DMGP2026-1st Day1(アドバンス):メタゲームブレイクダウン
ライター: 鈴木 響太(ボルスズ)
撮影:坂井 郁弥
はじめに
2026年2月、アドバンスフォーマットは未曾有の超絶アップデートを迎えた。理由はもちろん、『エピソード4 パンドラウォーズ』の襲来である。かつてない勢いで追加されたサイキック・クリーチャー、そして新たなる召喚方法「跳次元召喚」の襲来は、環境を……いやプレイヤーの認識を全く別の次元へと塗り替えた。
持て余したスペースを怠惰に埋めるように《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》や≪勝利の頂上 ヴォルグ・イソレイト6th≫セットで埋める日々は終わりを告げ、所狭しとニューフェイスが立ち並ぶ様相は、まさに宇宙開闢のビッグバン。
そんな生まれ変わったアドバンスフォーマットの、無限大に広がる可能性を読み解くべく、メタゲームブレイクダウンをお届けしよう。
デッキ分布
TOP128デッキ分布
32 4cテレポートホール12 4cder’Bande
10 光水闇邪眼帝
10 光水闇シーザー
8 水闇自然ボウダン=ロウ
7 光水自然ゴルギーオージャー
5 光水自然創世龍ループ
4 光水自然ハルカス
4 火闇バイク
4 火水闇バイク
3 4cペテンシー
29 その他(母数2以下)
0 ラッキー・ダーツ
お分かりいただけただろうか?決勝トーナメントにおいて、【ラッキー・ダーツ】を擁するデッキは分布0。

春の殿堂発表から1ヶ月の期間で、人類は【ラッキー・ダーツ】を克服した……というのはいささか過言だが、条件を満たせないデッキであったことは間違いない。
事実、4000人を超える参加者に対して、《ラッキー・ダーツ》の使用枚数は276枚。【火光水ゴスペル】と【クランヴィアデリート】で使用された数を差し引くとおよそ250デッキ、5%を下回る持ち込みに収まった。これは、大型大会の分布としてはともかく、事前評価の盛り上がりを踏まえるといささか少ないと言わざるを得ない。予選9回戦を7回以上勝利しなければならないGPの特性に、プレイヤー、もしくはデッキそのものが適応できなかった証左と言えるだろう。
そんな今大会の構造としては、事前評価も高かった【4cder’Bande】と【光水闇シーザー】の2デッキに対し、どう攻略していくかが鍵となった。その上で、実に全体の25%を占めた【4Cテレポートホール】は圧巻。そんなトップを【4cder’Bande】と2種の光水闇カラーのデッキが追う形となった。
ここからは個別にデッキをチェックしていく。
【4cテレポートホール】
|
天馬 DMGP2026-1st アドバンス構築 |
|
|
やっぱりね、“4ドギ”なんですよ。
圧倒的1番人気となった【4cテレポートホール】。
《剣轟の団長 ドギラゴン王道》へと集約していくデッキ構成になっており、それらを繋ぐ《鬼修羅と跳次元の決断》がハイパワーエンジンとして搭載されている特徴だが、この結果をもたらした要因は、「現環境におけるキードライバーを押さえられる構成」だったことが大きい言えるだろう。
逆札篇突入以降、現アドバンス環境は、【4cder’Bande】と【光水闇シーザー】、そして特殊な立ち位置をとる【ラッキー・ダーツ】の存在から「軽量メタカード」、「3ターン前後で使用可能な除去カード」、「ワンショット耐性のある受け札」、「自前のアグロプラン」がキードライバーとなっており、いずれか2種以上を高い水準で搭載できることが必要条件とされてきたように思う。
その点において【4cテレポートホール】は、うち3つを高い水準で採用できる上に、「アグロプラン」に関しても、4ターンのレンジでは蓋もリソース確保も思いのままという破壊力を擁している。そしてこのデッキの独特なコスト変換によってそのほとんどを《剣轟の団長 ドギラゴン王道》の着地へ繋げられるため、多少構築に変化を加えても構成に濁りが生じにくい。
今回は【4cder’Bande】を重く見てか、《宇宙妖精エリンギ》、《~輝きは奇跡そのもの~》、《終止の時計 ザ・ミュート》といった“連続攻撃に強い”S・トリガーの採用や、初動を非クリーチャーに寄せるチューニングが目を引く。事実、ベスト4に残った2つの【4cテレポートホール】の片方となる天馬選手の構築は、こちらに分類されている。もう片方となるじゃきー選手はその逆というか、「ミラーに強い」チューニング。《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》の投げ合いをすり抜ける《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》や《時の法皇 ミラダンテⅫ》の採用により、全体的なデッキの破壊力増強にも振れている意欲作だ。
このように、思想や環境によってチューニングがかなり自由なため、一概に【4cテレポートホール】と括っても、対応方針は大きく異なる。細部は読みにくい、しかし骨太な戦略は外さない。このバランスが、最多予選突破に繋がったと言えるだろう。
