ライター：山口 海斗(ジャイロ)
撮影者：瀬尾 亜沙子

　2024年1月、突如【水闇COMPLEX】というデッキが頭角を現す。《アーテル・ゴルギーニ》や《忍蛇の聖沌 c0br4》で時間を稼ぎ、それらを《同期の妖精 / ド浮きの動悸》で守る。その先に待ち構えているのは《DARK MATERIAL COMPLEX》による一撃必殺という守備の硬いカウンターデッキだ。

　【水闇COMPLEX】を突破することは簡単ではない。だからこそ、乱掘ピエールが【水自然ジャイアント】で華麗に捌ききった姿に感動した。直前のRound3では【水闇COMPLEX】の攻撃の要である《DARK MATERIAL COMPLEX》を《竹刀の超人 / サイバー免許皆伝》の下面で止め続け、≪同期の妖精≫を《超球の超人 / 父なるタッチダウン》のクリーチャー面でバトルして破壊、自身の能力で≪ド浮きの動悸≫を唱えさせない。最後は《超重竜 ゴルファンタジスタ》がブロッカーである《アーテル・ゴルギーニ》や《忍蛇の聖沌 c0br4》を潜り抜けてダイレクトアタックという、ジャイアント達を見事に使いこなして勝利を収めたのだ。

　認識が甘かった。ジャイアントはちゃんと強いデッキだ。そんな【水自然ジャイアント】の行方をお伝えしたいと思う。乱掘ピエールの対戦相手はあすたろあ。使用デッキは不明だがここまで無敗というのは同じだ。両名の握手によってゲームは始まる。

先攻：乱掘ピエール

　あすたろあの《レレディ・バ・グーバ / ツインパクト・マップ》の下面によって《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》が回収される。使用デッキは【フィオナアカシック】のようだ。《完全水中要塞 アカシック3》によって呪文を踏み倒し、最速4ターン目にはループによって勝ち切れるという現環境を代表するループデッキである。

　あすたろあの一連の動きに顔を曇らせる乱掘ピエール。バトルゾーンのやり取りを得意とする【水自然ジャイアント】にとって、得意な相手とは言い難い。とはいえ、決して勝てない相手ではないというのが【水自然ジャイアント】の強さだ。直前の対戦で活躍した≪超球の超人≫の「相手はコスト５以下の、クリーチャーではないカードを使えない。」という能力は【フィオナアカシック】にとって致命傷になる。 　1ターンでも早く≪超球の超人≫を召喚するため、乱掘ピエールは≪同期の妖精≫を召喚してターンを終えた。

　【フィオナアカシック】にとって≪同期の妖精≫の能力そのものは警戒対象ではない。しかしあすたろあは何か危険を感じ取ったのか、自身の動きを優先させず、《ドアノッカ＝ノアドッカ / 「…開けるか？」》の下面で≪同期の妖精≫を破壊してターンを渡す。

　あすたろあのこの判断が、乱掘ピエールにとって厳しい戦いを強いる。このターン≪同期の妖精≫から革命チェンジするはずだった《チアスペース アカネ》をマナゾーンに埋めると、再び≪同期の妖精≫を召喚するのみでターンを終えた。

　【フィオナアカシック】にとって、3ターン目にマナ加速をできるかが第一関門。あすたろあが唱えたのは《黒豆だんしゃく / 白米男しゃく》の下面であり、第一関門クリアにみえたが《レレディ・バ・グーバ / ツインパクト・マップ》を回収してターンを終えた。最速のループプランを諦める形ではあるが、キーカードである《完全水中要塞 アカシック3》が見えていない状況で手札を減らすべきではないとの判断だ。 　その隙を乱掘ピエールは逃さない。最速のループは無い、つまり次のターンに負けないのであれば、このターンは攻撃しても大丈夫だ。生き残った≪同期の妖精≫を《チアスペース アカネ》に革命チェンジさせると、自身の手札・マナゾーンを広げに行く。≪超球の超人≫の召喚というカップインを目指して！

　《チアスペース アカネ》のブレイクしたシールドに手をかけたあすたろあは、しばらく考えたのちにシールドにあったカードを表向きにした。 ≪ナウ・オア・ネバー≫！！
　《竹馬の超人 / テイクバック・チャージャー》のクリーチャー面を出して手札に戻す。その効果で山札からマナゾーンに入る2枚のカードに………《完全水中要塞 アカシック3》はいた。 　《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》と《森夢龍 フィオナ・フォレスト》を手札に揃えていたあすたろあは、《完全水中要塞 アカシック3》をマナゾーンから展開する。0コストとなった呪文を連打し、《魔刻の斬将オルゼキア / 訪れる魔の時刻》を山札から探しに行く。2枚揃ったタイミングで《魔刻の斬将オルゼキア / 訪れる魔の時刻》で《魔刻の斬将オルゼキア / 訪れる魔の時刻》を回収するというループを証明し、《ラルド・ワースピーダ/H.D.2.》によって乱掘ピエールの山札を全てマナゾーンに叩きこんだ。

Winner：あすたろあ

乱掘ピエール「さすがに（攻撃するのは）迂闊だったかな～。≪超球の超人≫さえ出せてたら…。でも、面白い試合だったからヨシ！」
あすたろあ「≪超球の超人≫あるんですか。出ていたら超えられないですね、トリガーあって良かった。」

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　冒頭で【水闇COMPLEX】に対するアプローチを述べたが、もう一つ明確なアプローチがある。それが、あすたろあの【フィオナアカシック】のように盤面勝負に”そもそも付き合わない”ループデッキを使用する、といったものだ。お互いに【水闇COMPLEX】を警戒してのデッキ選択。勝敗を分けたのは1枚のシールドトリガーという、実にデュエルマスターズらしい結果となった。2人の超CSはまだまだ続く。