超CSⅦ広島:事前メタゲーム総括記事
ライター:渋谷 直也(シオン)
本記事では今大会の参加者や観戦者に向けて、新殿堂後のメタゲームや注目デッキついて簡単に解説していく。8月17日に適用された新殿堂レギュレーションによって【闇自然アビス】、【火水マジック】、【闇水自然マトリクス】は大幅な弱体化を受けることとなった。
そして、【ジョーカーズ】はジョニーの書による強化と《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》の殿堂解除によって勢力を拡大している。 これら2つの変化を考慮して、今大会におけるメタゲームを解説していく。
また、殿堂前のメタゲームについての解説がある横浜編の記事も事前に読んでおいていただけると幸いだ。
超CSⅦ横浜 :事前メタゲーム総括記事
殿堂施行前からの変化
はじめに殿堂施行前ではあるが、直近に開催された超CSⅦ横浜の結果を振り返っておこう。TOP128のデッキ分布は以下の通りだ。90【火光闇ファイアー・バード】
60【水闇COMPLEX】
48【火光水ゴスペル】
40【光自然巨大天門】
24【ドリームメイト】
20【火水マジック】
19【光水天門】
11【闇自然アビス】
以下省略
レギュレーションがチーム戦と個人戦で異なるものの、ほぼ同様のメタゲームが繰り広げられると考えられる。ここから新殿堂の影響を考え変更を加えると以下のようになる。
【火光闇ファイアー・バード】
【水闇COMPLEX】
【火光水ゴスペル】
【光自然巨大天門】
【ドリームメイト】
【光水天門】
【ジョーカーズ】
変更後には魔覇革命の2デッキが消え、【ジョーカーズ】が追加されることとなる。【火水マジック】や【闇自然アビス】の消滅がその他のデッキを後押しすることも認識しておきたい。
まずは生まれ変わった【ジョーカーズ】から解説していく。
ジョーカーズ
殿堂施行後の【ジョーカーズ】の特徴は速度と爆発力だ。《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》の殿堂解除でかつての爆発力を取り戻したのだ。 《ガンバトラーG7》を軸とするか、《ジョギラゴン&ジョニー ~Jの旅路~》を軸とするかでキルターンや対応力は変わってくるが、メタ(妨害)クリーチャーに対しては《勝熱と弾丸と自由の決断》が総じて強力。突破力も申し分ないだろう。しかし、強化されたとはいえ弱点は残っている。自身の備える妨害札や序盤の立ち回りの弱さが気になるところ。《ヘルトッQ》の登場で緩和されてはいるが、《飛翔龍 5000VT》の脅威も無視できない。
これらの課題を克服できるかどうか、今大会の使用者の答えにも注目だ。
火光闇ファイアー・バード
超CSⅦ横浜における【火光闇ファイアー・バード】はほぼすべての参加者の仮想敵であったことは間違いない。にもかかわらず、TOP128における母数では堂々の1位。これは【火光闇ファイアー・バード】の地力の高さの証明だ。 生半可な受けデッキには《雷炎翔鎧バルピアレスク》の追加ターンによる過剰打点で、過剰な受けデッキには《ハンプティ・ルピア》のハンデスでじわじわとリソース差を広げていく。誇張なくすべてのゲームレンジに対応できるデッキだ。超CSⅦ広島でも横浜と同様、最も注目され、最も勝ち残るデッキだと予想される。
光自然巨大天門・光水天門
超CSⅦ横浜以前では【光自然巨大天門】が《ヘブンズ・ゲート》デッキの主流であったが、それ以降では《理想と平和の決断》を採用した【光水天門】が流行している。 【光水天門】と【光自然巨大天門】の違いはやはり《聖霊超王 H・アルカディアス》の有無だろう。コストが6である関係上、《巨大設計図》で回収できず採用を見送られていたが、《理想と平和の決断》であれば回収可能だ。《∞龍 ゲンムエンペラー》を超えるために搭載されている除去呪文や増加傾向にある【火光水ゴスペル】にクリティカルに刺さるカードとなっている。共通したキーカードはもちろん《∞龍 ゲンムエンペラー》だ。【火光闇ファイアー・バード】、【水闇COMPLEX】、【ドリームメイト】と強力なデッキ群を一網打尽にすることができる。
超CSⅦ横浜のTOP128時点での母数も【火光闇ファイアー・バード】に次いで2番目に多い結果であった。前回から十分な時間が経ち、情報が広まった今大会では最大母数となることも考えられるだろう。
水闇COMPLEX
【火光闇ファイアー・バード】に有利を取れる数少ないデッキの1つだ。《異端流し オニカマス》と大量のトリガーで相手の攻め手を削り、《DARK MATERIAL COMPLEX》や《飛翔龍 5000VT》で勝利を確実なものにする。だが、現在のメタゲームにおける立ち位置は良いとはいえない。その理由は【ヘブンズ・ゲート】や【火光水ゴスペル】の増加だ。【水闇COMPLEX】にとって、今はまさにコントロール・コンボデッキとビートダウンデッキの板ばさみ状態といえる。どちらかに構築を寄せることはできるが両方に勝つことは難しい。
今大会は個人戦であることも含め、有利不利がはっきりとしている【水闇COMPLEX】には苦しい環境だと考えられる。メタゲームが進み、一強環境となったほうが勝ちやすいデッキなのだ。
火光水ゴスペル
前述の【水闇COMPLEX】に対するカウンターデッキだ。《DARK MATERIAL COMPLEX》を《氷柱と炎弧の決断》で封じつつリソースを稼ぎ、隙を見て《月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍》を通し安全に勝利する。他のデッキに対しても墓地メタの採用率の低さから総合的な立ち位置は良好だ。天敵であった【火水マジック】の消滅は追い風であるが、【光水天門】の台頭は向かい風。《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》が標準搭載されていることに加え、《∞龍 ゲンムエンペラー》、《聖霊超王 H・アルカディアス》のフィニッシャー両方が致命的となる。
以上の理由からも今大会のメタゲームにおける評価が難しいが、大型大会で【火光水ゴスペル】のようなコンボデッキが勝ち残りやすいのは言うまでもないだろう。コンボデッキ代表として今大会でも活躍が期待される。
ドリームメイト
多面展開によるビートダウンと《お目覚めメイ様》のEXWINの両方が可能な押しつけデッキだ。このデッキもまた【火水マジック】がいなくなったことが追い風になっており、増加傾向にある。受けが強いデッキに対しては《お目覚めメイ様》の特殊勝利、クリーチャー主体のデッキに対しては《料理犬のヴィヤンドゥ》のマッハファイターや《料理長のラビシェフ》のタップ効果で有利にゲームを進められる。
構築も固定化されておらず、採用されるメタクリーチャーや色配分なども人それぞれ、超CSⅦ広島で【ドリームメイト】の結論ともいえる構築が導き出されるかもしれない。
最後に、上記のアーキタイプ一覧には名を連ねていないが、注目すべきデッキを紹介しよう。
水魔導具
これまでは【火水マジック】の陰に隠れていたが、その存在がなくなった今、大型大会でこのデッキを見逃してはおけない。 《「無月」の頂 $スザーク$》の殿堂入りや《神の試練》のプレミアム殿堂入りと全盛期に比べるとかなりのパワーダウンを感じてしまうが、それでもコントロールデッキとしては随一の性能を持っている。相変わらずビートダウンデッキに対しては脆いが、それ以降のゲームレンジにおいてはいまだ最強。《卍 新世壊 卍》のリミットターンの速さと追加ターンループによるトリガー無視、《凶鬼98号 ガシャゴン / 堕呪 ブラッドゥ》や《ガル・ラガンザーク》によるコンボデッキへの耐性と、対応力でこのデッキを上回るデッキは存在しないだろう。
既にすべての大型大会を制している【水魔導具】だが、再び王に返り咲くかもしれない。
おわりに
以上が殿堂施行後の注目デッキだ。前大会で結果を残したデッキを中心に、【火光闇ファイアー・バード】、【ヘブンズ・ゲート】を意識したメタゲームが繰り広げられると予想している。殿堂施行は一つの時代の終わりでもあるが始まりでもある。新たな時代の覇者の誕生を是非見届けていただきたい。
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