超CSⅣ京都 準々決勝:セキボン vs. パメラ
ライター:塚本 樹詩
撮影者:堀川 優一
過酷な大会を勝ち残った8人の中でも特に存在感を放った男が居た。
その名はセキボン。6月に行われた全国大会2019年日本一決定戦を制した男だ。
超CSⅣ京都でもその勢いは止まらず、無敗のままTOP8まで来た。
現日本一ながら、過去にはGPと超CSの両方で準優勝の経験もあるので、次なる栄冠が手に届く位置まで来たこの男の勢いを止めるプレイヤーは現れるのか?
決勝ラウンドからは、予選ラウンドの順位が高い方が先攻となるのだが、セキボンが自分の予選ラウンドの順位は4位と宣言すると、対戦相手は5位と答えた。
準々決勝、セキボンの対戦相手となるパメラもまた、予選ラウンドをセキボン同様に圧倒的な勝利で通過した男だった。
勢いに乗った者同士の激突が、今、始まる。
Game 1
先攻:セキボンオープニングハンドを見てから、瞬く間に《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》をマナチャージしたセキボン。対して《ブルース・ガー》をマナチャージしてから《凶戦士ブレイズ・クロー》を召喚したパメラ。
長いこと環境のゲームスピードを定義していた【火単速攻】だったが【JO退化】を始めとしたコンボデッキの高速化を前に、鳴りを潜めていたが、新殿堂施行後の環境で、再び立ち位置が良くなったのか?
対戦相手のデッキを確認したセキボンは続けて《天災 デドダム》をマナチャージし、パメラの出方を伺う。
最初の数ターンこそがパメラのゲームレンジとなるので、その大前提を外すことなく、2ターン目には《赤い稲妻 テスタ・ロッサ》召喚、《凶戦士ブレイズ・クロー》1点とテンポ良く攻める。
変わらぬ所作でセキボンはファーストアクションである《天災 デドダム》を召喚。マナと墓地にそれぞれ《豊潤フォージュン》を送り、パメラのスイングを待つ。
【火単速攻】を使いここまで来たなら、恐らくそうだろうとセキボンが予想したかはわからないが、パメラは3ターン目にきっちりと【火単速攻】を行った。
《凶戦士ブレイズ・クロー》《グレイト“S-駆”》を召喚の後に《"罰怒"ブランド 1st》をマスターB・A・Dで召喚。一気に7打点を形成。
《"罰怒"ブランド 1st》でスピードアタッカーとなった《凶戦士ブレイズ・クロー》からの攻撃から始まり全てのシールドをブレイクするパメラ。
《凶戦士ブレイズ・クロー》のダイレクト・アタックにここまでは予定調和とセキボンが見せたのは3枚の《百鬼の邪王門》。 パメラのデッキが矛なら、セキボンのデッキは楯だった。
3つの門からそれぞれ《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》《一王二命三眼槍》《鬼ヶ大王 ジャオウガ》が出ると、セキボンはそれぞれの効果処理を丁寧に行い、返しにパメラと同じくらいの打点を形成し、勝利をもぎ取った。
セキボン 1-0 パメラ
Game 2
先攻:パメラ水準通りの攻勢ではセキボンは破れない。
頭で理解するのは簡単だが、それが簡単に成し遂げられるほど、カードゲームは都合よくない。
しかし、ここで負けてしまうと試合が終わってしまうパメラは、更なるスイングを見せる。
1ターン目《ブンブン・チュリス》2ターン目《カンゴク入道》から、先攻の利を活かして3ターン目も《ブルース・ガー》《こたつむり》召喚とスイングのための溜めのターンにする。
次のターンに備えながらも《ブンブン・チュリス》だけは攻撃。
となれば、4ターン目の決め球はもちろん《我我我ガイアール・ブランド》!
《グレイト“S-駆”》の召喚の後にすぐさま《我我我ガイアール・ブランド》にスター進化させる。
そして、これでは足りないと追加したのは《“轟轟轟”ブランド》!!
今度は3人分のシールドを吹き飛ばせるほどの打点を作ったパメラに対して、セキボンは《フェアリー・Re:ライフ》のG・ストライクと1枚の《百鬼の邪王門》しか解答が用意できなかった。
頼みの綱の《百鬼の邪王門》から出てきたのは《鬼ヶ大王 ジャオウガ》これではダイレクト・アタックは防ぎきれないと、セキボンは盤面を畳む。
これでお互いがお互いに初めて土を付けた形となり、最終ゲームへもつれ込んだ。
セキボン 1-1 パメラ
Game 3
先攻:セキボン対【火単速攻】として【4c邪王門】側が序盤に差をつけるアクションを起こせることは少ない。が、しかし【火単速攻】はダイレクト・アタックを目指すデッキなので、自動的に5枚のシールドが手札となる。なので、その中に《百鬼の邪王門》や《一王二命三眼槍》を期待することができるので構造上有利が取れやすい。それだけでなく、今大会で様々な派生を見せながらも多くのプレイヤーに選択されたこのアーキタイプの中でもフェアリー/AYNが考案した構築では《サイバー・ブレイン》がフル搭載されているので、それを使うセキボンにとって【火単速攻】は改めて相性の良いアーキタイプである。
が、しかし、2ゲーム続けてシールドの内容は良くなく、パメラは早いターンにきっちりスイングをしてきた。
2ターン連続《"罰怒"ブランド 1st》からのクリーチャー召喚がパメラの好調を示唆する中、先攻のセキボンは3ターン目に《天災 デドダム》を召喚。安全策を1枚でも多く確保することができたのであろうか?
