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最強位決定戦 :テキストカバレージ総括記事

ライター:河野 真成(神結)
撮影者:後長 京介

 2023年3月4日、都内某所にて開催された「最強位決定戦」。
 
 2022年度を締めくくる大会ということで、10月に行われたグランプリの上位入賞者、及び2022年度下半期DMPランキングで上位の成績を残した計31名が集結。「最強位」の称号を懸け、熱い対戦が行われました。
  
 では改めて、「最強位決定戦」を振り返っていきましょう。

最強位決定戦開催までの経緯

 最強位決定戦、という大会はこれまで開催されたことがありません。
 
 ところが2022年の9月末、つまりはDMGP2022の少し前になるのですが、クリエイターズ・レターVol.47にて突如「下期チャンピオンカーニバル(仮)」の開催がアナウンスされました。
 
 同アナウンスには「(コロナの影響もあって)全国大会日本一決定戦の開催は難しかったが、それでも何かやりたい」という想いが記されており、つまりは2022年下半期の成績上位者で全国大会に近しいものを、といった趣旨というわけです。
 
 参加資格者は最初に書いた通り、10月開催のGPのday1・day2からそれぞれ上位8名(計16名)。そして下期のDMPランキングから上位16名の、計32名。全国大会2019のちょうど半分となっています。
 
 GPについてはこれまでは上位は最大3名が全国大会への出場権を得ていましたが、今回は特例的に上位8名と大きく拡大されました。これはエリア代表決定戦を行えない分、枠を拡大したものなのでしょう。
 
 そして残る16名は下期のランキングで決定するわけですが、その争いは熾烈さを極めました。
 
 今期のランキング争いに参戦出来たのは、かなり限定された層だったといっても過言ではないのですが、その中で高いレベルの争いが勃発することになります。
 
 特に最後の1~2枠の争いは最終決定の前日となる1/31までもつれ込み、約4ヶ月近いランキングを経た上で僅か数百ポイント差での決着となりました。出場を懸けた戦いにも、もう物語があったわけですね。
 
 「下期チャンピオンカーニバル(仮)」となっていた名称も「最強位決定戦」と決まり、「タイトル戦」としての機運も高まりました。金属製プレートカードの《アビスベル=ジャシン帝》も準備され、そしていよいよ3月4日の当日を迎えることとなります。

事前メタゲーム予想

 2022年のデュエル・マスターズは、アドバンス・オリジナルともに10月のGPを過ぎて以降は、長らく環境に大きな変化ありませんでした。
 
 オリジナルの主軸は【4c邪王門】を筆頭として、【水闇自然ジャオウガ】、【水魔導具】といった比較的ロングゲームを行うデッキに、《我我我ガイアール・ブランド》《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》といったアグロデッキも加わってメタゲームを形成していました。
 
 またアドバンスは【4cガイアッシュ覇道】や【火自然モルトSAGA】といった《禁断 ~封印されしX~》《インフェル星樹》と使うデッキと、【水闇ゼーロ】や【水闇DOOMバタイユ】、そして【自然単オービーメイカー】といった《零龍》を使うデッキとの間での戦いが続いていました。
 
 新たに登場するデッキたちは、上位デッキのどれかには有利でも逆にどれかには全く勝てないといったことが多く、メタゲームの一角に加わることは出来ても、メタゲームを塗り替えるといったことはあまり起こりませんでした。

 例えばオリジナル環境に於いては、もし全てに勝てるデッキを用意する場合、まず攻めるデッキであれば邪王門に勝てる必要があります。受けるデッキならば水魔導具の追加ターンや邪王門の《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ /「未来から来る、だからミラクル」》などを耐える必要があり、特殊なギミックを使うならば《ガル・ラガンザーク》や水闇自然の豊富なメタカードを突破したり、我我我の猛攻に耐えなければいけません。

 1つのデッキにここまで求めるのは酷です。
 
 特に遅いレンジであれば邪王門、早いレンジであれば我我我といったように、前にも後ろにも「マジレス」するデッキが存在しているというのが、非常に厄介でありました。
 
 これはアドバンスにおいても同様で、遅いレンジになればガイアッシュ覇道の天下であり、早いレンジにはオービーメイカーやゼーロといったデッキが揃っており、彼らを乗り越えていくのは並大抵ではありません。
 
 しかし長らく続いたそんな環境も、2/18に終わりを迎えます。
 
 そう、デュエル・マスターズに《絶望神サガ》が襲来します。  自身で完結する2枚コンボで無限ドロー+墓地肥やしを出来るサガループは最速で3ターン目に達成出来ることもあって、一瞬で環境を塗り替ることになります。環境デッキの定義はサガが決めることになり、サガに対抗するギミックのないデッキは環境外へと追いやられたのです。
 
 特にオリジナルはサガ解禁日から多数のCSが開催されたこともあり、圧倒的な数の入賞報告がもたらされました。
 アドバンスはCS数こそ少なかったため未知数な部分もあったのですが、それでも同じくサガループの入賞報告は多数存在していました。
 
 サガは「墓地から」自身を「踏み倒す」ギミックであるため、《若き大長老 アプル》を始めとしたメタカード自体は豊富に存在しています。
 しかしそれらに対しては、サガ自身が《「敬虔なる警官」》といったメタカードのメタを採用したり、或いは≪龍頭星雲人≫といったサブプランを用意したりすることで、充分に戦うことが出来ました。

 また我我我の猛攻に対してもトリガーの《冥界の不死帝 ブルース /「迷いはない。俺の成すことは決まった」》からサガを蘇生することで《蒼狼の大王 イザナギテラス》を最大4体まで建てる、という受けのコンボまで用意することが出来ました。
 
 《絶望神サガ》登場から、僅か2週間。
 
 参加者たちはサガに戦々恐々としながら、サガと向き合うことを求められ、大会に備えることとなるのです。

大会結果

 当日、会場に集まった選手は31名。
 
 開始前の準備段階では談笑なども行われていましたが、いざ大会のアナウンスが始まると会場は一気に緊張感に包まれました。  蓋を開けてみるとアドバンス・オリジナル共に《絶望神サガ》を軸に、サガかサガに勝てるデッキか、という選択が主となりました。
 
 アドバンスは【水闇サガ】への対抗手段として《ガル・ラガンザーク》や≪堕呪 ブラッドゥ≫が強力な【水魔導具】が数を増やしました。
例えばミノミー選手は自身の代名詞とも言えるこのデッキを使い、予選の配信卓に登場。サガとの激戦を繰り広げました。

そして恐らく対サガの答えにもなっている《とこしえの超人》+≪お清めシャラップ≫のギミックを搭載出来る【4c“魔神轟怒”万軍投】なども台頭することになります。こちらは、◆ドラ焼き選手が使用していますね。

 アドバンスは3回戦ということもあって「勝者」は見えにくい部分もありますが、サガ環境を見越した【闇火侵略】などの個性的なデッキ選択も存在していました。こちらはぴゅう選手が予選3回戦の配信卓で登場、その動きを披露しています。

 最強位決定戦以降のアドバンスのCSではむしろ【水魔導具】や【4c“魔神轟怒”万軍投】、そして【闇火侵略】なども数多く使われており、わずか3試合の中でも視聴者が受けた印象や、環境へ与えた影響は大きかったと言えるでしょう。
 
 一方オリジナルの注目は、やはりサガに集まります。

 全国大会2019における【JO退化】ほどのシェアには至りませんが、トップ8のうち3名がサガ。最終的には2位、4位がサガとなり、やはりその力を示すことになります。

 例えば目黒片倉ドラゴン選手は予選5回戦で、3ターンループを披露しました。
もちろん毎回そういった展開になるわけでないですが、「相手が何かする前に勝つ」というのはわかりやすく、この最強位決定戦環境の象徴的な試合といっていいでしょう。
 
 対して、サガへの一番の対抗馬であった【水闇自然オービーメイカー】は前評判通りの強さを見せました。特にメタカードでテンポを取った後の《キユリのASMラジオ》は凶悪で、環境的に《∞龍 ゲンムエンペラー》が出てしまえばほぼ勝ちであったことも追い風となりました。

 このデッキを使用したみみみ選手は、準々決勝でぴゅう選手のサガループと対峙することになります。
試合は互いのデッキの本領を見せ合うという静かな殴り合いのような展開となりましたが、最後は《十番龍 オービーメイカー Par100》が姿を見せず、惜しくもトップ8で敗退となりました。


 また個性的なところではみれう選手の【水闇自然クイーン・アマテラス】のループが3位に輝きました。
こちらは《ブレイン・スラッシュ》から釣り上げた《クイーン・アマテラス》を経由して、《フォース・アゲイン》でのループを決めるデッキであり、準決勝・3位決定戦の配信卓を大いに盛り上げてくれました。


 そんな中で優勝を決めたのは、◆ドラ焼き選手の【火単我我我ガイアール・ブランド】でした。  しかしその道のりは、決して平坦なものではありませんでした。

 本人が「一番のハイライト」と語った予選5回戦ののすけとの40枚ミラーを制し予選を抜けますが、それ以降も苦しい戦いが続きます。

トップ8以降は全てフルセットでの勝利であり、特に配信卓ではなかったものの準々決勝はかなり際どい勝負が展開されました。最後に《コッコ・武・ルピア》が駆け付けなかったら、彼は決勝にはいなかったでしょう。
 
 そして決勝の戦いもまさに紙一重の勝負となりました。

 最後の《"逆悪襲"ブランド》での勝利は、今大会一番の名シーンと言ってもいいのではないでしょうか。  今回の最強位決定戦では、生放送のゲスト解説としてdotto、Zweilance両氏を迎え、濃厚なデュエマトークが行われました。
 両氏の解説やプレイヤーの勝利者インタビューなどを観たい方は、生放送のアーカイブをご覧ください。
 
 また各試合の内容についての詳細はゲームカバレージ、デッキ分布や環境解説はメタゲームブレイクダウンの方を、是非ご覧ください。

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おわりに

 以上が最強位決定戦についての振り返りとなります。
 
 今回の最強位決定戦は多くの人が観戦という形での参加となったと思いますが、4月にはいよいよGPが開催されます。YouTubeの前でウズウズしていたであろう皆さんが、主役になれる時がやってくるのです。
 
 また戦略発表会においては、今年の大会スケジュールも発表されました。従来だと春秋にGPが開催され、夏には超CS、といった形でしたが、冬にも大型イベントがあるとのことです。
 
 きっと今年も、新しいデュエル・マスターズの1年となるでしょう。

 現環境についてはそれぞれ思うところはあるでしょうが、来年の全国大会後にまた「楽しいシーズンだった」と言える年になることを期待しましょう!

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