【4cder’Bande】
|
後藤そらねこ DMGP2026-1st Day1 アドバンス |
|
|
続いては優勝候補筆頭でもあった【4cder’Bande】を紹介していく。
オリジナルフォーマットでも目覚ましい活躍を見せる当デッキは、こと連続攻撃において一味違った様相を見せる。
アンタップ呪文を用いた《俳句爵 Drache der’Bande》本体の連続攻撃ではなく、《勝首領龍 カツドン》、《超時空ストームG・XX》たちの覚醒を駆使した無法なワンショットコンボで早期決着を目指すアグロデッキとして現環境を牽引している。

先の逆札篇1弾で獲得した《轟腕のR ダグラジャパニカン》は苦手だったメタクリーチャーの除去とマナゾーンの再利用という課題を一手に解決しており、その他の獲得カードも粒揃いと、まさに隙なしと言えるだろう。
だが、なんと今大会では決勝トーナメント8デッキに残留することができないという大波乱が発生。
理由の一端は、「【4cテレポートホール】側の適応に対応できなかった」ことが挙げられる。《轟腕のR ダグラジャパニカン》が餌としてきた《大集合!アカネ&アサギ&コハク》の減少によりプレイ方針をずらされてしまったのではないだろうか。
事実、【4cテレポートホール】32デッキのうち11デッキが《大集合!アカネ&アサギ&コハク》を不採用としており、このデッキは相当警戒されていたことが窺える。
しかし、そんな包囲網の中でも上位進出数2位であるということは、高い地力を持っていることは間違いない。プレイ方針が伴う時間さえあれば、状況は180度違っていた可能性すらある。今後のアドバンスにおいても、筆頭と言える一角になりそうだ。
【光水闇シーザー】
|
えぬかわまっど DMGP2026-1st アドバンス構築 |
|
|
4月に入り、瞬く間に頭角を表してきたループデッキがこの【光水闇シーザー】。
このデッキもまた、オリジナルフォーマットで生まれ育ち、アドバンスの要素を取り入れて成長した形。豊富なS・トリガーや《真気楼と誠偽感の決断》によるカウンターに加え、自前の動きでも最速4ターン始動という、受けループらしからぬ速度を持ち合わせている。そのため、現環境における貴重な「シールドに触らないデッキ」としての立ち位置をものにしているのが魅力だ。
この「シールドに触らない」「受けの硬い」デッキという要素は、大型大会の長丁場に適性が高く、コンボ始動札の《ペテンズ・ゲート》はそのまま【4cder’Bande】への明確な主張点となることも、今大会での人気の理由と言えるだろう。
ただ、コンボデッキのサガとも言えるが、メタに引っかかりやすいという弱点は無視できない。
呪文を活用するループである以上、呪文メタは軒並み苦しいことに加え、逆札篇で登場したG城の一角である《我竜塔第七層 ハッスル・キャッスル》の刺さり具合は死活問題だ。性質上3ターン目のクリティカルなメタカードへの耐性が極端に低く、1枚で失う時間が長くなりがちになってしまう。環境上位デッキで《我竜塔第七層 ハッスル・キャッスル》を無理なく採用できるデッキは限られているが、TOP128最大母数となった【4cテレポートホール】の存在は頭を抱える結果になっただろう。
しかし、逆に言えばその速度でしかメタは間に合わないということ。
少しでも躓いたが最後、このデッキに食われることは想像に難くない。メタカードへの対応策を獲得したとき、このデッキがどのように花開くのか、注目だ。
【光水闇邪眼帝】
|
YUNI@ DMGP2026-1st アドバンス構築 |
|
|
上がり3位タイ、確かな実力を示したコントロールデッキがこの【光水闇邪眼帝】だ。
同色の【光水闇シーザー】に対し、こちらはメタクリーチャー+ハンデスによるテンポ奪取で流れを作り、相手が立て直す前にゲームを決めるという思想。現環境デッキはリソース確保を超次元ゾーンに預けていることも追い風となっている。

中でも特徴的なのは《ポッピ・冠・ラッキー》の採用が可能なところ。超次元ゾーンからの踏み倒しを咎める力は、そちらの重要性が上がった今、遥かに強力になっている。さらに見逃せないのは、対【4cder’Bande】への刺さり具合だ。
《俳句爵 Drache der’Bande》本体によるマナからの呪文踏み倒しを咎められるのはもちろん、環境に大影響を与えている《轟腕のR ダグラジャパニカン》に対して、エスケープによって除去されず、そのままマナからの踏み倒しも許さない……というキラーっぷり。《心転地と透幻郷の決断》に気をつけていれば《改竄の炎 ボルメテウス・ハック》やS・トリガーを駆使して十分に勝利が見込めるわけだ。
その他のメタクリーチャーも《飛翔龍 5000VT》や《偽りの希望 鬼丸「終斗」》を咎められる《煌ノ裁徒 ダイヤモン星》、こちらも《轟腕のR ダグラジャパニカン》耐性がある上に広く対応可能な《改竄の炎 ボルメテウス・ハック》などが採用されており、かなり【4cder’Bande】を意識した形になっている。
