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山形超CSⅢ 決勝第3回戦:ちゃま vs. ヴァン


ちゃまヴァン。実は予選ラウンドで1度対戦している組み合わせだ。
その時はヴァンの『ロマノフワンショット』が炸裂し、ちゃまの『ハンデスデッドダムド』が敗れた。ちゃまにとってはリベンジ戦となる試合だ。

お互いにクロニクルデッキから強化を貰ったデッキタイプ同士の試合である。

ヴァンの使う『ロマノフワンショット』の主軸カード《邪眼教皇ロマノフⅡ世》は初代クロニクルデッキ「DMD-25 ロマノフ 煉獄からの復活」より登場したカードである。登場当初は《邪眼皇ロマノフI世》《煉獄と魔弾の印》を使ったワンショットデッキとして使われてきたが、ほぼ同じような能力を有していたライバルの《聖霊左神ジャスティス》の存在、防御面、妨害面での脆弱さから環境入りすることは叶わなかった。

時は流れ2019年、《》《蝕王の晩餐》《戒王の封》を得て、以前までの弱点を克服した事により、『ロマノフワンショット』は環境入りを果たした。

ちゃまが使用するのは、アルティメット・クロニクル・デッキ「DMBD-10 SSS!!侵略デッドディザスター」より《SSS級天災 デッドダムド》《天災 デドダム》を加え、盤面処理能力が飛躍的に上昇した『アナカラーハンデスデッドダムド』だ。

超CSⅢで環境を作り上げた『アナカラーデッドダムド』とは構築面でこそ違えど、ハンデスでテンポを取りつつ、《SSS級天災 デッドダムド》で制圧する様は、ひとつの正解を導き出した構築と言えるであろう。


先攻:ちゃま

先攻はちゃまから始まった。≪ウォズレックの審問≫をプレイし、ヴァンの手札を確認。すでにヴァンのデッキタイプが『ロマノフワンショット』と分かっているため、ヴァンのテンポを崩す狙いだ。

ヴァンの手札は《インフェルノ・サイン》《》《龍素知新》《蝕王の晩餐》《サイバー・チューン》。ちゃまはその5枚の中から《サイバー・チューン》を墓地に送り、返しのターンでさらに《ブレイン・タッチ》とハンデスを重ね、ヴァンの出鼻を挫く事に成功した。

本来『ロマノフワンショット』は墓地にカードが増えれば増える程有利になるデッキタイプだが、肝心の《邪眼教皇ロマノフⅡ世》が墓地に落ちず、ヴァンは苦しい表情だ。

ちゃまは長期戦を見据えて《Dの博才 サイバーダイス・ベガス》を設置する。長期戦になればなるほど不利になるが、コントロールデッキには手札補充が無ければ始まらない。

ここで初めてヴァンが動く。《龍素知新》から《サイバー・チューン》を唱え、《邪眼教皇ロマノフⅡ世》《》を墓地に送り、ちゃまにターンを返す。ここでヴァンが次のターンで≪法と契約の秤≫か《戒王の封》を唱え《邪眼教皇ロマノフⅡ世》がバトルゾーンに着地すれば、ほぼゲームが終了してしまう。

ちゃまの喉元に剣先が突き付けられた。

ここに来て初めてちゃまの動きが止まる。下手な選択肢を選んでしまえば敗北の二文字を突き付けられてしまうからだ。

長考の末、ちゃまは《天災 デドダム》をプレイ、デッキの上から3枚を確認する。
《天災 デドダム》の処理を終え、ちゃまは答えを探し出した。

《超次元エクストラ・ホール》だ。


ヴァンの《邪眼教皇ロマノフⅡ世》、≪龍装医 ルギヌス≫をデッキに戻し、《イオの伝道師ガガ・パックン》をバトルゾーンに送り出す。

完全にテンポを掴んだちゃまは、何もできないヴァンの手札に≪ジェニコの知らない世界≫《改造治療院》を連打しヴァンの手札を奪い取る。

ここまで戦略がうまく決まればちゃまの勝利は揺るがない、そう思った。

勝利の女神はきまぐれだ。

ヴァンがここで引いたのは≪サイバー・K・ウォズレック≫。ヴァンの《超次元エクストラ・ホール》で墓地の《》をデッキに戻し、自身の《蝕王の晩餐》《邪眼教皇ロマノフⅡ世》を蘇生させる。


あとは《邪眼教皇ロマノフⅡ世》の効果を成功させるだけ。それだけであった。

一度は勝利の女神はヴァンに微笑みかけたが、今度はちゃまに微笑んだ。

《邪眼教皇ロマノフⅡ世》から放たれた呪文は≪地獄のゴッド・ハンド≫。ワンショットの失敗である。

『ロマノフワンショット』がロマノフループになりえない理由がそこにある。
一度決まれば確実な勝利をもたらすのがループであり、そこに失敗の二文字は存在しないのだ。

ターンが返ってきたちゃまは《禁断機関 VV-8》を設置し、《虹速 ザ・ヴェルデ》《SSS級天災 デッドダムド》を2体侵略。ヴァンのバトルゾーンを壊滅させ、《禁断機関 VV-8》を禁断起動。追加ターンを獲得する。