最後の答え合わせとなる3ターン目、パメラはまたしてもきっちりバットを振る。
2体目の《ブルース・ガー》を召喚すると、またしても《我我我ガイアール・ブランド》にスター進化。これでパメラが用意した打点は《ブルース・ガー》《こたつむり》《我我我ガイアール・ブランド》となった。
【4c邪王門】の構築を予想してか、ここでパメラは《ブルース・ガー》《こたつむり》と順に攻撃をして《我我我ガイアール・ブランド》の最大値を取りに行く。目論見通り、攻撃の後に《我我我ガイアール・ブランド》が破壊されると、打点は続き、またしてもセキボンのシールドはあっという間になくなってしまった。
リスク・リターンの天秤からデッキタイプの意思を尊重したパメラ。ダイレクト・アタックまでたどり着き、セキボンがどれだけ敗北回避できるかを伺う。
まずセキボンが宣言したのは《百鬼の邪王門》1枚。
そして、上から4枚の中には《百鬼の邪王門》で呼び出せるクリーチャーがいなかった!!
門は開かれなかったものの、2回分のダイレクト・アタックを《一王二命三眼槍》で防いだセキボン。
1ゲーム目のように盤面を広げながらも、敗北回避という理想ムーブができなかったが、返しのターンに手札から使ったのは《生命と大地と轟破の決断》!!
殿堂カードには殿堂カード!先ほどのパメラの《“轟轟轟”ブランド》へのお返しと言わんばかりにマナゾーンから《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》と《一王二命三眼槍》を呼び出す。
まずは前のターンに山札の底へと送り込まれた2枚の《一王二命三眼槍》をバトルゾーンの《一王二命三眼槍》が呼び戻すと、最後の1枚の《一王二命三眼槍》の効果を使い切るために《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》の効果を使う。
《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》は山札の上から《蒼き団長 ドギラゴン剣》を引き込むと、自身の効果でバトルゾーンの《一王二命三眼槍》を1体選び、手札に戻す。
こうして残りの4枚から山札の底に《鬼ヶ大王 ジャオウガ》を固定し、それを《一王二命三眼槍》が呼び戻す。
ここから反撃に出る前に、セキボンはまず、冷静に盤面を対処する。
《一王二命三眼槍》で《こたつむり》を倒し《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》で《ブルース・ガー》を狙うと、《蒼き団長 ドギラゴン剣》に革命チェンジ! 革命チェンジ元となった《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》が反復横跳びのように再び盤面に帰ると、今度は効果で《一王二命三眼槍》を引き込んだ後に、先ほど攻撃した《一王二命三眼槍》までも手札に戻す。
2体目の《ブルース・ガー》を《天災 デドダム》が討ち取ると、パメラの盤面は綺麗に掃除されただけでなく、セキボンの手札には3枚もの《一王二命三眼槍》が確保された。
【火単速攻】の構造上、序盤に2ターン連続のフルスイングは不可能となっているので、パメラは返しのターンに抵抗することもできず、優位を維持したセキボンが後は試合を畳むだけの状態となった。
《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》が《》に代わり2点ブレイクした後に、日本一の証である《蒼き団長 ドギラゴン剣》が残りのシールドを全てブレイク。
パメラがこれに対し何もないことを示すと《天災 デドダム》がダイレクト・アタックをして、セキボンが準決勝へと駒を進めた。
セキボン 2-1 パメラ
Winner:セキボン
今日は引きも強く、調子が良いというセキボンだったが、制限時間40分以内の3本勝負では、最終的にはシールドの枚数が勝敗に影響するので、潜在的な有利を【火単速攻】に握らせないため、終始迅速なプレイに徹していた。
加えて、淀みないプレイの中で《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》や《一王二命三眼槍》も最適に使いこなしていたので、これが日本一、これがセキボン、とも言うべき試合となった。
勝利こそ叶わなかったものの、そんなセキボンに初めて土を付けたパメラ。経験の浅さを鑑みて【火単速攻】を選択したようであるが、そんなことを感じさせない冷静なプレイ態度やプレイングからは強者の雰囲気が漂っていた。
DMPランキングの履歴に残る2回目の大会で、いきなり超CSベスト8は、快挙でなかったら何なのか?というくらい、パメラの成績は凄かった。
セキボンの2冠を止める男は現れるのか?そして、パメラの次なる活躍も期待したくなる、そんな実りの多い試合であった。
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