苦手とする【光水自然ゴルギーオージャー】が持ち込み数を減らしていることもあり、立ち位置はかなり良好。持ち込み数に対する予選突破数比では上位につけ、TOP4へ送り出すことにも成功した。
【水闇自然ボウダン=ロウ】
|
Ren♪ DMGP2026-1st Day1 アドバンス |
|
|
『パンドラ・ウォーズ』登場以降明確に重要視されるようになったのが、手札からのカウンター、いわゆる「ひっかけ」の要素だ。このデッキは「ひっかけ」としての《流星のガイアッシュ・カイザー》が起点となった設計が特徴。
相手が初動やリソース確保目的で超次元ゾーンを使った隙に、《流星のガイアッシュ・カイザー》を相手ターンに召喚。その軽減とハイパーエナジーにより、早期着地した《超暴淵 ボウダン=ロウ》の爆発的展開を《勝首領龍 カツドン》が後押しする……いわば「びっくり箱」のようなデッキだ。
また、メタクリーチャーを豊富に採用できる点も主張点の1つ。このデッキ以上に《とこしえの超人》に意味を持たせられるデッキはほとんどいないのではないだろうか。ハイパーエナジーを駆使する都合上、コストを散らしての採用そのものに価値が生まれている。
弱点としてはやはり、《流星のガイアッシュ・カイザー》の依存度が高いこと。相手が不用意に踏み倒してこない場合、いたずらにターンが伸びて「ひっかけ」の隙を得られないシーンも少なくなかった。
そんな弱点を克服しているのが、【4cボウダン=ロウ】。
|
ぶらっきー/香取推し DMGP2026-1st Day1 アドバンス |
|
|
迂回ルートとして、これまでも紹介してきた《千両力士 多禍の泥粋》によるハンデスや《刀志猫のプワソン》による展開を有しているため、警戒心の高い相手にも十分に立ち回ることができる。
また、ぶらっきー/香取推し選手の構築では《刀志猫のプワソン》はそのままフィニッシャーにもなっており、《超暴淵 ボウダン=ロウ》や≪龍月 ドラグ・スザーク / 龍・極・殺≫の召喚に反応して≪13番目の計画 / サファイア・ミスティ≫を呼び出してエクストラウィンすることも可能。
このタイミングでは、「ひっかけ」の対策の「ひっかけ」まで至ったこのタイプの構築、今後も注目だ。
【光水自然ゴルギーオージャー】
|
ロポア/逆 DMGP2026-1st アドバンス構築 |
|
|
すみません、やっぱ【4ドギ】じゃなかったかもです……。
……というのはさておき、今大会優勝を飾ったこのデッキにも触れねばなるまい。
驚異的な安定感とビートダウンも特殊勝利も狙える柔軟性によって、文字通り王者の地位を築いてきた【光水自然ゴルギーオージャー】だが、逆札篇1弾発売以降、アドバンス環境においては評価を落としていたと言わざるを得ないだろう。
一体なぜか?その理由は明白で、【4cder’Bande】に不利がついているからに他ならない。
【光水自然ゴルギーオージャー】以上の速度でワンショットを決めてくる速度感は純粋に厳しさがあり、それを咎める《とこしえの超人》や《一音の妖精》は《轟腕のR ダグラジャパニカン》を筆頭に除去を受けてしまうシーンが多い。
ここまで散々述べてきた通り、今大会は【4cder’Bande】をどう攻略するかが重要な鍵の1つ。その中で、構造上の不利を抱えたこのデッキは、立ち位置の悪いデッキではないかというのが大方の味方であった。
しかし、【光水自然ゴルギーオージャー】も無策で持ち込まれているわけではない。
元から採用されやすかった《巨魔天 アオフェシー》以外にも、「踏ませて返す」思想のもと《~進封せし大悪魔~》や《終末の時計 ザ・クロック》を採用したせ構築も散見されたことからも、決勝トーナメント出場者たちの準備を感じる。
また、事前評価を落としているということは、それだけ他プレイヤーのガードが下がっているということにも繋がる。
事実、決勝戦のじゃきー選手の構築は、対【光水自然ゴルギーオージャー】耐性の高い《偽りの希望 鬼丸「終斗」》、《頂上連結 ロッド・ゾージア5th》の両方を3枚ずつに減らしており、比較的【光水自然ゴルギーオージャー】の進行がしやすい状況にはなっていた。
先の先の、さらにその先。自力の高さで予選さえ乗り越えてしまえば、尖った構築に差し込むことができたのかもしれない。
おわりに
【4cテレポートホール】の快進撃は、環境の変遷にいち早く対応した構築の勝利であると言っても過言ではない。しかし、今回は煮湯を飲んだ【4cder’Bande】も、今後ますます洗練されてアドバンス環境を牽引していくだろう。
今後のアドバンスの発展にますますドキドキしつつ、今回は筆を置かせていただくとしよう。
©ANYCOLOR, Inc.
TM and © 2026, Wizards of the Coast, Shogakukan, WHC, ShoPro, TV TOKYO © TOMY









