デュエル・マスターズ

メニュー
商品情報

全国大会2024 北陸エリア予選決勝戦:Lim vs. いかろす.

ライター:原田 武(たけじょー)
撮影:瀬尾 亜沙子

 遡ることはや一か月、DMGP2024-2nd Day1アドバンスを石川県・ Thrasiosが、そしてオリジナルを新潟県・ジンジャーが制した。

 北陸プレイヤーによる堂々の二冠。個々人の強さは勿論のこと、地域コミュニティの水準の高さを見せつける圧巻の戦績である。 Thrasios が持ち込んだ「北陸限定」【ガイアッシュ覇道】の構築の妙もあわせ、全国のプレイヤーに「北陸強し」の印象を刻み込んだことだろう。

 そして今日、3枚目の北陸発全国行きの切符を賭けたエリア予選が開催された。最後に残ったテーブルに着いたのは Lim いかろす. の二人。 Lim は2023年上期のDMPランキングにおいて石川県で1位を獲得しており、一方のいかろす. は同年下期、そして2024年上期と同じく石川県のランキングをトップで走り切っている。

いかろす. 「同じ石川県ですし、CSとかで会いますね」

Lim 「めちゃくちゃ相談したとかではないですけど、CS後に(2ブロックフォーマットのデッキを)回して「マジックしかない」みたいな話はしてました」

 慣れた手捌きで対戦準備を進めていく二人。期せずして石川県最強を決めるかのような対戦カードとなったこともあり、遠巻きに見守るギャラリーも多い。時折、声援が飛ぶ。

 この日彼らが辿り着いたデッキは共に【火水マジック】、その差異はわずか2枚。 Lim 《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》4枚目と《ゴルパガーニ-A7 / ダウンフォース・サーキュラー》2枚目を採って安定感を高め、いかろす. 《同期の妖精 / ド浮きの動悸》《煙幕の聖沌 k3mur1 / 聖沌忍法 メカくしの術》を1枚ずつ差し込んで選択肢を増やすチューニング。

そんな両者は予選で一度激突し、そこでは Lim が勝利。流れに乗った彼は予選を全勝で突破した。しかしいかろす. もやすやすとは崩れず、そこから無敗。無事、リベンジマッチの舞台までたどり着いてみせた。

 石川の強豪。使用デッキ【火水マジック】。デッキを飾るスリーブも《邪幽 ジャガイスト》ランキングスリーブでお揃い。共通項は多い。この一戦に託す熱意も、きっとそうだ。  今ここで、勝負がふたりを分かつ。決定的なまでに。

GAME

 値千金の先攻を掴んだのは予選一位通過の Lim 。初手を眺めるや否や、数度うなずき《芸魔隠狐 カラクリバーシ》をマナチャージ。2ターン目には《アシスター・Mogi林檎》を送り出す。いかろす. も2ターン目《アシスター・Mogi林檎》がファーストアクション。

 そして、3ターン目の Lim の動きは2コスト軽減《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》クリーチャー側!残る手札——《氷柱と炎弧の決断》2枚——を捨て、3ドロー。即座に≪Napo獅子-Vi無粋≫で攻撃、革命チェンジ《芸魔隠狐 カラクリバーシ》  ≪♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い≫でいかろす. 《アシスター・Mogi林檎》を破壊しつつ、《調律師ピーカプ / ♪音速で 本番中に チューニング》呪文側で《芸魔隠狐 カラクリバーシ》を起こして1枚ブレイク。通る。

 そして《芸魔隠狐 カラクリバーシ》で再度攻撃。ここで《芸魔王将 カクメイジン》に繋げられれば理想的だが……チェンジ宣言は無し、そのまま突っ張る。《アシスター・Mogi林檎》でも攻撃して残り2枚までシールドを詰め、ターンエンド。

 起点になるはずの《アシスター・Mogi林檎》を失ったいかろす. はひとまず《AQvibrato》を立ててターンを返す。 Lim も攻め手を緩めず、《AQvibrato》と≪ボン・キゴマイム≫を戦線に追加していかろす. のシールドを割り切った。

 ——決まったか。一瞬、そう考えた。《芸魔王将 カクメイジン》にこそ繋がらなかったものの、クリーチャーを4体展開し相手シールドは0。≪ボン・キゴマイム≫も効いている。あと一回攻撃を通せば、それで Lim の勝利だ。  だが、Lim は苦しんでいた。まずこのゲーム展開自体、【火水マジック】本来のプランから逸脱した苦肉の策だ。革命チェンジギミックを駆使して速攻をしかけるこのデッキにとって、序盤の手札内容には文字通り命運がかかっている。

 しかしこの大一番で運命の気まぐれが Lim を襲った。《調律師ピーカプ / ♪音速で 本番中に チューニング》が序盤に複数枚だぶつき、一方で《芸魔隠狐 カラクリバーシ》は引けなかった。泣く泣くマナに逃がして≪Napo獅子-Vi無粋≫に望みを託したが、《芸魔王将 カクメイジン》はやってこなかった。

