超CSⅦ横浜 決勝Round 4:3面三十路眼鏡 vs. GP2冠
ライター:河野 真成(神結)
撮影者:瀬尾 亜沙子
徐々に徐々に本戦エリアからプレイヤーが去っていき、残るは16チーム。
その中から、DMGP2024準優勝であるtakiのチームと、GP2冠王者デデンネこと清(きよ)が率いるチームの対戦を見ていこう。
それぞれのチームメンバーとデッキ、組み合わせは以下の通り。 A席:リルク(火光水ゴスペル) vs. ぎしぱん(火光水ゴスペル)
B席:taki(火光水ゴスペル) vs. 清(きよ)(水闇自然DOOM)
C席:かつん(水闇COMPLEX) vs. 紫宮るな(火光水ゴスペル) 注目はやはりB席。takiと清(きよ)、チームを勝利に導くのはどちらのエースだろうか。
A席:リルク vs. ぎしぱん
A席はゴスペルミラー。GP2冠が予選全勝のため、ぎしぱんは順位先攻。 ゲームは開始直後から、チームメイトの力を借りながらゲームを進めるぎしぱんと一人と着々と進めているリルクという対照的な展開に。
互いに2コスルーター(手札入れ替え)呪文を唱えた後、3ターン目にぎしぱんは《T・T・T》を、リルクは《氷柱と炎弧の決断》を唱えて終了。
ぎしぱん「墓地何枚ですか?」
リルク「5枚。《龍素記号Xf クローチェ・フオーコ》出しな?」
互いに知り合いなこともあって、こんな軽口も飛ぶが、ぎしぱんの状況はあまり嬉しいものではない。
自分の墓地まで返す《龍素記号Xf クローチェ・フオーコ》がゴスペルに入っているかはともかく、墓地が3枚のぎしぱんはこのターン中に走れる手札はなかった。
ここは《氷柱と炎弧の決断》を唱えて、その後《ロスト・ウォーターゲイト》でデッキを確認してターンを終了する。
そもそも現在のゴスペルの主流は2コストのルーター呪文の枚数を削ってトリガーを増やすことであり、遮二無二に4ターンゴスペルを目指す、といった構築にはなっていない。
だがそこはなんというか、三十路ならではの年の功と言うべきなのか。 リルク「オレが何年《キリモミ・ヤマアラシ》撃ってきたと思ってる?」 長らく《不夜城艦 クランヴィア》を使ってきたリルクにとって、《キリモミ・ヤマアラシ》は親友であり、故郷の味。当然引き込んでいた。
こうして4ターン目に《キリモミ・ヤマアラシ》を絡めて《水晶の王 ゴスペル》を召喚。
ただ《ファイナル・ストップ》や≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫といったカードはなく、一旦ここは《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》でターンを取る。 ぎしぱんは楯を絞るようにして見るが、トリガーは《バッドドッグ・マニアクス》のみ。
追加ターンでリルクはドローを回すと、再びの《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》。ここにもトリガーはなし。
これでほぼ勝敗は決したかに思えたが、リルクの手札は非常に怪しかった。
というのもここまで来て、まだ呪文を止めるカードを引けていないのだ。
二度目の追加ターン、リルクは一旦《キリモミ・ヤマアラシ》から追加の《水晶の王 ゴスペル》を射出する。
ここで《ファイナル・ストップ》でも≪音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ≫でも、なんならこの状況であれば《時の法皇 ミラダンテⅫ》でも、更に言えば《ロスト・ウォーターゲイト》でも勝ちだったのだが、まだ姿を見せない。
結局、再び《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》で攻撃を選択せざるを得なくなった。
もちろんこのまま何も踏まずに済めば「危なかった~~~」で済む話なのだが、悪い時には悪いことが重なるもの。
ぎしぱんの最後のシールドは、《氷柱と炎弧の決断》。 これによって、《水晶の王 ゴスペル》は動けなくなる。
続くターンは、チャージして7マナ。マナに1枚《水晶の王 ゴスペル》がいるため、《セイレーン・コンチェルト》か或いは4枚目の《水晶の王 ゴスペル》ならば勝ち。3マナ以内に《ファイナル・ストップ》を引ければそれでも勝ちだったが……。
ぎしぱん「引いた?」
リルク「引けてたらとっくに出してるよ~!」
このターン、山札を残り5枚まで引いたものの回答は見えず、なんとターンエンド。 ……流石にこうなれば、ターンを貰った《水晶の王 ゴスペル》が負けるわけもなく。
リルク「いや、マジか」
思わぬ落とし穴というべきか、よもやの展開でGP2冠がまず1勝目となった。
WINNER:ぎしぱん
3面三十路眼鏡 0-1 GP2冠
B席:taki vs. 清(きよ)
清(きよ)「デュエプレグランプリのシャツ着てきたかったんですけど、さすがに熱くて……」デデンネ改め、清(きよ)。デュエマとデュエプレのGPを制した、史上唯一の男である。
実は最初メンバー一覧を見たときは「GP2冠」の意味がよくわからなかったのだが、清(きよ)の顔を見た時に納得した。
試合は前述の通り、予選全勝のGP2冠が先攻。
時に奇抜なデッキを持ち込むことも厭わない清(きよ)だが、初手のマナチャージが《天災 デドダム》と、今日の環境でいえばやや珍しいもの。 そのまま2ターン目に《キャディ・ビートル》を召喚する。
takiはまずは墓地に呪文を溜めるべく、2マナのルーター呪文でスタート。
3ターン目、清(きよ)《天災 デドダム》を召喚してそのまま≪堕牛の一撃≫で割って2ドロー。更に続くターンには《ハニー=マーガニー / 「こっちは甘いぞー」》を唱えて、こちらも墓地にクリーチャーを溜めていく。
4ターン目、ここで走れなかったtakiは《氷柱と炎弧の決断》で2回ドローを選択し、ターンを終了。これはもう、受けて返すという姿勢だ。
清(きよ)は闇1マナを残して、まずは《アーテル・ゴルギーニ》をプレイ。墓地を8枚肥やし、そして残した1マナで《超神星DOOM・ドラゲリオン》が着地。 そしてそのまま攻撃に向かうと、効果で《アーテル・ゴルギーニ》を蘇生。その《アーテル・ゴルギーニ》から《キャディ・ビートル》の2体目を用意しT・ブレイクを宣言する。
が、3枚のシールドを確認したtakiは「お」と言いたげな表情。そしてそのまま、トリガーを宣言。 それも《ブルー・インパルス / 「真実を見極めよ、ジョニー!」》が2枚に、《バーニング・フィンガー》まで付いてくるというもの。これには清(きよ)も思わず「え、業者じゃん!」と謎のコメント。
《アーテル・ゴルギーニ》の除去置き換えも絡むので処理は少し煩雑になったが、結果として清(きよ)を守っていた2体の《キャディ・ビートル》は消えた。 返しにtakiは、まず《キリモミ・ヤマアラシ》から《水晶の王 ゴスペル》を射出し、《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》で追加ターンを獲得。清(きよ)はここに《流星のガイアッシュ・カイザー》を宣言するが、これを《T・T・T》でタップさせて踏むことで処理。
ここまでされると流石の清(きよ)としてやりようがなく、以降ターンを渡すことなくtakiが勝利を収めた。
WINNER:taki
3面三十路眼鏡 1-1 GP2冠
C席:かつん vs. 紫宮るな
C席は今大会で幾度も行われている【水闇COMPLEX】と【ゴスペル】の一戦となった。一般にゴスペル有利の相性と言われており、それは恐らく間違いないだろうが、そう簡単なものではない。本戦でここまで見てきた試合の多くが、死闘とも言えるような内容だった。 ゲームは序盤、かつんがクリーチャーを展開していく。《同期の妖精 / ド浮きの動悸》のクリーチャー側、《奇天烈 シャッフ》といったカードをプレイし、ターンを終了。
対して紫宮るなも《水晶の王 ゴスペル》の着地を目指し、呪文を墓地へと溜め込んでいく。
かつんはここに《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》のクリーチャー側を添え、≪同期の妖精≫に《奇天烈 シャッフ》と合わせて早々突破を許さない構え。
単体の小型クリーチャーであれば、ゴスペルには《バッドドッグ・マニアクス》や《勇愛の天秤》といった小型除去があるものの、≪同期の妖精≫がくっついていると除去が2枚要求となり、かなり厄介である。
とはいえ≪同期の妖精≫を除去しないことには《奇天烈 シャッフ》などへの対応は叶わず、《氷柱と炎弧の決断》も吸われてしまうため、とにかく除去を絶やさないことが求められていた。
そのため紫宮るなも一旦デッキを回すべく《ロスト・ウォーターゲイト》から《氷柱と炎弧の決断》をサーチ。手札の濃度を上げていく。
元より短期的な決着ではなく、《水晶の王 ゴスペル》をリソースカードとしても使い、相手に《水晶の王 ゴスペル》への対処要求を押し付けつつ、自分は除去札を回していく……といった狙いだろう。
こうしてしばらくは盤面の取り合いのゲームとなる。紫宮るなは除去を飛ばしつつ《水晶の王 ゴスペル》を着地させる。 対してかつんもそちらがゴスペルで呪文を使い回すならと、こちらも《アーテル・ゴルギーニ》を召喚。≪同期の妖精≫や≪ボン・キゴマイム≫を使い回し、主導権を渡さない。
《奇天烈 シャッフ》が「9」を宣言しているため盤面のゴスペルは動けず、これを対処しようとすると≪同期の妖精≫に触る必要がある。≪同期の妖精≫に触れてくれれば≪ド浮きの動悸≫によってゴスペルを戻すことも出来るし、或いは手札次第はスルーすることも出来る、というわけだ。 最終的に《アーテル・ゴルギーニ》2体に、≪同期の妖精≫、≪ボン・キゴマイム≫が2体に《奇天烈 シャッフ》という盤面を作り上げ、ターンを返した。
ゴスペルが走れない、本当にギリギリのラインである。この試合、かつんはずっと薄氷の上を歩いているようなものだった。 盤面を同時に処理したい紫宮るなはここに対してまずは《水晶の王 ゴスペル》を送り込み、更に2マナで《勇愛の天秤》で≪同期の妖精≫を対処。
次のターンのリーサル(決着)を狙っていたかつんは、ここで≪ド浮きの動悸≫を発動し、ブロッカーでもある《水晶の王 ゴスペル》をバウンス。
それを受けて紫宮るなは《セイレーン・コンチェルト》を使い《バッドドッグ・マニアクス》をマナから拾うと、即座にそれを撃って《奇天烈 シャッフ》を処理に成功する。ここで、ターンを終了。
ゴスペルのリソース量とは張り合っても勝てないため、決着は急ぎたいかつん。
返しのターンに《電脳の女王 アリス / 不埒な再侵入》を召喚し、そのまま≪同期の妖精≫へと繋げる。
そしてtakiと最後の相談を交わすと、ゲームを決める攻撃を開始。
既に《奇天烈 シャッフ》が動いたこともあり、楯の枚数は削れている。
《B.F.F. モーメント》は《アーテル・ゴルギーニ》が、《氷柱と炎弧の決断》は≪同期の妖精≫が守ってくれている。
≪ボン・キゴマイム≫が、そして《アーテル・ゴルギーニ》が攻撃を開始。 かつん自身が「相手が上手くて、とにかく死なないことに必死だった。それしか覚えてない」と語るほどの激闘。
最後に笑ったのは、かつんだった。
WINNER:かつん
3面三十路眼鏡 2-1 GP2冠
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