超CSⅧ大阪 プレイヤーインタビュー:時雨みぐれ選手
ライター:河野 真成(神結)
撮影:瀬尾 亜沙子
前期ランキングも残り約1ヶ月となり、佳境を迎えている。2024年前期のボーダーがちょうど22000ptsだったが、現在のボーダーが20000ptsであることを考えると、最終的には23000pts~24000ptsくらいになるだろうか。いずれにせよ、今期もボーダーは昨年より上がりそうな気配がある。
そんなDMPランキングだが、上位を見ていくと、kaisora、はるる、カイザ/はっちCS、のすけといったいわゆる「ランキング常連」組が並んでいる。
一方で、新顔とも言えるプレイヤーも活躍しており、その代表と言えるのが現在2位(8/23時点)でトップを争う時雨みぐれだろう。
元々トップ100の常連ではあった時雨みぐれだが、今期大きく数字を伸ばしており、予想ボーダーを遙かに上回る29000ptsを獲得しており、全国大会はほぼ内定と言えるだろうか。
そんな彼の今期の活躍の背景にはどういったものがあったのだろうか。
超CSⅧ大阪ではオポーネントで惜しくも予選突破には届かなかったが、予選直後にインタビューに協力してもらった。
キッカケは超CSから
――本日はよろしくお願いします。まず時雨みぐれさんのデュエマ経歴について教えていただけますか?時雨みぐれ「最初に始めたのは小学生の低学年くらいで、その時にベリーレアの《エイリアン・ファーザー》を持っていて、その後カツキングとかで遊んでいて……。(少し空いて)中学生になってジョーカーズが出たくらいの時には【ドロマーハンデス】とかで遊んでいました。その後デュエマは辞めてしばらく空くんですが、また始めたのが高校3年生のときですね。【5cザーディクリカ】を使っていました。そこからは、ずっと今まで続けています」
――ランキングページを確認したら2022年からCSに出始めたようなのですが、それがちょうど【5cザーディクリカ】を使っていた時期ですかね?時雨みぐれ「そうですね、ちょうどその時期です」
――どちらかというと友達と遊んでいたというよりも、デュエマを再開してすぐCSに遊びに来たって感じだったんですか?
時雨みぐれ「確か(2022年に)超CS静岡に出るつもりで、その前に1回CSに出たのが最初だったと思います。超CSの後の夏休みから、1人でCSに出始めました」
――超CSに出てみて、そこから競技にハマった、という感じですか?
時雨みぐれ「そんな感じですね」
――1人でCS通い始めたというのも中々ハードに見えます。
時雨みぐれ「超CSの結果が、あと1回勝てば予選上がれたかも?って戦績だったので、ちょっと悔しいなぁ、と。なのでそこから……という」
――今日チーム組んでいる方も含めて、いまよくデュエマしている友達というのもCS通い始めてからの友達になるんですか?
時雨みぐれ「そもそも出身が愛知なんですよ。愛知にいてデュエマ始めた頃は、ちょうど高校3年生で昔やっていた友達はみんな受験勉強していたんですよね。ボクだけ勉強していなかったんで……」――……それはそれでよかったんですよね?
時雨みぐれ「推薦で殆ど決まっていたので……」
――それはよかったです。
勝利の裏に名軍師あり
――そこからは継続してCSに出続けている、という感じですか?時雨みぐれ「以前、GPでフィーチャーしてもらったのがモチベーションになって、それがCSに出続けてたいと思ったキッカケですね」
――フィーチャーされたのはいつのGPでしたか?
時雨みぐれ「2023年前期ですね」
――ちょうど《絶望神サガ》とかの時期ですかね?
時雨みぐれ「そうです。まだ【ダンタルサガ】が出てくる前なんですけど、ベスト32でるるるさんと対戦して。モルネクに4キルされました(笑)」
――私のイメージで恐縮なんですが、時雨みぐれさんはコンスタントにCSに出て毎回安定して100位以内でフィニッシュする、というイメージでした。そんな中で今期はランキングを走ってトップ争いを続けているわけですが、まず今期の戦績について振り返ってもらってよろしいでしょうか?
時雨みぐれ「4月の段階では、いつも通り100位以内でプレイマットを目標にしていたんですけど、超flat-CSで優勝しまして。4800ptsとか獲ったことなかったですし、その時まだ5月だったので、練習して全国狙ってみようとなりました」
――最初から走るというわけではなかったんですね。使用していたデッキって【ファイアー・バード】のイメージが強いのですが、実際のところはどうだったのでしょうか?
時雨みぐれ「超flat-は【ドリームメイト】でした。大型は【ファイアー・バード】であることが多いのですが、結構色々使っています」
――そこからしばらく10位前後くらいで、シモカワCS……6倍ですよね?
時雨みぐれ「ちょうどトップページに載るかどうかくらいだったんですけど、シモカワCSで優勝して6000ptsで一気に1位になりました」
――今年の大型の優勝が大きいというのはその通りだと思うのですが、戦績を見るとそれ以外でも今期の時雨みぐれさんはコンスタントに優勝を重ねています。特に6月下旬から7月中旬までに6回優勝していらっしゃるんですよね。過去のランキングと比べると、大きな違いだなと思うのですが、その要因ってどんなところにあると思っていますか?
時雨みぐれ「メネラウスっていう、今日もチーム組んでいるプレイヤーがいるんですけど、その人と練習をしていまして。メネラウスがずっと一人回しをしながら『いまこのデッキの通りがいい』と教えてくれて。その指示に従ってCS出たら勝った、という流れですね」
――メネラウスさんが、参謀というか軍師的な役割をしてくださっている、という感じなんですね。
時雨みぐれ「そうなんです。今期(自分が)一番優勝しているデッキが【ファイアー・バード】で、それが3回あるんですけど、それ以外は2回ずつという感じなんです」
――CS出続けると環境的なことはわかりますけど、第三者的な視点で見るのはどうしても難しい部分はありますよね。
時雨みぐれ「平日CSだったら対戦回数も少ないし、メタ読みをした方がいいと思っていて、それが上手くハマった感じですね」
――メネラウスさんにアドバイスしてもらったデッキを使って勝って、その翌週にはちょっと変化した環境でまたアドバイスを元にデッキを変えて勝って……みたいな。
時雨みぐれ「そうですそうです」
――ランキングを快走している背景にはメネラウスさんのサポートがあった、というわけですね。
超CSⅧとサイバー
――今回の超CSのデッキを決めるにあたっての経緯を聞いてもいいでしょうか? チームとしては3面【水単サイバー】でしたよね?時雨みぐれ「そうですね。デッキを決めるについてもメネラウスが考えてくれて。メネラウスの考えですけど、最初は『3面サイバーだと相手の3面サイバーと当たったときに5割しかなくて、練度差も出ないから他のデッキを考えた方がいい』ってなっていたんです」
時雨みぐれ「ただ他のデッキを考えていた中でも良くて5割くらいしか出なくて。サイバーに寄せたトリーヴァ(【光水自然エンジェルコマンド】)とかジャイアントとか考えたんですけど、それも良くて6割くらい……。それだったらサイバーの方がいいし、何なら今回3面サイバーってあまり数いないと読んでいて。それこそはるるさんみたいなチームとかは3面サイバーでしょうけど、それ(トップ層)くらいなんじゃないかと。実際、今日予選戦った中でも3面サイバーは1回しか当たらなくて、そこで2面負けてはしまったんですが……」――3面サイバーミラー少ないなら、他に勝率が一番出せるサイバーを持ち込んだ、ってことですね。ちなみにサイバーの強さに気付いたといいますか、練習を始めたのはいつ頃だったんですか?
時雨みぐれ「発売前からメネラウスが『サイバー強い』って言ってて。ただその時は《昇カオスマントラ》の採用前だったんで、強さの実感は湧かなかったんですよ。ただDTL(デュエチューブリーグ)でむったさんが《昇カオスマントラ》入りを使ってて、それで強さに気付けて。その後けんけんラーメン(※)と一緒にCS会場で一緒に回していました」
(※)現ランキング6位
――CSとかでは使用したんでしょうか?
時雨みぐれ「ファイアー・バードの殿堂までは使っていなくて、その後からって感じですね」
強い人の言うことは聞け!
――今期のここからの目標ってありますか?時雨みぐれ「1位奪還ですね」
――確か(インタビュー時点で)1位とは1700差くらいでしたっけ?
時雨みぐれ「そうですね、等倍CS優勝してギリギリ届かないくらいです」
――では最後になりますが、来期以降ランキングを走ろうとするプレイヤーに対してのメッセージとかってありますか?
時雨みぐれ「そうですね……。『強い人の言うことは聞け』ってみんな言うんですけど、それを特に実感していますね(笑)」
――それはメッセージでもあるし、自身の学びでもあると。
時雨みぐれ「こういうインタビューとかでみんなそう言うんですけど、本当に実感しましたね。あとそうですね……。大型大会は素直にTier1(ここでは環境で最も強いとされているデッキ群のことを指す)のデッキを使った方がいいかなと思っています」
――超falt-の4800ptsがドリームメイトで、シモカワCSの6000ptsがファイアー・バードですからね。ちなみに(5月の)GPは何使っていたんですか?
時雨みぐれ「ファイアー・バードです」
――(納得)。
時雨みぐれ「4.8倍だけじゃなくて、2.4倍もファイアー・バードで優勝できていて……」
――大型だと意外とTier1同士のミラーが少なかったり、というのもあったりするんですか?
時雨みぐれ「シモカワCSの時、1回もファイアー・バードのミラーしていないんですよ」
――あ、そうなんですね。『強い人の言うことは聞け』『大型は素直にTier1を使え』の2点を胸に刻んでおきます。本日はありがとうございました。
筆者の時雨みぐれに対する元々の印象は「安定して100位以内に入るプレイヤー」というものだった。実際100位以内という結果を残すには3~4回程度の優勝は必須と言え、それを毎期安定して可能というのは、相当な実力者でないと厳しい。
今期の彼については、元より実力のあるプレイヤーが4.8倍などを当てた場合どうなるのか……というのをモデルケースのような形で見せてもらった気がするのである。
そしてその活躍の背景には、メネラウスという仲間の存在が大きく貢献していることもわかった。インタビューの中でも幾度となく名前が登場しており、その信頼の強さがわかるだろう。
少し気は早いが、彼らはきっと今年の年度末にも協力して戦うことになる筈である。
全国大会での楽しみが、また1つ増えた。
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