Lim 「ああするしかなかったんですよ。初手の持ち方からして、横に並べてビートダウンするしかなかった」

 とはいえそこからでも勝利への道筋を見出せるのは、やはり Lim というプレイヤーの非凡さの表れと言える。初期手札5枚を見て瞬時にこの展開を予期した彼は、手持ちの戦力でビートダウンするプランを即座に固めた。仮にデッキトップから有効札が加わった場合はいつでもルートを切り替えられるよう、可能な限り受け入れの広いプレイを継続した。  苦しい状況下でも真っ直ぐに勝利を見据える Lim の打ち筋。並みの対戦相手であれば、その意思の前に膝を屈していたのかもしれない。だが、この時の対戦相手はいかろす. だったのだ。彼もまた、言うまでもなく非凡だった。揺るがず、動ぜず、最適の応手を選択できる強者だった。

 いかろす. 4ターン目。まずは≪ド浮きの動悸≫で≪ボン・キゴマイム≫を手札に戻す。そして《AQvibrato》で攻撃、革命チェンジ《芸魔隠狐 カラクリバーシ》。効果で≪♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い≫!  これが《AQvibrato》《アシスター・Mogi林檎》をノックダウンし、さらに《芸魔隠狐 カラクリバーシ》同士の相打ちでバトルゾーンが空になる。

 スピードアタッカーさえいればという状況の Lim だが、序盤に攻めを強行した代償で手札がか細い。果たして手持ちに解答はなく、ここは≪ボン・キゴマイム≫を出し直して再度1ターンを待つ構え。

 無論いかろす. がそれを看過するわけもなく、《アシスター・Mogi林檎》《AQvibrato》を並べたのち≪♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり≫で3を宣言。再び即時打点要求の状態にもっていく。一歩ずつ着実に、勝利へとにじり寄っていく。

 ターンが返って Lim ドロー。だがここも空振りとなり、《歌舞音愛 ヒメカット / ♪蛙の子 遭えるの何処?好きと謂ひて》召喚からのマジック・フレンド・バーストで《AQvibrato》を手札に戻すに留まる。≪ボン・キゴマイム≫さえ維持できていればいかろす. の脚は止まる。この召喚酔いが解ければ。あるいはあと1枚、スピードアタッカーが引けさえすれば。  最後の一歩を踏み出せない Lim に対し、いかろす. 《芸魔龍王 アメイジン》召喚でさらに前進する。墓地から呪文がごっそり回収され、バトルゾーンが凍りつく。これが最終宣告だ。墓地から手札に戻った≪ド浮きの動悸≫があれば≪ボン・キゴマイム≫は怖くない。今ケアできていないのは、 Lim のスピードアタッカー召喚だけ。

 そのことを誰より理解している Lim 、7ターン目。かすかに震える手を山札に伸ばし、ドロー。2枚の手札とバトルゾーンを交互に眺め、ややあってそれらを開いた。  《ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》2枚。スピードアタッカーは、無い。

 両方とも呪文側で使用し、2と7を宣言。バトルゾーンの《アシスター・Mogi林檎》《芸魔龍王 アメイジン》は止まった。だがそれまでだ。 Lim は手札を使い切った。

 シールド0で3ターンを凌ぎ切ったいかろす. 、≪ド浮きの動悸≫でついに≪ボン・キゴマイム≫を除去し≪Napo獅子-Vi無粋≫召喚。プレイヤーへ攻撃時、革命チェンジ《芸魔王将 カクメイジン》  【火水マジック】の象徴とも言えるその切札がついにバトルゾーンに降り立った時、ギャラリーから嘆息が漏れた。皆、この先に待つ幕引きを知っていた。 Lim いかろす. は互いに笑みをこぼした。様々な感情が入り混じった笑顔だった。  《氷柱と炎弧の決断》《瞬閃と疾駆と双撃の決断》でクリーチャーを並べつつ、《芸魔王将 カクメイジン》をアンタップ。W・ブレイクからはトリガー無し。再度《芸魔王将 カクメイジン》が攻撃し、2体目の《芸魔王将 カクメイジン》にバトンタッチしながら《氷柱と炎弧の決断》と≪ダウンフォース・サーキュラー≫!

 これぞ【火水マジック】のフィニッシュムーブ。2度目のW・ブレイクから《氷柱と炎弧の決断》が飛び出すものの、最早手が付けられない。もう止められない。

 《アシスター・Mogi林檎》ダイレクトアタックを決め、いかろす. が全国行きの切符を掴み取った!

Winner:いかろす.


 見守っていた友人たちにもみくちゃにされるいかろす. 。悔しさを滲ませつつも、笑顔で勝者を祝福する Lim  確かに勝負は人を分けるかもしれない。だが、勝者は皆に託された想いを、夢を翼に込めて飛ぶことが出来る。

 「北陸代表」の称号を背負ったいかろす. が全国大会でどのように羽ばたくのか、今から楽しみに待ちたいと思う。 エリア予選北陸大会、優勝はいかろす. !おめでとう!
PAGE TOP

TM and © 2024, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY