ライター：白戸 龍之介(ドラ介)
撮影：後長 京介

　長く厳しい予選を勝ち抜き、いよいよ決勝トーナメントが始まる。

　ここからはシングルエリミネーション。1回負けたらそこで終了。さらなる厳しい戦いとなる。
　DMGP5thをはじめ、現在まで数多くの入賞を果たしてきた愛知の強豪、ロマサイ。
　その確かな実力を持って今大会を予選１位で駆け抜けてきた。

　そして超CSⅦ横浜では準優勝、DMPランキングを走ってきた千葉の実力者、リルク。

　数々の激戦を潜り抜けてきた2人の戦いが始まる。

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　順位先攻によってロマサイからスタートする。

先攻：ロマサイ

　ロマサイはマナに《アリスの突撃インタビュー》をチャージ、リルクは《ヘブンズ・ゲート》をチャージし、1ターン目を終える。
　ロマサイは今年度の相棒ともいえる【火光闇ファイアーバード】、リルクは【ヘブンズ・ゲート】のようだ。

　ロマサイは《雷炎翔鎧バルピアレスク》をチャージし、《ルピア&ガ:ナテハ》を召喚。その能力でシールドを墓地に落とし、手札を増やす。

　リルクはアルカディア《理想と平和の決断》をチャージして終了する。

　ゲームが動き出す3ターン目。
　ロマサイは《アシステスト・インコッピ》をチャージし、《ハンプティ・ルピア》を召喚！

　リルクの手札にあったのは、《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》、《闘門の精霊ウェルキウス》、《闘門の精霊ウェルキウス》、《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》、《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》。

　チャージャー呪文はなく、コンボまであと１ターンあるからか、ここは《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》を捨てさせ、手札を増やすことを妨害する。 　しかし返しのターン、リルクが山札の上から引いたのは《支配の精霊ペルフェクト / ギャラクシー・チャージャー》！
　《頂上接続 ムザルミ=ブーゴ1st》、《光開の精霊サイフォゲート》を手札に加え、《der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡》を山札の下に送る。

　リルクの手札には《星門の精霊アケルナル / スターゲイズ・ゲート》が残っている。
　ドローソースを狩りに行ったはずが、結果的には裏目となってしまった。

　ロマサイは《アリスの突撃インタビュー》をチャージすると、ファイアーバード戦術の要、《ハッター・ルピア》を召喚。

　すかさず《ルピア&ガ:ナテハ》をタップしてハイパー化、攻撃を宣言、ファイアー・バードメクレイド5で《ポッピ・冠・ラッキー》をバトルゾーンへ送り出す。

　これによってリルクの超次元ゾーンを使う事が厳しく制限される。

　火の鳥による決死のシールドブレイク。

　シールドトリガーはない。

　その間にも《ルピア&ガ:ナテハ》で削れていくロマサイのシールド。
　文字通り命を削る効果でリソースを増やしていく。

　オリジナルでも驚異的な力を振るい続ける【火光闇ファイアーバード】は、アドバンスでもその力を遺憾なく発揮しており、デッキの中身こそオリジナルフォーマットのものとは数枚しか違わない事が多いものの、超次元ゾーンによるできることの拡張はとても大きなものとなっている。

　山札に入っているカードがあまり変わらないということは、根本的な戦い方は変わっていないという事でもある。
　火、光、闇ではあまり得意ではないリソース獲得の手段をスーサイド(自分を追い込む)戦術で補っているのである。
　そのタイミングを見計らえる強豪たちが使いこなすと、手に負えないほどの強さを誇ることは多くのプレイヤーがご存じのとおり。

　リルクは少し考えると、≪スターゲイズ・ゲート≫で《闘門の精霊ウェルキウス》をバトルゾーンへと送り出す。
　その効果で《冥界を統べる新月のハーデス》をバトルゾーンへ！ 　《冥界を統べる新月のハーデス》は自身のすべてのクリーチャーにエスケープを与え、さらにオシオキムーンによってクリーチャーを破壊することが出来る、強力な月光王国のクリーチャーである。

　ロマサイはここで《ハッター・ルピア》のマナコストより大きいクリーチャーを出した時の能力を確認する。
　ここではアクティブプレイヤー(リルク)の効果解決が終わった後、踏み倒したクリーチャーを破壊する順番を《ハッター・ルピア》を持つプレイヤー側(ロマサイ)が決めることになる。

　つまり、《闘門の精霊ウェルキウス》もエスケープを持った状態で《ハッター・ルピア》の破壊が解決される。

　《ハッター・ルピア》を破壊し、ロマサイは《ハッター・ルピア》の残った効果で《冥界を統べる新月のハーデス》を1度破壊を試みるもエスケープによって留まる。

　そしてエスケープによってさらにシールドが離れたことにより、《ハッター・ルピア》を破壊！
　そして《闘門の精霊ウェルキウス》が破壊されエスケープしたことで、《冥界を統べる新月のハーデス》のオシオキムーンが起動。《ルピア&ガ:ナテハ》を破壊する。



　盤面上は徐々に追い詰められつつあるロマサイ。
　早くも聳え立つ、2体の巨大な壁を超えることを余儀なくされている。

　しかしそれでも突破の手段が残されているのが【火光闇ファイアーバード】の底力。ロマサイもしっかりデッキのポテンシャルを引き出し、勝利への道を考え出す。 　《マジシャン・ルピア》をチャージし、【火光闇ファイアーバード】の1つのボーダーとなる5マナに到達するとドラゴンの花嫁、《龍后凰翔クイーン・ルピア》を召喚。

　ロマサイは決死のファイアーバード・メクレイド8を行うかしっかり吟味する。
　覚悟は決まったか、《龍后凰翔クイーン・ルピア》の攻撃時、《ポッピ・冠・ラッキー》を破壊しファイアーバード・メクレイド8を宣言。ここで現れたのはさらなる《龍后凰翔クイーン・ルピア》が登場！！ 　まだロマサイのアクションは終わらない。
　超次元ゾーンからずっとこちらを覗く黒き影…そう、パラレル革命チェンジ！≪蒼き覚醒 ドギラゴンX≫が超次元ゾーンから現れる！！！ 　残るシールドが破られたことにより、《冥界を統べる新月のハーデス》のオシオキムーンで《ポッピ・冠・ラッキー》と《ハンプティ・ルピア》を破壊する。破壊したい《龍后凰翔クイーン・ルピア》は自身の効果によって守られ、破壊が届かない。そして、エスケープの代償としてリルクのシールドはこのシールドブレイクによって0。

　ロマサイの攻撃はまだ止まらない。
　2体目の《龍后凰翔クイーン・ルピア》からなんと2体目の≪蒼き覚醒 ドギラゴンX≫へとパラレル革命チェンジ！ロマサイのブロックされない一撃がリルクに突き刺さる！！！

Winner：ロマサイ

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激闘を終え、試合を振り返る2人。

リルク「上の回答は強かったんだけどなー。」
ロマサイ「あのトップは本当にきつかった…」


　どちらが勝ってもおかしくない試合。今回はアドバンスフォーマットの強みを生かした、ロマサイに軍配が上がった。

　サイキック・クリーチャーを使えるアドバンスフォーマットにおいて、《カモン・ピッピー》を扱える【火光闇ファイアーバード】の、貴重な枠をファイアーバードではなく≪蒼き覚醒 ドギラゴンX≫複数体に割いていたロマサイのチョイスが光るゲームであった。

　決勝トーナメントに進出した者たちのギリギリの戦い。

　その長い長い戦いが始まりを告げた。