追加ターン中に≪サイバー・K・ウォズレック≫から《改造治療院》、≪ジェニコの知らない世界≫を唱え、《天災 デドダム》をバトルゾーンに出す。

ここで制限時間が終了になった。予選ラウンドではこのターンでゲームが終了であるが、決勝トーナメントでは、このターンを0ターンとし、その後、追加3ターンを行い決着がつかなかったら残りシールドの多かったものが勝者になる。

ここでヴァンにターンが回ってくる。盤面ゼロ、手札もゼロの状況で祈るようにドローをするが、マナにチャージするのみでちゃまにターンを返す。

ちゃまの最後のターンが訪れた。

《超次元エクストラ・ホール》でヴァンの墓地の《邪眼教皇ロマノフⅡ世》、≪サイバー・K・ウォズレック≫をデッキに戻し、≪Q.Q.QX.≫、≪サイバー・K・ウォズレック≫をバトルゾーンに呼び出す。

ここで≪サイバー・K・ウォズレック≫の効果を処理した時に、ちゃまの必殺コンボが炸裂した。《超次元エクストラ・ホール》を使用した時に、バトルゾーンに≪Q.Q.QX.≫が存在すると《超次元エクストラ・ホール》でデッキに戻したカードがデッキのトップに固定しまうのである。

《超次元エクストラ・ホール》のテキストを見てみよう。

プレイヤーをひとり選び、その墓地からカードを2枚まで選ぶ。
そのプレイヤーは選ばれたカードを自身の山札の一番上に置き、山札をシャッフルする。



つまり、カードを選びデッキの一番上に置いたところで≪Q.Q.QX.≫の山札の順番を入れ替えられない効果が起動するため、ちゃまはヴァンの山札の上を《蝕王の晩餐》に固定してしまったのである。

ちゃまがこのギミックを発見したのはつい最近の事であり、自身のデッキにしっかりと落とし込むことに成功していたのである。

ヴァンは沈痛の表情だ。

それもそのはずである。ヴァンの残されたターンは1ターンのみ、手札、バトルゾーンにカードは無く、墓地にも有効カードは存在していない。

まさに絶体絶命。ちゃまはヴァンのデッキの上を固定しているため、ヴァンのシールドを全て割り切る必要はない。ルール上、ゲーム終了時にシールドの数が多かった者が勝者となるためだ。

が、ちゃまは全てのシールドをブレイクして勝利を掴もうとした。すでにヴァンと対戦しているため、ヴァンのデッキの中に《キリモミ・スラッシュ》が入っていることをちゃまは知っていた。

何かの拍子で《キリモミ・スラッシュ》が絡み、ヴァンの最終ターンで逆転されないようにするためだ。

ちゃまはデッキの主役である《SSS級天災 デッドダムド》でヴァンのシールドを攻撃する。

ヴァンは祈るようにシールドを確認した。

S・トリガー《サイバー・チューン》。ヴァンは《》を2枚墓地に送る。

この最終局面でまたしても戦況がひっくり返った。ヴァンのデッキのトップが《邪眼教皇ロマノフⅡ世》であれば、S・トリガー次第でそのままゲームセットまで進んでしまう可能性がある。

女神はどちらに微笑みかけるのか。


ちゃまはヴァンの《サイバー・チューン》の処理を見つめながら覚悟を決め、最後の攻撃に出た。

《天災 デドダム》《SSS級天災 デッドダムド》を侵略。ヴァンのシールド削る。
ここで何もなければヴァンの負けがほぼ確定してしまう。

ヴァンは再び祈るようにシールドを確認する。そこから出てきたのは《サイバー・チューン》《戒王の封》。ヴァンにとっては最高であり、ちゃまにとっては最悪の組み合わせのS・トリガーが起動したのである。


先ほどの《邪眼教皇ロマノフⅡ世》ではワンショットがつながらなかったヴァン。今度こそ、今度こそはと願い、《サイバー・チューン》の効果を起動する。

墓地に落ちたカードは《キリモミ・スラッシュ》《》

ヴァンの下に《邪眼教皇ロマノフⅡ世》が姿を見せることは無かった。

ちゃまは最後のシールドをブレイク。S・トリガーで《エマージェンシー・タイフーン》が起動し《邪眼教皇ロマノフⅡ世》が墓地に落ちるが、もうヴァンには《邪眼教皇ロマノフⅡ世》をバトルゾーン出せる方法は存在しなかった。

Winner:ちゃま


この超CS山形で2戦を戦ったヴァンとちゃま。もし幻の3戦目が用意されていれば、どちらが勝ったか分からないほどの接戦を繰り広げていた。ヴァンも負けてはいなかった。《邪眼教皇ロマノフⅡ世》が成功していればそのまま勝っていたのだ。

さらに、最後の最後でシールドのブレイク順が変わっていれば《邪眼教皇ロマノフⅡ世》がバトルゾーンに降臨し、ヴァンに勝利をもたらしたかも知れない。

勝利の女神は気まぐれである。

ヴァンとの再勝負でリベンジを果たしたちゃまは、トップ16に駒を進めるのであった。
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