもずっと使っていて慣れていた、っていうのもありますが……今のオリジナルってメタが読めないじゃないですか。そうなると地力の高いデッキが良くて、多少事故のリスクがあっても、最速でコンボを決めればほとんどのデッキが受け切れない【光水闇墓地退化】を選びました」
試合後のインタビュー、デッキ選択理由を尋ねた筆者にハキハキと答えてくれたヨコタク。明瞭に言語化された選択の過程から、彼の自信のほどが窺える。また、競技イベントに慣れたヨコタクならではの視点も聞けた。
ヨコタク「ハンデス系のデッキが明確に苦手なんですけど、長丁場の大型イベントだと線が細いこの手のデッキは選びづらいです。おそらくハンデスは多くないだろうな、という予想も【光水闇墓地退化】を持ち込む理由のひとつでしたね」
一方のポンドもデッキ選択までの過程はそう遠くないものだった。
ポンド「マナさえ伸ばせばメタクリーチャー系のデッキとも戦えるし、《メンデルスゾーン》から《王来英雄 モモキングRX》に繋いで《ボルシャック・モモキングNEX》のめくれ方次第でそのまま押し切れる爆発力もあって、デッキが太いのが魅力だと思って持ち込みました。」
4ターン〜5ターンでの爆発力と環境上位のデッキへの対応力という面で、近しい強みを持っている両者のデッキ。実際のところこのゲームも1ターンの差が明暗を分けており、先手後手が入れ替わっていれば、結果が変わった可能性も十分にあっただろう。
ポンド「最後の《ボルシャック・ドギラゴン》も《ボルシャック・決闘・ドラゴン》がめくれていれば可能性があったかもしれないんで、諦めてなかったんですけど……こればっかりは仕方ないですね」
たった1ターン、たった1枚の差だが、確かにこの勝負を制して勝ち上がったヨコタク。決勝トーナメントまで、あと5戦だ。
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