超CSV大阪 Round 8:ムッシェル vs. dotto
ライター:伊藤 敦(まつがん)
撮影者:出端 敏夫
予選ラウンドもついに最終戦となった。ここまでで6勝1敗、勝てば決勝ラウンド進出は当確だが負ければ上位128名に残れるかわからなくなるという依然気を抜けないラインで、デュエチューブ企画「UDB」のアルティメイターとしても出演している強豪プレイヤーがフィーチャーマッチエリアに呼ばれることとなった。
全国大会2017の王者にしてDMGP7th4位などの実績を持つ、言わずと知れた「魔王」dottoだ。
一方、対戦相手のムッシェルははるばる九州は長崎からの遠征勢で、DMPランキング上でのポイントは7月29日現在で長崎10位とはいえ744ptsとCS開催数もありそこまで多くはないが、ここまで勝ち上がるのはプレイヤーかデッキか、はたまたその両方かに実力が備わっていなければできないことだ。番狂わせに期待したい。 勝者の頂点までの長い道のり。その最中で一歩先んじるのは、「魔王」か新鋭か。
Game
じゃんけんで先攻となったdottoが《》をマナチャージし、「サガループ」であることを隠そうともしないのに対して、ムッシェルも最初のマナチャージで己がデッキタイプを惜しげもなく開陳する。 《「勝利」の頂カイザー「刃鬼」》。すなわち前週に発売されたばかりの「大感謝祭 ビクトリーBEST」で大幅な強化を受けた新型の「刃鬼」だ。 だが、どちらかといえばマナランプに属する「刃鬼」の弱点は高速コンボであり、「サガループ」はその筆頭格だ。そしてその「サガループ」を駆るdottoは《冥界の不死帝 ブルース /「迷いはない。俺の成すことは決まった」》チャージからの《》で《飛翔龍 5000VT》を捨ててターンエンド。対戦相手からしてみればここからでも3ターンキルが発生しうるのが「サガループ」の恐ろしいところだが、ひとまずできることがないムッシェルは《「必然」の頂 リュウセイ / 「オレの勝利だオフコース!」》チャージのみでターンを返すしかない。
はたして3ターン目。dottoのアクションは……《龍素記号wD サイクルペディア》を横向きにマナチャージ。ひとまず3キルはない。それでも、残る2マナをタップして明朗に宣言をする。 dotto「《》打ちます」
ここでムッシェルが公開した手札は《ボルシャック・栄光・ルピア》《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》《ボルシャック・スーパーヒーロー / 超英雄タイム》《流星のガイアッシュ・カイザー》《超神龍バイラス・カースド》という内容で、何を抜いても確定でマナ加速されてしまう手札。ここからdottoは《ボルシャック・栄光・ルピア》を墓地に落とし、「《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》?いいから唱えてみなよ」と言わんばかりだ。 返すムッシェルは《超神龍バイラス・カースド》をチャージし、注文通りの《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》で加速しながらdottoの墓地をリセットする。
ターンが返ってきたdottoは《蝕王の晩餐》チャージから《》。《蒼狼の大王 イザナギテラス》を落とし、依然コンボの可能性がある状況でプレッシャーをかける。 だがムッシェルも《百族の長 プチョヘンザ》チャージから2枚目の《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》!
2度も墓地リセットを受ければ、いかに「サガループ」といえど立て直しは容易ではない……そのはずだった。
dotto「ハンド2枚ですよね?」
ムッシェル「2枚です」
その2枚は《流星のガイアッシュ・カイザー》と《ボルシャック・スーパーヒーロー / 超英雄タイム》であることが公開情報で割れている。それを頭の中で確認したdottoは、チャージなしでみたび《》!《蒼狼の大王 イザナギテラス》が捨てられ、首を傾げるムッシェルだが、《闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー / お清めシャラップ》で山札に混ぜられている以上、引き直されるのはある程度仕方がない。
やむなくムッシェルは返すターン、《ボルシャック・スーパーヒーロー / 超英雄タイム》チャージから「揃っているならしょうがない」と言わんばかりの《流星のガイアッシュ・カイザー》召喚で、下駄を預ける格好となる。
そして。
dottoは。
3マナを手に取り。 《絶望神サガ》を出し、《絶望神サガ》を捨ててループを開始する。
……そこからの記憶は朧げだが、dottoが時間いっぱい使ってループ証明をとても丁寧に行い、最終的には《機術士ディール / 「本日のラッキーナンバー!」》を0から∞まで宣言した上で大量にクリーチャーを並べて《勝熱と弾丸と自由の決断》で即時攻撃可能にして殴りこんだことと、その最中で以下のように宣言していたことだけは、砂漠で見つけたオアシスのごとく鮮明に印象に残っている。
dotto「《龍素記号wD サイクルペディア》の効果を、9999不可思議までストックしたいと思います」
Winner: dotto
ムッシェル「墓地2回リセットしたけど決められちゃったんで……強すぎましたね」
負けはしたものの、「刃鬼」で6勝2敗という誇るべき成績を残したムッシェルに、デッキ選択の理由を聞いてみた。
ムッシェル「のんねむさんの構築が面白くて、勢いでいけそうだなと思って使ってみました」
--「今日一日使っていて、印象に残ったシーンなどはありましたか?」 ムッシェル「水魔導具相手に《勝利宣言 鬼丸「覇」》だけで勝てて、こういうのがあるのが刃鬼の良いところだなと思いました」
一方、見事7勝1敗で予選ラウンドを駆け抜けたdotto。「大感謝祭 ビクトリーBEST」からも、しっかりと新戦力を投入していた。 dotto「《飛翔龍 5000VT》は水闇自然系とか火闇テレスコ、あとは火光水《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》などのクリーチャーをたくさん並べるデッキに対して、引くだけで結構勝てるので、意識して1枚だけ差してます」 dotto「《情熱の薔薇 メーテル / 神にも届く歌声》は楯落ちケア兼《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》受けで、3ターン目に撃っても墓地2枚の状態が作れるので勝ちの目が作りやすいのが良いですね」
なお、この後スタンディングが発表され、両者ともに上位128位に入賞することとなった。新カードをうまく生かして好成績を残した2人の健闘に拍手を送りたい。
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